青空の下で、管理人と司書補は何を見る 作:Olrand621
アントン「……あれは何だ?」
ナレ「頭目ムルソーのバグが直って意気揚々と射影戦闘レイホンに挑んだら、22ターン掛かって疲労と徒労感でああなってるらしいよ」
アントン「何故適正の無い剣契で……?」
投稿者「骨断が撃ちたかった、それだけだ」
アントン「……馬鹿だな」
ナレ「馬鹿ですね」
投稿者「ゴフッ(死んだ音)」
以上、本編に全く関係ない茶番(実話)でした
Xにバイパーに言伝をするよう頼まれたホシノは、あくまで自身が騙されていた場合のリスクを考慮し、周辺を警戒しながら、バイパーを探していた。
(……周りには誰もいない。少なくとも奇襲が目的では無さそうかな?)
それでも何があるかは分からない、引き続き警戒は続けよう。そう思いながら少し歩いていると、細い煙が立ち上っているのが見えた。その方向に歩いて行くと、足元に10本を超える吸い殻を転がしながら、煙草を吹かしているパイパーがいた。
「うへ〜、探したよ。こんなに長い時間戻って来ないなんて、よっぽと煙草に飢えてたのかな?」
「……ようやく来たか。管理人も、仕事が遅い」
「……どういう事かな〜?おじさんがあなたを探しに来たはずなんだけど」
バイパーの発言に、表情には出さずとも、一気に警戒心を引き上げるホシノ。それを見たバイパーは一際大きく煙を吐き、煙草の火を踏み消した。
「管理人から指示されたんだ。お前が抱えている物を暴いて来い、と。……まあ、大体見当は付いてるんだが」
「へぇ、どんなの?言ってみてよ」
眠たげな表情のまま、挑発するように言うホシノ。
「なら遠慮なく言わせて貰おうか。まず一つ、俺たちに対する視線だ。外部から来た者……いや、ここの構造を考えると、正確には『大人』か。それに対する強い疑念と恨み……。そこから考えられるのは、救いの手だと思って取った手に、泥沼に沈められた事がある……そんな所か?」
「……」
ホシノの沈黙を肯定とみなし、バイパーは再び話し始める。
「そしてもう一つ。その目。俺たちに良く似た、その目だ」
「……そんなに似てるかな〜?おじさん、この目は結構珍しいと思ってるんだけど」
「外見の話じゃない事は分かっているだろう。俺たちと同じ、何かを失った者の目」
「──お前、過去に大切な人間を亡くしたことがあるだろう。そしてそれを自分のせいだと思い続けている。……違うか?」
「ッッ!!!」
そのバイパーの言葉に対し、ショットガンを突き付けることで答えたホシノ。しかしその目には、明らかに動揺が浮かんでいた。
そして反対に、バイパーはショットガンを突き付けられながらも表情を変えず、ただただ冷静にホシノを見つめていた。
「……少しでも動いたり、余計なことを言ったら撃つ」
「残念だが、その言葉は大して怖く感じないな。そういう脅しは、手足の一つでも潰してから言うものだ」
「……望み通りにしてやる」
ホシノが引き金を引き、散弾がバイパーの左足へと放たれる。しかしバイパーはそれが分かっていたように半身になり、その攻撃を回避した。そしてそのまま剣を抜き、ホシノへと切り掛かった。
ホシノはその攻撃を盾で防ぎ、身体を右に捻ってからシールドバッシュを繰り出す。バイパーはその勢いに逆らわずに後ろへと弾き飛ばされ、距離を離す。
二人の距離が再び元に戻る。
今度も先に動いたのは、バイパーだった。腰のホルスターから拳銃を引き抜き、素早く発砲した。しかしホシノは弾丸を意に介さず、姿勢を低くし、盾ではなくその肉体でもって弾丸を弾きながら、不規則な軌道でバイパーに接近する。
(牽制にもならないか)
心の中でそう毒づきながら、拳銃をホルスターに仕舞い直し、再び剣を下段に構える。
そして両者の距離が僅かになった瞬間、ホシノが盾を前方に突き出したまま、ショットガンを連射した。
しかし──
「──読めているぞ」
その攻撃が分かっていたかの様に絶妙な瞬間を縫って回避したバイパーによって、直撃すれば確実に動きを止められた筈の弾丸は、ただ空を切るだけに留まる。
そして、バイパーは回避すると同時に剣を振りかぶり、ホシノの盾の側面を薙ぎ払った。
その強烈な一撃に、ホシノから盾が剥がされ、体制が崩される。ホシノもただでは終わらず、盾の重みを利用し、半身になってショットガンを突き出すが──
「遅い」
その方向には既にバイパーはおらず、ホシノの首には鋸刃が押し付けられ、僅かに血が流れていた。
このままバイパーが鋸刃を引けば、ホシノの皮膚は引き裂かれ、いくらヘイローを持つ生徒であろうと危険な程の量の血が噴き出るだろう。
──つまりそれは、この場においてバイパーが、小鳥遊ホシノの生殺与奪を握ったことに他ならない。
「……クソッ」
「残念だったな。俺とお前では、超えてきた場数が違う──と言いたいが、お前の技量も優れていた。今回俺が勝てたのは、ただの運だろうな」
「……」
「……武器を下ろせ、俺も剣を収めるから。少し肩の力を抜くと良い」
「……分かった」
ホシノがシャットガンと盾を下ろしたのを確認したバイパーは、ホシノの首から剣を離し、ホシノに見せるようにしながら剣を鞘に収めた。
「──よし。じゃあ、お前に……いや、過去のアビドスに何があったか、話してくれないか?」
「……は?何で、お前なんかに──」
「まず、
「……!」
「どうだ。話してくれるか?」
「……分かった。話す」
そうしてホシノは、自分とアビドスの過去を少しずつ話し始めた。
「……成程。確かにそりゃあ、外から来た大人である俺たちなんて、信用できなくなる訳だ」
「……そうだ。お前らなんか信用しない。お前らみたいな、汚い大人なんか──「ああ、それで良い」……え?」
自分の拒絶の言葉に対して、予想外に肯定されたことで、ホシノの口から呆気に取られたような声が漏れた。
「お前が俺たちを信用しなくても、別に構わん。というか、むしろその位警戒心が高い奴がいた方が、俺たちも安心できる」
「──」
「さっきも言ったが、俺が今回こうしているのは、お前のことをより深く知りたいから、そしてお前の肩の荷を少しでも降ろさせるためだ。俺たちを信用して貰おうなんて思惑は一切無い」
「……何で」
ホシノが、あり得ないものを見る様な目でバイパーを見上げる。
当然だろう。ホシノが今まで見てきたのは、自分たちに手を貸すフリをして騙してくる大人が殆どだった。さらに言ってしまえば、目の前の大人はついさっきまで自分と戦い、そして自分を下したのだ。その状況からこんなことを言ってくるなど、考えもしなかったのだ。
「……理由などついさっき言った筈だぞ。それとも、この説明では納得できないか?」
「……」
「……まぁ、お前がどう考えようと構わない。約束だ、お前も過去を話してくれたんだし、俺も自分の過去を話そうか」
黙ってしまったホシノにそんな言葉を投げかけたバイパーは、少し間を置いてから、自らの過去を話し出した。
──苦痛に満ちた、都市での過去を。
次回に続きます。
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