小さな狐娘と魔法少女   作:う〜☆☆☆

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久々の投稿です、実は、2作目の方が書いてる途中でデータが飛んでしまい萎えたので2作目はエタりました……最後にアンケートを付けるので答えてくれると嬉しいです


IFその1『もしも、狐ちゃん達が現代ダンジョン系世界に居たら?』

 

 

 

とある世界にて。

 

 

 

深層未踏破地区――。

 

深層だけでも十分、"視聴者数"は増えるが、『深層未踏破地区』…その名前だけで、配信の同時接続数は更に跳ね上がる。

 

25年前、世界各地に突如出現した“ダンジョン”は、人類に富と脅威をもたらしていた。

 

魔石、未知素材、特殊能力。そして何より、“配信映え”。

 

探索者には、戦闘そのものだけでなく配信者としても活動している者も現れ始めた。

 

危険な階層へ潜るほど再生数は伸び、視聴者は熱狂し、スポンサーは金を出す。

 

そして今日。

 

日本最大級の女性探索者配信パーティー《ヴァルキリーズ》は、誰も踏破したことのない深層未踏破地区へ到達していた。

 

「うわぁ……魔力濃度が濃いわね…」

 

大盾を持ったミサキが額の汗を拭う。黒銀の重装甲を纏う彼女ですら、緊張を隠せていない。

 

「魔力濃度が攻略済みの深層の300倍以上……どういう事…?」

 

後衛魔術師のアオイがホログラムを見ながら呟く。

 

「配信は生きてる?」

 

「問題なーし。コメント流れすぎて読めんけど…」

 

先頭を歩くリーダーのレイナが笑った。

 

長い赤髪を揺らしながら、双剣を腰に下げる。

 

S級探索者…国内でも十数人しか存在しない超戦力。

 

しかも彼女たちは全員が、人気配信者だ。

 


 

【コメント】

『未踏破きたああああああ』

『↑落ち着け』

『人類初の踏破になるのか?』

『やば』

『雰囲気怖すぎるって』

『レイナ様生きて帰って』

『ここ絶対ボスいるだろ』

『↑何言ってんだ当たり前だろ』

 


 

コメント欄は凄まじい勢いで流れていた。

 

だが。

 

おかしかった。

 

「……敵が…いないね」

 

斥候役のユイが眉をひそめる。

 

本来、深層ほど魔物は凶悪になり獲物の気配を頼りに接近してきて、同時に高レベルの魔物と戦う事になる事も深層では珍しくない。

 

だがここは静かすぎた。

 

白い花畑のような場所。

 

淡く発光する植物。

 

綺麗すぎる空気。

 

そして――。

 

「……ん?」

 

ミサキが足を止めた。

 

「止まって、何かいる。」

 

岩陰から小さな視線。

 

こちらを見ている。

 

「魔力反応……ようやく敵よ…!」

 

全員が即座に戦闘態勢へ移行する。

 

剣が抜かれ、魔法陣が展開される。

 


 

【コメント】

『いた?』

『はやく映して!!』

『どんな感じの魔物?』

『新種か?』

『↑お前ら落ち着け』

 


 

そして…岩陰から。

 

ぴょこ、と。

 

小さな狐耳が現れた。

 

「………………え?」

 

誰かが間抜けな声を漏らした。

 

そしてぴょんと岩陰から出て来てそこにいたのは………"身長30cmほどの、小さな狐娘だった。"

 

ふわふわの金髪。

 

大きな狐耳。

 

もこもこで先端が黒い狐の尻尾。

 

ぷにっとしたほっぺ、紫色の瞳。

 

妙に偉そうなドヤ顔。

 

そして両手を上に広げて

 

「ふわぁ〜!!」

 

と威嚇する。

 

だが、小さい……。

 

あまりにも小さい。

 

しかも。

 

「……ふわ?」

 

首を『あれ…?何で驚かないの?』と言いたげに傾げた。

 

威嚇の意味が全くない。

 

コメント欄が止まった……一瞬、本当に止まった。

 

そして次の瞬間。

 


 

【コメント】

『!?!?!?!?』

『かわいい』

『は????』

『え、なにこれ』

『モン…スター????』

『えぇ…』

『ちっさ…』

『ちんまりしてるな』

『深層のモンスター…?』

『えぇ…』

 


 

「……え、ちっさ」

 

ユイが呆然と呟く。

 

狐娘はその場で鳴く。

 

「んぴっ!んぴぴぴ!!!」

 

ムッとした顔だった、怒っているらしい。

 

「いや何その鳴き声」

 

「ふわわ!」

 

 すると褒められたと思ったのか、ムッとした顔をやめてすぐに尻尾をぶんぶん振り始める。

 

もふもふ。

 

めちゃくちゃ振る。

 

「……敵意は、なさそう…?」

 

アオイが警戒しながら狐娘を見て言う。

 

「でも深層の魔物よ…?油断…してるのはコイツね…」

 

ミサキは盾を構えたままだ。

 

だが狐娘は。

 

とてとて歩いてきた、遅い、凄い遅い、短い脚で一生懸命歩いてくる。

 

「ふあ!」

 

そしてミサキのブーツをぺちぺち叩いた。

 

攻撃……なのだろうか。

 

威力はゼロだった。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 


 

『草』

『かわいい』

『ダメージ0』

『ぺちぺちしてるwww』

『これが深層モンスター?』

『足ちっちゃ…』

 


 

狐娘は再び胸を張る。

 

「んぴぴぴ!」

 

やったった顔。

 

「いや、かわいいな…!?」

 

 ついにレイナが叫んだ。

 

理性が限界だった。

 

狐娘はその声にびくっとして、耳をぺたんと倒した。

 

「ふわ…!?」

 

「あっごめんごめん! 怖がらせた!?」

 

「ふあ……」

 

おそるおそる見上げてくる。

 

その破壊力は凄まじかった。

 

 コメント欄は既に阿鼻叫喚である。

 


 

『かわいい』

『かわいい』

『かわいすぎて泣いた』

『レイナさん顔が…』

 


 

「……待って」

 

アオイが急に真顔になった。

 

「どうした?」

 

「レベル」

 

「え?」

 

「この子……細かい値までは、無理だったけど…

凄い高い…。」

 

端末が警告音を鳴らしていた。

 

測定不能。

 

数値オーバー。

 

深層ボス級どころではない。

 

「……は?」

 

全員の顔色が変わる。

 

狐娘はきょとんとしていた。

 

「ふわ?」

 

 何もわかってない顔だった。

 

「いやいやいやいや待って!? この子ヤバいやつ!?」

 

「多分私達が大変だった他の階層を楽々踏破できるくらい高レベル…。」

 

「えぇぇぇ!?」

 

 

【コメント】

『えぇ…』

『』

『バケモンじゃん…』

『でもかわいい』

『かわいければヨシ!』

 

 

 

狐娘は突然、何かに気づいたように耳をぴくっと動かした。

 

そして。

 

「んぴ!」

 

狐娘はちょこちょこ走り出した。

 

「あっ待って!」

 

レイナたちも後を追う。

 

花畑を抜け、白い木々の間を進む。

 

そして、視界が開けた。

 

「…………え」

 

全員が絶句した。

 

いた。そう居たのだ、狐娘が大量に。

 

どこを見ても、狐娘、狐娘、狐娘、狐娘、段ボールを被ったス○ーク狐娘………ス○ーク!?!?!?

 

岩の上で寝ている狐娘、花を抱えて転がっている狐娘、

尻尾同士でじゃれている狐娘、丸まって寝ている狐娘、

木の枝から落ちる狐娘。

 

「ふわー!」

 

「んぴ!」

 

「ふああ!」

 

ちっちゃい狐娘だらけだった。

 


 

 

『!?!?!?!?!?』

『ここが楽園か』

『↑ここが保育園の間違いでは?』

『1匹ください』

『じゃあ2匹ください』

『↑お前ら死ぬぞ』

『確かに見た目の可愛いタイラント狐幼女だからな』

 


 

 

 主人公の狐娘は得意げに振り返る。

 

「んぴぴ!」

 

どうだ、と言わんばかりだった。

 

「……つまりこの階層、全部この子たち?」

 

「らしいね……」

 

アオイが呆然と呟く。

 

周囲の狐娘たちはまた転がり始める。

 

花を食べ始める。

 

尻尾を追いかけ始める。

 

狐ちゃんはそんな空気を気にせず、レイナのブーツによじ登り始めていた。

 

「んぴ!」

 

「うわっ」

 

そのまま脚を登る、腰、肩、そして頭。

 

「ふわ!」

 

どやぁと言いたげな顔をする。

 

「なんで!?」

 

狐娘はレイナの頭の上で尻尾をぱたぱたさせ、ご機嫌だった。

 

レイナは硬直している。

 

「……軽っ…めっちゃ軽い…」

 

「そこ?」

 

「おほっ…めちゃくちゃかわいいんだけど……」

 

「レイナ…、顔やばいよー…?」

 

「大丈夫、配信中だから抑えてる…!」

 

「明らかに抑えられてないよ。寝言は寝て言いなさい。」

 

狐娘はレイナの髪をもふもふ触っていた。

 

「ふあ〜!」

 

「気に入ったのかな」

 

「……それにしても」

 

アオイが周囲を見る。

 

「この子たち、本当に戦う気ないね」

 

実際、狐娘たちは自由だった。

 

花を食べる???、寝る、転がる、集まって尻尾をもふもふする、段ボールを被ってスニーキングしている????。

 

稀に妙なのが見えるが、平和だ。

 

だが同時に、全員が理解していた。

 

もし敵対されたら終わる、と。

 

この階層の主たちによって、人間はまだ“見逃されているだけ”なのだと。

 

「ふわ〜!」

 

その時、一匹の狐娘が、レイナの足元に鳴きながら何かを置いた。

 

「……こ、これ」

 

置かれたれ物は魔石だった、しかも高純度。

 

深層に存在する一部の魔物からしかドロップしない為、数があまり無いレア物。

 

「え?」

 

「ふわ!」

 

褒めてほしそうに尻尾を振ると、別の狐娘も持ってくる、そしてまた別の狐娘も。

 

ぽいぽい置く。

 

「ちょ、ちょっと待って!?」

 

積み上がる高級魔石。

 


 

【コメント】

『????』

『やばすぎ』

『????』

『????』

 


 

主人公狐娘はえっへんと言いたげな顔だった。

 

「んぴぴぴ!」

 

どうやら歓迎しているらしい。

 

「……これやばくない?」

 

「……視聴者の数、ヤバそう…」

 

実際。

 

既に同接は過去の最高記録を突破していた。

 

ニュースサイト。

 

政府機関。

 

海外探索者。

 

全員がこの配信を見ていた。

 

そして誰もが理解する。

 

この深層は、平和だと。

 

だが“触れてはいけない領域”だと。

 

その頃。

 

狐ちゃんは、レイナの頭の上で丸くなっていた。

 

「……寝た?」

 

「寝たね」

 

「ふわぁ……」

 

すやすや。

 

完全に安心しきっていた。

 

レイナは動けなかった。

 

「……どうしよう」

 

「何が?…まさか帰り―」

 

「かわいすぎて帰りたくない!」

 

すると、周囲の狐娘たちが、次々と集まってきた。

 

レイナたちの周囲にちまちま座ると、尻尾を振りながら顔を見上げてくる。

 

「ふあー!」

 

「んぴー!」

 

「ふわー!」

 

「……懐かれてるね」

 

「いやでもなんで?」

 

アオイが考え込む。

 

「多分だけど……」

 

「?」

 

「この子たち、人間の感情読んでるんじゃないかな?」

 

「え?」

 

「敵意に敏感なんだと思う。だから最初警戒した。でも今は……」

 

狐娘たちは皆、のんびりしている。

 

つまり、安全認定された。

 

「……賢いんだね」

 

レイナが小さく呟く。

 

その瞬間、頭の上の狐ちゃんが寝ぼけながら言った。

 

「んぴ……」

 

ぎゅっとレイナの髪を抱きしめる。

 

「…………」

 

レイナは数秒固まったあと。

 

顔を覆った。

 

「無理」

 

「落ちたな」

 

「落ちたね」

 


 

【コメント】

『堕ちた』

『何か小さくて可愛い奴ら』

『ち○かわってこと!?』

『↑間違っては無いけど間違ってる…』

『完全敗北』

『狐つよい』

 


 

その日、世界は初めて、未踏破深層の真実を知った。

 

そこは地獄ではなく、小さな狐娘たちが暮らす、不思議な楽園だった。

 

ただし、狐たちを怒らせない限りにおいてではあるが。

 

 

 

 





これから少しずつ復帰していきます!
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