新エリー都の真戦組   作:レイノート

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ゼンレスゾーンゼロの世界にもしも新撰組に準ずる組織があったらどうなるかと思って書き始めました。
今回は斎藤一のプロローグを書きましたので、良かったら見ていってください。


プロローグ「誠」

桜舞い散る木の下。

そこには人の名前は刻まれておらず、誠という文字が刻まれている墓石が一つ。

 

手入れが行き届いているのか、墓石に汚れはなく、新品同様とまではいかないが綺麗な状態が保たれていた。

誰かが定期的に掃除をしているのが見て取れる。

 

 

「金堂さん、土謙さん、沖田君………安らかに眠れているか?」

 

 

この墓に眠っているであろう人物達の名を呟きながら、墓石の上から水をゆっくりと流す一人の男。

背丈は高く、上下紺色の洋装制服を纏っており、何よりも目立つのは腰に帯刀している刀であろう。

男の名を斎藤一。

 

 

「あの日からもう11年………未だに昨日の出来事のように感じる」

 

 

あの日。

かつてこの地を飲み込んだ大いなる厄災。

多くの人が命を散らし、一つの都市が崩壊した。

この墓はそんな未曾有の厄災に挑み、多くの命を救った英雄達が眠る場所。

 

そして彼はその生き残り。

悲壮な顔を浮かべ、空を見上げる斎藤。

舞い散る桜の花びらがゆらゆらと額へ舞い落ちる。

 

 

<斎藤君、また腕を上げたね。嬉しい限りだよ>

 

 

<斎藤、お前は視野が広いから周りの奴らの事も見てやってくれ>

 

 

<斎藤さん!試合しましょう!試合!>

 

 

散った戦友達との思い出が蘇る。

鍛錬の日々で交わしたたわいもない話、自分達の理想の未来、恩人によるお褒めの言葉。

二度と聞けない事が残念でしかない。

 

 

「さて……」

 

 

額の花びらを握り、歩き出す。

数歩歩くと斎藤は別の墓の前へと立つ。

 

 

『ご主人!お墓の掃除は完了でござるンナ』

 

 

「…………あぁ、すまんな」

 

 

浅葱色の羽織りに背中に担いだスタンバトンが目立つボンプがお墓回りを綺麗に掃除を終えていた。

齋藤をご主人と呼んだこのボンプはバットウボンプのシンパチ。

ホロウに放置されてしまった軍用ボンプを斎藤が連れて帰ってきた縁で彼に仕えている。

 

 

「…………」

 

 

先程よりも悲壮な顔で見つめる斎藤。

その目線の先には星見家と彫られた墓石。

 

 

「お久しぶりです、奥方……

 

あの日の事は、今でも忘れられません……」

 

 

11年前のあの日の出来事。

燃え広がった家屋の奥に死にかけた女性と浅葱色の羽織りと鉢巻を巻いた青年がいた。

青年は刀を女性へと突き立て、その命脈を断つ。

幼き少女の悲しみと怒りの叫びが木霊する。

 

忘れられない記憶。

否、斎藤にとっては忘れてはならない記憶である。

 

 

「貴女のせいではありません……

 

非力な俺を………いえ、ゆっくりとお眠り下さい」

 

 

齋藤は手を合わせ、故人への冥福を祈り立ち上がった時。

線香の煙が、風に揺れる。

自然の風ではない、誰かが通り過ぎて起きた突風だと理解した。

それは斎藤にとって、会いたくもない人物の仕業だと。

 

 

 

「久しいな、斎藤」

 

 

「………」

 

 

斎藤の背後に現れた存在。

艶のある長い黒髪に、直立している狐耳と腰にかけた刀が特徴的な女性。

名を星見雅。

対ホロウ事務特別行動部第六課、通称対ホロウ六課の課長にして、現代の虚狩り。

 

 

「母上への墓参りに来てくれたのだな、感謝する」

 

 

「………」

 

 

無言。

斎藤は雅の話を聞き入れず、明後日の方向を見て沈黙を貫く。

そのまま横を通りすぎようとした時、

 

 

「あの時は済まなかった」

 

 

雅は呟く。

その顔は酷い後悔の念を浮かべており、心の底からの謝罪であった。

 

 

「はて……なんの事だ?」

 

 

斎藤は首傾げて雅の方を向く。

とぼけているのは誰の目で見ても明らかである。

 

 

「私は幼く……お前の行動を理解していなかった

 

母上の)」

 

 

「人斬りは人斬り………それ以上でもそれ以下でもない

 

お前のような小娘に謝られる事などない」

 

 

斎藤は冷たい言葉で、雅の言葉を遮った。

これ以上は何も言うなと言わんばかりに、僅かな怒気を込めて。

 

 

「俺もこれから仕事があるんでね

 

世間話なら部下とでもしていろ」

 

 

淡々と拒絶の言葉を吐きながら、斎藤とシンパチはその場を後にした。

 

 

「斎藤………」

 

 

彼の背を見つめながら、雅は一人佇む。

すれ違う思いを正せずにいる事を歯痒く思う。

 

 

「阿呆が……」

 

 

それが雅に対しての発言なのか、それとも未だに振り切れない自身に対する叱咤なのか……斎藤にしか答えは分からない。

 

 

 

 

[to be continued]




悪即斬する斎藤一をモデルにしてますが、決して彼ではございません。
あくまでモデルです………多分★
亀更新になりますが、よろしくお願いします。
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