青空の下で、管理人と司書補は何を見る   作:Olrand621

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中指ヒースを20連で引けたので初投稿です。
……嘘です、友人に引いてもらいました。友人に引いてもらうとポンポン星3とかE.G.Oとか出るのに自分で引くと最低保証なの辛い。


準備編
仕事


 奪還作戦成功から次の日、シャーレのオフィスではX、そして司書補全員が集まり、あることを話し合っていた。

 

 それは、司書補たちのここキヴォトスでの扱い……つまりは、仕事の話であった。

 

「結局、私たちって何の仕事すれば良いんですかね?」

 

「そりゃ、このシャーレに所属して、管理人を手伝えば良いんじゃないのか?七神もそんな感じのことを言ってた訳だし…」

 

「いや、それはやめた方が良いだろう」

 

「え、何でですか?」

 

「考えてもみろ。連邦生徒会長が消えてから現れたポッと出の組織が、これだけの戦力を抱えていたらどうなると思う」

 

「…あー、成程ね〜?そういうことか〜」

 

「分かったんですか?」

 

 Xの意図を素早く理解したデボンは、他の司書補に対して説明を始めた。

 

「ほら、昨日来たあの子たちいるじゃん?多分あの子たちは、自分たちの指揮をした管理人……あと、前線で暴れてた俺たちのことを上の人に報告すると思うんだよね。で、報告を受けた人は、あの人数の不良生徒と戦車を余裕で殲滅した俺たちと、ほとんどどこで何をするも自由なほどの権力を持つ管理人のことをどうすると思う?」

 

「……まだ組織としての方針が定まっていない内に自分たちの組織で抱き込んで、権力と戦力を自分たちが好きに扱えるようにする…か」

 

「そういうことだ。ついでに言えば、強大な権力を持つ組織が力も兼ね備えているということを不安視する奴もいるだろうな」

 

 誘導から最も早く正解を導き出したアントンの言葉に、全員が納得の表情を浮かべた。

 

 都市では新しい翼が大きな戦力を持っていたとしても、それは「翼だから」という説明で片付いてしまう。だからこそ、司書補たちには新しく立ち上がった"裏の"と頭に付くわけでもない組織が、力を持っていることで警戒されるという考えが無かったのだ。

 

「成程ねぇ…でも、それならどうするんだ?他の学園にでも所属するか?」

 

「それでは本末転倒だろう。結局、お前たちが属した学園が過剰に力を持ち、その他の学園との力の差が生まれるだけだ」

 

 そう、全員が頭を悩ませていると、バイパーの頭にある考えが過った。

 

「……事務所を作る、ってのはどうだ?」

 

「事務所……フィクサーの所属する事務所のことだな?」

 

「ああ。このシャーレ直属の事務所を作るんだ。そうすれば、管理人の指示でも動けるし、依頼という形で外部の組織と個人も戦力を利用できるから、反感も買わないんじゃないか?」

 

「……悪く無い考えだな」

 

 少し待っていろ、と言って、Xは席を立ち、オフィスに備え付けられた電話で誰かと会話し始めた。数分すると、頼んだぞ、と言ってから電話を切り、司書補たちの方へと戻って来た。

 

「七神に掛け合っておいた。今日の午後に話をつけてくるから、それまでに事務所の詳細について話し合っておけ」

 

 そう言うと、Xは書類が山と積まれた自分の席へと移動し、その山を崩し始めた。自分たちの仕事に関することは自分たちで決めろ、ということらしい。そうして、司書補たちの会議が始まった。

 

「……で、何から決めて行く?」

 

「とりあえず、誰を事務所の代表にするかだな」

 

「うーん……この中で適任なのって誰だろう?」

 

「そもそも、基本的に管理人がトップって感じだから、あんまり俺らの中でのリーダーって思いつかねぇんだよな……」

 

 ローガンの言った通り、ロボトミーでは管理人の指示で動き、図書館では特に指揮も無く、それぞれが自分の意志で動いていたため、誰がこの部門のチーフだった、というのはあってもリーダーと言える人物司書補の中にはいなかったのだ。

 

 そうしてしばらく悩んでいると、不意にポールがパッと顔を上げた。

 

「……そういえばバイパーさん、昔は事務所の代表をやってたって言ってなかった?」

 

「ああ、そうだが……っておい、まさか」

 

 次の言葉を予想して顔を引き攣らせるバイパーと対照的に、ポールは笑顔を浮かべて言い放った。

 

「事務所の代表……バイパーさんがやってくれない?」

 

「そう来ると思ったよ……あの話しをした時、俺の事務所のメンバーが俺のせいでどうなったかも話しただろ?確実に俺じゃ無い方が良いって」

 

「でも逆に言えばその時まではほとんど問題無く経営してたんだろ?事務所のランクも、結構上の方だったんだし」

 

「そういう問題じゃなくてな……そんな問題起こした奴に、重要な役割を任せられるのかって話だ」

 

「当たり前でしょ?」

 

「………」

 

 自分の質問に対して即答で答えたポールに、バイパーは面食らった。

 

「私が今まで見て来たのは……事務所で多くの仲間を死なせた姿じゃなくて、教育チームで、新人の子たちが死なないように必死に頑張って、図書館では接待の度に他の人を庇って、傷だらけで戦う姿だから。任せられない訳ないでしょ?」

 

 ポールはどこまでも真っ直ぐにバイパーを見据えながら、そう言い切ってみせた。

……そういえばこういう奴だったな、こいつは。

 バイパーはそう思いながら一つ溜め息を吐き、観念したように苦笑した。

 

「……分かったよ、やれば良いんだろ。……全員、それで良いか?」

 

 バイパーがそう確認を取ると、「異議な〜し」「ああ、問題ない」「大丈夫ですよー」「頼んだぞ」と、満場一致でバイパーに任せる旨の言葉が返ってくる。その様子に、ポールはますます笑みを深くした。

 

「ほらね。皆、バイパーさんを信頼してるんだよ。それに、ここにいる全員が少しミスをしたくらいで死ぬほど弱くないってこと、分かってるでしょ?」

 

「……はっ。ああ、そうだな」

 

 バイパーはその言葉に安心したように安心したような笑みを浮かべ、顔をパッと上げて、声高々に宣言した。

 

「分かった。事務所の代表という役職、俺が引き受けよう」

 

 その宣言に、司書補たちの間から歓声が上がる。そしてその流れのまま会議が終わる……かと思ったが、ここでトムが重大なことに気付いた。

 

「そういえばぁ……まだ、事務所の名前決めて無くないですかぁ?」

 

『!?』

 

 そう、司書補たちにはまだ重要な議題が一つ残っていたのだ。

 

「確かに……代表を誰にするかって話に集中してて、名前決めなんて完全に忘れてたな……」

 

「うーん……これ、代表を決めるのより難しくない?」

 

「名前を思い付いても……もう都市に同じ名前の事務所がある気がするんだよな?」

 

「別にここは都市じゃないから問題は無いんだけど……なんかそれだと嫌なんだよなぁ……」

 

 そうして、Xが書類を捲る音と司書補たちの唸り声だけがシャーレのオフィスに響く状況が数分、あるいは十数分続いた時。

 

「……傘」

 

 ただ黙ってだけいたアントンが、ぽつりとそう呟いた。

 

「……え?」

 

「傘事務所、というのはどうだ?」

 

「傘、か……。理由を聞いても良いか?」

 

「ここが連邦生徒会に関係した事務所ということは、来る依頼は必然的に抗争や暗殺の依頼ではなく、護衛か、あるいは単なる『困りごと』の解決といった比較的平和な依頼になるはずだ。なら、俺たちは依頼人を障害から守る傘になれば良い」

 

「成程、悪く無いな…」

 

「傘っていうのもおしゃれだしね」

 

「何と言うか……兄さんって、戦闘以外も出来たんだね?」

 

「お前は俺を何だと思っているんだ?」

 

 冗談だよ、と笑いながら言っているナレに対して嘆息するアントンを一旦放置し、バイパーは再び全員に確認を取った。結果は、先ほどと同じように満場一致だった。




あと1話くらいでストーリーを本格的に始められる……はず。
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