【実話】あの踏切で起きたことを書く 作:yami_craft
今まで読んでいただき、ありがとうございました。
踏切を避けて遠回りするようになってから、起きたこと。
そして、私が「あれ」を見てしまった夜のことを書きます。
これが、本当に最後です。
それでは、どうぞ。
踏切を避けるようになって、一週間が経った。
遠回りになった。駅から家まで、二十分かかるようになった。以前は十分だった。
でも、仕方なかった。
踏切には近づけなかった。
声は、まだ聞こえていた。
毎晩、聞こえていた。
でも、少し変わっていた。
以前は「見ないで」と言っていた。
今は、何も言わなくなった。
ただ、そこにいる。
枕元に、誰かがいる。
気配だけがある。
眠れなかった。
目を閉じると、何かが近づいてくる気がした。
目を開けると、何もなかった。
でも、気配は消えなかった。
二週間目の夜、夢を見た。
踏切の夢だった。
また、あの踏切に立っていた。
夜だった。誰もいなかった。
ランドセルが落ちていた。
赤いランドセルだった。
でも、今回は違った。
ランドセルの蓋が、開いていた。
中に、何かが入っていた。
近づいた。
覗き込んだ。
中には、ノートが入っていた。
一冊だけ、ノートが入っていた。
ノートを取り出した。
開いた。
最初のページに、名前が書いてあった。
子供の字だった。
丁寧に書かれていた。
名前を読んだ。
読んだ瞬間、目が覚めた。
汗をかいていた。
心臓が、激しく打っていた。
名前を、覚えていた。
忘れられなかった。
翌朝、その名前を検索した。
すぐに見つかった。
新聞記事だった。
十五年前の記事だった。
蛍ヶ谷踏切で、事故があった。
小学生が、電車に轢かれた。
名前が載っていた。
夢で見た名前と、同じだった。
記事には、こう書かれていた。
「午後七時ごろ、蛍ヶ谷踏切で小学三年生の女児が電車に轢かれ、死亡した。警察によると、女児は下校中に踏切内で転倒し、起き上がれなくなったところを電車に轢かれたとみられる。遮断機が下りる前だったが、警報機は鳴っていたという」
それだけだった。
詳細は書かれていなかった。
どうして転倒したのか。
どうして起き上がれなかったのか。
何も書かれていなかった。
その夜、また声が聞こえた。
今度は、はっきりと聞こえた。
言葉として、聞き取れた。
「なぜ」
そう言っていた。
「なぜ」
「なぜ」
「なぜ」
何度も、繰り返していた。
何を聞いているのか、わからなかった。
でも、何かを問いかけていた。
翌朝、また踏切のことを調べた。
蛍ヶ谷踏切で検索した。
いくつかの記事が見つかった。
事故は、一件だけではなかった。
十五年前の事故の前にも、事故があった。
二十年前、三十年前、もっと前にも。
すべて、同じ踏切だった。
記事を読んでいくうちに、あることに気づいた。
すべての事故が、同じ時間帯に起きていた。
午後七時ごろ。
すべての事故が、同じ場所で起きていた。
踏切の、端の方。
すべての事故が、同じ状況だった。
転倒して、起き上がれなくなって、轢かれた。
偶然ではないと思った。
何かが、そこにあると思った。
その夜、決めた。
踏切に、行くことにした。
午後七時に、踏切に着いた。
誰もいなかった。
静かだった。
遮断機は上がっていた。
踏切の端に立った。
ランドセルがあった場所に立った。
何もなかった。
ただの踏切だった。
普通の踏切だった。
それから、警報機が鳴った。
遮断機が下り始めた。
電車が来る。
踏切から出ようとした。
足が、動かなくなった。
足が、地面に張り付いているような感じがした。
持ち上がらなかった。
動かなかった。
電車の音が聞こえた。
近づいてきていた。
必死に足を動かそうとした。
でも、動かなかった。
電車のライトが見えた。
近づいてきていた。
そのとき、声が聞こえた。
「見ないで」
その声は、今までとは違った。
懇願するような、必死な声だった。
「見ないで」
「お願い」
「見ないで」
でも、見てしまった。
足元を、見てしまった。
そこに、何かがいた。
小さな、影のようなものだった。
私の足に、しがみついていた。
離さないように、必死にしがみついていた。
顔を、見てしまった。
子供だった。
女の子だった。
泣いていた。
でも、目が、なかった。
目があるべき場所に、何もなかった。
電車が、目の前まで来ていた。
誰かが、私を引っ張った。
強く、引っ張られた。
踏切の外に、引きずり出された。
電車が、通過した。
倒れていた。
踏切の外で、倒れていた。
誰かが、助けてくれたのだと思った。
起き上がった。
周りを見た。
誰もいなかった。
踏切を見た。
電車は、通り過ぎていた。
遮断機が、上がり始めていた。
足元を見た。
何もなかった。
影も、何もなかった。
でも、わかった。
あの子が、私を助けたのだと。
あの子が、引っ張ってくれたのだと。
踏切の端に、水たまりができていた。
小さな、水たまりだった。
その日は、雨が降っていなかった。
それから、声は聞こえなくなった。
夢も見なくなった。
気配も、消えた。
踏切は、今も同じ場所にある。
通ることもできるようになった。
でも、通るたびに思い出す。
あの子の顔を。
目のない顔を。
必死にしがみついていた姿を。
そして、最後に引っ張ってくれたことを。
あの子は、なぜそこにいるのか。
なぜ、人にしがみつくのか。
なぜ、転倒させるのか。
わからない。
でも、一つだけわかることがある。
あの子は、一人にしてほしくないのだと思う。
一人で、あの場所にいたくないのだと思う。
だから、誰かを引き止めようとするのだと思う。
でも、最後には離す。
離して、助ける。
一人にしたくないけれど、巻き込みたくもない。
そういうことなのだと思う。
これが、私があの踏切で経験したことの、すべてです。
信じなくていいです。
でも、本当にあったことです。
もし、踏切で足が動かなくなったら。
もし、誰かにしがみつかれているような気がしたら。
見ないでください。
足元を、見ないでください。
そして、引っ張られたら。
抵抗しないでください。
あの子が、助けてくれます。
──── 完 ────
【作者より】
最終話まで読んでいただき、ありがとうございました。
この連載はClaude(AI)を使って生成した作品です(AI支援作品)。
「Claudeで書く恐怖の技法 ホラー創作プロンプト設計書」
こういう体験談形式の怪談の書き方を解説したプロンプト集をBOOTHで販売しています。
→ https://yami-craft.booth.pm/items/8030534
また新しい作品でお会いできることを願っています。