テンペスト・フィールド プレイ動画   作:微カキン

5 / 7

●『強襲兵シンシア』

●情報公開レベル1

ポジション:前衛・強襲兵

ステータス:耐久力C 移動速度B 攻撃頻度B FPSゲージC

出身惑星:記録抹消済み→寒獄惑星ヴァルハラ

武器適正:速射型ライフル・銃剣適正あり

外見上の特徴についての私見:金髪ロング、赤い瞳。顔つきも幼く、他の女性兵士と比べても肉付きが薄く、華奢な体つきで少女らしさが目立つ。

技能評価についての私見:速射能力の高い銃火器の扱いに優れている。また特徴的な技能として、銃剣の扱いに長ける。銃剣は軍においても基本装備だが、彼女は一般的な水準のそれより高いレベルで戦闘が可能である。閉鎖環境や肉迫戦闘において活躍が期待される。

性格についての私見:無口でも物静かでもないが、必要以上の会話を好まない傾向がある。上司に忠実で、職務に熱心。その反面、同僚とのコミュニケーション能力に不安がある。最も戦場においては本人が率先して前に出る為、大きな問題にはなっていないようだ。

●情報公開レベル2

技能評価における私見2:普段の落ち着いた言動とは裏腹に、戦闘時には苛烈な戦士のように前に向かっていく傾向がある。その勇猛さは仲間を鼓舞する反面、判断を誤れば部隊全体を危機に陥れかねない不安要素でもある。猪武者という訳ではなく指示はちゃんと聞くため、適切な命令を行えば問題はないだろう。それにしても、銃剣を用いた戦闘においてはやはり一際秀でている。明らかに軍の教習レベルではない、消された彼女の故郷での風習などが今も体に染みついているのだろうか。

性格についての私見2:相変わらず口数は多くはないが、この特殊な状況にも慣れてきたようで、人間らしい感情を露にする事が多くなってきた。一方で、事あるごとに指示を求めてくるのは、聊か違和感を覚える。主体性がない、という訳でもないようだが……。とはいえ、過度な依存に陥るようならばともかく、現状では大きな問題を感じない。様子を確認しながら、関係を維持していこうと考える。

●情報公開レベル3

技能評価における私見3:一般的な軍としての行動規範から外れた活動が続いた事は、彼女の秘めたる技能を花開かせたようだ。銃剣を装備したライフルを槍に見立てての猛襲は、銃撃戦を想定して防御を固めている敵にとって致命的な一撃になるだろう。そのような蛮行一歩手前の強襲を成功させるのは、彼女の優れた資質に他ならない。射撃戦による制圧技能にも習熟しており、強襲兵として頼もしい限りである。

性格についての私見3:個人的な距離が大きく近づいた事で、彼女の心の内にも触れる機会が増えた。話に聞いた、どこまでも雪と氷に覆われた平原……寒獄惑星ヴァルハラの事だと考えられる。なるほど、あそこの住人は独特の人生観を持っており、剣や斧といった原始的な武器を用いての白兵戦を好むと聞いたことがある。彼女の優れた銃剣術も、幼いころからそこで学んだものだったのだろう。己のアイデンティティを再確認できたせいか、最近は口数も増え、表情も年相応に柔らかくほころぶ様をよく見せるようになった。その可憐さに私もしばしば目を奪われる事もあり、正直、うちの部隊が女所帯でよかったと思う。そうでなければ、他の男兵士が彼女を放っておかなかっただろう。……いや、何を書いているのか。

●(情報公開レベル4以降はロックされています)

●(情報公開レベル5以降はロックされています)




《強襲兵シンシア:信頼度1イベント》

 

 

《強襲兵シンシア:信頼度1イベント》

 

 

 

「面談、ですか」

 

 呼び出したシンシアにそう告げると、彼女は幼げな美貌を困惑に傾けた。

 

 ちょこんと椅子に座る彼女に机を挟んで向き合ったまま、私はカップに二人分の代用コーヒーを用意する。

 

「ああ。これまでは互いに詮索無用、深入り不要で記号として触れ合ってきたが、告げたようにこれからは一人の人間として協力していかなければならない。増援も支援も望めない以上は、互いに助け合う事が必要だ」

 

「……率直な私見として申し上げさせていただきますと。そのような事をなさらなくとも、我々はコマンダーの指示には従いますが」

 

 彼女は私の差し出したコーヒーを受け取りつつも、あまり気が進まないようだった。

 

 言いたい事は分かる。

 

 我々は兵士IDを抹消され、軍からその存在を無かった事にされたがそれでも間違いなく、精兵の特殊部隊員であった。我々にとっては己の生死よりも作戦の成否こそが重要であり、そこに個人的な感情が挟まれる事は許されない。

 

 今現在、軍を離れ独自に武装勢力として活動しているのも、上層部の叛逆的行為を咎める為であり、主観としての我々の行動指針は何も変わらない。

 

 しかし、しかしだ。

 

 それでは、問題がある。

 

「いや、本作戦においては、私は君達部下の一人一人にも主体性をもって望んで貰わなければならないと考える。これは命令だ。君が私の命令に忠実に従うというなら、聞き入れたまえ」

 

「そういう事でしたら、了解しました」

 

「うむ」

 

 頑固なようで物分かりがよくて助かる。

 

 さて。

 

 肝心の、何を話すかについてだが……。

 

「ふむ……時にシンシアは、他の兵士よりちょっと若く見える気がするんだが。年齢はいくつなんだ?」

 

「それは……わかりません。教化の仮定で記憶を消されているので、養成学校に入学する以前の事は、さっぱり。一応、皆さんと同じ期間だけ、学校にいたはずですが」

 

「そ、そうか……」

 

 互いの間に沈黙が満ちる。

 

 ただ、気まずく思っているのは私だけのようだ。彼女は変わらず、椅子の上でまっすぐ背筋を伸ばしたまま、私の言葉を待っている。

 

 私は考えを巡らせて、他の話題をふってみる事にした。

 

「そういえば君は、銃剣の扱いが上手いな。私も銃剣は使うが、君ほどうまくは扱えないよ」

 

「そうでしょうか?」

 

「そうだとも。私の知る中では君が一番だ」

 

 こればっかりは確信を込めて頷く。銃剣なんて、基本的には突くのが精いっぱいだ。元々槍の代用なのだからそれで十分。しかしシンシアは巧みに銃身を持ち替えて間合いを調整したり、突いたと思ったら瞬く間に刃を戻して相手の首を掻っ切ったりする。銃剣術、なんてのが公式に存在するのかはわからないが、私の知りうる限り彼女より銃剣の扱いが上手い兵士はそうそう居ない。

 

「そうですか……」

 

 しかし私の称賛に、彼女は困ったような顔をするばかりだ。

 

「申し訳ありません。そう言われても、私もどうして自分が銃剣にあんなに信頼を置いているのか、覚えていないのです。説明しろ、と言われても体に染みついた動きといいますか……」

 

「ふぅむ」

 

 困ったような様子からは、彼女が嘘をついているようには見えない。

 

 まあおかしな話ではない。何百何千何万と反復練習を繰り返す事で、人間は意識しなくてもその動作が出来るようになる。普段何気なく行っている歩行だって、重心移動など様々な要素を無意識にコントロールして行っているものだ。人間は、そういう事が出来る生き物なのである。

 

 となると、兵士として徴兵される前から、彼女はそういった荒事に近い生活をしていたという事なのか。他の者よりも若く見える年齢を踏まえても、よほどに過酷な惑星の出身なのかもしれない。

 

「よかったら手ほどきしてほしいと思ったのだがな」

 

「ご期待に沿えず、申し訳ありません、コマンダー」

 

「いや、そこまで気にするような事ではないよ。こうして話せてみて、収穫はあった」

 

 きょとん、とするシンシア。彼女の無防備な表情に、私も小さく笑みが浮かぶ。

 

 普段、端的な物言いしかしないし、発言も積極的ではないので喋る事そのものがあまり好きではないのか、と思っていたが、どうやらそうではないらしい。

 

 恐らく、単に何を話すのか自分ひとりでは思いつかないだけで、お喋りが嫌い、という訳ではないようだ。

 

 少しずつ、互いに慣れていけばいい。少なくとも色々話しかけた所で嫌がられない、というのが分かっただけでも大きな前進だ。

 

「今日はこのあたりにしておこう。済まなかったな、部屋に戻ってくれたまえ」

 

「? わかりました。コマンダーがよろしいのならば」

 

 さして名残惜しさも見せず、シンシアはすっくと席を立つと部屋を後にした。

 

 閉じる自動ドアの向こうに消えていく彼女の背中を見送りつつ、私は今後、どのようにコミュニケーションをとっていくべきか、その指針に頭を悩ませた。

 

 

 

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