【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩   作:まだら模様

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今回はインターンの最中の描写を描きます。
どんな光景が繰り広げられているのか…我々はそれを探るために、アマゾンの奥地(意味深)へ向かった…

キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性があります。
ご注意ください。

評価や感想付与は野獣先輩が「やりますねぇ!」というふとした時に見せるヒーロー渾身のキメ顔を決めてくれます。


第15話「喉渇かない?→ありがとナス!(インターン日常①)」

 

 野獣先輩が事務所に着いた時には、すでにバブルガールが業務日報の整理を終えていた。受付の机に積み上がった書類、壁一面のオールマイトポスター、棚に並んだオールマイトフィギュア。事務所の内装はどこを向いてもオールマイトだった。

 

「おはようございます、野獣先輩さん! ——今日はナイトアイ先生が外出なので、午前中は事務所で待機です。何かあれば巡回に出てください」

 

「ありますあります」

 

「ある! じゃあよろしくお願いします!」

 

 バブルガールが笑顔で言った。明るい。こういう人間は事務所の空気を良くする。

 

 野獣先輩はバブルガールの横顔を見た。

 

 ……何もない。

 

 事務所のソファに腰を下ろした。索敵を展開する。周囲二百メートルの気配が全部入ってくる。特に問題はない。静かな朝だ。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 百十三人。今日は昨日より少ない。

 

 

 

 ナイトアイが外出している午前中、野獣先輩は事務所の一角で語録の整理をしていた。

 

 頭の中で語録の「解釈」を並べ直す。今日試したいことがある。

 

「センセンシャル!」

 

 小声で言ってみた。索敵の感度が——倍になった気がした。通常の二百メートルが、三百五十メートルくらいまで伸びた。目を閉じたまま、遠くのコンビニの前でたむろしている高校生三人の会話の気配まで入ってきた。

 

「……ありますあります」

 

 使える。「全感覚を研ぎ澄ます」という解釈でいい。ただし頭が痛くなった。長時間は使えない。

 

 次。

 

「お待たせ」

 

 右手に「遅延発動」の状態を込めながら言ってみた。何も起きない。それでいい——これは「後で来る」効果を「ため込む」語録だ。次に何かを発動した時に「ためた分が追加で乗る」かどうか確認する必要がある。

 

「こ↑こ↓!」

 

 目の前のクッションが転移した。そして——少し遅れて、もう一回転移した。二段階になった。

 

「……はっきりわかんだね」

 

 「お待たせ」を事前に使っておくと、次の語録に「遅延追加発動」が乗る。つまり「お待たせ」は「仕込み技」だ。一手前に使っておいて、メイン語録の効果を二段階にできる。

 

 メモした。

 

 

 

 昼になった。

 

「野獣先輩さん、お昼一緒に食べませんか! 近くに美味しい定食屋があって——」

 

「やりますねぇ!!」

 

「行きましょう!!」

 

 二人で事務所を出た。

 

 定食屋は小さな店だった。日替わり定食が六百八十円、という看板が出ている。奥の席に座った。バブルガールが「今日は鯖の味噌煮定食です!」と嬉しそうに言った。

 

「ビール!ビール!」

 

 バブルガールが止まった。

 

「……え? ビールですか?」

 

「ないです」

 

「ないんですか!! じゃあなんで——」

 

「多少はね?」

 

 バブルガールが首を傾げた。「多少……ビールを飲みたい気持ちがある?」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「当たり前なのか!! ——でも昼間ですよ!? それにまだ未成年が……いや、野獣先輩さんは二十四歳か。でも業務中に……」

 

「ないです」

 

「ないっすよね!! じゃあなんで言ったんですか!!」

 

 野獣先輩は定食を頼んだ。バブルガールも定食を頼んだ。

 

 ビールは来なかった。

 

「あの、野獣先輩さんって……語録だけで喋るじゃないですか」

 

「ありますあります」

 

「そのことについて聞いてもいいですか? なんで語録だけで?」

 

「多少はね?」

 

「多少……なんとなく?」

 

「ありますあります」

 

「あるのか!!」

 

 バブルガールが笑った。

 

 鯖の味噌煮が来た。野獣先輩は食べた。美味かった。

 

「——うん! おいしい!」

 

「えっ!? 今の語録ですか、それとも普通に言いましたか!?」

 

「ないです」

 

「どっちなのか分からない!!」

 

 「うん!おいしい!」は実は「受けた攻撃を吸収して別効果に変換」という解釈で使える語録だが、今は普通に言っただけだった。境界線は自分にも分からないことがある。

 

 

 

 午後、ナイトアイが戻ってきた。

 

「810くん。午前中の報告を」

 

「ありますあります」

 

「特に問題はなかった、か。——一点確認したい」

 

 ナイトアイが椅子に座った。机の上にファイルを置いた。

 

「私の個性・未来予知は「触れた相手の未来が見える」ものだが——最近、君に接触せずとも、君の影響が見えた未来に「語録」として混入することがある」

 

「ファッ!?」

 

「驚かないでくれ。——例えば今日、依頼人の男性に触れたところ、彼の未来に「ないです」という言葉が見えた。内容はともかく、それが語録由来のものだと分かった」

 

「……ありますあります」

 

「ある、か。——つまり、私の未来予知範囲内にいる人物に、君の語録の「影響」が残り続けている可能性がある。語録には残留効果があるのかもしれない」

 

 野獣先輩は考えた。「俺も後から洗ってくれよな~」の遅延効果、「お待たせ」の仕込み効果——語録が「時間を超えて残る」特性はある。

 

「多少はね?」

 

「「多少ある」か。——これは把握しておく必要がある。作戦立案の際に活用できる」

 

「はっきりわかんだね」

 

「分かったなら——」

 

 ナイトアイがここで一度止まった。眼鏡を外した。また外した。

 

「……一点聞いていいか」

 

「ありますあります」

 

「「ビール!ビール!」というのは何だ」

 

 野獣先輩が止まった。

 

「バブルガールから報告が来た。昼食時に「ビール!ビール!」と言ったそうだが」

 

「ないです」

 

「あるらしい。——業務中の飲酒は認めない」

 

「やりますねぇ!!」

 

「飲まない、という意味でいいか」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「……分かった。——本日の業務報告書にスタンプを」

 

 ナイトアイが引き出しからオールマイトスタンプを取り出した。厳かに押した。

 

「これはギャグではない」

 

「多少はね?」

 

「少しも笑いどころではない」

 

 

 

 夕方、ミリオが「筋トレしようぜ!」と倉庫の一角を改造した簡易ジムに来た。

 

 ミリオはすでに上半身裸だった。

 

 野獣先輩が止まった。

 

 透過個性のせいで全身の筋肉の動きが外から見えやすい体質なのか、ミリオの筋肉は非常に「分かりやすい」形をしていた。肩から二の腕にかけてのライン。背中の筋肉の走り方。腹筋の形が、こう——

 

「へえ~、すっごい大きい…」

 

「ありがとう!! 野獣先輩も鍛えてるの分かるよ! ——って今の語録だよね!? 褒めてくれてる!?」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「嬉しい!! 野獣先輩に褒められるのなんか特別な感じがする!!」

 

 ミリオが白い歯を見せた。

 

 野獣先輩はミリオから目をそらした。「観察」が過剰になっていた。

 

 ……何もない。体格は個性運用に影響する。重要な観察だ。

 

「ベンチプレス、一緒にやろう! 俺百二十キロなんだけど野獣先輩は?」

 

「ありますあります」

 

「ある! 何キロか教えて!」

 

「多少はね?」

 

「多少って何キロだよ! 百キロ超えてる?」

 

「やりますねぇ!!」

 

「百キロ超えてる!!」

 

 実際にやってみた。野獣先輩は百三十キロを普通に上げた。

 

 ミリオの目が丸くなった。

 

「……野獣先輩、めちゃくちゃ強くない!? 体格そんなに大きくないのに——」

 

「ガリガリだからねしょうがないね」

 

「ガリガリじゃないよ!! 筋肉ある! ——あ、でもその語録、「脅威に見えにくくする」効果があるって言ってたっけ。自分に使うと「こいつ大したことなさそう」って相手に思わせられる……それって戦術的にすごくない!?」

 

「はっきりわかんだね」

 

「分かったね!! 野獣先輩、その語録の使い方天才だよ!!」

 

 ミリオが興奮した。野獣先輩は無表情のまま次のセットに入った。

 

 ミリオが隣でバーベルを構えた。息を吸った。

 

「ちゃんと、ベスト出せるようにね」

 

 ミリオの動きが変わった。フォームが少し整った——「集中力が上がった」という感じだった。

 

「……今の、俺に使ってくれた?」

 

「ありますあります」

 

「……なんか出力上がった気がした。本当に。「ベスト出せるように」って語録で味方の個性出力上がるの!?」

 

「多少はね?」

 

「多少じゃなくてめちゃくちゃ上がった!! これ戦闘中に味方に言ったら最強じゃないっすか!!」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「当たり前なの!! 語録の可能性、無限すぎる!!」

 

 ミリオが叫んだ。ジムに声が響いた。

 

 野獣先輩はミリオの興奮した横顔を見た。

 

 悪くない。本当に悪くない。こういう人間は——

 

 ……何もない。筋トレの話だ。

 

「ああ^〜いいっすね^〜」

 

「何がいいの!? ——まあいいか。一緒に鍛えよう!!」

 

 

 

 筋トレが終わって、二人で事務所に戻った。

 

 バブルガールが書類仕事をしていた。野獣先輩を見て微笑んだ。

 

「おかえりなさい。——野獣先輩さん、一点確認なんですが」

 

「ありますあります」

 

「先週の業務報告書なんですが……」

 

 バブルガールが一枚の書類を差し出した。野獣先輩が受け取った。

 

 そこには野獣先輩の業務報告が書いてあった。語録で。全部語録で埋まっていた。

 

「「ありますあります」「やりますねぇ!!」「多少はね?」……これ、報告書として機能していないんですよね。ナイトアイ先生が解読に四時間かかったそうで——」

 

「ないです」

 

「ないはずなんですよ、本来は!! ——あと一点」

 

 バブルガールが少し声を落とした。周囲を確認した。ミリオが奥の部屋に引き上げたことを確かめた。

 

「……野獣先輩さんって、語録、どこで覚えたんですか」

 

 野獣先輩が止まった。

 

「お前さぁ…」

 

 バブルガールの目が一瞬だけ——開いた。

 

「ファッ!?」

 

「……い、いや、その、私は別に、そういった、その、コンテンツとしての知識は、業務上の情報収集として非常に表面的に——」

 

「はっきりわかんだね」

 

「……分かってしまいましたか」

 

「やったぜ。」

 

 バブルガールが額を手で覆った。

 

「……野獣先輩さん、この話、ナイトアイ先生には——」

 

「ないです」

 

「ないっすよね!! お願いします!! ナイトアイ先生に知られたら未来予知で全部見られます!!」

 

「多少はね?」

 

「多少で済まないです!!」

 

 野獣先輩は前を向いた。バブルガールが「……本当によかった」と呟いた。

 

 野獣先輩は「やったぜ。」をもう一度だけ心の中で言った。

 

 これで確認済みの隠れ淫夢厨がまた一人増えた。

 

 

 

 夜、緑谷が「今日のパトロールどうでしたか!?」と飛び込んできた。

 

「ありますあります」

 

「ありましたね! 俺もナイトアイさんに色々聞いたんですけど——壊理ちゃんのこと、やっぱり気になって」

 

 緑谷の目が暗くなった。

 

「あの子、またオーバーホールに連れて行かれたじゃないですか。索敵で——追えましたか?」

 

「多少はね?」

 

「多少……把握できてる……! よかった」

 

 緑谷が少し安心した顔をした。

 

「野獣先輩さんの索敵があれば、あの子が今どこにいるか——分かりますよね」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「当たり前ですよね!! ——じゃあ、作戦が本格化した時には、索敵を中心に動いてもらえますか。野獣先輩さんが全員の位置を把握してくれれば、俺たちは安心して動ける」

 

「オッスお願いしまーす」

 

「こちらこそです!!」

 

 緑谷が握手してきた。強い手だった。

 

「……絶対に助けましょう」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 

 

 

 深夜、事務所の仮眠室で天井を見ながら、野獣先輩は索敵を展開していた。

 

 「センセンシャル!」を小声で使って、範囲を最大まで伸ばした。

 

 街の気配が全部入ってくる。眠っている人、働いている人、夜道を歩いている人。

 

 その中に——小さな気配があった。

 

 子供だ。怯えている。

 

「やべぇよやべぇよ」

 

 独り言が出た。危機察知が低く鳴った。

 

 壊理だ。まだあそこにいる。

 

「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ」

 

 届くはずがない距離で言った。

 

 でも言った。

 

 野獣先輩は目を閉じた。

 

 今日の語録整理の成果を頭の中で並べた。

 

 「センセンシャル!」——索敵範囲拡大。

 「お待たせ」——次の語録に遅延追加発動を仕込む。

 「うん!おいしい!」——受けた効果を吸収して別のものに変換。

 「へえ〜、すっごい大きい…」——相手に「大きく見せる」。

 「ちゃんと、ベスト出せるようにね」——味方の個性出力を上昇させる。

 「ビール!ビール!」——まだ戦術的な使い方が分かっていない。引き寄せ系のはずだが、今日は普通に飲みたくなっただけだった。

 

「……ないです」

 

 自分に言った。「ビール!ビール!」の戦術解釈は明日考える。

 

 索敵の中で、壊理の気配がまだ小さく光っていた。

 

「暴れんなよ…暴れんなよ…」

 

 独り言のように言った。もちろん壊理に向けて言ったわけではない。

 

 でも、なんとなく言った。

 

 

 

 

 翌朝、ナイトアイが出勤してきた。

 

 バブルガールが「おはようございます!」と言った。野獣先輩が「ありますあります」と言った。緑谷が「おはようございます!」と言った。

 

 ナイトアイが全員を見渡した。それから書類を取り出した。

 

「——今日の業務連絡だ。午後から依頼人の面談が三件入っている。810くんは索敵で事前に依頼人の「状態」を把握しておいてくれ。精神的に追い詰められている相手かどうかを——」

 

「あっ(察し)」

 

 ナイトアイが止まった。

 

「……今、察したか」

 

「ありますあります」

 

「どこまで察した」

 

「多少はね?」

 

「「多少」では困る。具体的に——」

 

「じゃあ今日夜行きましょうね~」

 

「!?」

 

 ナイトアイが眼鏡を外した。珍しく動揺した。

 

「なぜ夜について言及した。——私は今日の夜、個人的な用件があることを誰にも伝えていないが」

 

「ありますあります」

 

「索敵で分かったのか……」

 

「多少はね?」

 

「「多少分かった」ではなく……」

 

 ナイトアイが眼鏡をかけ直した。

 

「……811くん、いや、810くん。一点聞く。私の「個人的な夜の用件」というのは——」

 

「ないです」

 

「ない、か。——では何も問題はない」

 

 バブルガールが後ろで「な、なんですか今の……」と呟いた。

 

 緑谷が「野獣先輩さんが何かを察した……!」と目を輝かせた。

 

 野獣先輩は前を向いた。

 

 「あっ(察し)」は「相手の意図を先読みする」語録だ。それを発動した結果、ナイトアイの今夜の予定が——なんとなく、分かった。

 

 今夜ナイトアイはオールマイト関連の何かを一人で確認しに行く。それだけ分かった。

 

 詳しくは察しない方がいい気がした。

 

「ないです」

 

 自分に言った。詮索しない。

 

 

 

 

 

 昼、バブルガールが「野獣先輩さん、ちょっとよろしいですか」と呼んだ。

 

 二人で廊下に出た。

 

「さっきのナイトアイ先生との件ですが……先生の個人的な夜の用件、私は知ってます」

 

「ありますあります」

 

「先生、月に一回、オールマイト先生に会いに行くんです。まだ仲が修復しきれてなくて——その……語録で言うと」

 

 バブルガールが少し声を落とした。

 

「「悔い改めて」みたいな感じで——過去の何かを、少しずつ戻そうとしてるんだと思います」

 

 野獣先輩が少し止まった。

 

「†悔い改めて†」

 

「……そうです。そういう感じです」

 

 バブルガールが静かに言った。

 

「先生、語録の意味を知ってる可能性あると思います。たぶんですけど」

 

「ファッ!?」

 

「わ、私もびっくりしてるんですよ!! 先生は絶対認めないと思うんですけど、たまに語録と同じ構文でしゃべることがあって——」

 

「……はっきりわかんだね」

 

「わかんないんですよ!! 確証がなくて!!」

 

 バブルガールが頭を抱えた。

 

「この話も先生には内緒で——」

 

「やったぜ。」

 

「それ毎回言うの本当にやめてください!! 安心したいんです私は!!」

 

 野獣先輩は廊下を歩き始めた。

 

 ナイトアイも——可能性がある。

 

 「悔い改めて」でオールマイトとの関係を差し戻そうとしている男が、「悔い改めて」の語録を知っていたとしたら——

 

「……これもうわかんねぇな」

 

 本気で分からなかった。

 

 

 

 

 

 夕方、ミリオが「野獣先輩、聞いてもいい?」と来た。

 

「ありますあります」

 

「野獣先輩って、なんで雄英に来たの。百年以上生きてて、今更学校に来る理由って——普通ないじゃないですか」

 

 野獣先輩は少し考えた。

 

「しかし、修行やってます。いつの日か世界を救うと信じて。」

 

 ミリオが黙った。

 

 しばらく黙っていた。

 

「……本気で言ってる?」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「……そっか」

 

 ミリオが前を向いた。夕日が窓から入ってきた。

 

「俺も百万人救うって決めた時、みんなに「そんなの無理だ」って言われたんだけど——野獣先輩みたいな人が「当たり前だろ」って言ってくれると、なんか、本当にそうな気がしてくる」

 

「やりますねぇ!!」

 

「一緒にやろう!!」

 

 ミリオが笑った。野獣先輩はその横顔を見た。

 

 夕日の中で、ミリオの体格が——肩幅が、首の——

 

 ……何もない。夕日の話だ。

 

「王道を征く」

 

「それかっこいいっすよね。野獣先輩の語録の中で一番好きかも」

 

「多少はね?」

 

「多少じゃなくて普通に好きっすよ!!」

 

 夕日が沈んでいった。

 

 

 

 

 

 夜遅く、ナイトアイが帰ってきた。

 

 野獣先輩はまだ事務所にいた。索敵の訓練をしていた。

 

「……まだいるのか」

 

「ありますあります」

 

「……そうか」

 

 ナイトアイが上着を脱いだ。椅子に座った。疲れた顔をしていた。でも、少しだけ——軽くなった顔だった。

 

「オールマイトに会ってきた」

 

「ありますあります」

 

「……分かるのか」

 

「多少はね?」

 

「「多少」は分かる、か。——話を聞くか?」

 

「やりますねぇ!!」

 

 ナイトアイが少し笑った。

 

「……珍しい反応だ」

 

 野獣先輩はソファの端に座った。ナイトアイが話し始めた。

 

 語録でない言葉を聞いた。夜が静かだった。

 

 話の内容は——二人の間だけのことだ。

 

「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ」

 

 話し終わったナイトアイに向かって言った。

 

 ナイトアイが止まった。

 

「……それは、君流の励ましか」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 ナイトアイが眼鏡を外した。今度は珍しく、眼鏡を戻さなかった。

 

「……ありがとう、810くん」

 

 語録でない言葉が返ってきた。

 

 野獣先輩は前を向いた。

 

「ないです」

 

 「ありがとう」の部分を受け取ったという意味で言った。

 

 ナイトアイには伝わったと思う。

 

 静かな夜だった。

 




日常系って難しい…これってもうわけわかんねえな(疲弊)
チカレタ…こんな時に感想や評価付与をもらえたら
気力+勇気45148010くらい上昇すると思うのでお待ちしてナス!

評価50突破で番外編で淫夢ヒーロー集結編を作成するかも…?

次回も恐らくインターン編の続きです。お楽しみに。
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