東方聖杯異変 作:とある観測者
ガキンッ!!
紅い英霊の十文字槍と、蒼き英霊の刀がぶつかりあい、もう何度目になるか分からないほどに打ち合い、弾かれる。
「ハァ…ハァ…流石は独眼竜……一撃一撃が、まるで龍の如く重い。下手したらこっちの身体が真っ二つにされそうだな」
「よく言うぜ!お前の一撃も、油断したら俺の身体に風穴が開きそうな威力だよ!てゆうかお前、『アーチャー』だろう?なんで槍なんて使えるんだよ!」
「そういうスキルなんだよ。さて、そろそろこの幻想郷での初首を貰うとしようか」
「なめるなよ、この独眼竜がテメェの首ごと丸呑みにしてやる!!」
双方に殺気のみならず、溢れんばかりの気迫が渦巻く。
紅と蒼、この2人の激突の始まりはは数十分前に遡る。
数十分前 博麗神社
「ハァ〜…
「主、念のため言っておきますが、我々
「エプロン着て、お茶を淹れてるヤツが何言ってんのよ」
もうすっかり信繁を博麗神社の家事係として扱い、馴染みつつある霊夢。元々ぐうたらな性格の持ち主なので、このような状況は願ったり叶ったりなのだ。
信繁の方も、赤備えのような赤いエプロンを纏い、霊夢にお茶のおかわりを注いでいた。
「しかも食費もかからない。良いわよね、サーヴァントって」
「確かに食事は取らないが、代わりに――――」
その時、信繁は察知した。この神社に近付く者たちを。その一人は
「主、サーヴァントだ!サーヴァントがこちらに向かってる!!」
「へ?なに?」
警戒MAXの信繁に言われ、共に神社正面に向かうと、そこに居たのは
「よう、霊夢!面白いヤツ連れてきたぜ〜!」
相変わらずの笑顔で来たのは、親友で幻想郷のトラブルメーカー魔法使いの魔理沙だった。
「なによ魔理沙じゃない。大丈夫よ、アイツは私の知り合い――――」
「そのとなりだ」
未だに警戒を解かない信繁。彼が言うので、魔理沙の隣を見ると、確かに見たことがない蒼い甲冑を着た青年が立っていた。
「お!ソイツもしかしてサーヴァントか!な、言っただろう政宗。やっぱり霊夢もサーヴァントを召喚してた……どうした?」
魔理沙が話しかけても、反応が見られない政宗。
それもそのはず、聖杯戦争参加のサーヴァントが、こうして出会ったのだ。
それも、生前から因縁がある者同士だったら、尚更
「どうしたよ、日の本一の兵がエプロンなんて着て」
「これが今の拙者の仕事でな。貴殿こそ、相変わらず変わった者と一緒に居るのだな」
「そう言う縁に恵まれてるのかもな?」
「変わり者を引き寄せる、の間違いだろう?」
何やら2人の雰囲気がおかしい事に、霊夢と魔理沙は気付いていた。知り合いのようだが、それだけではないような。
「大阪以来だな、やっぱり英霊となったか真田左衛門佐!」
「貴殿もな、伊達陸奥守殿!」
「な、なぁ政宗。もしかしなくて、人間だった頃の知り合いか?」
「積もる話もあるなら、中に入らない?外じゃ寒い―――」
「すまないが霊夢、下がってくれ」
「巻き添えにしたくねぇからな」
「「え――――」」
何を言ってと言おうとしたが、時すでに遅かった。
ガキンッ!!
一瞬の間に2人はそれぞれの主の隣から消えていた。次の瞬間には、信繁は十文字槍を、政宗は刀を、それぞれ相手に振り下ろし、鍔迫り合いになっていた。
「ちょっ!?信繁っ!?」
「お、おい政宗っ!!」
2人が声を出すが、紅と蒼の激突が止まることは無かった。
槍が政宗の身体を貫こうと連撃を入れる。それは何本の槍が同時に存在するような。
それを刀でなんとかさばきながら、信繁の身体を切り裂くために刃が迫る。
槍で受けるか流すかして、致命傷を避け反撃にうつる。
そのやり取りを霊夢と魔理沙は目で追いつくことが出来ず、呆然とするしかなかった。
「さすがの剣撃、まさか『セイバー』か!」
「まさか!俺はカッコいい『ライダー』だよ!そっちこそ三騎士クラスの『ランサー』かよ!」
「三騎士は合ってるが、クラスは『アーチャー』だ!」
ガキンッ!!
信繁の十文字槍と、政宗の刀がぶつかりあい、もう何度目になるか分からないほどに打ち合い、弾かれる。
「ハァ…ハァ…流石は独眼竜……一撃一撃が、まるで龍の如く重い。下手したらこっちの身体が真っ二つにされそうだな」
「よく言うぜ!お前の一撃も、油断したら俺の身体に風穴が開きそうな威力だよ!てゆうかお前、『アーチャー』なんだろう?なんで槍なんて使えるんだよ!」
「そういうスキルなんだよ。さて……そろそろこ幻想郷での初首になってもらうぞ、独眼竜!!」
「なめるなよ、この独眼竜がテメェの首ごと丸呑みにしてやるよ、真田!!」
双方に殺気のみならず、溢れんばかりの気迫が渦巻く。
「なによこれ……」
先ほどまでの家事係の姿は無い。目の前にいるのは間違いなく、修羅場をくぐり抜け伝説となった英雄の姿だった。
「ここに築きしは、難攻不落の我が最高の砦―――」
「吼えろ、轟け、天を舞うは蒼き龍――――」
詠唱と共に、2人の闘気……いや、魔力があがっていく。間違いなく、切札がきられる。
「護るべきものを背に、
「俺の声が天命だ。その咆哮で眼前の敵をブチのめせ―――」
その切札こそ、英霊たちの伝説・偉業・武具が昇華されたもの
「「宝具――――」」
信繁の背後に巨大で強固な砦が出現し信繁はその天辺に。
政宗の眼帯のしたから巨大な蒼き龍が彼を背に乗せる。
「
「
砦から無数の弾丸や砲弾が、蒼き龍からは青白い爆炎が放たれる。
互いの攻撃が激突し、神社が光にのみ込まれる。
「いてて……」
「もう……何がどうなって……」
2人の衝突による衝撃で少し気絶しかけてた霊夢と魔理沙。何故か2人の体力も減っているようだ。
目を開けると、衝撃によって境内のあちこちがぐちゃぐちゃで、神社も半壊しかけていた。
そして、2人の英霊は肩で息をしながら、それぞれ立っていた。
「真田丸と相打ちになったか……だが、
「はっ!お前こそ、本来の真田丸はこんなあっさり崩れないだろうが!手加減してるのはどっちだ」
2人の会話を聞いた霊夢と魔理沙は静かに驚いていた。先ほどの攻撃は全力ではなかった。
何故双方加減をしたのか?気になるところだが、それよりも――――
「続きと行こうかじゃねぇか、真田」
「そうだな独眼竜……
2人の気迫が再び最高潮に達し、幸村が十文字槍を、政宗が奥義を放とうとしたその瞬間
「あんたら……」
半壊しかけている拝殿から、黒いオーラを纏った霊夢が静かに歩み寄って来た。
「あ、主……?」
「な、なんだよ巫女ちゃんよ……」
「(あ……コレヤバいヤツだ……)」
霊夢の黒いオーラと殺気に、歴戦の英雄が気圧され、魔理沙は覚悟を決めた。
「
霊夢による怒りの特大の『夢想封印』が炸裂し、戦国最強の二人、ついでに魔理沙は仲良く境内の地面に埋まった。
「――――なるほど、つまりこの眼帯は、魔理沙が召喚したサーヴァントって訳ね?」
「はい、そうです。霊夢も召喚してるかもしれないし、自慢したくて、連れてきました……」
霊夢による怒りの制裁後、3人はボロボロの境内に正座され、霊夢に事の経緯を説明していた。
「そして、眼帯はウチの家事係と生前敵対同士だったと」
「はい……その時は事情があって決着をつけれなかったが……」
「そして、あんたらが出したあの砦とか龍は、サーヴァントの切札の『宝具』ってやつね?」
「サーヴァントの生前の武具や逸話、伝説が形となり、それをふるう事が出来ます。個人差はあるが……」
「なるほどね………それじゃあ3人とも――――」
「「は、はい」」
「さっさと境内を片付けろ。それと神社を直せ」
「「はい、直ちにっ!!」」
その後、サーヴァントとしての身体能力と魔理沙の魔法で、神社はなんとか元の姿を取り戻せた。
「いやー!それにしても、お前らの宝具スゲェな!なんだよあの砦みたいなの!なにあのドラゴン!」
「カッコいいだろう?この独眼竜に相応しい宝具だろう?」
「なぁなぁ、もう一回見せてくれよ?」
「ちょっと魔理沙!また神社壊されるのは勘弁なんだけど!?」
「まあまあ主。どうぞ一献」
神社を修復したあと、お詫びということで、魔理沙が家から酒を持ってきて、神社で宴会をすることに。
「悪りぃな魔理沙。宝具はそんな乱発出来ねぇんだよ」
「えぇ〜!なんでだよ?」
「サーヴァントの宝具は魔力を体力に消費するのです。伊達殿や拙者の宝具のランクは共に上位のAランク。魔力消費も大きいのです。そして、その魔力は令呪を通って、主から供給されるのです」
「え!?何それ聞いてないんだけど!?」
「今話しましたからね」
「そっか…あの時疲れたのは、私らの魔力を使って宝具を発動させたせいか」
「だから悪りぃな魔理沙。あの龍を出せるのは戦闘中だけなんだよ。ま、他にも宝具はあるから、そのうち見せてやるよ。ところで真田よ」
「なにかな、伊達殿」
「
「なっ!?」
政宗のそのひと言で、信繁の顔は、ぜんぜん酒を飲んでないのに真っ赤になった。
「あ、そういえばあんた、戦闘中一人称が『俺』になってたわね」
「ああいや、その、あれは何というか……」
「けっこう似合ってたよな、政宗?」
「そういえば生前もたまに俺口調になったりしてたな。でもいつの間にか丁寧口調に戻ってたし」
「それは拙者の勝手だ!ほら、ツマミの料理を出すから置き場所をあけろ!」
その後、信繁の料理を楽しみ、程よく酔った政宗と魔理沙は眠ってしまった。
2人に毛布をかけ、霊夢と2人で縁側で酔い冷ましの茶を飲んでいた。
「はぁ~……まさかサーヴァントがこんな破壊力を持ってるとは思わなかったわ……」
「最後の一組になるまで殺し合う、それが聖杯戦争と言う
「別に同盟なんて堅っ苦しいもんじゃないわよ。聖杯戦争と言う異変を解決するために、協力し合うってだけ」
「それでもです。正直羨ましい……拙者の頃は、同盟を結ぶのに何度も苦労しましたからね……」
「ふ~ん……で、結局なんでなのよ?」
「何がですか?」
「口調がコロコロ変わる理由」
せっかく流した話題を再び引っ張り出され、顔が少し引きつる信繁。だが、もう良いかと割り切り話し始めた。
「俺口調は幼少期の頃からのものでして、成人してからある時兄上に言われたのですよ。「お前も成人したのなら、目上に対しての言葉使いを直せ」と。それで丁寧口調をなんとか習得しましたが、つい興奮すると出てきてしまうのですよ……」
お恥ずかしい、と照れるように頬をかく信繁。
「……私は気にしないわよ。マスターにはなったけど、別に主従関係を強制するつもりはないし。それに、あの口調の方が、あんたらしいと私は思うわよ」
「拙者、らしい……?」
まさかの言葉に目が点になる信繁。どうやらこの巫女、自分の想像以上にの人物かもしれない。そんな事をふと思った。
「いや……やはり拙者はここままで。もう慣れましたので」
「そ、まあどっちでも良いけど。それよりもお茶おかわり」
「承知しました、主」