赤龍帝の弟は"種族値"が主人公 作:一般通過氷4倍弱点ドラゴン
「んしょ……前が見えねー」
水悪魔が行方をくらましたりしたらしいけど、それはさておき。
今日はあいつとのパーティの日だからな。
「あ、ついた」
そうして俺は、でっかい魔法陣がある扉の前までやってきた。
「ギャースー! おーきてーるかー?」
『起きてます!』
「わ、反応早い」
扉の向こうからのくぐもった声、ギャスだ。
ご主人の封印? とかいうのでなんかこの部屋がややこしいことになってるんだとか。
まあ何でもいっか。
「扉の真ん前に立ってるから、いつもの頼むぞ!」
『は、はいぃっ!』
という元気な返事をもらった直後、俺は
んーいつ見てもよくわからん、何これ。
「よっとと……ん、ギャスのテレポートは流石だな!」
「え、えへへ……リューくんだからできるんだよ」
切り離されたというこの部屋と、ギャスのすごい力が重なったからなのか。
ギャスは部屋の外に立った俺をこの部屋の中に入れることができる。
「いっぱい持ってきた……というか、これ何が入ってるんだ?」
俺が視界を犠牲に持ってきたのはたくさんの段ボール、全部ギャスの荷物だ。
ギャスはこの部屋から出られないからな、俺がいつも持ってくる。
「えっと、こういうの……です」
「ん」
そう言って箱の中から取り出されるのは……おおー?
「服?」
「はい! これとか、これとか……!」
ギャスは色んな服を自分の前に合わせて楽しそうにしている。
「……似合う?」
「んー? そりゃギャスは可愛いし似合うだろ。というかそんなに買って使いこなせるかの方が俺は心配だぞ」
贈り物とかにも当てはまるらしいけど、服は余って大変なんだって。
こういうのはご主人から学んだ、あの人もめちゃくちゃ服が余ってて困ってるらしいし。
「かわ……えへへ、リューくんありがとう」
……俺や塔城同年代なギャスとは、大体一年前に俺がこの部屋を横切った時に出会った。
歩いていたら急に景色が変わるんだ、びっくりするぞ。
「ギャスとも、出会ってもう大体一年になるんだなー」
「あの時は、本当にびっくりしたよ……?」
「俺もだぞ」
もうその時はてんやわんや、大パニックだった。
ギャスは初対面の俺を怖がってるし、俺は俺で学校に来てすぐの時だからまだ不安定で。
「俺達ももう中学二年生だってさ、振り返ると早いよなー」
「そう、だね」
封印の中だから外に出られなくて余計パニックになったりと本当にわーきゃーしてた。
まあ慌てててもどうにもならないとなったぐらいで冷静になっていったんだけど。
「ギャスの段ボール形態面白かったぞ、もう一回みたい」
「え、ええっ!? あれはもうリューくんには見せないよぅ……」
「ありゃりゃー」
外出られないから必然的に友達できないってことでとりあえず友達になった、俺が強引に。
……
……今思うとなんかやばい奴だなー?
「えっと、俺友達……で良いんだよな?」
「ふえっ?」
「なんか、自信無くなってきたなって」
初対面の人を怖がる奴に向かって強引に友達宣言をする奴とかやばい奴じゃん!
……あれ、なんかすごく怖くなってきた。
「……俺、友達……?」
「りゅ、リューくんは僕の友達だよっ!? というかリューくん以外に友達がいないし……」
「……そ、そうか」
「むしろ、あの時友達になってくれて嬉しい……くらいだし……あぅ」
なら、よかったぞ。
ギャスが内心イヤイヤだったとか立ち直れる気がしないからな。
「早く出られる様になると良いなー」
「……」
「ギャスの好きな服とかって、試着とかできた方がお得なんだろ? じゃないとなんかイメージと合わないとか」
「えっ、あ、うん」
「こういう荷物だと届くまで中身わかんないみたいだし」
まあ、俺はよく知らないんだけどな!
パソコン使ってものを頼んだこともないし、服選びなんてもっとよくわからない。
兄貴とかに合わせてたから。
「今はご主人の着せ替え人形だしなー」
「……え、えぇっ!? き、着せ替え人形って……」
「おー、なんかいっぱい服あるからそこからご主人が選ぶんだ」
おんなじ家に住んでるからなのかめちゃくちゃ多い。
ギャスみたいに自分を着飾るならともかく、俺の服を変えて楽しいかー?
「ま、それより何する? トランプとかか?」
「あ、じゃあチェスとか……」
「おー、今度は負けないからな!」
……そう言えば何で女子の制服着てるんだ? 前まで男子の奴だったよな。
似合ってるしまーいっか。