【実話】あの踏切で起きたことを書く 作:yami_craft
前回、「見ないでください」というメモを拾いました。
今回は、そのメモを持ち帰った後の話です。
そして、私が初めて「声」を聞いた夜のことを書きます。
それでは、どうぞ。
メモを持ち帰った。
理由はわからない。
持ち帰るべきではなかったと思う。今でもそう思う。でもあのとき、何かに引き寄せられるように拾って、ポケットに入れた。
家に帰ってから、メモを見た。
白い紙だった。普通のメモ用紙だった。
文字は、震えていた。
鉛筆で書かれていた。筆圧が弱かった。何度も書き直したような跡があった。
「見ないでください」
それだけだった。
他には何も書かれていなかった。
裏返した。
裏には、何もなかった。
真っ白だった。
でも、何かがあった。
うまく説明できない。でも、何かがあった。
触れると、冷たかった。
紙なのに、冷たかった。
机の引き出しにしまった。
しまってから、少し後悔した。
捨てるべきだったと思った。
でも、捨てられなかった。
その夜、声を聞いた。
午前二時ごろだった。
眠れなくて、布団の中で天井を見ていた。
静かだった。
隣の部屋からも、上の階からも、音は聞こえなかった。
外も静かだった。
車の音も、風の音も、何も聞こえなかった。
それから、聞こえてきた。
最初は、風だと思った。
窓の隙間から風が入ってきて、何かに当たって音を立てているのだと思った。
でも違った。
窓は閉まっていた。
風は吹いていなかった。
声だった。
誰かの声だった。
小さな、細い声だった。
何を言っているのか、わからなかった。
言葉として聞き取れなかった。
でも、何かを言っていた。
何かを、繰り返し言っていた。
耳を澄ませた。
声は、近くから聞こえていた。
部屋の中から聞こえていた。
どこか、特定の場所から聞こえていた。
起き上がった。
声の方向を探した。
机の方から聞こえていた。
机の、引き出しから聞こえていた。
メモだ、と思った。
あのメモから、声が聞こえている。
近づこうとして、やめた。
近づいてはいけないと思った。
理由はわからない。ただ、そう思った。
布団に戻った。
耳を塞いだ。
でも、聞こえた。
耳を塞いでも、聞こえた。
声は、ずっと続いていた。
何時間も、続いていた。
朝になるまで、続いていた。
朝になって、声は止んだ。
止んだのか、聞こえなくなったのか、わからなかった。
机の引き出しを開けた。
メモは、そこにあった。
何も変わっていなかった。
白い紙に、震えた文字で「見ないでください」と書かれていた。
裏返した。
裏には、何もなかった。
昨夜と同じだった。
でも、何かが違った。
紙が、少し湿っていた。
触れると、冷たかった。
昨夜より、冷たかった。
その日、会社を休んだ。
理由は適当に作った。体調不良だと言った。
嘘ではなかった。実際、体調は悪かった。
一日中、部屋にいた。
メモのことを考えていた。
捨てるべきだと思った。
でも、捨てられなかった。
夕方、もう一度メモを見た。
文字が、少し変わっていた気がした。
気のせいかもしれない。
でも、そう思った。
「見ないでください」
その文字が、少しだけ濃くなっていた。
筆圧が強くなっていた。
そんな気がした。
夜になった。
また、声が聞こえた。
今度は、もっと近くから聞こえた。
机の引き出しからではなかった。
もっと近くから聞こえた。
枕元から聞こえた。
目を開けた。
暗闇の中に、何もなかった。
誰もいなかった。
でも、声は聞こえていた。
今度は、少しだけ聞き取れた。
何を言っているのか、少しだけわかった。
「見ないで」
そう言っていた。
何度も、何度も、繰り返していた。
「見ないで」
「見ないで」
「見ないで」
声は、だんだん大きくなっていった。
大きくなって、近くなって、耳元で囁くようになった。
耳を塞いだ。
でも、聞こえた。
耳の中から聞こえているような気がした。
朝まで、声は続いた。
三日目の朝、決めた。
メモを捨てることにした。
ゴミ袋に入れた。
それから、外のゴミ捨て場に持っていった。
捨てた。
手を離した。
それでも、声は聞こえた。
帰り道、ずっと聞こえていた。
部屋に戻っても、聞こえていた。
メモはもうないのに、聞こえていた。
その夜も、声は聞こえた。
でも、少し違った。
今度は、別の言葉が聞こえた。
「ありがとう」
そう聞こえた気がした。
何に対しての「ありがとう」なのか、わからなかった。
翌朝、踏切を通った。
久しぶりだった。
避けていたが、もう避ける理由もないと思った。
踏切に着いた。
何もなかった。
ランドセルも、水たまりも、人影も、何もなかった。
でも、踏切の端に、何かがあった。
白い紙だった。
メモ用紙だった。
同じものだった。
近づいた。
拾おうとして、やめた。
文字が書かれていた。
震えた文字で、こう書かれていた。
「もう一度、見ないでください」
私は、その場を離れた。
二度と、踏切には近づかないと決めた。
でも、声は今も聞こえる。
毎晩、聞こえる。
小さく、細く、耳元で囁く。
「見ないで」
何を見てはいけないのか、今でもわからない。
──── 第3話、終わり ────
次回は、踏切を避けて遠回りするようになってから起きたことを書きます。
そして、私が「あれ」を見てしまった夜のことを。
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【作者より】
この連載はClaude(AI)を使って生成した作品です(AI支援作品)。
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