トクベツな学園に入学した普通な私、何故かトクベツ側のみんなから迫られる!?~ただ私は平穏に学園生活を過ごしたいだけなのに~   作:青いバケモノ

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ミッション①

「今日、私はミッションを遂行します!皆さんどうぞよろしくお願いします!」

 

「お~、もちちの敬語、珍し~!」

 

 

 今日は十六夜さんが家庭の用事で公欠だ。家庭の用事で公欠って、なんか珍しくない…?お嬢様事情はよく分からないな…お嬢様関係ないかもしれないけど。

 

 

「……私も今日ミッションをやるつもりだわ。あなた達、出来る限り話しかけないでもらえるかしら。特に小望と神無月。」

 

「え、なんで~!話したっていいじゃん!喧嘩なんてしないよ。私たち、仲良しだし!」

 

「そうですよ!私たち仲良しじゃないですか!」

 

 

 座っている如月さんの周りで叫ぶ神無月さんと小望さん。そして、案の定如月さんは鬱陶しそうな表情をしている。

 

 

「………どこからが喧嘩になるのか分からないから、あなたとの会話は本当に怖いわ。あと、私たちは仲良しじゃないわ。」

 

 

 十六夜さんがいない今日のような日じゃないと、喧嘩しないとか無理そうだもんね……小望さんと神無月さんはもちろん、傍からみたら、如月さんも普通に仲良しに見える。ちょっと口が悪いだけの仲良し三人組、って感じ。

 

 

「愛ちゃん、瑠奈ちゃん。友達のミッションは、邪魔するんじゃなくて、協力、しないとダメ、だよ。」

 

「…確かに。ごめんねりんりん。」

 

「私も、ごめんねきさっち…気安く話しかけて…」

 

「………前言撤回するわ。別に、あなた達程度に手こずるミッションではないわ。話しかけるのも、好きにしなさい。」

 

 

 ……如月さんには、直接的な優しさがないとしても、こういう、ツンデレ的な優しさ要素がある。「怖い人」という印象も、改めないとな…。

 

 

「素直じゃないな~りんりん~!」

 

「そーだそーだー!です!」

 

「……」

 

 

 無言で神無月さんを睨みつける如月さん。…やっぱり怖い人だ。ぶっ殺すぞ。という意思を、目から感じる。

 

 

「「………ごめんって。」」

 

 

 §

 

 

 午前中の授業も終わり、昼休み。購買で買ったパン一つ食べて……早速テスト勉強だ…

 私はこの学園にいるみんなほど特別でもない、天才でもない。だから、前々からテスト勉強を始めないといけない。

 今回のテスト範囲は、中三+今月習ったところ、らしい。…中学生の頃の数学の公式を覚え直さないと…

 

 

「ふみふみ、食べるの速いねぇ」

 

「…そうかな?」

 

「みっちゃんは速いというより、食べる量が少ないよね。私の1/3くらいの量しか食べてないもん。」

 

「玲ちゃんが大食いって説もあるますよ!です!」

 

「あるますよって何よ…」

 

 

 むっちゃんは、確かによく食べる。よく食べるし、よく寝る。多分、三大欲求が人より強いんだと思う。つまり、むっちゃんはムッツ……これ以上はやめておこう。天使で変な妄想すると罰が当たりそうだし。なにより、私にこんな妄想されてるむっちゃんが可哀想だし。

 

 そんな変な妄想をしていたら、教室の扉が、バン!と、勢いよく開いた。

 

 

「私《わたくし》が帰ってきたわ!」

 

「んっ!姫じゃん!」

 

「瑠奈さん…食べ終わってから喋りなさいよ。まぁ、この私《わたくし》が来たのですから、興奮してしまうのも仕方がありませんですわね!」

 

「姫っちおかえりー…なさいませ?今日の公欠はどうしたの~?です!」

 

「…どうしたのよ、愛華さん。変な日本語使って…気持ち悪いですわよ?」

 

「酷くない!??です!」

 

「なんで敬語なのよ……いや、それは敬語なのかしら…?」

 

 

 急に小望さんに敬語で話されたら、びっくりするよね…というか、本当に敬語になれてないんだな…小望さん。………慣れていないとかそういう次元かなぁ…?

 

 

「今日は十六夜家と並ぶ、あの天道家にお呼ばれしましてね。兄と共に天道家に行ってましたのよ。親は親同士何か話していただけですので、私《わたくし》は天道家の娘、息子さんとお話をしていただけですわ。ほんと、無意義な時間だったのですわ。」

 

「天道家か~…よくテレビで聞く名前だなぁ」

 

 

 天道家とは、昔、マイクロチップと呼ばれていたものに革命を起こした会社だ。簡単に言うと、マイクロチップを改良し、ピコチップを作り出した会社だ。

 AIに革新的な進歩をもたらした十六夜家と協力し、今の時代が作られた。日本がアメリカと並んだと言われているのも、この二つの企業のおかげ、と言われている。

 

 もちろん、この学校にんもピコチップは使われている。私たちの学園内での行動をAIへ送っているのが、私たちの制服につけられているピコチップだ。だから、ミッションの合否を判定出来る……のだと思う。というか、それくらいしか想像出来ないし。

 何故かは知らないし、どういう装置が働いてるのかはしらないが、学園外でのことは対象外らしい。対象外というより、学園外の動きは学園側は知ることは出来ないらしい。プライバシー問題に繋がるため、と言っていた。入学式の日に、校長先生が。

 つまり、如月さんや十六夜さんのミッションは、学園を出れば喧嘩をしても良い、ということになる。バレないだけで、していいのかは分からないけど…。

 

 ちょっと複雑かもしれないが…まぁ、簡単に言うと十六夜家の次か、同じくらいすごい家だ、ということ。

 そして、その息子と娘は双子で、同じ学園にいるらしい。確か、二組に息子、三組に娘さんがいるとかなんとか……まぁ、私には関係のない事だ。

 

 

「………どうしたのよ、凛。さっきから目も合わせようとしないじゃない。」

 

「……」

 

「…え、本当にどうしたのよ。」

 

「りんりんは今日ミッションをやっちゃいたいんだってー。もちちも同じー。」

 

「あぁ……だから、愛華さんはそんな気持ち悪い喋り方で、凛も私を無視するのね。私が公欠の日を狙うなんて…狡《こす》い真似をするのですわね?凛。」

 

「気持ち悪いだって!?です!」

 

「……戦略と言ってくれないかしら?」

 

「…まぁいいわ。私も、今日ミッションをやりますわ。」

 

「訂正しろー!!です!」

 

 

 なんか、バチバチ感はあるけど……確かに、喧嘩はギリしていないようにも見える。そして、小望さんは「気持ち悪い喋り方」に対しての抗議をしているが、それを十六夜さんはフル無視している。まぁ、いつもの光景だ。

 

 

「ということで、愛華さんと瑠奈さんは私に話しかけないで頂戴。もちろん、睦月さんと夏子さんは気にしなくていいですわよ。」

 

「えー!なんでだよ姫ーーー!」

 

「酷いですよ!」

 

 

 如月さんと同じことを言う十六夜さん。…別に、小望さんや神無月さんと話しても、喧嘩にはならないと思うけど…いや、今さっきもうなりかけてたか…。

 

 

「りんりんと同じこというし!」

 

「きさっちの二番煎じですよ!」

 

「…それは嫌ですわね…やっぱり、あなた達も気にしなくていいですわよ。私《わたくし》は、凛と違って心が広いのですから!」

 

 

 さっきも同じようなセリフを聞いたなぁ…

 

 

「…姫、それもりんりんの二番煎じになってるよ。」

 

「なっ…んですと!この私《わたくし》が…二番煎じ…!?」

 

 

頭に手を当て、後退する十六夜さん。……十六夜さんって、お嬢様なのに、めちゃくちゃノリが良いんだよね。こういう、小芝居もしてくれる。こういうところ、ギャップがあって本当に好きだ。

 

 

「二人とも似たもの同士だね~、です!」

 

「似てないわ」

「似てないですわ。」

 

 

 やっぱり、喧嘩するほど仲が良いって、あるんだね。凸凹じゃなくて、凸と凸がぶつかってるからよくケンカする、みたいなイメージかな?

 

 

「似てるじゃ~ん…です!」

 

「ずっと思ってたけど、もうそれアウトでしょもちち。」

 

「…え?マジ?…です!」

 

 

 あ、神無月さん、それ言っちゃう……多分、みんな思ってたことだけど、誰も言わなかったのに…

 

 そして、この昼、むっちゃんはみんなの話にうんうん。と、頷いたりはしていたが、一言も喋っていない。なぜなら……むっちゃんは食事中喋らないタイプだからだ。

 ……そう。むっちゃんはこの会話中、ずっと食事をしていた。ちょくちょくむっちゃんの方を見ると、絶対に口に何かを含んでいた。

 本当に、リスみたいでかわいいよ。本当に。マジで。ずっと凝視していたいもん。…食事中の人を凝視は、流石に気持ち悪すぎるからやらないけど。

 

 ……食事中じゃなくても私が凝視したら気持ち悪いか…。

 

 

 §

 

 

 家に帰って、まずやることは手洗いだ。まぁ多分、みんな同じだろう。

 そして、服を脱いで、制服は和室のハンガーに掛け、それ以外を洗濯カゴにいれて、制服の下に着ていた半袖短パンのまま部屋に行き、勉強をする。

 

 

「あ、フミおかえりー。」

 

「ただいま。」

 

 

 今私におかえりと言ったのは、中学三年生の、妹の夏子 水無《みな》。水色の髪色で、ショートのツインテ。中三にしては小さい身長に、幼い顔付き。時々、小学生に間違われるレベルだ。いわゆる、ロリ。私と違って、本当にかわいい妹だ。マジで似てない。

 

 

「すぐにお風呂に入らないってことは、フミ、もうテスト期間なの?」

 

 

 すぐにお風呂に入らない=テスト期間だとミナが思った理由は、私のいつものルーティーンにある。いつもの私は、学校から帰ってきたら、手荒って制服脱いで浴室の暖房をつけてそのまま全部脱いでお風呂に入ってしまう。…暖房はもういらないか。

 ともかく、私は帰ってきて一番最初にやることはお風呂に入ることだ。流石にそんな早い時間に湯船にお湯はたまっていないので、シャワーだけだけど。

 

 だが、テスト期間だけは、少し部屋に残って勉強してからお風呂に入る。だからミナは、お風呂に入ってない=テスト期間だと思ったのだ。

 

 

「そうなんだよ~。入学したその月でテストって早いよね!」

 

 

 流石の私も、家族に対してはこんな感じだ。

 流石に、妹相手にキョドったりしない。

 

 

「半袖短パンって寒くないの?」

 

「うん。」

 

 

 そのまま、ミナはドアを閉めて、私のベッドに寝っ転がる。いや、ドアを閉めてそのまま自分の部屋に戻りなよ。私勉強してるんだからさ。気散るんだけど…

 

 

「ん~ベッド気持ち良い~!ちょっとフミの匂いするけど。」

 

「匂い嗅がないでよ気持ち悪いな…」

 

「はー!?嗅いでないし!普通に、ベッドに寝っ転がったら匂いするでしょ!不可抗力だよ!」

 

「…まぁ、確かに。」

 

 

 それに、シャンプーもボディーソープも同じのだし…私は、生まれつき鼻が人一倍良いから、匂いには敏感だ。その分自分の体臭とかめっちゃ気にするから、私の身体、髪の毛は絶対に、ぜっっったいに、臭くない。私が自慢できる、唯一の身体的ポイントだ。

 だから、多分、私の匂いといっても、ほとんどが洗剤、シャンプー、ボディーソープのことだと思う。

 

 

「じゃあ私、先お風呂入ろっかな~」

 

「まだ湯船にお湯入ってないよ?」

 

「シャワーだけでいいかな~って。」

 

「ダメだよ。湯船につからないと、疲労回復しないよ!あと、身体が芯まで温まらないから、末端冷え性になっちゃうよ!それだけじゃなくて、肌の調子に影響が出たりするんだよ!」

 

「フミなんてここ数年ずっとシャワーだけじゃん。」

 

 

 私は…シャワーだけのデメリットとか分かってるけど……別に、匂いに影響がないならいいかなー?って思っちゃって……あと、早めにお風呂終わらせちゃいたいし。時短にもなるし…でも、絶対に人におすすめは出来ない。だって、デメリットしかないもん。

 

 

「私もう既に末端冷え性だし~。運動部じゃないから疲れ溜まってないし~肌は…今は綺麗だし!」

 

「疲れは自分が思ってるより溜まってるんだよ。」

 

「それはフミも同じじゃん!」

 

「私は…ほら、温泉行くのが趣味じゃん?」

 

「私もその温泉、全部着いて行ってるし!」

 

「……」

 

 

 ダメだ。妹に討論で勝てない……そう、実は、妹はめちゃめちゃ頭が良い。私とは違って、天才タイプの頭の良さだ。姉妹でなんでこんなに違うんだか。…いやまぁ、それは、妹と私は血が繋がってないからなんだけどね。それでも、同じ環境で生きてきたんだし、やっぱりこんな差があるのはおかしくない?

 

 

「じゃあお風呂入るね~」

 

「……私、どうせ少し勉強したらすぐにお風呂入るつもりだし、ダメ。」

 

「え~わがままだなぁ………じゃあ、今日一緒に寝てくれるならいいよ。」

 

「えー……嫌だなぁ…」

 

「なんで!」

 

「だって狭いし…ミナも私も寝相悪いじゃん。あと、毛布の取り合いになる。あと、狭いし。」

 

 

 何より、狭いからね……寝るときにずっと同じ方向向いて寝ることが出来る人なら気にしないだろうけど、私は昔から落ち着きがなくて、数分毎に向きを変えたり体制を変えたりしないと寝れない。だから、足を広げた時にミナに当たるのが結構ウザい。

 あと、ミナは抱き枕がないと寝れないらしく、よく私を抱き枕代わりにしてくる。それもウザい。

 

 

「そんなに狭い狭い言うならもっと大きいベッド買えばいいじゃん!」

 

「一人で寝るのにそんな大きいベッドいらないでしょ…」

 

 

 まぁでも、ミナがここまでして私と寝たいのには理由がある。それは、ミナが超シスコンで私のことが好きだから―――ではなく、ミナはお母さんと和室の敷布団で寝てるからだ。

 ミナは自分の部屋は持ってるが、勉強机とソファと小さいテレビを、あの小さい部屋に入れてるせいでベッドが置けない。

 だからだろう。ミナもベッドで寝たいのだ。私の一人部屋が、この家の部屋の中で一番広いのは、明らかにお姉ちゃん特権だし、ミナもちょっとかわいそうではあるんだよな…

 

 

「分かった。明日は休みだし、別に良いよ。その代わり、ちゃんと湯船に浸かってね。」

 

「ありがとー!お姉ちゃん大好き―!」

 

「私相手に猫被ってバレないとでも思った…?」

 

 

 お姉ちゃん大好き―!なんて、ミナは言わない。というか、私のことフミって呼び捨てだし。お姉ちゃんなのに。年上なのに!いやまぁ、別にいいんだけどね…?

 

 ミナに邪魔されて全然勉強出来なかったけど…まぁいいか。お風呂入ろ…。

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