青空の下で、管理人と司書補は何を見る   作:Olrand621

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 大ッ変お待たせいたしましたァァァァ!!!
活動報告で言った通り、ルーターが逝って投稿出来ずにいました。
ただ、ルーター自体は5月下旬には直っていたんです。
 じゃあ何で今まで投稿してなかったのかって?
学校<中間の1ヶ月後に期末テストな^ ^→は ? ? ?
ルーター<もっかい死んどきまーすw→は ? ? ? ?
 ってな感じで投稿出来ずにいました。泣きを入れたらもう1発ってレベルじゃねぇぞ!

まええわ。(大寛容)今回はXではなくアントン視点でお送りします。


再び灯る炎

「……着いたか」

 

 無賃乗車をした奴に銃を乱射しているハイランダーの生徒共を尻目に列車から降りると、そこにはキヴォトスの景色の中では最も都市の巣に近いであろう、近未来的な光景が広がっていた。

 

 俺は今、昨日購入し、そして即座に破損したショットガンの修理と改造、そして()()()()のためにここ、ミレニアムにある『エンジニア部』という部活を訪ねて来ていた。

 

 ……もっとも、30分以上の説教を喰らった相手が所属する学園に、説教を喰らった原因に関連する用で赴くというのは、中々思う事があるのだが。

 

 とはいえ、俺の要件を満たせる技術力を持っていそうな集団が調べた範囲ではこの学園にしか無かったのだから、背に腹は変えられないだろう。

 

 そんな訳で、入館手続きを終え、校舎内を適当に歩いていたのだが、やはりと言うべきか、建物の構造は外見通り複雑で、ここについて一切知らない俺一人では到底辿り着けそうも無かった。

 

 適当に誰か捕まえて位置を聞こうかと思った時、向こう側から騒がしい声が聞こえて来た。どうやら二人組のようだ。

 

「ほらミドリ、急いで!早く行かないと売り切れちゃうでしょ!?」

 

「待ってお姉ちゃ──あ、危ない!!」

 

「え?──うわあ!?」

 

 そして、話していて前を見ていなかったのだろうピンク色の猫耳の飾りを着けた少女─呼び方、そしてよく似た容姿からすると、おそらく双子の姉なのだろう─が、派手な音を立てて俺に衝突した。

 

「お姉ちゃん!す、すいません……!」

 

 後ろ向きに倒れた自分の姉を見て、後ろを走っていた緑の飾りを着けている方の少女が駆け寄って来て、すぐに俺に謝って来た。

 

「構わん。むしろ、そいつの方こそ大丈夫か?」

 

 俺がそう聞くと、今まで倒れたきり、うーん…と唸ってばかりいた少女が勢いよく起き上がった。

 

「……はっ!?あ、あれ、何で私こんな所で……」

 

「何でじゃないよ!お姉ちゃんがこの人にぶつかったんでしょ!ちゃんと謝って!」

 

「あっ、そうだった!ごめんなさい!!」

 

 ……こちらの少女の方が姉だという俺の見立ては、間違っていたのだろうか。

 

 そう思ってしまうほど、ピンクの飾りを着けた少女は元気─有り体に言ってしまえば、ひどく子供らしかった。とはいえ、俺も昔はナレの方が落ち着いていると言われる事が多かったので、案外性格にどちらが兄、または姉かなんてものは関係無いのかもしれない。

 

 そんなどうでもいい事を考えながら、俺は二人に目的の場所について尋ねてみることにした。

 

「ところで、エンジニア部の部室がどこにあるか知っているか?」

 

「エンジニア部って……あの頭の良い変な人たちが集まってる所ですか?」

 

「えっ!?お兄さん、あんなとこに行くの!?」

 

 随分な言われようだった。

 

 あまりそこについて知らなさそうな少女たちからここまで言われるとは、一体何をやらかしたんだ?

 

 若干の不安が芽生えて来たが、ここまで来ている上に事前に連絡を入れている以上、ここで帰る方が面倒なことになるだろうし、そもそも技術力的にここ以外に依頼出来る所が無いからここに来たのだろうと心の中で自分を説得し二人に案内を頼むと、ピンク色の飾りの方が何かを思いついたように声を上げた。

 

「そうだ、お兄さん。ぶつかっちゃったお詫びに、良い事教えてあげる!」

 

 そう言って、少女は手招きをしてくる。そこまでの秘密だとは思えないが、そうしなければ話してくれなさそうなので、一先ず耳を近づけておく。

 

「─────」

 

「…ふむ」

 

 それを聞いた俺は一つ頷き、感謝する、と言ってから二人に教えられた道に沿って再び歩き始めた。

 


 

「…ここか」

 

 あれから10分ほど歩いた後、俺は無事にエンジニア部の部室へ辿り着いた。

 

 ……中から爆発音が聞こえるが、試作品のテストでもしているのだろうか?それにしては、やけに爆発音が続いているが…

 

 しばらくすると爆発音が収まったのでノックをしたが、中からの反応は無い。この手の技術者連中は何かの作業に集中して聞こえていない可能性があるので、もう少し強めにノックしてみる。少しするとドアが開き、煤の付いた薄紫の髪の分厚い手袋を着けた生徒が出て来た。

 

「依頼した件で来たんだが、ここの部長はいるか?」

 

「部長なら私だが、依頼というと……ああ、あれか。すまない、さっきまで制作に熱中していてね、少し忘れていたよ。さ、中に入ってくれ」

 

 そう言われて中に入ると、部屋の中には部長の他におそらく部員だと思われる金髪の少女がおり、雑多なものや工具が散らばっていた。調べたときには部員は3人とあったので、一人はどこかに行っているのだろうか。

 

「さて、改めて自己紹介をしておこうか。私はここ、エンジニア部の部長でありミレニアムのマイスターでもある、白石しらいしウタハだ。よろしく頼むよ」

 

「電話でも名乗ったが……シャーレ直属事務所、『傘事務所』のアントンだ。よろしく頼む」

 

 互いに自己紹介しつつ差し出された手を握ると、白石は仕事の話を始めた。

 

「さて、依頼された件だが……ショットガンの修理と補強、そして武器の製作だったが、間違いないね?」

 

「ああ」

 

「よし。取り敢えず、ショットガンの方を見せてくれるかい?」

 

 そう言われて白石に壊したショットガンを渡すと、驚いた顔をされた。

 

「これは中々……。何をしてこうなったんだい?」

 

「普段使っている武器と同じように、敵を殴りつけたらこうなってな。今後そういった使い方をしても変形しない程度に補強して貰いたい」

 

「成程……。そのレベルの補強をするとなると、少し重量が嵩んでしまうんだが、そこは大丈夫かい?」

 

「ああ。むしろそのままの状態だと軽すぎて手に馴染まなかったんだ、少し重くなるくらいが丁度いい」

 

「了解だ。ならこっちは良いとして……もう一つの武器の製作の話に移ろうか」

 

「その事だが、製作というよりは、複製と言った方が正しいかもしれないな。取り敢えず、これを見てくれ」

 

 俺がそれを取り出すと、白石は怪訝な顔を浮かべた。

 

「…それは?ただの手袋に見えるが…」

 

「まあ、これに関しては、説明するよりも見せた方が早いだろうな」

 

 俺がその手袋を嵌めて腕を振ると、白石がほう、という声を上げた。

 

「なるほど、まさか手袋から炎が出るとはね。その機構を複製して欲しい、という訳か」

 

「ああ。これはあくまで借り物でな、自前の物が必要なんだ」

 

 そう、俺が持って来たのは、リウ協会の手袋だ。今日は戦うようなことは無いだろうと言っていたので、複製のためにセルゲイに貸してもらい、持って来ていたのだ。

 

「それと、その機構をこの刀にも取り付けて貰いたいのだが」

 

「ふむ…。少し見せてもらっても良いかい?」

 

「勿論だ」

 

 刀を鞘ごと渡すと、すぐに刀を抜いて刀身を凝視し始めた。そのまま少し待っていると、こちらへ刀を返して来た。

 

「いやはや、良い物を見せてもらったよ。超銃社会のここキヴォトスでこういった武器を見ることはごく稀だが…。それでもとても良い武器だということがはっきりと見て取れたよ。耐久性と切れ味をこうまで両立させるとは技術者として感嘆せざるを得ない。この刀はどこで製造されたんだい?」

 

「…さあな。その刀は…ある意味では、俺の物では無いからな」

 

 俺の言葉を聞いた瞬間、それまで技術者特有の興奮した表情と早口で語っていた白石が、怪訝な表情を浮かべた。

 

「自分の物では無い…?まさかとは思うが、誰かから奪ったものじゃないだろうね?」

 

「…それも、ある意味ではそうと言えるだろうな」

 

「……」

 

 俺がそう言うと、白石がじっと見つめて来る。そのまま互いに沈黙が続いたが、しばらくすると追求を諦めたように溜め息を吐いた。

 

「…まあ、その部分においては聞かないでおこう。それで、結論から言おうか。この刀にこの手袋と同じ機構を取り付けるのは、私たちには不可能だ」

 

「…一応、理由を聞いておこうか」

 

「これだけの機構となると、既に完成している物に仕込むのは難しい。そうなると、新しい物を作るしかないんだが…。さっきも言った通り、キヴォトスは超銃社会だ。必然的に、この手の近接武器に関する技術を持っている者もあまりいない。…残念ながら、私たちもそう言った持っていない側の一員なんだ。…マイスターとしては、恥ずかしい限りだがね」

 

 そう言って、白石は自嘲したような笑みを浮かべた。

 

「…そうか。ただ、その言い方だと手袋の方は出来るんだな?」

 

「ああ。そっちは複製…つまり、模倣して"新しく作る"訳だからね。何とか出来るだろう。それと…」

 

「何だ?」

 

「先ほど刀の方は無理だと言ったが、似た様な仕掛けなら仕込めそうだ」

 

「…ほう?」

 

 白石は「見せたいものがある」と言って、少し離れた場所に置いてある何かを持って来た。差し出されたそれは、何かの回路だった。

 

「これは?見た所、僅かに熱を持っている様だが…」

 

説明しましょうっ!!

 

「!?」

 

 思わず振り向くと、そこにはいつのまにか、部室に入って来た時に見えた金髪の少女がいた。そして、驚く俺を全く気に留めずに早口で解説を始めた。

 

「それは私達エンジニア部が開発した、『温めくんMk.4』です!フライパンなどの金属製のものに取り付けることで温度を上昇させる装置で、なんと電源を入れて10秒で500℃に到達するほどの上昇効率を誇ります!さらにBlueToothも搭載していて、スマホでの操作も可能になっています!そして特定のコードを入力すると自爆装置が作動し、半径20m程の大爆発を起こします!加えて─」

 

「ああ、お前らが存分に工夫を凝らした物のということは分かった。そして、俺がこれを貰う立場であるということを承知の上で聞かせてもらおう。…これは、何に使う想定で設計されたんだ?」

 

「……」

 

「……」

 

 俺がそう聞くと、二人は口を噤んだまま明後日の方向を向いた。

…何故か不安になって来た。俺は自分の武器に、何を取り付けられようとしているんだ?

 

「…それは元々、フライパンなどの調理器具に取り付けて、どこでも調理が出来る様にする、という用途の物…だったのだがね。"うっかり"温度の調節機能を取り付けるのを忘れてしまってね…。結果、とんでもない使い勝手の悪さになってしまったという訳さ」

 

「……」

 

 俺は絶句した。この機構の使い勝手の悪さではなく、こいつらの考えの及ばなさにだ。何故そんな機構を作る頭脳があるのにそんな簡単なことに考えが及ばないのか。これではあの姉妹に"変な人たち"と呼ばれるのも納得だろう。

 

「…というか、何故戦闘用でもない、調理用の物に自爆機能なんて取り付けた?誘爆する可能性もあるだろうに」

 

「そんな事、決まっているだろう?もちろん…」

 

ロマンのためさ!ロマンのためです!

 

「…」

 

 頭が痛くなって来た。思わず額に手を当てる。顔を上げると、白石が神妙な顔でこちらを見ていた。

 

「…逆に、こちらから聞かせてもらおう。ここは超銃社会だ。それに、君はこの前のシャーレ奪還戦でその刀を使わなかったそうじゃないか。そんな君が、わざわざ刀に改造なんてする必要はあるのかい?」

 

 …成程。

 

 この質問、そしてさっきのこいつらの言動。

 

 …あの少女が言っていたのは、こういう事か。

 

「…単純だ。誰もが絶望する大敵、あるいは大群を前にして初めて剣を抜き、そして道を拓く。それはとても─」

 

 そこで一度言葉を切り、まっすぐに白石の目を見る。そして、ゆっくりと次の言葉を口にした。

 

「ロマンがあると、思わないか?」

 

「最高だ。今すぐ作業に取り掛かろう。」

 

 俺たちは、固い握手を交わした。

 

 


 

 

 それから数時間後、外で時間を潰していると白石から完成したとの連絡が来た。すぐにエンジニア部の部室に戻ると、入ってすぐの所に白石が刀と手袋、そして頼んだ覚えの無いブーツを持って待っていた。

 

「来たね。ほら、これが完成品だ」

 

「…このブーツは?こんな物を頼んだ覚えは無いが…」

 

「ああ、そのブーツは我々の判断で作った物だ。ほら、君は先の奪還戦で蹴りで戦車を横転させたそうじゃないか。だから普段から蹴りを多様するんじゃないかと思ってね。材料も余ったし、作らせてもらったという訳さ。余計なお節介だったかい?」

 

「いや、ありがたい。感謝する」

 

 …思ってもみない収穫だな。まさかブーツまで作ってくれるとは。確かにこれは、マイスターと呼ばれるのも納「ああ、それと自爆機能も付けさせて貰った。いざとなったらスマホで操作して起爆出来る様にしたよ」…前言を撤回させてもらおう。

 

「…悪いが、その機能は取り外してくれ。ただでさえ炎を扱うのに、何かの拍子に誘爆でもされると困る。…俺たちはお前たちと違って、手足の一つや二つは簡単に 持っていかれる様な体なんでな」

 

「…ッ、そう、だったね。すまない、すぐに取り外そう」

 

 俺が手袋とブーツを返すと、白石は焦った様な表情を浮かべながら作業スペースへ走って行き、10分もしないうちに戻って来た。再度手渡されたそれらは、先ほどよりも少し軽くなっていた。どうやら本当に取り外してくれた様だ。

 

「…すまないね。ロマンを追い求めるあまり、使用者の安全を度外視してしまうとは。マイスターとして、恥じるばかりだよ…」

 

「いや、これは俺たちとお前たちの常識が異なるせいで起こったことで、仕方の無いことだ。お前が恥じる必要は無い」

 

「…ありがとう」

 

 俺の言葉で割り切ることが出来たのか、白石の表情は元に戻った。

 

 その後は合間合間に挟まれる解説を聞き流しながら、支払いに関する話─『新しいアイデアをくれたから』という理由で、予想よりもかなり安くしてくれた─をつけて、来た時と同じように列車に乗り、D.U.区へと帰った。

 

 シャーレビルの事務所に戻ると、何故か管理人を含めた全員が集まって何かを話し合っていた。

 

「…何をしているんだ?」

 

「…戻ったか。今、決めるべき最後の規則について話し合っていたんだ」

 

「…E.G.Oについてのことか?」

 

 管理人が頷く。

 

「今後シャーレ俺たちに寄せられる依頼を解決する中で、E.G.Oを装着しなければ倒せない敵というのも、きっと出てくるだろう。そうした時に個人の判断でE.G.Oを使えば、俺たちはまだしも、生徒が発狂、最悪侵食される可能性もある。だから、規則を決める必要があると判断した」

 

 といってもちょうど決め終わった所なんだが。そう言うと、管理人はそのまま規則を話し始めた。

 

「まず、職員の判断でE.G.Oを使用することを禁止する。使用する際は必ず俺に許可を取れ」

 

「まあ、これは当然だろ。管理人も、自分の知らない所でE.G.Oを使われちゃ堪ったもんじゃないだろうしな」

 

「だが、管理人に連絡を取れない場面ではどうするんだ?」

 

「それに関してだが、俺と連絡を取れないかつ、E.G.Oを装着しなければ死ぬ危険性のある場合にのみ、職員自身の判断でE.G.Oを使うことを許可する。ただし、どんな場合においても、生徒にHEクラス以上のE.G.Oを使用すること、E.G.Oを使用させることは禁止する」

 

「…HE以上?逆に言えば、それ以下のクラスのE.G.Oは使えるのか?」

 

「HE未満…。つまり、ZAYINとTETHのE.G.Oなら職員のランクが低くても扱えるのが多かっただろ?だから生徒に使っても大した影響は出ないだろうし、使い方が叩き込まれるから管理人の護身用にも良いんじゃないかって結論になったんだ」

 

 成程、そういうことだったか。

 

「…しかし、何故今そんな事を決めたんだ?」

 

 俺がそう聞くと、何人かがにやりと笑みを浮かべた。

 

「お前が手に入れた装備も含めて…今日、この事務所を開く準備が整った」

 

「そして今日、シャーレに初の依頼が届いた」

 

「…!」

 

 

 

「今の内に準備しておけ。明日の早朝、救難要請が送られて来た場所…アビドス砂漠へと向かう」




やっと本編入れる…長かった…。
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