トクベツな学園に入学した普通な私、何故かトクベツ側のみんなから迫られる!?~ただ私は平穏に学園生活を過ごしたいだけなのに~   作:青いバケモノ

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短編 いつもの朝

「あ、おはよ~!姫!」

「あ、おはようございます十六夜さん。」

「…おはよう。姫香。」

 

「おはようございますわ。それにしても、相変わらず早いわねあなた達…」

 

 

 十六夜さんと遊んだ次の週の月曜の朝。まだ、教室には私、神無月さん、如月さん、十六夜さんしかいない。

 私は、早起きを習慣化しており、特に家にいてもやることがないので、朝早くから学校に来ている。

 万が一にも遅刻したくないし。

 

 

「姫はいつも同じ時間だよね~。」

 

「メイドが起こしに来る時間、朝食の時間、送迎の時間、と決まっていますのよ。」

 

 

 メイド……すげぇ…やっぱり、ちゃんとしたお嬢様なんだな…

 

 

「へ~。めっちゃお嬢様っぽ~い!りんりんは?なんで朝早いの?」

 

「…早起きが習慣だからよ。」

 

「凛は休日も妹達の朝ごはん作り、お世話などで早起きなのですわ。凛はシスコンだから、何よりも妹ファーストなのよ。その結果、早起きするのが習慣になったのですわ。」

 

 

 妹のために、早起きして朝ごはんを作る…!?

 私と如月さんは、人間としての格差だけでなく、姉としての格差までもがあったなんて…

 

 

「へ~。良いお姉ちゃんだね!」

 

「…シスコンじゃないわ。あと、姫香、あなた、人の個人情報をペラペラと…あなたの秘密も言うわよ?」

 

「あら、私《わたくし》に秘密などございませんわ。」

 

「あなた、最近は一人で寝れているのかしら?」

 

「私《わたくし》が悪かったわ。負けを認めるから、その話はしないでちょうだい。」

 

「分かればいいのよ。」

 

 

 珍しく、戦いが一瞬で終わった。しかも、十六夜さんの降参で。

 それほどの弱み…超気になる……

 

 

「えー!気になる!姫~秘密教えてよ~」

 

「無理ですわ。絶対に。」

 

 

 言わない。という断固たる決意が見える…

 

 

「子供の頃の話?」

 

「夏子さんまで…絶対に言いませんわ!!」

 

「姫にも黒歴史ってあるんだ~。」

 

「黒歴史なんて、人ならば必ずありますわ。凛にも、私にも。もちろん、夏子さん、瑠奈さん。あなた達にもありますわよね?」

 

「もちろん!」

「あります……」

「無いわ。」

 

 

 十六夜さんレベルの人でも、黒歴史ってあるんだ…

 私なんて、黒歴史まみれの人間だ。主に中学生時代の。

 

 

「あら、凛。そんなこと言ってしまって本当に良いのかしら?」

 

「…なによ。秘密はあれど、黒歴史なんて私には無いわ。」

 

「私、あなたの初恋の人、知ってますわよ。」

 

「負けを認めるわ。だから、その話は今後絶対に話題に出さないで。絶対に。あと、別に初恋じゃないから!!」

 

「過去一感情的なりんりんだ…!」

 

 

 如月さんがこんなに感情的になるなんて…相当な黒歴史なのだろう。…それにしても、初恋…如月さんが?…考えられない…

 

 

「初恋ってなに!気になる!」

 

「初恋じゃないわ。ただ、()()()()()()憧れの人だったってだけ。別に恋愛感情なんて無かったわ。」

 

「まぁ、確かに、初恋は言い過ぎでしたわね。でも、()()ではあったのよね?」

 

 

 十六夜さんがニコニコしながら言う。攻守逆転した瞬間この変わりようだ。

 

 

「憧れ?」

 

「この話はもうおしまいよ。姫香。これ以上何か言うなら、あなたの黒歴史も言うわよ。」

 

「…そうね。おしまいにしましょう。」

 

「えー!気になる~!」

 

「絶対に言わないわ。」

「絶対に言わないですわ。」

 

「ちぇ~」

 

 

 神無月さんも、これ以上追及するつもりはないらしい。

 まぁ、黒歴史なんて知っても得なんて無いし…むしろ、聞いてしまったことによりその分、責任とか色々と増えそうだし。脅しの道具にはなるかもしれないけど、私はそんな情報を持っていたいとは思わない。……思わないけど、気になる。

 

 

「じゃあ~…ふみふみは?なんでこんなに朝早いの?ふみふみ、結構家遠いよね?」

 

「え、あ、私?」

 

 

 また忘れてた。喋らなさすぎて、完全な聞き専になってた。

 思ったことを口に出さず心の中で独り言のようにすることによって、私は会話のキャッチボールをしなくても満足してしまう。思ったことをすぐに口に出して、私が嫌な奴だってバレるよりは何倍もいいが、その分空気過ぎて私といても楽しくない。

 黙っても、喋っても私はごみカスなのだ。

 

 

「私は…如月さんと同じで、早起きが習慣でして…朝やることもないので…あと、遅刻もしたくないので……って、なんで私の家が遠いことを知ってるんですか?」

 

「……早起きが習慣って偉いね~。家が遠そうなのは、なんか、勘?的な?遠そうな感じしてるし?」

 

「遠そうな感じってなによ……瑠奈さん、そういうあなたは、なんで朝早くから学校に来てますの?」

 

「私は~……昔の癖、かな…小中学生の頃の。」

 

「癖…?」

 

「まぁ、実質習慣のようなものだよ!みんなと同じ~!」

 

 

 みんな早起きの習慣があるんだ……私の数少ない誇れること、が早寝早起きの習慣なのにそこすらもみんなは当たり前のように……

 

 

「あ!ふみふみ!カバンにかわいいキーホルダー付いてる!」

 

「あ、これは…先週の金曜日、十六夜さんが選んでくれたもので…」

 

「お揃いですわよ!これで、睦月さんの次に夏子さんと仲が良いのは、私《わたくし》ですわね!」

 

「本当だ!姫のカバンにも同じキーホルダー付いてる!綺麗な月!…あ、でも、むっちゃんの次にふみふみと仲が良いのは私だから。」

 

「たった一日友達になるのが早かっただけじゃない。私の方が仲が良いわ。」

 

「たった一日じゃないもん……」

 

「?声が小さいわよ。聞こえなかったですわ。」

 

 

 教室の中には四人しかいなくて、シーンとしてるのに、何故か聞こえなかった。

あの神無月さんが小さい声でしゃべったから、脳がバグったのかな。

 

 

「なんでもないよ~ん!ま、いずれ分かるよ。私は、むっちゃんをも超える中の良さを手に入れられるポテンシャルを持っている女だと!!」

 

「睦月さんを!?…負けられないわね…!」

 

 

 私とどれだけ仲良いか、という意味の分からない勝負が巻き起こっているなか、ぞろぞろと教室に人が集まってきた。そろそろ小望さんとむっちゃんが来る時間だ。

 

 

「おはよ~もちち。」

 

「おはよー…」

 

「眠そうだねぇ。」

 

「眠い!」

 

 

 いつも、最後はむっちゃんだ。朝のSHRの5~10分前くらいに来る。

 

 

「おはよ~つきちゃん!」

 

「みんなおはよぅ…」

 

 

 そして、いつもむっちゃんは眠そうだ。朝にしか見れないかわいいむっちゃん。

 

 

「相変わらず眠そうだねぇ。」

 

「うん……」

 

「夜更かししてるわけじゃないのに、むっちゃんはいつも眠そうだよね。」

 

「寝ても寝ても朝は眠いよ…」

 

 

 むっちゃんは人より三大欲求が強いからね。…少なくとも、食欲と睡眠欲は。

 

 

「んー!よし!みんな揃ったし、元気出てきたぁ!!」

 

「私も!」

 

「神無月は来た時から鬱陶しいくらい元気だったわ。これ以上元気になられても困るのだけど。」

 

「きさっち辛辣~!」

 

 

 相変わらず辛辣な如月さんに、いつも通り超絶元気な神無月さん。そして、朝はちょっとテンションが低い小望さんに、朝も昼もいつでも変わらない様子の十六夜さん。そして、いつも通り、眠そうでほぼ目の空いてないむっちゃん。

 そして、影に住む私。

 

 

「よ~し!今日も一日がんばるぞ~!ほら、ふみふみも!今週も頑張るぞ!」

 

「お、おー…」

 

「気合が足りない!ほら!もちちも!」

 

「おー!月曜日は憂鬱だからこそ、その憂鬱に負けないくらいテンションアゲてけー!!」

 

「うるさいですわね…」

「うるさいわね…」

 

「ちょっと、私《わたくし》の真似しないで貰えるかしら?凛。」

 

「真似しているのはあなたでしょう。」

 

「先にうるさいとい言ったのは私《わたくし》ですわ。」

 

「私よ。それか同時よ。」

 

「みっちゃん、おはよー。」

 

「うん。おはよー。」

 

 

 これが、私の日常。

 

 ちょっと騒がしい、いつも通りの、朝だ。

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