東方聖杯異変 作:とある観測者
私の名は『博麗霊夢』。知ってる人はまぁ知ってるわよね。
暇ならちょっと付き合ってくれないかしら。
丁度誰かに話したい気分なのよ。
私が解決した数ある異変の中で、1番記憶に、魂に残ってる出来事。
そこで出会った、真面目で、親みたいに口うるさくて、
大事な約束を交わした、私の居候(サーヴァント)の話を
「くっくっくっ………やった……遂にやったぞ!!」
暗い空間。おそらく洞窟の中の広い空間。
そこで男が1人、狂喜に震えていた。
目の前には魔方陣が。
その中央には、異形のモノが男に従っていた。
「これが悲願への第一歩となる!しかし、すぐに手もすぐに届くだろう!なんて言っても、私の
目の前の異形は、何も喋らず、音を出さず、ただ男の前に居るだけだった。
「そして、『器』はすでに、我が手中に――――」
男が、魔方陣の奥の大きな祭壇に目を向ける。
祭壇の1番上の段には・・・・・
「……は?」
目をこすって何度も見返しても変わらない。
祭壇には、何も無い。
「馬鹿な!?現にこうしてサーヴァントは召喚された!!つまり聖杯も今、この場に顕現するはず……何がどうなってると言うのだ!?」
SideOut
『幻想郷』
強力な結界によって「外の世界」からは隔離されており、妖怪や幽霊、神々などが共存する不思議な世界。
その世界にある、とある山のうえに静かに建つのは、外の世界との窓口みたいな時もあり、この世界を見守る役割を持つ『博麗神社』。
その境内の、賽銭箱の前に、絶望のオーラを漂わせる少女が1人。
頭に赤いリボンを付けた巫女。この博麗神社の巫女であり、幻想郷の調停の任を受け持つ博麗の巫女こと、『博麗霊夢』。
そんな彼女が何故絶望のオーラを纏わせているのか。簡単な話である。
「はぁ~……最悪、このあいだの異変解決の報酬はもう使い切ったし、貯金は元々少ない……このままじゃまた、もやし生活の再来よ……」
チラッと境内を見ると、そこは人っ子一人も居ない静かな空間。
でもところどころに落ち葉が落ちている。そろそろ掃除すべきなのだが、やる気がまるで出て来ない。
「はぁ~……お茶飲もう……」
前に友人がくれた美味しいお茶っ葉がまだあるので、それを飲んだら掃除をしよう(たぶん)。
そう思い、神社内の居間に向かおうとした時
コンッ
「ん……なにこれ?」
いつの間にか足元に金色の杯が転がっていた。誰かの忘れ物か、それとも外の世界から流れ着いたのか。
どちらにせよ面倒そうに溜息をついていました。
「……変な魔力を感じる。お賽銭の代わりにはなりそうにないわね。明日にでも、香霖堂に持って行きましょう」
あそこの店主なら何か知ってるかもと思い、杯を手でもて遊びながら神社に入ろうとした時だった。
幻想郷と、杯の魔力が、『博麗の巫女』を認識し共鳴した。
「ちょっ!?いきなりなに!?」
杯から強烈な光が発せられ、神社を包み込む。
光が収まり、ゆっくり目を開けると、目の前に真紅の鎧武者が立っていた。
「あんたは……」
「問おう―――」
鎧武者がゆっくり目をあけ、霊夢を見る。
「貴殿が、拙者の主か?」