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番外編01 『狐ちゃんの日常』
狐ちゃんの日常 ~ちっちゃな家族の朝から夜まで~朝7時00分。
あかりの家に、ちっちゃな足音と鈴の音が響き始めた。
「ふわぁ………んん…」
狐ちゃんはあかりの机の上の狐ちゃん達用に静華からもらった小さなベッドの上で、ふわふわの毛布にくるまって目をこすっていた。
金色の長い髪が寝癖で少し跳ね、黒いリボンと小さな鈴の髪飾りが、朝の光にきらりと光る。
身長30センチの小さな体を起こすと、隣で眠っているぴーちゃんとゴムちゃんを、紫色の瞳でぼんやりと見つめた。
「んぴ……?んん…?」
まだ眠そうなゴムちゃんはを丸くなりながら、ぴーちゃんは、うつ伏せで寝ている。
狐ちゃんは小さく「ふわぁ…」と欠伸をしてから、机の端までちょこちょこと移動し、下を覗き込んだ。
あかりはまだ眠っている。
狐ちゃんは机の上から飛び降りると、あかりの枕元にぴょんと飛び乗り、小さな手で「おきて!おきて!」と言いたげにぺちぺちと頬を叩いた。
「ふわ! ふわふわ!」
「あぅ……んん……狐ちゃん…か、おはよう……」
あかりが目を細めて起き上がると、狐ちゃんは嬉しそうに尻尾をぶんぶん振った。
鈴がちりんちりんと可愛らしい音を立てる。
毎朝のルーティンだ。
狐ちゃんは一番最初に起きて、あかりを起こすのが自分の役目だと思っている。
他の二匹はまだぐっすり眠っていることが多い。
あかりは狐ちゃんを抱き上げて肩に乗せながら、キッチンへ向かった。
「おはよう狐ちゃん…今日は何が食べたい?」
狐ちゃんは即座に両手をぱたぱたさせて答えた。
「んぴ! んぴぴ!」
元々人間だった事もあるせいだろうが最近まで果物で満足していたのに、今では完全に人と同じ食事でないと嫌になってしまった。
特に朝はトーストに目玉焼きを欲しがる。
あかりは笑いながら冷蔵庫を開けた。
すると、狐ちゃんはどこからともなく食パンを抱えて持ってくる。
「わかったわかった。今日は目玉焼きとトーストね。
みんなの分も作るから、少し待ってて」
狐ちゃんはキッチンに置いてある椅子の上にちょこんと座り、尻尾をふりふりさせながらあかりの料理する姿を眺めている。
時々「ふわ!」と鳴いて、味見をねだるようにあかりにスプーンを指差す。
8時頃になると、ぴーちゃんとゴムちゃんもようやく起きてきた。
「んぴ……?」
「ふあ……ん……」
二匹はまだ眠そうに目をこすりながらキッチンにやってくる。
ゴムちゃんは消しゴムを抱えたまま、ぴーちゃんは鉛筆飾りを傾けたまま、あかりの足元に集まって「ご飯まだ?」と言いたげふわふわ鳴き始めた。
朝食の時間はいつも賑やかだ。
あかりは小さな狐用のお皿を三つ並べ、狐ちゃんには目玉焼きとトースト2匹には小さく切ったソーセージ、一口サイズをご飯を乗せて置いてあげる。
狐ちゃんたちはあかりが用意してくれた自分の小さい席に座ると、小さいテーブルを寄せ小さなフォークとスプーンを使って一生懸命食べ始める。
「んむ!ふぁむ! んぴぴぴ……!」
「んぴぴ!んぴぴぴ!」
「ふわぁ〜……」
特にゴムちゃんは食べるのが速く、すぐに「おかわり!」と空のお皿をあかりのほうへ押し出してくる。
ぴーちゃんは丁寧に一口ずつ味わいながら、時々ノートに何か線を描いている。
狐ちゃんはあかりの隣で食べながら、時々「あかりの皿をチラチラ見て「ふわ!」と「おいしいよ!」と言いたげな声を出す。
朝食が終わると、次は掃除と遊びの時間。
狐ちゃんは一番几帳面で、自分の小さな布団をきちんと畳んだり、落ちている小さなゴミを拾ってゴミ箱に運んだりする。
ぴーちゃんは勉強机の上でノートに落書きを始め、ゴムちゃんはクッションの上でごろごろ転がって遊んでいる。
10時頃になると、あかりは魔法少女としての仕事に出かける準備をする。
その間、三匹は部屋の中で自由に過ごす。
狐ちゃんは窓辺に座って外を眺めながら、時々「ふわ……」と小さく鳴く。
外の世界はまだ少し怖いけれど、あかりが帰ってくるのを待つ時間が、今では大好きだ。
お昼近くになると、三匹はお腹がすいて再び大合唱を始める。
「ふわー!」「んぴぴ!」「ふあっ!」今日はお昼ご飯は焼きそばだ。
狐ちゃんたちはキッチンの椅子に並んで座り、あかりが用意しておいてくれた様子3つの容器をそれぞれ持っていく。
そして、皆で食べ始める。
「んむんむ!んぴ!んぴぴ!」
ゴムちゃんはソースの味が気に入ったらしく、頰をべとべとにしながら夢中で食べている。
午後はお昼寝の時間。
狐ちゃんはソファの上で丸くなり、ぴーちゃんはクッションの上にうつ伏せ、ゴムちゃんはクッションの山の中で寝息を立てる。
三匹の小さな寝息と鈴の音が、部屋に優しく響く。
夕方4時半頃、あかりが帰宅すると、三匹は大喜びで玄関に駆け寄ってきた。
「ふわっ!」「んぴ!」「ふあー!」今日は凛花と静華が遊びに来る日だった。
二人が到着すると、狐ちゃんたちはまた大興奮。
特に凛花の膝によじ登り、静華のショットガンのホルスターを興味深そうに眺めている。
夕食はみんなでカレー。
狐ちゃんたちは自分の小さな皿を前にして、今日も幸せそうにむしゃむしゃ食べている。
「んぴぴ!んぴ……!」
ゴムちゃんは三杯目を要求し、ぴーちゃんは少し甘口のカレーを気に入った様子で尻尾をゆっくり振っている。
今日はスーちゃんも居るので皆でふわふわ!と鳴きながら楽しく食べる。
狐ちゃんはあかりの隣で食べながら、時々「あかりのスプーンを指差して「ふわ……」とねだる。
食事が終わり凛さんとスーちゃんと静華さんが帰った後のお風呂の時間。
狐ちゃんたちはそれぞれ風呂桶3つに入り、三人でじゃぶじゃぶと遊ぶ。
狐ちゃんはシャンプーを泡立ててもらいながら、「ふわぁ〜……」と気持ちよさそうに目を細める。
ぴーちゃんは泡で髭を作って遊んでおり、ゴムちゃんは風呂桶の中で大はしゃぎだ。
お風呂上がりのおやつは、今日は小さなプリン。
三匹はスプーンで一生懸命食べながら、幸せそうな「んぴ……」という声を漏らす。
夜8時半。
就寝の時間になると、狐ちゃんたちはあかりの机の上に集まった。
狐ちゃんはいつもあかり側に近い場所、ぴーちゃんは狐ちゃんの右側、ゴムちゃんはぴーちゃんの右側で丸くなる。
「あかり、おやすみ……」
狐ちゃんが小さな声で鳴くと、あかりは三匹を優しくタオルで包みながら言った。
「おやすみ、みんな。明日も一緒にいようね」
部屋の灯りが消えると、三匹の小さな寝息と、ちりん……という鈴の音だけが残った。
狐ちゃんは目を閉じながら、今日一日のことを思い返していた。
朝起きてあかりを起こしたこと。
人間のご飯をたくさん食べたこと。
お昼寝して、凛さんと静華さんが来てくれたこと。
お風呂で遊んで、プリンを食べたこと……全部が幸せで、温かかった。
「ふわ……ん……」狐ちゃんはあかりの胸に顔を埋め、小さく満足そうなため息をついた。
これが、狐ちゃんの毎日の日常。
果物だけだったあかりとの暮らし始めの頃とは比べものにならないくらい、賑やかで、美味しくて、幸せな日々。
あかりが守ってくれるこの部屋で、ぴーちゃんやゴムちゃんと一緒に、これからもずっと、こんな毎日が続きますように——狐ちゃんはそう願いながら、静かに、幸せな眠りについた。
翌朝も、また「ふわ!」と鳴いてあかりを起こし、新しい一日が始まる。
小さな狐娘と魔法少女の、小さくて温かい家族の物語は、これからも静かに、しかし確かに続いていくのだった。
番外編1つ目は狐ちゃんの日常でした!
次回もお楽しみに!