アルフィア狂い   作:PETTA

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プロローグ

 

朝6時 

 

 

 

アルフィアぁぁっぁぁっぁぁぃうぃfcdじぇwq-fjd9えfj9-え3うjfcんうぇうfcんれいKどあ

 

星々は狂人から逃げる様に消え

住民はその声と共に目覚める。

鶏たちですら彼に気を使い鳴かずに耐える。

 

 

 

朝6時30分

 

 

アルフィアは可愛いなぁ!!!ああああああぁぁぁぁあああっぁあぁぁあああああ

 

炉に命が宿る。

 

人々は青い空を見上げ、今日を頑張っていくことを決意した。

 

 

 

 

朝7時

 

 

あああああああああああああああああああ

 

 

遠くからの爆発音で叫びは漸く止まり、鶏たちは力いっぱい鳴き続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

此処はオラリオ・・・英雄の街。

 

叫ぶ彼もそれを止めた女も稀代の英雄。

 

古来より憧れの対象である英雄のエキセントリックな実態を見た者達は冒険者に親しみすら感じている。

 

 

そんな温かい街オラリオ 

 

みんなで作る街 オラリオ 

 

神とダンジョンと変態の街 オラリオ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メインストリートを外れた路地裏で灰の様な美しい髪を持つ女が男を抱えている。

 

その女はアルフィア へラ・ファミリアのL()v()9()である。

 

そして情けなく彼女に縛られている男。

薄い金髪で人によっては美男子とも言えなくはない

ソール・ファミリア団長 Lv10ビクトール・レイ

 

毎朝叫ぶ本物の狂人

 

この二人が通る道は敢えて路地裏を選んでいるが、それでも不気味なほど人の気配がしない。

 

 

 

 

「あ、アルフィア・・・そうか、やはり赤い糸で繋がっている。俺の位置くらい分かるか」

ビクトールはアルフィアに話しかけ続ける。

 

ダンジョンに向かうにはいよいよ人目のある道を通らねばならない。

解放すれば良いというのはごもっともだが、この男の場合は何が起こるかが分からない。

故に放す訳にはいかないのだが

 

数多の冒険を乗り越えて来た歴戦の勇者でさえ周りの目は気になってしまうのだ。

 

亀甲縛り・・・何故か暴れない唯一のこれを恥じながらダンジョンへ向かう。

 

 

 

 

「おい、静寂に・・変態だ」「あぁ変態だな」

 

この男・・・二つ名は超越変態・・・のせいで朝からダンジョンは混んでいる。

この恥辱は流石のアルフィアでも耐えきれない様でほんのりと頬が赤くなる。

 

あぁこれだから嫌なのだと、妹の安眠を守る為とはいえ毎朝迎えに行くのは体力を消耗させられる。

 

「アルフィアは可愛いなぁ!アルフィアは可愛いなぁ!!アルフィアは可愛いなぁ!!!」

公衆の面前で火に油を注ぎ続けるこの男にとうとう堪忍袋の緒が切れた。

 

「福音」

 

純然たる轟音は衝撃の塊となって余波だけで昏倒させてしまう程なのだが、この男には殆ど効果がない。

 

「おっふ。」

 

何故かこれで30分は黙ってくれる。アルフィアはいつもそうやって黙らせてきた。

 

だが彼女は気づいていない、いや気づくわけがない。

 

変態にとって魔力を受けるというのは体液をかけられるのと同義。

 

それをじっくりと堪能し余韻に浸るからこそ男は黙るのだ。

 

 

 

その余波によって近くの女性に神風が起こる。

 

しまったとは思うが、普段の行動と性格もあって謝らずに去るしかない。

 

 

 

 

 

アルフィアは間違いなく変態の被害者である

 

だが、世間はそう見ていない。

 

毎朝なんだかんだ言って迎えに行き、ダンジョンでは背中を任せ合い、夜まで談笑している様子も稀に目撃されている。

 

毎朝の喧嘩も・・・犬も食わない何とやらということだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________

 

 

 

 

 

運ばれながら見る景色は見慣れた物だが、この匂いには適応出来ないままだ。

 

 

しばらくして顔色の悪い冒険者が先に見えた。

 

帰還中なんだろうが、我々を避けないという事は誰かも分かっていないらしい。

 

避けられているという事実が助けとなるのは何とも言えない感覚になる。

 

 

すれ違う瞬間にこっそりとスキルを使う。

 

「お前・・・それは」

 

「良いだろう?好きにしても」

 

「まぁな。だが返ってこないぞ」

 

「求めてない」

 

「そうか・・。」

 

一日一善ノルマ達成かな。

 

「お前・・は、肌を合わせないと出来ないんじゃなかったか?」

 

あ・・・。

 

 

 

何気ない瞬間に罪が露見する・・・歴史上でも重大事件が発生するのは些細な会話であったりする。

 

つまりこれは人類である限り往々にして起こる事なのだ。

 

 

 

 

 

怒り心頭のアルフィアは無言のまま俺を担いで潜っていく。

 

無言が一番怖いとはよく言ったものだ。

 

最初は「そろそろ放してほしいなぁ」と言えるだけの余裕は有ったが深層に潜ったタイミングでそれは失われてしまった。

 

力を込めてもビクともしない。

 

汗が頬を伝う。

 

・・・71階層

 

嘗ての最強たちが「ごめんこれ以上無理」と匙を投げた階層でアルフィアは俺をモンスターに差し出したのだった・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

________

 

 

「お、遅かったな」

 

体感3時間だろうか…モンスターをなんとか鏖殺した俺を見て呆れながらもポーションをかけてくれる。

 

地面にこぼれたソレを俺は犬の様に舐め続けた。

 

四つん這いを晒して蹴られなかったのは2度目だった。

 

 

 

まだ見ぬ世界にアルフィアも血が湧きたっている様だ。

 

 

 

・・・72階層

 

人類未踏の大地を前に俺は

勃起した。

 

 

 

しばらく返事すらしてくれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________

 

ギルドに報告を終える頃には、既に広まっていたらしい。

 

前人未到の地へ赴くというのは人々を引き付けるには十分な偉業であった様だ。

 

実感は無いが

 

家族や友人知人他人様々な人が一堂に会している

 

遂にこの時が来た・・・俺の直感はそう告げている。

 

「この度私ビクトール・レイはこの麗しい姫との共同作業を終え冒険者としての栄誉を手にする事が出来たのは9割の努力と1割の皆様の支えのお陰でしょう。

...こんな嬉しい事は無い。」

 

アルフィアの手を握り

人前で一筋の涙を落とす。

 

隣と半数以上は「こいつマジか」等という言葉をそのまま顔面に貼り付けた様で

ヘラんところの連中は殺意を隠さず

感情的な奴らは俺以上に号泣している。

あぁありがとうガネーシャお前本当に良い奴だよ。

お前ってアレだな腹減ってる時は美味いご飯みたいだよな。

 

「ですが、私の・・・俺の冒険はまだ終わってねぇ」

 

そのまま握り締めた手にキスをする。

 

返す刀で矛先を唇にロックオン

 

流石に友人たちも今回は違う・・・俺の“凄み”を感じてくれているようだ。

 

膨張した唇が今にも着弾しようとしていた時。

 

パシィン

 

重い金属的な衝撃音が、街に響いた。

 

Lv9の柔らかいそれは身体にほどよい快感をあたえる。

 

辺りの音をすべて持ち去られたような静けさ・・・静寂。

 

 

今回こそ・・・そう思っていた人からの落胆をヒシヒシと感じる。

 

 

「アルフィア・・・ありがとう。」

そう言って彼女から少し距離を取り、靴を履き直す。

 

 

10年程彼らを見て来た人間は彼の潔すぎる行動に怪訝な表情だ。

 

「俺たちもう一緒にさ・・・ベッドで夜を過ごしたからさ…。勘違いしちゃったんだごめん」

 

 

彼の虚言癖にも辟易している者達は・・・アルフィアの表情を見て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「え・・・は・・え?」」」」」」

 

いつもなら返事すらしない彼女は顔を真っ赤にしている。

 

普段の無表情しか知らない人間はまず人並の感情があったのかと驚き・・・今度は腰を抜かすほど驚愕する。

 

 

遅れてくる衝撃にその場の全員が襲われる。

 

 

「お互いの肌が触れ合ってさ・・・手を絡めながらアルフィアが俺に「福音」・・・っと。」

 

 

 

「ちょ「福音」話を「福音」被害が「福音」おぉオッタル「福音」オッタルぅぅぅ!」

 

哀れな猪をそのままに俺は外に走り出した。

 

周りの人間は死んだように眠ったオッタルを気にする事無く俺とアルフィアの愛ある逃亡劇を見送った。

 

逃げても逃げても鼻のいい猟犬の如き探知能力は俺を放してくれない。

 

少しあった恐怖はもはやすがすがしい気分になり、さらに速く走る。身体が風に溶けそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________

 

 

「家屋半壊12000戸・全壊3000戸 その他諸々の賠償金 8909000000ヴァリス」

 

・・・・貯金が吹っ飛んだ。

その衝撃で主神も気絶してしまった。

 

団員はズボンの中からお金を取り出して差し出してくる。

おま、何処にいれてんだ。

 

 

 

 

 

 

しかしまただ、考え無しに「俺が奢る」とアルフィアを帰した結果がこれだ。

 

(;´д`)トホホ

 

まぁ、いくら嘆いても仕方がない。幸い借金はしなかったからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

 

 

俺は花束を買うだけのお金が入っている事を確認し、部屋を出る。

 

 

 

「あれ?団長・・・こんな時間からどちらへ?」

 

白い正装に身を包んだ俺は気持ちのいい声で答える。

 

「へラ・ファミリアに行ってくる」

 

「・・・・ッ!!」

 

俺は奴に敬礼されながらホームを出た。

 

 

関係を進展させるために。

 

 

 

主神は10年以上前の事を思い出して急いでポーションを買いに行った。

 

 

 

 

 

予想通り頭から血を流した男は妻に支えられながらホームに帰還する。

 

 

 

 

 

 

後にへラ・ファミリア前 殺人事件と呼ばれるそれは大量の血痕と血だらけの遺体の目撃情報が多数寄せられたにも関わらず被害者が不明のまま捜査が打ち切られることになった。

 

三大ファミリアの前で犯行に及ぶというネジの外れた殺人鬼に皆が恐怖した。




ある新人冒険者の手紙


拝啓 お母さまへ


憧れの街オラリオは所詮ただの幻想であった事を痛感させられています。

毎日毎日毎日毎朝毎朝毎朝毎朝毎朝

本当に喧しいです。ファミリアの先輩方は目を覚ましてくれる等と言っていますがああはなりたくない。

でも良い面はそれ以上にありました。

ダンジョンは噂の通りで、死闘は怖いですがそれ以上にワクワクします。

ただ僕の前に上級冒険者が先行したのでしょうか、毎日魔石が落ちています。

これは換金できるので嬉しいのですが、先輩方の中にはそれのせいでランクアップ出来てしまったと遠い目で語る人が多く戦々恐々としています。

街も綺麗で全て新築の様です。故郷が一番美しいと思っていましたがここには敵いません。

活気に溢れ、未来の明るいこの街は想像以上に良い所でした。
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