赤龍帝の弟は"種族値"が主人公 作:一般通過氷4倍弱点ドラゴン
「お、わわわわわぁ〜っ!?」
『ギヒヒヒヒヒ! どこまで行くんだぁ〜い?」
この、ちょっと攻撃が効かないからって調子に乗りやがって!
どうしよう、俺と塔城じゃどうにもできない奴だ。
「塔城、どうする!?」
「……とりあえず、逃げる。相手にしていてもどうにもならない」
「ん!」
抱えた塔城の案に乗るしかない。
俺達殴る蹴るしかできることないからな!
岩くらいなら持ち上げられるけど、こいつはライザーじゃない。
水の悪魔だ。
「なんでこんなのと出会うんだー!」
「……水に擬態して、部長達の目を欺いてる?」
「なるほど、めんどくさいな!」
どういう能力なのか、この悪魔は液体化ができる。
そのせいで撃退しようにもできないし、捕まったら一貫の終わりなんだよな。
『お嬢ちゃんもガキもたぁっぷり可愛がってやるからよォ〜!』
「されてたまるか!」
「……」
気持ち悪いのに距離が全然離せないんだよなー!
速くて殴る蹴るが効かないとか俺達どうにもなんないじゃんか。
「う、うがーッ!」
「ぜぇ……ぜぇ……」
昨日の兄貴の気持ちがよくわかった、すっごく胸が痛い。
「塔城、怪我ないか?」
「私は問題ないけど、リューは大丈夫なの」
「大丈夫! すっごい疲れたけど!」
あの悪魔疲れないのかな、ずっとごちゃごちゃ言ってた気がするけど。
となると俺より体力もあるってことになる。
「殴れなくて足が早くて体力もあるとかやばー……」
「ああなると、私達だとどうにもならない」
「むぅ、俺や小猫にご主人や姫島先輩みたいな力があったらなぁ」
俺は俺が思ってる以上に
「んー、まあご主人のとこに行ってからだよな、塔城」
「……」
「塔城?」
何か深く考え込んでいる塔城。
「どうかしたのかー?」
「っ……何でもない。行こう」
「おー、なら良いけど」
……まあ、悩み事なんて皆持ってるよなぁ。
「俺さ」
「?」
「最近、兄貴と会ったんだ」
「……お兄さんと、ですか?」
「うん、俺の方は色々あって避けてるんだけどさー。なんかすごい力で捕まっちゃって、この前一年ぶりに会ったんだ」
「避けてる……」
正直俺がどーたらこーたら言ったってどうにかできる気はしないんだけど。
しんみりしてるだけなのは、嫌だ。
「びっくりしたぞー? ……なんせただの人間な筈の兄貴がなんか俺に追いついたんだから」
「え」
前から、というかさっきも俺の速さを体験した小猫はびっくりしてる。
そうだよなー、普通の人間にそんなことできるとは思えないもんなー。
「ご主人から人目につくところじゃ抑えろって言われてるから比較になんないかもだけど、それでも兄貴ってすげぇなって思った」
「それは」
「うん、俺ってばこんな力で兄貴達に嫌われるんじゃないかーとかそんな思いでこっちに来たわけだし、それなのにあんなの見せられたら困っちゃうよ」
「……」
「その後も、前と変わらない兄貴だってわかって……なんか、頭ん中ぐちゃぐちゃしてるんだ」
怖くなって逃げた俺が悪いけど、あんな顔させたくなかったなーって。
「俺はこんな感じでぐちゃぐちゃーってなってご主人のとこに来た」
「……」
「小猫も似た様な感じなんだろー?」
なんか、ご主人が仲良くしてあげてって言ってたから。
同じように、自分のことで家族に苦しんでるのかなって。
「怖くないの」
「んー?」
「リューは、力が怖くないの」
「俺?」
そしたらびっくり、唐突にそんなことを聞かれてしまった。
あれ、思ってたより効果あったか?
「怖い、怖くて怖くて仕方ないな!」
「えっ」
「?」
「いや、むしろ力を欲しがってる風に見えたから」
「ん、欲しいぞ。もっと強くなりたいし」
「……??」
なんか困った顔してる、なんだよ。
まあ矛盾してるってのは俺が一番わかってるけどさー。
「力がバレるのが怖いし、この力で誰かわ傷付けるのが怖い。……でも兄貴やご主人達を守るためにも、あんな液体やろーをぶっ飛ばせるくらいの力が欲しい!」
まあ全然進歩しないんだけどなー!
「それが今の俺だな、わはは!」
「そっか」
「……ん、なんか役に立った?」
「うん」
なんとなしに、小猫がほっとした様に見える。
少なくともしんみりはしてなさそうだ。
「どっちもあって、良いんだなって」
「?」
「何でもない。……ありがとう」
「どういたしまして!」