小さな狐娘と魔法少女   作:う〜☆☆☆

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スーちゃんの番外編ですよ!


番外編08 『憧れへの険しい道のり(笑)』

 

 

凛の家は、今日も段ボール箱が這い回る音で賑やかだった。

 

「ふわっ……んぴ……」狐娘——凛が「スーちゃん」と呼ぶ狐娘は、いつもの段ボール箱を被ってリビングを低速で巡回中。

 

頭には濃紺のバンダナを巻き、身体には小さなスニーキングスーツを着込み、今日も「隠密行動中」のつもりでいる。

 

凛はキッチンで夕飯の準備をしながら、

小さく笑っていた。

 

「スーちゃん、そろそろ任務終了ね。ご飯できたよ」

 

段ボール箱がピタリと止まり、中から小さな狐の鼻先がちょこんと出てきた。

 

「んぴ……?」凛はテーブルの上に、今日のメニューを並べた。

 

「今日は野菜たっぷりの炒め物とご飯だよ。にんじん、ブロッコリー、ピーマンも入れてみた。栄養バランス大事だからね」

 

スーちゃんは段ボール箱からゆっくりと這い出てきた。

金色の髪に紫色の瞳、ふわふわの尻尾。

 

いつもの可愛らしい姿だが、今日は明らかに表情が硬い。

 

小さな器に盛られたご飯と炒め物を見て、スーちゃんの顔が一瞬で渋くなった。

 

「……ふわ……」耳がぴたりと倒れ、尻尾がしょんぼりとしたように垂れ下がった。

 

紫色の瞳がピーマンを見つめ、明らかに「…これは拷問だ…」という顔をしている。

 

凛は優しく微笑みながら、スーちゃんの前に座った。

 

「ほら、ちゃんと食べないと成長しないよ?ス○ークさんだって、任務の後はちゃんと食事してるでしょ?」

 

スーちゃんは小さなスプーンを渋々握りしめ、

ものすごく渋い顔で炒め物に突っついた。

 

「ん……んぴ……」一口目にんじんを食べた瞬間、

顔がさらに渋くなり、小さなうなり声が漏れた。

 

「うぅ〜…うぅぅ!……んぴぃ!」ブロッコリーを口に入れたら、さらにうなり声が大きくなる。「うーうー……ふわぁ……」

 

ピーマンに至っては、

スプーンを持った手がピクピク震えながら、

なんとか飲み込もうとしている。

 

尻尾が情けなく下がり、耳も完全に後ろに倒れている。

 

凛はくすくす笑いながら、

スーちゃんの頭を優しく撫でた。

 

「そんなに嫌なら、野菜だけ残してもいいけど……少しずつ慣れていこうね。憧れの人も、野菜はちゃんと食べてたはずだよ?」

 

スーちゃんは「うぅ〜…」と低くうなりながら、

なんとかご飯と一緒に野菜を押し込んでいる。

 

でも顔は完全に「…撤退したい……」という表情だ。

 

やがて、半分くらい食べたところで、スーちゃんはスプーンを投げ出し、凛の膝にぴょんと飛び乗ってきた。

 

「うぅぅぅ!……ふわぁぁん!…んぴぃ!」甘えるように顔を埋め、「もう無理っ!……助けてっ!」という気持ちが全身から伝わってくる。

 

凛は笑いながらスーちゃんを抱き上げ、残りの野菜を小さく取り分けてあげた。

 

「わかったわ。今日はこれくらいで許してあげる。

でも、明日も少しずつ頑張ろうね?」

 

スーちゃんは「ん……」と小さく返事をして、凛の胸に顔を埋めたまま、尻尾を弱々しくぴくぴく動かした。

 

その夜、スーちゃんは段ボール箱の中で丸くなりながら、夢の中で「野菜の魔物」と戦っているような寝言を言っていた。

 

「ふぎゅぅぅぅ〜…ぴぃ〜…ぶわぁ…」凛はそんなスーちゃんを優しく見守りながら、

心の中で思った。

 

(……ス○ークに憧れる狐娘が、野菜をこんなに嫌がるなんて……可愛くて困るわね)

 

アパートの部屋では、今日もスネークごっこ狐娘の、渋い顔と小さなうなり声が、温かく響き続けていた。

 

 

 

 

 

スーちゃんが眠った後…

 

 

 

 

「仕方ない…あんな顔されたら可哀想だから…」

 

「明日はご褒美にチョコレートを食後に多めにあげるかぁ…」

 

スーちゃんの憧れのス○ークになる為の挑戦は続く…

 

 

 





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