闇堕ち地球連邦が行く銀河大戦2205   作:末弟(特異点)

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前話を加筆修正しました。
原作からはどんどん逸脱していきます。


第3話

「敵艦隊増速、突っ込んでくる!」

 

「流石に硬いな... 第1戦隊は後進、出来る限り距離を稼ぐ。第2戦隊以下の各戦隊は反転して同航戦だ」

 

 観測手の報告を聞いたバルムミャン中将は地球艦の馬鹿げた堪航性に顔を歪めつつ指示を出す。

 中央突破を選択した地球艦隊に対し、ボラー艦隊の中央...第1戦隊は引き撃ちの姿勢に入る。包囲の側面に位置する艦隊は反転し、地球艦隊との同航戦に移行する。

 

「敵艦隊が砲撃を開始!クロトガ型7隻轟沈!」

 

「敵艦速い!追いつかれます!」

 

 メンタルモデルが制御する地球艦が戦艦の壁をすり抜けて行く。クローダー型標準巡洋艦とデストロイヤー型が追い縋るが、徐々に置いていかれつつあった。

 

 

『D-238防壁限界!PF-885爆沈!』

13TF(第13任務部隊)がやや遅れています。艦隊行動を微修正』

「敵艦隊を突破、距離離れる。主機限界まであと600!」

『D-902、機関に不調!落伍艦が多発しています!』

『落伍した艦はアンカーで曳航しろ!無理やりでもいい!急げ!』

「全艦急速反転!艦載機発進、全力攻撃!」

 

 地球艦隊はボラー艦隊との距離が0.3AUほど離れた宙域で反転し、片岡宙将の命令を受けて春藍、アンドロメダ級各艦から航空隊が発進する。400機程の航空隊が陽電子衝撃砲の弾幕に隠れてボラー艦隊に襲いかかった。

 

「戦域に敵航空機は無し。航空隊は戦果を拡大中」

 

「よし、このまま攻めるぞ」

 

「了解!」

 

 

唐突な反撃に混乱した第12親衛打撃艦隊は、体勢を立て直すことも叶わず艦載機の群れに啄まれていた。

 

「カトンボ共を叩き落とせ!全艦密集隊形、対空防御!」

『グローダー型5隻轟沈!第3戦隊損害多数!』

「艦隊損耗率3割を超えます!このままでは...!」

『クロトガ型3隻、アマンガ型7隻轟沈!』

「チィッ... ウライ要塞まで後退する!全艦反転、ワープ準備!」

 

このまま撃ち合っていても火力の違いでこちらが先に全滅する。

そう結論づけたバルムミャン中将は艦隊を後退させつつ再編成。その卓越した指揮によって、第12親衛打撃艦隊は損害を出しつつも、ウライ要塞への撤退を成功させた。

会敵から、約14時間後のことであった。

 

 

 

「艦隊の被害を報告する。ドレットノート級12隻、パシフィック級17隻が轟撃沈。ドレットノート級37隻が中小破。また、艦隊の半数以上に機関不調が見られる。現在、機動戦は不可能」

 

「1度でこの損害か... このままではすり潰されかねんぞ」

 

 春藍が報告した損害に、片岡宙将は顔を歪める。2個任務部隊規模が喪われるというのは、1度の会戦での被害としてはあまりにも大きな被害であり、大規模な戦闘のノウハウが致命的に不足していることを如実に表し、あるいは困難な行く末を暗示しているようであった。

 

「敵艦隊は約四割を撃破しています。キルレシオでは優勢ですが...」

 

「敵はその場で補給できるが、我々はそうでは無い。減らせる損害はできる限り減らさなければなるまい。 ...他の艦隊の状況はどうなっている?」

 

「はっ。現在、第12艦隊及び第13艦隊が有力な敵戦力と接敵、戦闘中です。しかし、どちらも艦隊規模が300隻程と比較的少数のため勝利は確実でしょう。不明中型艦は確認されていません」

「残る第2艦隊と第11艦隊は植民惑星に駐留していた少数の防衛艦隊を撃破。宙域を制圧中です」

 

「そうか。各艦隊の損害と戦闘データを分析して戦訓とするように。あぁそれと、総司令部に補給と戦力の補充を要請する。準備してくれ」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 巨大なモニターが正面に鎮座する薄暗い部屋の中、それぞれのコンソールに向かう司令部要員より1段高い場所に設けられた席に、1人の男がいた。

 

椎岩(つちいわ)総括司令長官閣下。春藍から戦闘レポートを受信しました。ボラー連邦は波動砲への効果的な戦略を有しているようです」

 

「なるほどな、発射直前に短距離ワープすることで射線から逃れると...」

 

「はい。片岡宙将は対抗策として任務部隊規模での波動砲戦を主張しています」

 

 地球連邦防衛軍の頂点である総括司令長官を務めるその男の名は「椎岩(つちいわ) (のぼる)」。超軍拡主義者にして熱烈な反異星人主義者であり、その細身の体躯からは爛々とした闘志が溢れ出ている。

 

「ボラー連邦には波動砲に似た決戦兵器があるというのは真実だったか」

 

 艦首から放たれる必殺の一撃を前提にしているであろう敵の艦隊運用は、考えれば考える程、地球連邦宇宙軍にとって致命的な不利だった。

 薄く拡がったマルチ隊形は近接戦に対して明確に弱い。

 波動砲の発射中断は極めて危険であるし、何より発射後はエネルギーが枯渇し数分の隙がある。片岡宙将の提言は、正しくこの弱点を解消するものと言える。

軍内部の不安を無視してメンタルモデルに操艦を任せれば、より高度な艦隊運用が可能になる。簡略化された操艦系統であれば、一つ覚えでも十分に戦力化出来るだろう。

 

「パラダイムシフト、という訳か。…ふむ、私の腕の見せ所だな」

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