闇堕ち地球連邦が行く銀河大戦2205   作:末弟(特異点)

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第2話

 地球連邦はガトランティス戦役が終結しても尚軍拡を続け、その建艦速度は戦役中よりも加速していた。

 吐き出され続ける波動砲艦隊。それを操る軍人が不足することは火を見るよりも明らかである。

 人員の充足に何年掛かるかも分からない現状に、宇宙軍は戦役末期の後期生産型の艦艇の殆どが窮余の策としてAIによって制御されていることに目を付けた。

 

 従来のアナライザーを発展拡張し、人格性を付与することによる広範な業務の委託及び無人艦の擬似有人艦化を目的としたネクスト・アナライザー計画。

 通称「メンタルモデル」の始まりである。

 

 実時間2年、時間断層内で20年の時間を費やして遂に完成したそれは……

 

 

 美しい少女の形をしていた。

 

 

 これは開発部やとある東方の民族の性癖(HENTAIの国)の暴走の結果なのだが…なんと、最高司令部はこれを承認したのである。してしまったのである。

 実際に試験的にメンタルモデルが搭載された艦のパフォーマンスが向上した事実から無駄では無い事が救いか。

 

 ともあれ、こうして連邦宇宙軍の艦艇にはメンタルモデルが配備されることとなった。

 

 生産性の問題から、旗艦級や一部特殊艦を除き艦名を持たないドレットノート級、その他小艦艇等の量産艦はそれぞれの艦級毎に設定された画一的なメンタルモデルを搭載している。

 …尤も、各艦毎に違った情緒の発達をしていたりクルーに着飾られたりと愛されている為に、もはや「画一的」ではなくなっているのだが。

 

 

 総旗艦である春藍にもまた、一体のメンタルモデルが配備されている。

 

 FMM-01 「春藍」である。

 

 

「全艦ワープアウト。船体各所に異常なし、宙域に艦影及び不審物なし」

 

「うむ。我が艦隊はボラー連邦艦隊の撃滅を目的として行動する。所定の作戦に基づき分散進撃を開始する」

 

「了解だよ、司令官。全艦に通達。所定の作戦行動に基づき行動を開始せよ。以上」

 

 春藍を起点に、命令が伝達される。各艦のメンタルモデルからの応答に頷き、春蘭もまた行動を開始する。

 

「作戦開始よ。進路0-4-7」

 

「進路0-4-7、よーそろー!」

 

 各艦隊が航路に沿って進む。ボラー連邦制圧戦の始まりである。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「艦隊正面に大規模な重力震を感知!200…400…まだまだ増えます!」

 

「多数の艦艇のワープアウトを確認。艦種識別、ボラー連邦艦隊」

 

「敵艦凡そ670隻、大艦隊です…!」

 

「未確認の艦影を視認!恐らく中型艦、巡洋艦か…?」

 

「なんて数だ…総員戦闘配置!」

 

 

 

 いくつかの資源星系を経由し、一路障害たるウライ要塞を目指す第1艦隊の前にボラー艦隊が現れた。

 バルムミャン中将率いる、第12親衛打撃艦隊である。

 

「艦隊、戦闘態勢に移行。いつでも行けるよ、司令官」

 

「了解だ、春藍。…波動砲で一掃する!全艦連動マルチ隊形、波動砲発射用意」

 

「艦隊に下令。全艦連動、波動砲発射用意」

 

 約200隻の艦隊が自律操縦で整列する。戦列歩兵が如きそれは正に壁であった。

 

 波動砲にエネルギーが供給され、砲門が発光する。

 必殺の攻撃が放たれようとしたその時───

 

「なっ!?ボラー艦隊に動きあり!ワープしようとしています!」

 

「なんだと!?」

 

「敵艦隊が短距離ワープ!敵中型艦、肉薄してきます!」

 

 

 

 

「春蘭から全艦に下令。最大戦速、全周警戒。艦連動を解除、複数輪形陣へ移行する」

 

 動揺する艦橋を横目に、春藍(メンタルモデル)は数分間の演算の末、短距離ワープによる奇襲を予測した。

 彼女は緊急時命令権に基づき麾下の艦艇に指示を出す。

 

 果たして…それは正しかった。

 

 第12親衛打撃艦隊は各個にワープ。第1艦隊を包囲するように展開したのである。

 正面と左右に拡げられた艦隊から中型間で構成された数個の戦隊が肉薄し、戦艦は砲撃を続ける。

 

 方や統制された包囲網、方や隊形変更中の混乱した艦隊。

 どちらが優位かは比べるまでも無く、バルムミャン中将は勝利を確信していた。

 

「砲撃継続。正面には戦艦を並べろ。敵の進路を塞ぐ。」

『第421砲兵大隊が敵艦隊を突破。敵主力戦艦を2隻撃破』

『了解。戦列に復帰した後砲撃に加わるように』

「バルムミャン中将閣下。分散進撃中の敵艦隊と迎撃艦隊が接敵しました。チェレフコ少将より通信。「我が第35狙撃旅団は精強なり」以上です」

 

「チェレフコの奴め、浮かれおって…まあいい。あやつの事だ、墜ちることは無いだろうよ。…包囲を狭めろ、圧殺するぞ」

 

「了解!」

 

 ボラー艦隊から降り注ぐ弾幕は第一艦隊に確かに打撃を与えていた。しかし──

 

「波動防壁の負荷、36%!まだまだ行けます!」

『D-752轟沈、D-228大破!』

「波動砲発射シーケンスの強制中断による障害が復旧しました!各砲塔エネルギー供給システム正常、全力発揮可能です!」

『D-085沈黙!』

『PF-429爆沈!軽装甲艦の被害が甚大です!』

『小型艦は陣形内部への移動を優先!回避機動!』

『BF-12が敵艦隊と交戦開始!BF-13もです!』

『D-553中破、戦列を離脱します!』

「全砲門自由撃ち方!包囲を突破する。進路そのまま、機関全力運転!」

 

 波動防壁と装甲で耐えることはできる。だが、嬲られ続ければいずれ沈むのは自明の理…

 故に、片岡宙将は司令官として敵中突破に活路を見出した。

 

「司令官殿!30分を超えればいくら波動エンジンと言えども焼ききれますぞ!」

 

「構わん。それまでに突破すればいいだけの話よ…両舷前進一杯!」

 

「ようそろー、前進一杯!」

 

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