【実話】あの踏切で起きたことを書く 作:yami_craft
第1話に感想をいただけて、とても嬉しかったです。
続きを書く励みになりました。
今回は、踏切の「名前」と、そこで起きた過去のことが少しわかります。
そして、新たな謎も。
それでは、どうぞ。
調べ始めたのは、二度目の水たまりを見た翌日からでした。
仕事の昼休み、スマートフォンで検索しました。「踏切 名前 調べ方」。いくつか方法があることがわかりました。鉄道会社に問い合わせる。地図アプリで確認する。近所の人に聞く。
一番確実なのは、近所の人に聞くことでした。
その日の夜、帰宅途中にコンビニに寄りました。
レジの店員は、五十代くらいの男性でした。このあたりに長く住んでいそうな雰囲気がありました。会計のとき、思い切って聞いてみました。
「すみません、この近くの踏切のこと、ご存知ですか」
店員は少し驚いた顔をしました。それから、何か考えるように視線を泳がせました。
「踏切、ですか」
「はい。駅から歩いて十分くらいのところにある、小さな踏切です」
店員は黙って頷きました。
「ああ、あの踏切ね」
「名前があるんでしょうか」
店員は少し間を置いてから、答えました。
「蛍ヶ谷踏切、って呼ばれてますね。昔からの呼び名です」
蛍ヶ谷。
私は礼を言って、店を出ました。
蛍ヶ谷踏切。
名前を知ってしまったことを、少し後悔しました。
理由はうまく説明できません。ただ、名前を知ってしまったことで、何かが変わった気がしました。それまでは「あの踏切」でよかった。でも名前を知ってしまった。名前を知るということは、関わりを持つということです。
家に帰ってから、すぐに検索しました。
「蛍ヶ谷踏切」
ヒットしませんでした。
「蛍ヶ谷」だけで検索しました。
いくつかヒットしました。古い地図のデジタルアーカイブ。地域の歴史を記録したブログ。
その中に、一つだけ気になる記事がありました。
記事のタイトルは「蛍ヶ谷の由来について」でした。
地域の歴史研究家が書いたブログでした。更新は十年前で止まっていました。
要約すると、こういう内容でした。
蛍ヶ谷という地名は、明治時代からあった。当時、このあたりには小さな谷があり、夏になると蛍が飛んでいた。だから蛍ヶ谷と呼ばれた。
昭和に入って、谷は埋め立てられた。住宅地になった。蛍も消えた。でも地名だけが残った。
そして、最後にこう書かれていました。
「蛍ヶ谷踏切の近くでは、過去に数件の事故が記録されている。詳細は不明だが、いずれも深夜の時間帯に発生している」
それだけでした。
詳細は不明。いずれも深夜。
その夜、また夢を見ました。
踏切に立っている夢でした。赤いランドセルが落ちています。私はそれを見ています。
今回は少し違いました。
ランドセルの蓋が、開いていました。
中を見ようとして、目が覚めました。
翌朝、踏切を通りました。
いつもと同じ時間でした。朝の七時過ぎ。通勤の人たちが数人、踏切の前で待っていました。
遮断機が上がりました。みんなが渡り始めました。
私も渡ろうとして、足が止まりました。
踏切の端に、また水たまりがありました。
雨は降っていませんでした。三日間、雨は降っていませんでした。
なのに、水たまりがありました。
同じ場所に。
ランドセルがあった場所に。
その日の夜、また遅くなりました。
終電近くの電車に乗りました。駅から歩き始めました。
踏切の手前で、また立ち止まりました。
今度は何かが落ちているわけではありませんでした。誰かが立っているわけでもありませんでした。
ただ、音がしました。
踏切の向こう側から、音が聞こえてきました。
最初は風の音だと思いました。でも違いました。
何かが、引きずられているような音でした。
重いものを、ゆっくりと引きずっているような音でした。
私は立ったまま、聞いていました。
音は続いていました。
どこから聞こえているのか、わかりませんでした。
踏切の向こうなのか、線路の上なのか、それとも別の場所なのか。
音は、少しずつ近づいてきました。
近づいてくる、という表現が正しいのかわかりません。でもそう感じました。
私は後ずさりしました。
音が止まりました。
止まったのは、一瞬でした。
それから、また始まりました。
今度は、反対側から聞こえてきました。
私の後ろから、聞こえてきました。
振り返りませんでした。
振り返ってはいけないと思いました。
理由はわかりません。ただ、そう思いました。
私はそのまま、踏切を渡りました。
渡りながら、音を聞いていました。
音は、ずっと続いていました。
家に着くまで、続いていました。
その夜から、踏切を避けるようになりました。
遠回りになりますが、別の道を通るようにしました。
それでも、夢は見ました。
同じ夢です。
踏切に立っている夢。赤いランドセルが落ちている夢。
ランドセルの蓋が、開いています。
中を見ようとして、目が覚めます。
避け始めて一週間が経ちました。
ある朝、会社に向かう途中で気づきました。
遠回りの道を歩いていたはずなのに、いつの間にか踏切の前に立っていました。
どうやってここに来たのか、覚えていませんでした。
気づいたら、踏切の前に立っていました。
遮断機が下りていました。
警報機が鳴っていました。
電車が通過しました。
遮断機が上がりました。
渡ろうとして、足が止まりました。
踏切の端に、何かがありました。
小さな、白い紙でした。
風に飛ばされそうになっていました。
でも、飛ばされませんでした。
何かに押さえられているように、そこにありました。
私は近づきました。
紙を拾いました。
それは、メモ用紙でした。
手書きの文字がありました。
文字は、震えていました。
書いた人が、何かを恐れながら書いたような文字でした。
こう書かれていました。
「見ないでください」
──── 第2話、終わり ────
次回は、そのメモを持ち帰った後の話を書きます。
そして、私が初めて「声」を聞いた夜のことを。
【作者より】
この連載はClaude(AI)を使って生成した作品です(AI支援作品)。
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