カードファイト!!ヴァンガード Shiny GAME   作:黒破リンク

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第1話:殻に閉じこもって

リン「……。」

 

少女、『大導寺リン』は自分の布団の上で縮こまっていた。

彼女の脳裏によぎる心無い言葉が、彼女自身を苦しめていた。

 

リン「っ……。」

 

彼女は縮こまって涙を流す。

かつてはアイドルを目指して、努力をしていたのだがクラスメイト達から受けた言葉に傷つき、いじめを受け、心を閉ざしてしまった。

 

部屋の外では、兄である『大導寺ヒカル』はどうすべきか頭を悩ませていた。

ここで扉をノックすべきか否か。それを考えていた。

 

リン「……。お腹空いた…。」

 

部屋の中でリンはそう呟く。

ふと扉を開けると、扉の前にヒカルがいることに驚き大きな声を出してしまう。

 

リン「ひゃぁぁ!?!?!?」

 

ヒカル「うぉぁっ…?!」

 

リン「あ、お兄ちゃん……。おかえりなさい…。」

 

ヒカル「おう…ただいま。」

 

ヒカルの手に、ビニール袋があるのを目にしたリンは、ふと呟く。

 

リン「お兄ちゃん…それ、私のために…?」

 

ヒカル「あぁ。

腹減ったかなって、思ってさ。」

 

リン「私の好きなシュークリームも…。」

 

ヒカル「あるよ、ちゃんと。」

 

リン「うん…ありがとう…。」

 

ヒカル「じゃ、俺部屋戻ってるから…。」

 

リン「うん…ありがとうお兄ちゃん…。」

 

ヒカルは部屋に戻ろうとした時、ポケットから1枚のカードが落ちる。

ヒカルはそれに気づかないまま部屋へ戻っていく。

 

リン「……あれ?これ…。」

 

リンはそれを拾い上げる。

そこに書いてあるカードには、『FL∀MMe-G ロージア』と書かれていた。

 

リン「これ、なんて読むの…?フ…?」

 

リンはそのまま部屋に戻って袋の中身を食べはじめる。

 

リン「美味しい…。」

 

リンは自分の携帯で、カードのことを調べていく。

調べると、『カードファイト!! ヴァンガード』と書かれていた。

 

リン「『ヴァンガード』…。プレイヤーが先導者として惑星クレイのユニットを率いてファイトするカードゲーム……。

……私が、この子を導いて…。」

 

リンは少し呟いて、すぐに首を振った。

 

リン「いやいや、私には絶対無理…!!それにこれは、お兄ちゃんの物だし……!!」

 

そんなこと言っていると、外で大きな音が立つ。

 

ヒカル「やっべぇ!!!カードがねぇ!!

どこに落とした!?!?」

 

ドタドタと足音を立てて兄が階段を降りていく。

それに気づいたリンは、部屋の外に出て慌てている兄に声をかける。

 

リン「お兄ちゃんどうしたの…?」

 

ヒカル「カードが1枚ねぇんだ!

ちょっと探してくる!!」

 

そう言ってヒカルは外へ飛び出していく。

 

リン「あっ……!」

 

リンは兄が落としたカードを手に持ったまま家に置いていかれてしまう。

 

リン「お兄ちゃんが落としたカードって……多分これのこと…だよね…?」

 

リンは部屋に戻って着替えて兄を追いかけるべく外へ向かった。

 

リン「お兄ちゃん…、どこにいるの…!?」

 

久しぶりに外へ出たこともあってか、リンは疲れて息を絶え絶えになりながら兄を探していた。

ふと顔をあげると、『カードキャッスル』と書かれた看板があった。

 

リン「もしかして…お兄ちゃんはここにいるのかな…?」

 

リンは勇気を振り絞って店の中に入ると、大勢の人がいた。

その中に兄であるヒカルもいるのだが、店の奥にいるのか、リンの今いる位置から見えなかった。

 

??「いらっしゃい。初めて見る子だね。」

 

リン「ひゃっ!?」

 

大柄の男性が声をかける。

それに驚いたリンは大きな声を出してしまう。

 

??「あぁ、悪い悪い…。

……俺は『鬼塚ソラト』。ここのオーナーをやってるんだ。」

 

リン「あ、そ、そうなんですか…。」

 

ソラト「君が持ってるカード、ヴァンガードだよな?

君もヴァンガードファイターなのかい?」

 

リン「い、いや…その…。これ、お兄ちゃんが家に落としていってて…それを渡しに来たんですけど……。」

 

ソラト「お兄ちゃん……?

君、名前は?」

 

リン「あ、大導寺リン…って言います…。」

 

ソラト「大導寺……?

あぁ、ヒカルの妹ちゃんか!!ヒカルならさっき店の奥にドタドタと向かってったぞ?」

 

リン「ほ、本当ですか…!?」

 

ソラト「おう。行ってきな!」

 

リン「はい…!」

 

リンが店の奥に向かうと、そこに慌てているヒカルがいた。

 

リン「お、お兄ちゃん…!!」

 

か細い声でヒカルに声をかけると、ヒカルはさぞ驚いた様子で声をあげる。

 

ヒカル「うぉぁ!?リン!?なんでこんな所に!?」

 

リン「お、お兄ちゃん…これ、落としていってたよ…?」

 

そう言って、『FL∀MMe-G ロージア』のカードをヒカルに手渡す。

 

ヒカル「あぁ、ありがと……。

……あぁ〜!!良かったぁぁぁ!!まじで失くしたかと思った〜〜!!!!」

 

??「良かったな、ヒカル。」

 

ヒカルの前にいた青年がヒカルへ声をかける。

 

??「君がヒカルの妹かい?」

 

リン「は、はぃぃ!?」

 

??「あぁ、怖がらせてごめんな?

俺は『元宮セイジ』。ヒカルとは友達でな。君の話はヒカルから聞いてたんだ。」

 

ヒカル「ごめん!こいつにくらいしか相談出来るやついなくてさ!!」

 

セイジの一言に反応して、ヒカルは手を合わせてリンへ謝罪した。

 

リン「だ、大丈夫だよ…?

じゃあ……私、帰るから…。」

 

リンはそう言って、少し物悲しそうに帰ろうとする。

そんな背中を見て、ヒカルはリンを呼び止めた。

 

ヒカル「リン!

良かったらヴァンガード、やってみないか?」

 

リン「えっ…?!」

 

ヒカル「これ、お前にあげようと思ってデッキ作ってたんだよ…。

だからさ、これお前にやるよ。」

 

リン「わ、私なんか無理だよ…!この子を導くなんて…!!」

 

セイジ「導くって言ったって、この子になるのは君なんだよ。周りの子達は君を助けてくれる仲間なんだ。

この子は、アイドルなんだよ。」

 

リン「アイドル…?」

 

セイジ「うん。

アイドルを夢見て、この仲間の輪に入ったけれど、自分の思い描くアイドル像とはかけ離れたものだったけれども、頑張っているんだよ。」

 

リン「……。」

 

ヒカル「……強制はしない。どうしたいかは、リンが決めて?」

 

リンは考えていた。

アイドルを夢見て、努力を重ねたものの、上手くいかず笑われ、クラスメイトから心無い言葉を受けて苦しむ自分を、無意識にロージアを重ねていた。

 

この子は、思い描いたアイドルじゃなくても、挫けずに努力してる。

私も……1歩踏み出してみたい……。

 

リン「やる!私、ヴァンガードやってみたい!!」

 

セイジ「お、やる気になったんだな!!」

 

ヒカル「せっかくなら、俺が横で教えながらやるから、セイジが相手になってよ。」

 

セイジ「おう、いいよ。」

 

リン「えっ…お兄ちゃん…?!」

 

ヒカル「大丈夫。

……自分を信じて、頑張ってみな。俺がついといてやるから。」

 

セイジは鞄からデッキを取り出してシャッフルする。

 

セイジ「んじゃ、俺はこっち使うか。」

 

ヒカル「言っとくけど、手加減してやれよ?」

 

セイジ「ん?あぁわかってるよ!」

 

セイジはそう言ってグーサインを出す。

 

リン「私も、これをシャッフルして……。」

 

シャッフルを終えて、テーブルにデッキを置くリン。

 

セイジ「よし、じゃあ上から5枚数えて、それを手札にするんだ。」

 

リン「1、2、3、4…5。

これが、手札…?」

 

セイジ「じゃあ、ジャンケンだな。」

 

リン「は、はい!」

 

2人「「最初はグー!じゃんけんぽん!」」

 

セイジ→チョキ

リン→パー

 

セイジ「じゃあ、俺の先攻だな。それじゃあ、まずは手札を見てみよう。」

 

リン「はい!見ました…!」

 

セイジ「うん。

そしたら、1度だけ引き直しができる。これを『マリガン』って言うんだ。」

 

ヒカル「ちなみに、好きな枚数戻すことができるからな?

……今は、これとこれを戻してみて。」

 

ヒカルはそうして、リンの手札を指さす。

 

リン「この、枠が黄色いやつ…?」

 

ヒカル「そう。

この2枚みたいな黄色のやつは基本的にデッキに戻しちゃっていい。」

 

リン「じゃあ……この2枚でいいの?」

 

ヒカル「うん。」

 

セイジ「じゃあ、俺は3枚変えるぜ。」

 

リン「私は、2枚…です。」

 

セイジは慣れた手つきでマリガンをすませる。

 

セイジ「あ、戻すやつを山札の下に置いて、上から戻したぶん引き直してな?」

 

リン「はい!」

 

セイジ「そしたら、また山札をシャッフルしてな?」

 

お互いのデッキをシャッフルして元の場所に戻す。

そして、セイジはライドデッキからG0を置く。

 

セイジ「ライドデッキってところから、左上に0っていう書いてあるやつを真ん中に置いて?」

 

リン「ライドデッキ……あ、この横のやつですよね?」

 

ヒカル「うん。そこからこれを真ん中に置いて?」

 

リン「うん…!」

 

リンはG0『FL∀MMe-G ブルクレィア』を真ん中に置く。

 

セイジ「準備が出来たら、『スタンドアップ!ヴァンガード!』の掛け声でG0を捲る。

準備はいいな?」

 

リン「はい、大丈夫です…!」

 

2人「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」

 

……To be continued






次回、第2話:初めてのヴァンガード
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