転生したスワンプマンは過去の栄光に思いを馳せるか?   作:紫 和春

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第30話 タイムライン

 研究所から家に帰る頃には黒須も高崎も冷静になっており、謝罪のメッセージが飛んできていた。

 しかし長屋も年頃の男子である故、ありがたい画像を見せていただいたという気持ちでいた。意識の高い男子や同年代の女子から見れば、キモいと言われるかもしれない感想だが。

 そして黒須と高崎も、わざと画像を消していないところを見るに、おそらくそういう気持ちがどこかに存在するのだろう。

 そうして家に帰ってきた後は、ベッドでゴロゴロしながらSNSのYYを眺めていた。YYでは相変わらず、ほのぼのとした内容と人の逆鱗に触れる内容が交互に流れてきており、なかなかの地獄を見せつけられる。しかし、そういう炎上する内容に限って人間は注目してしまう性質を持っている。そしてSNS側はインプレッションの多い投稿━━すなわち炎上している投稿を多く表示させようとタイムラインを並び変える。

 こうしてタイムライン上には、脳の報酬系を活性化するドーパミンを大量に放出する投稿が延々と流れるのだ。

 

「はぁ、なんか時間を無駄にしている気がするなぁ……」

 

 そんな愚痴を長屋が吐くが、それを聞いてくれる同居人はおらず、虚空に消えるのみである。そしてタイムラインを更新する手が止まらない。見事に人間の心理をハックされている。

 そんなタイムラインの投稿は次のような感じだ。

 

『後天的性転換により女性がオスとしてDNAを残せるようになった今、女性のみで繁殖することは不可能ではなくなった!今こそ人類社会からクソオスを永久追放すべき!』

『500年前にはこの国にも皇帝が存在していた。混乱したこの社会を作り替えるべく、今こそ王の存在が必要だ』

『現在の大日本共和国という制度上では、首相の存在が一番重要とも言える。大統領など共和国のお飾りに過ぎない。その気になれば、首相による国家掌握も可能だろう』

 

 多種多様な暴言暴論が登場している。一つ一つまともに反応していれば、脳のリソースを大学入試を解くより消費してしまうだろう。

 

「あー、やめやめ! スマホ見るの止める!」

 

 そういってスマホを伏せ、ベッドから起き上がる。そして軽くストレッチしてボソッと呟いた。

 

「散歩にでも行くか」

 

 スニーカーを履き、マンションから出て歩道を進む。季節は初夏で、軽い運動をするには持ってこいの気温である。

 涼しい風が吹き、程よく汗ばむ陽気で気持ちが良い。本来の人間の活動というのはこういうことを指すのだ。

 それでも、街の喧騒に耳を傾ければ、少々心地の悪い話が飛び込んでくる。それは先ほどYYで見た投稿にそっくりだ。

 

「はぁ……。結局、スキャンダルやらそういうものに人間は惹かれる運命にあるのか……」

 

 辟易とした気分になる長屋。それらを振り切るように、歩くスピードを上げるのだった。

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