【実話】あの踏切で起きたことを書く   作:yami_craft

2 / 4
第2話をお読みいただきありがとうございます。

第1話に感想をいただけて、とても嬉しかったです。
続きを書く励みになりました。

今回は、踏切の「名前」と、そこで起きた過去のことが少しわかります。
そして、新たな謎も。

それでは、どうぞ。


踏切の名前

調べ始めたのは、二度目の水たまりを見た翌日からでした。

 

 仕事の昼休み、スマートフォンで検索しました。「踏切 名前 調べ方」。いくつか方法があることがわかりました。鉄道会社に問い合わせる。地図アプリで確認する。近所の人に聞く。

 

 一番確実なのは、近所の人に聞くことでした。

 

 

 その日の夜、帰宅途中にコンビニに寄りました。

 

 レジの店員は、五十代くらいの男性でした。このあたりに長く住んでいそうな雰囲気がありました。会計のとき、思い切って聞いてみました。

 

「すみません、この近くの踏切のこと、ご存知ですか」

 

 店員は少し驚いた顔をしました。それから、何か考えるように視線を泳がせました。

 

「踏切、ですか」

 

「はい。駅から歩いて十分くらいのところにある、小さな踏切です」

 

 店員は黙って頷きました。

 

「ああ、あの踏切ね」

 

「名前があるんでしょうか」

 

 店員は少し間を置いてから、答えました。

 

「蛍ヶ谷踏切、って呼ばれてますね。昔からの呼び名です」

 

 蛍ヶ谷。

 

 私は礼を言って、店を出ました。

 

 

 蛍ヶ谷踏切。

 

 名前を知ってしまったことを、少し後悔しました。

 

 理由はうまく説明できません。ただ、名前を知ってしまったことで、何かが変わった気がしました。それまでは「あの踏切」でよかった。でも名前を知ってしまった。名前を知るということは、関わりを持つということです。

 

 家に帰ってから、すぐに検索しました。

 

「蛍ヶ谷踏切」

 

 ヒットしませんでした。

 

「蛍ヶ谷」だけで検索しました。

 

 いくつかヒットしました。古い地図のデジタルアーカイブ。地域の歴史を記録したブログ。

 

 その中に、一つだけ気になる記事がありました。

 

 

 記事のタイトルは「蛍ヶ谷の由来について」でした。

 

 地域の歴史研究家が書いたブログでした。更新は十年前で止まっていました。

 

 要約すると、こういう内容でした。

 

 蛍ヶ谷という地名は、明治時代からあった。当時、このあたりには小さな谷があり、夏になると蛍が飛んでいた。だから蛍ヶ谷と呼ばれた。

 

 昭和に入って、谷は埋め立てられた。住宅地になった。蛍も消えた。でも地名だけが残った。

 

 そして、最後にこう書かれていました。

 

「蛍ヶ谷踏切の近くでは、過去に数件の事故が記録されている。詳細は不明だが、いずれも深夜の時間帯に発生している」

 

 それだけでした。

 

 詳細は不明。いずれも深夜。

 

 

 その夜、また夢を見ました。

 

 踏切に立っている夢でした。赤いランドセルが落ちています。私はそれを見ています。

 

 今回は少し違いました。

 

 ランドセルの蓋が、開いていました。

 

 中を見ようとして、目が覚めました。

 

 

 翌朝、踏切を通りました。

 

 いつもと同じ時間でした。朝の七時過ぎ。通勤の人たちが数人、踏切の前で待っていました。

 

 遮断機が上がりました。みんなが渡り始めました。

 

 私も渡ろうとして、足が止まりました。

 

 踏切の端に、また水たまりがありました。

 

 雨は降っていませんでした。三日間、雨は降っていませんでした。

 

 なのに、水たまりがありました。

 

 同じ場所に。

 

 ランドセルがあった場所に。

 

 

 その日の夜、また遅くなりました。

 

 終電近くの電車に乗りました。駅から歩き始めました。

 

 踏切の手前で、また立ち止まりました。

 

 今度は何かが落ちているわけではありませんでした。誰かが立っているわけでもありませんでした。

 

 ただ、音がしました。

 

 踏切の向こう側から、音が聞こえてきました。

 

 最初は風の音だと思いました。でも違いました。

 

 何かが、引きずられているような音でした。

 

 重いものを、ゆっくりと引きずっているような音でした。

 

 

 私は立ったまま、聞いていました。

 

 音は続いていました。

 

 どこから聞こえているのか、わかりませんでした。

 

 踏切の向こうなのか、線路の上なのか、それとも別の場所なのか。

 

 音は、少しずつ近づいてきました。

 

 近づいてくる、という表現が正しいのかわかりません。でもそう感じました。

 

 私は後ずさりしました。

 

 音が止まりました。

 

 止まったのは、一瞬でした。

 

 それから、また始まりました。

 

 今度は、反対側から聞こえてきました。

 

 私の後ろから、聞こえてきました。

 

 

 振り返りませんでした。

 

 振り返ってはいけないと思いました。

 

 理由はわかりません。ただ、そう思いました。

 

 私はそのまま、踏切を渡りました。

 

 渡りながら、音を聞いていました。

 

 音は、ずっと続いていました。

 

 家に着くまで、続いていました。

 

 

 その夜から、踏切を避けるようになりました。

 

 遠回りになりますが、別の道を通るようにしました。

 

 それでも、夢は見ました。

 

 同じ夢です。

 

 踏切に立っている夢。赤いランドセルが落ちている夢。

 

 ランドセルの蓋が、開いています。

 

 中を見ようとして、目が覚めます。

 

 

 避け始めて一週間が経ちました。

 

 ある朝、会社に向かう途中で気づきました。

 

 遠回りの道を歩いていたはずなのに、いつの間にか踏切の前に立っていました。

 

 どうやってここに来たのか、覚えていませんでした。

 

 気づいたら、踏切の前に立っていました。

 

 遮断機が下りていました。

 

 警報機が鳴っていました。

 

 電車が通過しました。

 

 遮断機が上がりました。

 

 渡ろうとして、足が止まりました。

 

 

 踏切の端に、何かがありました。

 

 小さな、白い紙でした。

 

 風に飛ばされそうになっていました。

 

 でも、飛ばされませんでした。

 

 何かに押さえられているように、そこにありました。

 

 私は近づきました。

 

 紙を拾いました。

 

 

 それは、メモ用紙でした。

 

 手書きの文字がありました。

 

 文字は、震えていました。

 

 書いた人が、何かを恐れながら書いたような文字でした。

 

 こう書かれていました。

 

 

「見ないでください」

 

 

──── 第2話、終わり ────

 

次回は、そのメモを持ち帰った後の話を書きます。

そして、私が初めて「声」を聞いた夜のことを。

 




【作者より】
この連載はClaude(AI)を使って生成した作品です(AI支援作品)。
「Claudeで書く恐怖の技法 ホラー創作プロンプト設計書」
こういう体験談形式の怪談の書き方を解説したプロンプト集をBOOTHで販売しています。

→ https://yami-craft.booth.pm/items/8030534
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。