アルフィア狂い 作:PETTA
「色々あったなぁ」
外では雪が降り続いている。
街灯の光を受けて、白い粒が静かにきらめいていた。
だが、目の前にはそれ以上に美しいものがある。
姫の髪だ。
「……君はきっと、魂まで綺麗なんだろうな」
指で髪を撫でているうちに、いつの間にか雪は弱まっていた。
「外を歩かないか?」
姫も乗り気のようだった。
雪を踏むたび、キュッキュッと音が鳴る。
それが妙に楽しくて、つい寄り道ばかりしてしまう。
「おい。妊婦の手を握っているんだ。責任は果たせ」
とうとう姫が怒ったので、俺たちはようやく散歩を再開した。
遊び回ったせいだろうか。
ふいに体が震えた。
冬の風が、肌を刺す。
「……大丈夫?」
今さらだが――
いや、本当に今さらだが。
彼女が怒った理由が分かった。
「……」
返事はない。
だから、黙ってその手を握った。
すると彼女も、静かに握り返してくる。
しんしんと冷える夜道を、星が照らしていた。
「あの星も眩しいけど……君のことは直視できないな」
_______
なんだこれは・・・・
最近話題の恋愛小説とやらを読んでいると、どうにも悪寒が指先から背中を超えて頭の先まで伝わる。
それにしてもこの表現は何処かで見たことがある。
そう思い机にしまっていた奴の手帳を見る。
「あぁ、アルフィアはお星様よりも輝いていて直視できない。」
まさかな・・・。
嫌な想像が頭をよぎった。
こういう時は何かを食べたり運動したりするのが一番だ。
噂通りの味であった。
アルフィアは、余韻に浸りながら帰宅していた。
その先に薄い金髪・・何処かで会ったかも知れないろくでなしが歩いている。
「・・・・あ。」
声が出た。
当然相手も気づく。
笑顔のまま近づく奴の顔面にゲンコツを叩き込んだ。
_______
「お前に聞きたいことがある。」
殴っておきながらその言葉は無いと思うが、俺はアルフィアなら暴力も罵倒も大好きだ。
「近頃、妙な・・奇書が流行っている。」
奇書・・・か。
「知らないな。」
訝しげな表情を浮かべる。
「二人きりの時しか見れないアルフィアがあまりにも可愛いもんだからいつの間にか書いていた小説ならあるが。」
もう一度腹に良いのが入った。
「不備があった。今すぐ回収してこい」
そんな無茶な・・・。
「そりゃむ「福」りじゃないさ。ただこっちの用事を手伝ってくれ。」
Lv8が街中で魔法をぶっぱなすのは俺の財布に効くからな。
「やぁ、お二人さんデート?」
常にヘラヘラと戯けた態度をとっている胡散臭い男が話しかけて来た。
「アルフィア知り合いか?」
「殺せ」
「了解」
剣の柄に触れた瞬間、奴の顔から笑顔が消えた。
「おいおい酷い冗談はよしてくれよ。英雄の願いだって言うから一仕事した」
剣を振るう。
それは奴の前髪をちょうど綺麗に整えた。
「すまない、間違えた。」
詫びた後、調子に乗ったヘルメスの顔が脳裏に浮かび
「首を切る。」
そう言うが、奴も神だ。
俺のそれが
「えぇ!!ちょ」
本気だって事は分かるわなあああああああああああああああ!!!!
ちょっとした茶番を終えて、今度はキチンとヘルメスと向き合う。
「で、分かったのか?黒竜の事」
情報収集においてコイツの右に出る者は居ない。
「あぁ・・・今回のは厳しいかもしれない。竜は正真正銘の化け物だ。」
…予想はしていた。
「・・・俺は正直言って諦めた方が良いと勧めておく。」
厳しい表情で告げる。
コイツの素面・・・なのか。
「有史以来ここまで英雄が揃った時代を俺は見たことが無い。
だが黒竜と戦えばそれも終わってしまう。
俺はそれがどうしても我慢ならない。
もっと先に延ばした方が良い。」
・・・確かに、俺たちは死ぬのかもしれない。
「だがな、俺たちの子孫にまで迷惑はかけたくない。
白い髪を持った娘と息子に誇れる父になりたいんだよ。」
暫く黙っていたヘルメスは懐からある物を取り出す。
「魔力爆弾だ。周囲の魔力を糧に威力を向上させる。」
それって・・・
「欠陥品だろ」
「まぁね。」
冒険者がそんな物使う所は魔力で満ちてるんだから・・・。
「・・・いざという時には役に立つ。」
席を立ったヘルメスは特徴的な帽子を被りなおす。
「英雄よ。これを持っておけ」
精巧な地図の一点・・・そこが塗りつぶされている。
「黒竜は例年ある時期に活動が減少する。」
叩くならその時か・・・。
「いつだ?」
その瞬間、奴の口角が上がった。
「来週から3週間だ。」
そう言い残して風と共に去っていく。
来週・・・来週か。
「アルフィア。俺はある事に気づいた・・・。」
「あぁ、私もだ。」
珍しく同意するアルフィア。
来週から3週間・・・・。
「間に合うか・・・?」
時間的な余裕が無いという事に。
今回は短い・・・短すぎる。
平均3000文字の中で1800文字は短すぎる。
「二手」遅れたようだな…………
心の中のプッチ神父が嘲笑してきます。
後半は今日の7時6分に投稿します。