コクーン戦から数日。
「よし…カツ丼が出来たぜ」
「すごいねぇ!MSFとは違うけど、日本食を再現できるなんてね」
俺はマザーベース内で皆の為に料理を振るっていた。普段は戦闘班との訓練や他のSideOPSをやっているんだが、行こうとしたらスタッフ総出で止められた。
解せないが、仕方がないのでミオの店の手伝いをすることにした。
「そういえば…傭兵派遣はどうなってるんだい?」
「今のところ順調らしいぞ。死亡者は未だ0、負傷者が出るだけで、命に別条がないらしい」
ミオは「そうか…強いんだねぇ」と言って手を動かす。
そういえば彼女は
普通は精神的ショックがでかいはずだ。後のTPPでミラーがああなったが…。
「……辛かったら休憩しててもいいんだぞ?」
「…いや、いつまでも過去は引き摺らないよ。あの歌がまた聞きたくなっただけさ」
歌…成程。
「…恋の抑止力か?」
「流石に知っていたか。パスという子が歌っていた奴。最近は聞いてなくてね」
そういえば、コクーンから逃げてる際にカセットテープ拾ったんだよな。
ラジカセがあるし、入れてみるか。
「問題は動いてくれるかだが…」
ガチャリと起動させると、音楽が流れる。
その音楽は、俺もミオ、いや周囲にいた俺の知る元MSF、元DDの連中の大半が知っていた。
平和を願う少女、トリプルクロスの女スパイの歌声。パスの歌声だった。
「……これ、恋の抑止力が入っていたのか」
大音量というわけにはいかないが、音楽を流す。
ミオは少しだけ涙を流した。やはり、あの場所を失うのは辛いだろう。
俺なら精神が壊れてもおかしくない。それを涙程度で済ませている彼女もまた強いな。
「よし、ラーメンもできた!塩ラーメンだが、食うか?」
「あ、ああ…頂くよ」
恋の抑止力を流していると、元MSFスタッフが店に入ってくる。
「ミオさん。店空いてるかい?」
「ああ、いらっしゃい。今、ジュンのラーメンが食えるよ」
「それはありがてぇ。ぜひ食いたい」
「あいよ。塩?醤油?味噌?」
元MSFスタッフは「醤油で頼む」と言って座る。
目を閉じ、リピートをかけた曲を聞き始めた。
まぁ、PWはプレイヤーの青春でもあったしな。
俺もよく色んな人とCO-OP通信をして楽しんだもんだ。
大勝利もすれば、装備の少なさで足を引っ張った時もあった。それでも、俺はそんなPWは楽しかったな。
「はい、お待ち!醤油ラーメンだ」
「ん?ライスも付けてくれたのか?」
「ミオの次のお客だからな。おまけさ」
食べてくれた結果は上々。翌日には期間限定でジュン特製ラーメンがマザーベース内で食べられるようになった。
特に忙しくはないが、アナスタシアやセルペン、ナガノが夜中に俺の作った料理を食いに来るようになったな…。
しまいには…
「あ、フブキからリクエストだ。ええっと……次は激辛料理か……これ作れるかな」
今では全スタッフのリクエストをメニューに加えるようになった。