小さな狐娘と魔法少女   作:う〜☆☆☆

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昨日、夜10時に投稿しようと
夜8時に仮眠したらまさかの普通に寝てました。


第4話 魔法少女の家と狐娘

 

 

 

あかりは、掌に収まった小さな狐ちゃんをそっと胸元に抱き寄せた。

 

夜の路地裏から家までの道のりは、いつもより長く感じられた。

 

足音を立てないように、家の屋根を飛び移りながら移動する。

 

誰かに見られたら困る——理由は単純、小さな魔物を連れているからだ。

 

狐ちゃんはあかりの胸の上で小さく寝息を立てていた。

 

さっきまで路地での元気はどこやら、目を閉じて、長いまつ毛をぴくりとも動かさず、完全に気を失っている。

 

尻尾の鈴が、歩くたびにちりん……ちりん……と控えめに鳴るのが、妙に愛おしかった。

 

家のドアの前に着地し変身を解く。

 

家のドアを開けると、いつもの見慣れた玄関。

 

靴を脱ぎながら、あかりはそっと狐ちゃんを両手で包み直した。

 

冷たい夜風に当たっていたせいか、ちっちゃな体がほんの少し震えている。

 

「……あったかくしてあげないと」

 

リビングの電気を最小限の豆電球だけにして、あかりはソファに腰を下ろした。

 

ソファーのクッションの上にタオルを敷き、その上に狐ちゃんをそっと寝かせてやる。

 

30センチの体は、タオルの上でまるで置物のように小さく見えた。

 

金色の髪がふわっと広がって、狐耳がぴくぴくと夢の中で動いている。

 

あかりはキッチンに行き、電子レンジで温めた湯たんぽをタオルの下に滑り込ませた。

 

さらに、小さめの毛布をそっとかけてやる。

 

毛布は狐ちゃんの体をすっぽり覆った。

 

「……これで、いいかな」

 

しばらく見守っていると、狐ちゃんの寝息が少しずつ深くなった。

 

「すぅ……すぅ……」

 

小さな鼻息が、静かな部屋に響く。

 

あかりはソファの端に座り、膝を抱えてその様子を眺めていた。

 

狐ちゃんの頬は、ほんのりピンク色に染まっている。

 

戦いの後で疲れていたあかり自身も、なんだかまぶたが重くなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい時間が経っただろう。

 

窓の外が明るくなり始めた頃、

あかりは起きた、どうやら寝てしまったらしい。

 

「んー……んぴ?」

 

小さな声がした。狐ちゃんが、ゆっくりと目を擦りながら体を起こした。

 

毛布がずり落ちて、尻尾に引っかかる。

 

きょとんとした紫色の瞳が、あかりを捉えた。

 

「ふわ……?」

 

狐ちゃんは首をかしげて周りを見回す。

 

見慣れない部屋。

 

見慣れない匂い。

 

でも、すぐにあかりの顔を見つけると、ぱぁっと表情が明るくなった。

 

「ふあっ! ふわふわ!」

 

ぴょん、と跳ねて、あかりの膝の上に飛び乗ってくる。

 

勢い余って転がりそうになり、あかりが慌てて両手でキャッチした。

 

「わっ、危ないって……!」

 

「んぴっ! ん!」

 

狐ちゃんは嬉しそうに、あかりの頬にぺたぺた頬ずりをする。

 

尻尾の鈴が、ちりんちりんちりん! と連続で鳴った。

 

 

あかりは苦笑し、そっと右手で頭を撫でながら尻尾に引っかかった毛布を左手で取ってやった。

 

「……起きたんだね。お腹すいた?」

 

「ふわ?」

 

狐ちゃんは耳をぴくぴくさせて、あかりの顔をじーっと見つめる。

 

相手は魔物だが、なんとなく

 

「お腹すいた?」

 

のニュアンスが伝わったのか、

 

「んぴ……んぴぴ!」

 

小さく鳴いて、両手をぱたぱたさせた。

 

凄い食べたそうだ。

 

「よし、ちょっと待ってて」

 

あかりは立ち上がり、キッチンへ向かった。

 

冷蔵庫を開けると、昨日買ったばかりのりんごが目に入る。

 

赤くてつやつやした、大きめのりんご。

 

「……これなら、ちょうどいいかも」

 

まな板の上で丁寧に皮をむき、種を取り除いて、小さく小さく一口大に切っていく。

 

30センチの狐ちゃんには、人間サイズのりんご一片でも狐ちゃんの腕くらいの大きさで十分に大きい。

 

正直、狐ちゃんが食べ切れるか心配だ。

 

それでも、食べやすいようにさらに半分に切って、小さな皿に並べた。

 

リビングに戻ると、狐ちゃんはソファの上でちょこんと座って待っていた。

 

尻尾をぱたぱた振って、期待に満ちた目でこちらを見上げている。

 

「はい、どうぞ」

 

あかりはしゃがんで、掌にりんご一片を乗せて差し出した。

 

狐ちゃんは一瞬きょとんとして、

 

「ふわ……?」

 

鼻を近づけて、くんくん嗅ぐ。

 

何だか遠慮してるみたいな動き。

 

それから、小さな舌でぺろっと舐めた。

 

「……!!」

 

次の瞬間、狐ちゃんの目が大きく見開かれた。

 

「んぴっ!!」

 

ものすごい勢いで飛びついてきて、りんごを両手で抱え込んだ。

 

ちっちゃな口で、がぶっ! とかぶりつく。

 

そしてどんどんちっちゃな歯でかじっていく。

 

果汁が、頬についた。

 

「ふぁむ! んむ! ふわぁ〜!」

 

幸せそうな声が漏れる。

 

尻尾がぶんぶんぶん! と高速で回り、鈴が何度も鳴り響く。

 

あかりは思わず笑ってしまった。

 

「そんなに美味しい?」

 

「んぴ! んぴぴぴ!」

 

狐ちゃんは肯定する様に尻尾を振りながら耳をぴこぴこと動かし、りんごをむしゃむしゃ食べ続ける。

 

頬袋がぷくっと膨らんで、まるでハムスターのようだ。

 

「焦らなくてもいいからね?」

 

狐ちゃんは、まだ口に入っているのにどんどん次をねだってくる。

 

「ちょっ…口に詰め込み過ぎ」

 

「新しいのは、今食べてるのを食べ切ってからだよ」

 

そう言うと伝わったのか食べることに専念しだした。

 

そして食べ終わると、すぐに次の一片をねだるように、あかりの指に小さな手を両手で差し出して来る。

 

「もう一個? はいはい」

 

と言いながら渡していると二片目、三片目と狐ちゃんは食べ進めていく。

 

小さな体に似合わず、意外と食べる。

 

四片目を食べ終えた頃には、狐ちゃんのお腹がぽっこり膨らんでいた。

 

「ふぁ……ふわぁ〜……」

 

満足したように、狐ちゃんはあかりの膝の上にころんっと倒れ込んだ。

 

りんごの甘い匂いが、ふわっと漂う。

 

頬にはまだ果汁が残っていて、ぺろっと舌で舐め取ろうとするけど、届かない。

 

あかりはティッシュでそっと拭いてやった。

 

「……もうお腹いっぱい?」

 

「わふ……」

 

狐ちゃんは目を細めて、うっとりした顔で鳴く。

 

それから、ゆっくりとあかりの手に顔を埋めてきた。

 

小さな手で、あかりの服の袖をぎゅっとつかむ。

 

「ふあーん……」

 

まるで

 

「ありがとう」

 

と言っているみたいだった。

 

あかりはそっと背中を撫でながら、呟いた。

 

「眠たい?」

 

狐ちゃんは眠そうな

 

「ふわぁ……」

 

と小さな欠伸をついて、目を閉じた。

 

朝の光がカーテンの隙間から差し込み、

二人の影を長く伸ばす。

 

あかりと小さな狐娘。

 

言葉の壁はまだ厚いけれど、

りんごの甘い香りとともに、

ほんの少しだけ、心の距離が縮まった朝だった。

 

それと少し食べさせ過ぎたかもしれない…

頰が更にもちっとして丸くなった気がする…。

 

 




実は何話で終わらせるか未定なんですよね。
自分に完結させれる能力があるのか微妙ですが…
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