【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩 作:まだら模様
3人に勝てるわけないだろ!(ヒーロー、インターン生、警察官)
キャラの語彙の崩壊やストーリー崩壊などの可能性があります。
ご注意ください。
感想、評価付与は野獣先輩がこの後の戦いに戦意を漲らせて野獣の眼光でオーバーホールを睨みつけてくださります!
決行の朝が来た。
ナイトアイ事務所の前に、ヒーローたちが集まっていた。
エッジショット。ロックロック。ガンヘッド。リューキュウ。センチピーダー。ファットガム。切島。緑谷。ミリオ。バブルガール。警察の塚内。
野獣先輩は索敵を展開したまま全員の位置を確認した。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
全員の気配が緊張している。怯えとは違う。戦闘前の、研ぎ澄まされた緊張だ。
「センセンシャル!」
感度を上げた。三百メートル先まで入ってくる。目標の施設の方向——地下から重い気配が漂っていた。
「あっ(察し)」
ナイトアイが「出発する」と言った。
ヒーローたちが施設の前に展開した。
警察が令状を読み上げ始めた。
ロックロックが野獣先輩の横に立った。
「お前が索敵担当だってな」
「ありますあります」
「何人いる、中に」
野獣先輩は指で「3」「2」と立てた。
「三十二人か。——多いな」
「多少はね?」
「多少じゃねぇだろ。三十二人だぞ。——壊理って子はいるか」
「ありますあります」
「ある。——どこだ」
野獣先輩は地面の方向を指した。下。地下の深いところ。
「地下か。——分かった」
ロックロックが前を向いた。口が悪いが、聞くべきことを端的に聞く男だった。
令状の読み上げが終わった。
施設の扉が開いた。
「突入する」
ナイトアイが言った。
「イキますよ~イキますよ~」
野獣先輩が言った。全員が聞いた。
「——行くぞ」とエッジショットが言った。
施設の中に入った。
入った瞬間、空気が変わった。
湿っている。地下の臭いがする。照明が薄暗い。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
索敵が全力稼働した。三十二の気配が全部入ってくる。前方に六人。左の通路に四人。地下への階段の先に——集中している。
「ホラホラホラホラ!」
前方の六人の動作速度を加速させた——のではなく、野獣先輩自身の動作速度が上がった。周囲の景色が少しスローになる感覚。戦闘前の集中状態に入った。
「あっ(察し)」
「前方六人——動いてる」とエッジショットが言った。
「千枚通し——参」
エッジショットが紙のように薄くなって通路を進んだ。一瞬で三人を無力化した。残り三人にナイトアイとガンヘッドが当たった。
「やりますねぇ!!」
「黙って動け」とロックロックが言った。
左の通路——四人がこちらに向かってきた。
「暴れんなよ…暴れんなよ…」
四人の動きが抑制された。足が止まった。そこにリューキュウチームが入った。
「こ→←こ!」
通路の壁を一点から圧縮。通路を物理的に狭くした。四人が身動きを取りにくくなった。
「うっまそ……やるな」とロックロックが言った。
階段を降りた。
地下に入った瞬間——床が動いた。
壁が動いた。通路が変形した。
「ファッ!?」
「ミミック……! 個性で地下を迷路にしてる!」と緑谷が叫んだ。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
索敵を全力稼働させた。地下の構造が変わっていく。でも——気配は動かない。壁が動いても、人間の位置は変わらない。
「あっ(察し)」
「位置が分かるか?」とエッジショットが聞いた。
「ありますあります」
「案内できるか」
「当たり前だよなぁ?」
エッジショットが「頼む」と言った。
野獣先輩が先頭に立った。
曲がる。止まる。また曲がる。地下の構造が変わるたびに索敵で確認して、進める方向を指す。
「こっちか?」とロックロックが聞いた。
「ありますあります」
「分かった」
チームが後に続いた。
突然——通路の壁が左右から迫ってきた。
「おいおい待て待て!」とロックロックが叫んだ。「潰されるぞ!!」
「伸びた?伸びない?」
「伸びてる!! 壁がどんどん来てる!!」
野獣先輩は両手を通路の左右に向けた。
「こ→←こ!」
壁の移動ベクトルを反転させようとした——が、重すぎる。ミミックの個性で動かされた壁は質量が大きい。完全には止められない。速度が落ちた。
「伸びた?伸びない?」
壁が止まった。でも——二秒後にまた動き始めた。
「くっ——!」
「本締め!!」
ロックロックが個性を発動した。壁に向けて手を当てた。施錠個性——壁の動作をロックした。
完全に止まった。
「はァ!? 今の索敵担当の語録で速度落ちてなかったか!?」
「ありますあります」
「あったのかよ!! 何で言わん!! ——まあいい、助かった」
「ロックロックが「助かった」って言った!!」とデクが小声で言った。
「聞こえてんぞ!!」
壁の罠を突破した。
チームが分かれた。ナイトアイとミリオが一方向へ。デクとロックロックが別方向へ。野獣先輩はナイトアイチームについた。
地下を進みながら、索敵を全チームに向けて維持した。
「センセンシャル!」
感度最大。全チームの位置が頭の中にある。Aチームは今ここ。Bチームはここ。敵の気配はここ。
ナイトアイが「Bチームの状況は」と聞いた。
野獣先輩は手で「安全」のジェスチャーをした。
「分かった。——このまま進む」
通路が続いた。
ミリオが横を走りながら「野獣先輩、前に敵いる?」と聞いた。
「ありますあります」
「何人?」
指で「5」を立てた。
「五人か——透過で先に入っていい?」
「当たり前だよなぁ?」
「いく!!」
ミリオが地面に潜った。透過個性で通路の床を抜けて先へ進んだ。野獣先輩は索敵でミリオの位置を追い続けた。
「あっ(察し)」
ミリオが五人の内三人を先制した気配がした。残り二人がこちらの方向に逃げてくる。
「暴れ馬よ…!」
逃げてきた二人の動きがランダム化した。体勢が崩れた。ナイトアイがそこに入った。
「見事だ」とエッジショットが短く言った。
「当たり前だよなぁ?」
「……その口調は癖か」
「ありますあります」
「ある、か。——悪くない。索敵と語録の組み合わせは、想定より精度が高い」
エッジショットが淡々と言った。褒め言葉だと分かった。
さらに深く進んだ。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
索敵に——小さな気配が引っかかった。
「あっ(察し)」
ナイトアイが「壊理ちゃんか」と聞いた。
「ありますあります」
「どこだ」
野獣先輩は前方下方を指した。まだ下に階層がある。
「……もう一層深いか」
「ありますあります」
「オーバーホールも?」
「ありますあります」
ナイトアイが眼鏡を直した。「……そこに向かう」
ミリオが「エリちゃんの気配、どんな感じですか」と聞いた。
野獣先輩は少し止まった。
「……怖い?」
野獣先輩が頷いた。
「……大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ」
ミリオが静かに言った。自分に言い聞かせるように。
「当たり前だよなぁ?」
ミリオが「……当たり前っすね」と言って、前を向いた。
通路の先に扉があった。
大きな扉だった。金属製。索敵を向けた——向こうに十人以上の気配がある。
「やべぇよやべぇよ」
「多いか」とエッジショットが聞いた。
「ありますあります」
「何人だ」
指で「1」「2」を立てた。
「十二人か。——このドアを開けた瞬間に全員と当たる」
「ロックロックは?」とナイトアイが言った。
「俺はBチームに戻った。今はいない」
「では三人で十二人を相手にする」
「ないです」
「ない——その読みが違うか」
「ありますあります」
「ある——どういう意味だ」
野獣先輩は扉の前に立った。
「ホラホラホラホラ!」
自分の動作速度が上がった。
「こ→←こ!」
扉を挟んで左右の壁を圧縮した——扉の向こうの敵の動線を潰す。右から来る動きが封じられた。
「見とけよ見とけよ~」
「……扉の前を処理してから開けるということか」とエッジショットが言った。
「はっきりわかんだね」
「分かった。——私が入る。お前は後ろで索敵を維持しろ」
「ありますあります」
エッジショットが紙状になった。扉の隙間から中に滑り込んだ。
中から音がした。短い音だった。もうれつに速い。
五秒後、エッジショットが「開けろ」と中から言った。
扉を開けた。
十二人が全員倒れていた。
「……」
「うわあ……たまげたなあ」
「No.4ヒーローだ」とナイトアイが言った。「——当然だ」
さらに深い階層に降りた。
索敵を維持したまま進んでいたが——
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
何かがおかしかった。
気配が——歪んでいる。
「あっ(察し)」
「どうした」とエッジショットが聞いた。
「ファッ!?」
「予期しない何かか」
「ありますあります」
「具体的に」
「これもうわかんねぇな」
「……索敵に異常が出ているか」
「多少はね?」
エッジショットが止まった。「オーバーホールの個性の影響か。分解・再構成が繰り返されている地帯では空間の「質」が変わる。索敵系個性に干渉する可能性がある」
「ファッ!?」
「落ち着け。使えなくなるわけではない。精度が落ちるだけだ」
「多少はね?」
「多少落ちる——なら、まだ使える。継続しろ」
「ありますあります」
索敵を維持した。精度が八割ほどになった感覚。でも——壊理の気配はまだ拾えている。小さな気配が、下の方にある。
「当たり前だよなぁ?」
「壊理ちゃんの位置はまだ分かるか、という意味か」とナイトアイが言った。
野獣先輩が頷いた。
「なら十分だ。——進む」
-
進みながら、チームBの気配を確認した。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
デクとロックロックのチームが——速く動いている。戦闘中だ。
「やべぇよやべぇよ」
「Bチームか」とナイトアイが聞いた。
「ありますあります」
「交戦中か」
頷いた。
「ロックロックは」
野獣先輩は手で「大丈夫」のジェスチャーをした。
「デクは」
少し止まった。
「……動き方が速い。デクの個性が——出力が高い状態で動いている」
「やっぱりっすね……」とミリオが言った。「あの人、ここぞという時に個性を——」
「ちゃんと、ベスト出せるようにね」
「野獣先輩、それ遠くから使えるんですか!?」
「多少はね?」
「多少届く!! デクに届いてれば最高っすよ!!」
遠距離での「ちゃんと、ベスト出せるようにね」の効果——距離が離れると弱まる。でも、多少は届く。
「ありますあります」
深い階層への入り口が見えてきた。
ミリオが止まった。
「……野獣先輩、俺ここから先、透過で一人で行きます」
「やべぇよやべぇよ」
「分かってます。——でも、行かないといけない」
ナイトアイが「ミリオ——」と言いかけた。
「先生、俺に任せてください。エリちゃんと最初に会ったのは俺です。俺が行きます」
ミリオの目が前を向いていた。
「イキますよ~イキますよ~」
野獣先輩が言った。ミリオに向けて。出力を上げる語録だ。
「……ありがとう、野獣先輩」
「当たり前だよなぁ?」
ミリオが笑った。
「うん!おいしい!」
「今のは激励っすよね!! 受け取りました!!」
「ホラホラホラホラ!」
「行けってことですね!! 行きます!!」
ミリオが地面に潜った。
野獣先輩は索敵でミリオの気配を追い続けた。
ミリオが先行した後、ナイトアイとエッジショットと三人で次の突入を待った。
索敵を維持した。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
ミリオの気配が——速い。透過で地下の壁を抜けながら進んでいる。壊理の気配に近づいていく。
「あっ(察し)」
「ミリオは壊理ちゃんに接触できそうか」とナイトアイが聞いた。
「ありますあります」
「分かった。——私たちも動く。エッジショット」
「了解だ」
エッジショットが短く言った。
三人で扉に向かった。
「ホラホラホラホラ!」
動作速度が上がった。
「こ→←こ!」
前方の通路を一点圧縮——道をつけた。
「王道を征く」
「——その語録は?」とエッジショットが聞いた。
「最適経路の自動選択だ」とナイトアイが答えた。「語録で道を最短化する」
「……覚えた」
エッジショットが無表情のまま言った。淡々としているが——この男、語録を本当に覚えている。
「俺も後から洗ってくれよな~」
「遅延発動の仕込みか」とナイトアイが言った。
「はっきりわかんだね」
「分かった。——今、仕込んだな。次の語録に乗せるつもりか」
「当たり前だよなぁ?」
ナイトアイが「なるほど」と言いながら前を向いた。
進みながら——索敵が変化した。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
ミリオの気配が——止まった。
「あっ(察し)」
「どうした」とナイトアイが聞いた。
「やべぇよやべぇよ」
「ミリオか」
「ありますあります」
「何が起きた」
「ファッ!?」
「予期しないことか——個性消失弾か!?」
野獣先輩は索敵で確認した。ミリオの気配が変わっていた。透過の「質感」が——消えた。
「ないです」
「ない——透過が消えたか」
「ありますあります」
「†悔い改めて†」
野獣先輩が言った。
消失弾の軌道を差し戻せるか——もう遅い。弾は当たった後だ。
「ないです」
「間に合わなかったか」
ナイトアイが走り始めた。
「走れ!!」
三人が全速で走った。
駆け込んだ先に——ミリオがいた。
個性が消えた状態のミリオが、それでも前に立っていた。壊理を後ろに庇っていた。
「ミリオ!!」とナイトアイが叫んだ。
「……先生。——俺は大丈夫っす」
ミリオが振り返らずに言った。前を向いたまま。
「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ」
野獣先輩が言った。
ミリオが少し肩の力を抜いた。
「……ヘーキヘーキ。——ですね」
前を向いたままだった。
「イキますよ~イキますよ~」
ミリオが「……はい」と言った。
個性がない。でも——ミリオは前を向いていた。
野獣先輩は索敵を維持した。敵の気配が前方にある。オーバーホールの気配が——重い。
「やべぇよやべぇよ」
独り言のように出た。
でも走り続けた。
実はこの作品、全60話構成でプロットを完結までガチガチに固めてあります。
最近少し展開が落ち着いていますが、ここから後半に向けて怒涛の(ネタとシリアスの)ラッシュを叩き込む予定です。
今、密かに「評価数50」を目標に頑張っています。
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完結まで走り抜けますので、ぜひ背中を押していただけると嬉しいです。