狐ちゃんを喋べらせたいけど…喋らせたら今までのキャラがなぁ〜…と考えながら作った番外編です!
夕暮れのあかりの部屋は、いつものように三匹の小さな声で賑やかだった。
あかりがソファに座って本を読んでいると、
狐ちゃんが膝の上にぴょんと飛び乗ってきた。
金色の髪が少し乱れ、紫色の瞳が真剣に輝いている。
「ふぁ……ふぁりー!」と狐ちゃんは小さな口を一生懸命に動かして、
何か言っている。
しかし、舌が上手く回らず、変な響きになっている。
あかりは本を閉じて、狐ちゃんの顔を優しく覗き込んだ。
「ん? どうしたの、狐ちゃん?」狐ちゃんは指を指す、
耳をぴくぴくさせながら、もう一度挑戦した。
「ふぁ……ふぁりー! ふぁりー!」あかりは一瞬目を丸くして、すぐに理解した。
「……あかり、のこと?」狐ちゃんは大きく頷き、尻尾をぶんぶん振った。
「ふぁりー! ふぁりー!」どうやら「あかり」を一生懸命に言おうとしているらしい。
口がまだ上手く回らず、「ふぁりー!」という可愛らしい変な響きになってしまっている。
あかりは思わず笑って、狐ちゃんの頭を優しく撫でた。
「うん、ちゃんと伝わってるよ。
『あかり』だよね? 頑張ってるね、狐ちゃん」
狐ちゃんは褒められて目を細め、
さらに意気込んで次の言葉に挑戦した。
「き……きちゅ……きちゅねー!」今度は「狐」と言おうとしているようだ。
しかし「きつね」が「きちゅねー!」という、なんだか舌足らずで可愛らしい発音になってしまっている。
あかりはくすくす笑いながら、狐ちゃんの頰を指で軽くつついた。
「『きつね』だよね? 自分のお名前?」
そう聞くと狐ちゃんは「ん!」と力強く頷き、さらに頑張って次の言葉を紡ごうとする。
「だ…だい……だいちきー! だいちきー!」今度は「大好き」と言おうとしているらしい。
しかし「だいすき」が「たいちきー!」という、完全に口が回っていない可愛い変形発音になってしまった。
あかりの胸がきゅんとなった。
「『大好き』……?」狐ちゃんは、小さな両手をぎゅっと握って何度も繰り返した。
「たいちきー! ふぁりー、たいちきー!」あかりは狐ちゃんをそっと抱き上げ、自分の胸にぎゅっと抱きしめた。
「可愛いね、狐ちゃん。頑張って言葉を話そうとしてくれて、ありがとう」
狐ちゃんはあかりの胸の中で、「ふわぁ……」と幸せそうな長い声を出し、尻尾をゆっくりと左右に振った。
まだ言葉が上手く出せないもどかしさを、全身で表現しているようだった。
そこへ、ぴーちゃんとゴムちゃんもやってきた。
ぴーちゃんは鉛筆飾りをぴょこぴょこさせながら、狐ちゃんの隣に座って「んぴ?」と首をかしげる。
ゴムちゃんは消しゴムを抱えたまま、狐ちゃんの背中にぴったりくっついて「ふあっ!」と応援するように鳴いた。
狐ちゃんは二匹の存在を感じて、さらに頑張って言葉を紡ごうとした。
「ぴー…ぴーちゃっ!こ…ごーちゃっ!ごむちゃっ!……だいちきー!」
「ぴーちゃん」と「ゴムちゃん」もまだ上手く言えず、
「ぴーちゃん」は「ぴーちゃっ!」とんが無い呼び方になり、「ゴムちゃん」は「ごむちゃっ!」とぴーちゃんと同じ様な感じになっている様に聞こえた。
あかりは三匹をまとめて抱きしめながら、優しく微笑んだ。
「みんな、ちゃんと伝わってるよ。狐ちゃんが一生懸命言葉を覚えようとしてくれて、とっても嬉しい」
狐ちゃんはあかりの胸の中で顔を上げ、紫色の瞳をキラキラさせながら、もう一度挑戦した。
「ふぁりー……きちゅねー……たいちきー!」「あかり、きつね、大好き」三つの言葉を、なんとか詰め込んで言おうとした。
しかし実際に出たのは「ふぁりー! きちゅねー! たいちきー!」という、完全に舌が回っていない可愛らしい変な言葉の羅列だった。
あかりはもう我慢できずに笑いながら、狐ちゃんの頭を何度も撫でた。
「うんうん、全部ちゃんとわかった。狐ちゃんは私のことが大好きなんだね。私も狐ちゃんのことが大好きだよ」
狐ちゃんは褒められて、耳をぴくぴくさせながら、「ふわぁ〜……」と長く幸せそうな声を上げた。
ぴーちゃんとゴムちゃんも、狐ちゃんの頑張りを応援するように、「んぴぴ!」と「ふあっ!」と鳴きながら、
三人で重なり合ってあかりの膝の上で丸くなった。
あかりは三匹を優しく包み込みながら、心の中で思った。(まだ言葉が上手く出せなくても……狐ちゃんの気持ちは、ちゃんと伝わってくるよ)
その夜、狐ちゃんはあかりの枕元で眠りにつくまで、
何度も小さな声で練習を続けて頑張っていた。
「ふぁりー……きちゅねー……だいちきー……
ふぁりー……きちゅねー……だいちきー……」少しずつ、でも確実に、狐ちゃんの言葉は成長していっている。
あかりはそんな狐ちゃんの寝顔を見ながら、
静かに微笑んだ。
「頑張ってるね、狐ちゃん……これからも一緒に、ゆっくり覚えていこうね」
アパートの部屋に、三匹の狐娘たちの温かい寝息と、
あかりの優しい声が、静かに響いていた。
まぁ…翌日狐ちゃんは話すのを一旦諦めていつもの「ふわ!」と「んぴ!」と言う喋り方に戻っていた…。
皆さんからの平均評価が8を超える事を目指して頑張って行きます!