【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩   作:まだら模様

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いよいよ対面でガチバトルです!
野獣先輩…野獣の眼光でオーバーホール萎縮させてください(無茶振り)
オーバーホールからはなんだこの汚物とかって思われそう(小並感)

キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性がございます。
ご注意ください。

感想、評価付与は野獣先輩への声援になります!
是非応援してあげてください!


第24話「やべぇよやべぇよ(戦闘中)(オーバーホール戦・前半)」

 

 

 突入の直前のことだ。

 

 施設前の路上に各チームが展開するまでの間、野獣先輩はデクの横に立っていた。

 

 デクが黙っていた。珍しいことではない。デクはいつも緊張する時に黙る。でも今日の黙り方は種類が違う。怖いのではなく——行きたくて仕方がない、という緊張だ。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 索敵でデクの体の状態を確認した。心拍が速い。呼吸が浅い。でも——軸が通っている。

 

「やべぇよやべぇよ」

 

 デクが顔を上げた。「……野獣先輩さん」

 

「ありますあります」

 

「俺、絶対に壊理ちゃんを助けます」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 デクが「……当たり前、ですよね」と言った。少し笑った。

 

 その時、後ろから足音が来た。

 

「緑谷!!」

 

 飯田だった。大股で来た。轟も一緒だった。

 

「突入前に一言言わせてくれ!! 今日という日は雄英の名においても——」

 

「天哉」

 

 轟が一言だけ言った。飯田が止まった。

 

「……簡潔に言え」

 

「そ、そうだな!! ——緑谷、行ってこい!!」

 

 デクが「……うん!!」と言った。目が赤くなっていた。泣きそうだった。泣かなかった。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 飯田が「その通りだ!! 野獣先輩さんも頼みます!!」と言った。

 

 轟が野獣先輩を見た。「……壊理を頼む」と一言言った。

 

「ちゃんと、ベスト出せるようにね」

 

 デクが「——行きます!!」と走り出した。轟が「……悪くない」と呟いた。飯田が「雄英の——」と言いかけてデクが行ってしまったのを見て「……行ったか」と言った。

 

 

 

 

 

 突入が始まった。

 

 チームが分岐した。デクとナイトアイがオーバーホール追跡。野獣先輩はナイトアイの事前指示通り、ミリオが個性を失いながらも連れ出してきた壊理の護衛に回った。

 

 壊理を受け取った。

 

 ミリオが壊理を渡す瞬間、壊理が「……しろいひと」と野獣先輩を見た。

 

「ありますあります」

 

「……おぼえてる」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 壊理が小さく頷いた。ミリオが「エリちゃん、野獣先輩と一緒にいてください」と言った。

 

「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ」

 

「……ヘーキヘーキ」

 

 壊理が繰り返した。ミリオが前へ走っていった。

 

 野獣先輩は壊理を抱えて、地上への脱出ルートを進み始めた。

 

 

 

 

 

 前方の通路に気配が来た。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

「やべぇよやべぇよ」

 

 重い気配が三つ。脳無だ。オーバーホールが通路に配置した守備の脳無だ。

 

 野獣先輩は壊理を後方の壁際に下ろした。

 

「……いかないで」

 

「ちゃんと、ベスト出せるようにね」

 

 壊理の体から少し力が抜けた。「……ヘーキヘーキ」と小声で言って、膝を抱えて壁に背をつけた。

 

 野獣先輩は前に出た。

 

「センセンシャル!」

 

 索敵の感度を最大まで上げた。三体の質量・速度・動作ベクトルが全部入ってくる。

 

「ホラホラホラホラ!」

 

 動作速度が加速した。

 

 脳無の一体が腕を振った。野獣先輩はすでにその軌道の外にいた。

 

「こ↑こ↓!」

 

 脳無の腕を軌道上から転移させた。上に出して下に落とした。自分の腕が自分の足元に叩きつけられた形になって脳無が体勢を崩した。

 

 二体目が来た。三体目も来た。同時だった。

 

「あーもうめちゃくちゃだよ」

 

 広域に発動した。

 

 混沌状態の付与——三体の動作連携が崩れた。二体目と三体目が互いの動線に干渉し合って、一瞬だけぶつかりそうになった。連携が崩れた隙に野獣先輩は動いた。

 

「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」

 

 音波衝撃波が近距離に展開した。

 

 三体の脳無が——吹き飛んだ。重い体が通路の壁に叩きつけられた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 三体が停止した。索敵で確認した。まだ生体反応がある。倒してはいない。でも動けなくなっている。

 

「ありますあります」

 

 壊理のところに戻った。

 

「……おおきいおと」

 

「ありますあります」

 

「こわかった?」

 

「多少はね?」

 

 壊理がきょとんとした顔をした。「……野獣先輩も、こわいの?」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「……こわくても、やるの?」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 壊理が少し黙った。それから「……ヘーキヘーキ」と言った。今度は野獣先輩に向かって言った。

 

 

 

 

 

 通路の奥から、また気配が来た。

 

「あっ(察し)」

 

 人間だ。脳無ではない。ナイフを持った八斎衆の構成員が二人。走ってくる。

 

「お前さぁ…」

 

 二人が——止まった。

 

 「次に何が来るか分からない」という恐怖が伝播した。言いかけて止まる語録は、相手の想像を最悪の方向に走らせる。脳が「来るもの」を勝手に作り出して体が固まる。

 

「な——なんだ、今の……」

 

「緊張すると力出ないからね」

 

 さらに追い打ちをかけた。二人の握力が抜けた。ナイフが落ちた。

 

「て——手が……!」

 

「やだ…こわい…」

 

 今度は相手の恐怖心を索敵で拾い上げて増幅し、そのまま返した。相手が今感じている恐怖を二倍にして戻す。

 

「ッ——!! 逃げろ!!」

 

 二人が走って逃げた。

 

 野獣先輩はその背中を見送った。

 

「ないです」

 

 追わなくていい。壊理を連れている今、余計な追跡はしない。

 

 

 

 

 

 しかし——増援が来た。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

「やべぇよやべぇよ」

 

 今度は多い。五人。全員武装している。索敵で武器の形状まで分かる。

 

 通路が狭い。壊理を抱えたまま五人と正面でやり合うのはリスクが高い。

 

「菅野美穂」

 

 野獣先輩の気配が——二つになった。

 

 通路の左右に、野獣先輩の「気配のコピー」が生成された。本物は中央。コピーが左と右。五人の視覚と感覚に「三体いる」という情報が入る。

 

「な——三人いるのか!?」

 

「挟まれる!!」

 

 五人が迷った。どれが本物か分からない。囮二体に二人が向かった。残り三人が本物に来た。

 

「せっかくだから俺はこの赤の扉を選ぶぜ!」

 

 三人が迷っている一瞬——左の通路への分岐が見えた。語録の「最適ルート選択」が発動した。

 

 左だ。

 

「暴れんなよ…暴れんなよ…」

 

 三人の動きを抑制した。足が止まった。

 

「ホモはせっかちRTAだからね」

 

 動作を圧縮した。

 

「こ←こ↓!」

 

 三人を左に逸らして足元に落とした。転倒させた。

 

 壊理を抱えて左の分岐に入った。増援を後方に置いて進んだ。

 

 

 

 

 

 通路を抜けた。

 

 地上へ向かう階段の前に——見知った気配があった。

 

「あっ(察し)」

 

 麗日お茶子と蛙吹梅雨だった。リューキュウのインターン組として別ルートを担当していた二人が、合流地点で待っていた。

 

「野獣先輩さん!!」

 

 麗日が走ってきた。壊理を見た。目が変わった。

 

「壊理ちゃん——!」

 

「……」

 

 壊理が麗日を見た。知らない人間だ。少し固まった。

 

「大丈夫! 私たちはデクくんの友達で——」

 

「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ」

 

 野獣先輩が言った。壊理が麗日を見た。また野獣先輩を見た。

 

「……デクの、おともだち?」

 

「ありますあります」

 

「……ヘーキヘーキ」

 

 壊理が麗日に向かって言った。麗日の目が揺れた。「……うん、ヘーキヘーキだよ」と小声で返した。

 

 梅雨が野獣先輩の横に来た。「地上への道は確保できてる。でも——上の方でまだ戦闘音がするわ」

 

「やべぇよやべぇよ」

 

「そうね。——早く行きましょう」

 

 

 

 

 

 四人で地上へ向かった。

 

 野獣先輩は索敵を維持したまま走った。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 地下の深部——オーバーホールの気配がある。重い。歪んでいる。分解と再構成が繰り返されている。その近くにデクの気配がある。

 

 そしてナイトアイの気配が——

 

「あっ(察し)」

 

「どうしたケロ?」と梅雨が聞いた。

 

「やべぇよやべぇよ」

 

「ナイトアイさん……?」と麗日が言った。「何か——」

 

「ありますあります」

 

 麗日が唇を一度引き結んだ。「……分かった。行こう」

 

 走った。

 

 壊理が野獣先輩の首に腕を回した。落ちないように、自分からしがみついた。

 

 その小さな手の感触があった。

 

「ちゃんと、ベスト出せるようにね」

 

 独り言のように出た。誰に向けたか分からない。自分に向けたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 階段を上がった。

 

 扉を抜けた。

 

 光が来た。

 

 外だった。昼の空だった。地下から出た瞬間、全員が一拍だけ止まった。

 

 壊理が光に目を細めた。

 

「……あかるい」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「……当たり前、なの?」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 麗日が壊理の隣に来た。「そうだよ。外はいつでもこんなに明るいんだよ」と言った。声が少し揺れていた。でも笑顔だった。

 

 救急車が来ていた。警察が展開していた。

 

 梅雨が「搬送の準備できてる。壊理ちゃんをまず」と言った。

 

 野獣先輩は壊理を下ろそうとした。壊理がしがみついたままだった。

 

「……まだ、いっしょにいる?」

 

「ありますあります」

 

「……ヘーキヘーキ」

 

 壊理がゆっくり腕を離した。医療チームの人間に引き渡された。壊理が振り返って野獣先輩を見た。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 壊理が——小さく笑った。

 

 

 

 

 

 地上で待機した。

 

 索敵を全力展開した。

 

「センセンシャル!」

 

 感度最大。地下深部の気配が全部入ってくる。

 

 デクが戦っている。オーバーホールと交戦中だ。個性の出力が——通常ではない値で動いている。デクが全力を超えた何かを発動しようとしている気配がある。

 

「やべぇよやべぇよ」

 

「デクくんの状態……分かる?」と麗日が聞いた。索敵のことを知っている。横で聞いていた。

 

「ありますあります」

 

「今、どんな感じ」

 

 野獣先輩は少し考えた。

 

「ン~いい時には結構いくね」

 

 麗日が「……今がいい時、ってこと?」と聞いた。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 麗日が「……よかった」と小さく言った。空を見た。目が前を向いていた。

 

 梅雨が「ナイトアイさんは……」と言いかけて止まった。

 

「……やべぇよやべぇよ」

 

 野獣先輩が言った。

 

 三人が黙った。

 

 空に雲が流れていた。地下からまだ音がした。

 

 

 

 

 

 しばらくして、地下から人が上がってきた。

 

 ロックロックが先頭だった。「搬送する!! 医療チーム来い!!」と叫んだ。

 

 ナイトアイが担架で運ばれてきた。

 

 麗日が息を飲んだ。梅雨が目を閉じた。

 

「痛いですね…これは痛い」

 

 独り言が出た。

 

 ナイトアイが野獣先輩を見た。「……壊理ちゃんは」

 

「ありますあります」

 

「……そうか」

 

 ナイトアイが目を閉じた。「……よかった」

 

 救急車が動き始めた。

 

 野獣先輩は索敵を維持したまま立っていた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 デクの気配が——まだ動いている。オーバーホールとの戦闘が続いている。

 

「見とけよ見とけよ~」

 

 地下に向けて言った。

 

 届くはずがない。

 

 でも——言った。

 

 

 

 

 

 麗日が「……野獣先輩さん、今の——デクくんに向けて言った?」と聞いた。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「届くの?」

 

「多少はね?」

 

 麗日が「……そっか」と言った。それから空を見上げた。「頑張れ、出久くん」と小声で言った。

 

 轟と飯田が地上に上がってきた。二人とも無事だった。

 

「壊理は」と轟が聞いた。

 

「ありますあります」と野獣先輩が言った。

 

「……そうか」

 

 飯田が「ナイトアイさんは——」と担架の方向を見た。顔が変わった。「……搬送中か」

 

「ありますあります」

 

「……行こう。俺たちにできることをする」

 

 飯田が医療チームの方向に走った。轟が一瞬野獣先輩を見た。

 

「……お前がいてよかった」

 

 それだけ言って、飯田の後を歩いていった。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 轟が——振り返らずに「当たり前だろ」と言った。

 

 

 

 

 

 全員が動き始めた後、野獣先輩は一人で索敵を維持した。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

「センセンシャル!」

 

 感度最大。

 

 デクの気配が——変わった。

 

 個性の出力が、今まで感知したことのないレベルに上がっていた。百パーセント。いや、それを超えている。

 

「うわあ……たまげたなあ」

 

 独り言が出た。

 

「あーもうめちゃくちゃだよ」

 

 また出た。

 

 デクの体に何かが起きている。でも——戦っている。前に進んでいる。

 

「王道を征く」

 

 空に向かって言った。

 

 地下でデクが動いていた。

 

 野獣先輩は索敵を維持したまま、その気配を追い続けた。

 

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