【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩   作:まだら模様

30 / 60
悟オリジナル設定入るかもしれませんね。
その点もご注意ください。

キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性がございます。
ご注意ください。

評価付与、感想は野獣先輩が張り切って語録を多用してくれます!
後ちょっとで50評価なので、ぜひ何卒よろしくお願いします 
評価50超えたら完結まで毎日投稿やります!(白目)


ABクラス合同訓練編
第30話「これもうわかんねぇな(乱戦)(ジョイント訓練・B組登場)」


 

 

 朝のHRで相澤が言った。

 

「明日からA組・B組の合同戦闘訓練を行う。全部で五試合。各試合四対四の捕縛戦だ」

 

 教室がざわついた。

 

「B組か……!」と切島が言った。

 

「久しぶりだな」と轟が言った。

 

「勝てる!? 勝てる感じある!?」と上鳴が周囲を見回した。

 

「うるせぇ」と爆豪が言った。

 

 相澤が全員を見渡した。黒い目が教室の端から端まで走った。

 

「もう一点。今回の訓練には普通科から一人、特別参加する。以前体育祭で会ったことがあるはずだ」

 

 デクが止まった。

 

「……心操くん」

 

「そうだ」と相澤が言った。「今回の訓練は、彼の編入試験を兼ねている。そのつもりで当たれ」

 

 野獣先輩は窓の外を見ながら相澤の言葉を聞いていた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 索敵を展開した。雄英の敷地内に——まだいない。普通科の棟の方向に、どこか緊張した気配が一つある。明日のことを考えている。

 

「ン~いい時には結構いくね」

 

 独り言が出た。

 

「田所、今日のコンディション確認してるのか」と相澤が言った。

 

「ありますあります」

 

「……そうか」

 

 

 

 

 訓練場の前でA組とB組が向かい合った。

 

 B組は二十人いた。最前列に立っていたのが拳藤一佳だった。

 

 大きな両手。正面から視線を外さない目。「やるならてっぺん」という気配。

 

「まぁ——久しぶりね、A組」と拳藤が言った。「文化祭のライブ、聞こえたよ。楽しそうだったじゃん」

 

「ありがとうございます!!」と切島が言った。先輩に言うような声だった。

 

「あんたが提案したんだっけ、語録ライブ」

 

「そうっすよ!! 先輩のギターが——」

 

「私は先輩じゃないけどね」と拳藤がやや呆れた顔で言った。

 

 物間寧人が前に出た。白い髪。にやついた顔。

 

「いやあ、A組の皆さんとは久しぶりですね。ところで——あちらの方は?」

 

 物間が野獣先輩を見た。

 

「A組にいる方とは思えないルックスなんですが。もしかして留年とかですかね?」

 

「ビール!ビール!」

 

 野獣先輩が言った。

 

 物間が一瞬止まった。「……は?」

 

「ビール!ビール!」

 

「……なに、この人。意味分かんない」

 

「いいねぇー」

 

「聞いてる!?」

 

 拳藤が物間の頭に手刀を入れた。「また始まってる。やめなさい」

 

「いてっ! でも拳藤さん、あの人——」

 

「田所浩二くん。24歳、学生」とデクが言った。「語録を個性として使います。強いです」

 

「語録?」と物間が言った。怪訝な顔をした。「語録で戦うって……どういう——」

 

「これもうわかんねぇな」

 

 野獣先輩が言った。

 

 物間が「だから誰に言ってるんですか!?」と言った。

 

 

 

 

 

 B組の端に心操人使がいた。

 

 相澤と同じ捕縛布を体に巻いていた。変声機をつけていた。顔が薄暗い。感情を表に出さない目。でも——緊張はしている。索敵で拾える。「この訓練で全てが決まる」という張り詰め方をしていた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 野獣先輩が心操の気配に索敵の焦点を絞った。

 

 強い。体育祭の時より明らかに違う。捕縛布の使い方が染み込んでいる。相澤の動きを徹底的に真似した跡がある。「洗脳」の個性——声に答えた相手を操る。複数語録を連続発動する野獣先輩と、声で相手を操る心操。

 

 野獣先輩は少し考えた。

 

「ビール!ビール!」

 

 小声で言った。

 

 心操がこちらを見た。

 

「……語録には答えないようにする、ってことか」と心操が言った。静かな声だった。「音声系の個性同士——そういう意味だよな」

 

「ありますあります」

 

「洗脳に引っかからないよう、まず確認してるわけだ」

 

「ありますあります」

 

 心操がしばらく野獣先輩を見た。それから「……厄介だな」と言った。悪い顔じゃなかった。

 

 

 

 

 

 最初の試合が始まった。

 

 切島・蛙吹・上鳴・力道対B組の四人(円場・宍田・鱗・塩崎)——そこに特別参加の心操が加わった。

 

 野獣先輩は観戦席から索敵を展開した。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 全員の気配が入ってくる。切島が前に出た。塩崎の荊棘の気配——突然植物が伸びてきた。切島が個性で硬化して正面から突っ込んだ。蛙吹が舌で上鳴を引っ張って高所に退避させた。力道が甘味を摂取して自己を強化しつつ進んでいる。

 

 悪くない出だしだった。

 

 でも——心操が動いた。

 

 変声機を通した声が響いた。「おい、切島! 上にいるぞ!!」

 

 切島が反射的に上を向いた。

 

「——捕まえた」

 

 洗脳が入った。切島の動きが止まった。

 

「あっ」と上鳴が叫んだ。

 

 円場が空気の壁を展開した。蛙吹が引っかかった。力道が孤立した。

 

 試合の流れが一気に変わった。

 

「あーもうめちゃくちゃだよ」

 

 野獣先輩が観戦席で言った。

 

「でしょうね」と相澤が隣に立ったまま言った。「心操の洗脳は実戦で使えるレベルになった。捕縛布も形になってきた」

 

「ありますあります」

 

「……お前はどう見る」

 

「ありますあります」

 

 相澤が少し間を置いた。「強いと思うか、ということだ」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 相澤が「そうか」と言った。表情は変わらなかったが、少し何かが解けた気配がした。

 

 試合は最終的に心操チームが勝った。切島が洗脳から自力で戻ったが時間がかかりすぎた。

 

 

 

 

 

 第三試合のメンバー発表があった。

 

 野獣先輩・爆豪・常闇・八百万 対 B組の四人(拳藤・吹出・黒色・小森)。

 

 観戦席にいたA組が「先輩が出る!!」「えっB組の方大丈夫そ!?」とざわめいた。

 

 野獣先輩は訓練場に入った。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 相手の四人の気配が全部入ってくる。拳藤——前に出る気配。吹出——泡系の個性、遠距離牽制。黒色——黒いものに溶け込む個性、単独行動。小森——キノコを生やす個性、湿気が多い場所で強くなる。

 

 拳藤がこちらを見た。「——田所くん、でいい?」

 

「ありますあります」

 

「A組の人たちが「強い」って言ってたから楽しみにしてたよ。語録とやら、見せてもらうからね」

 

「ありますあります」

 

「強がってんの? それとも本当に余裕なの?」

 

「ありますあります」

 

「どっちだよ!!」と吹出が叫んだ。

 

 笛が鳴った。試合開始。

 

 

 

 

 

 拳藤が一直線に来た。

 

 両手が大きくなった。地面を踏む音がでかかった。速かった。武闘派の正面突破、陽動も搦手もない——真っ向勝負。

 

「お前さぁ…」

 

 野獣先輩が言った。

 

 拳藤が一拍止まった。「——なに?」

 

 その一拍の間に野獣先輩が横に動いた。拳藤の突進が空を切った。

 

「……っ! なんで止まった!? 「お前さぁ」って言われたら止まるつもりなかったのに!!」

 

「ビール!ビール!」

 

「ビール飲みたいとか思ってない!! 今思わせた!? 今「あ、ビール」って思わせた!?」

 

「ありますあります」

 

「これが語録の効果!? 欲しいものを思わせるの!?」

 

 拳藤が大拳を振った。今度は止まらなかった。真正面から拳が来た。

 

「なんでそんな事するの?」

 

 野獣先輩が言った。

 

 拳藤が「え」と言って一拍動揺した。「なんでって——訓練だから——いや待って、なんで「なんで」って言われて答えを考えちゃったの私!?」

 

「うん!おいしい!」

 

 野獣先輩が拳藤の突進の勢いを「受け入れて変換」した。拳藤のパワーを吸収して横に流した。拳藤がよろめいた。

 

「なっ——!? 力を流された!? 受け入れたの!? 「おいしい」って言いながら!?」

 

 

 

 

 

 訓練場の別エリアで常闇と黒色が対峙していた。

 

 黒色の個性——黒いものに溶け込む。常闇の「影」に潜り込もうとした。

 

「——愚かな」と常闇が言った。「闇は俺のものだ。お前には渡さない」

 

 ダークシャドウが動いた。影のモンスターが咆哮した。

 

 でも——黒色が常闇の影の中に溶け込んだ。ダークシャドウを内側から揺さぶり始めた。

 

「——ぐっ! 俺の闇が、俺の意志を……!!」

 

 常闇が苦戦し始めた。

 

「あーもうめちゃくちゃだよ」

 

 野獣先輩が遠くから小声で言った。

 

「先輩今は拳藤さんと戦ってください!!」と八百万が叫んだ。

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 

 拳藤が息を整えながら野獣先輩を見た。

 

「……なるほどね。語録が全部「一瞬止まらせる」か「考えさせる」か「力を変換する」か——どれかなんだ。分かってきた」

 

「ありますあります」

 

「分かっても止まれないんだけど!! 「お前さぁ…」って言われたらまた止まりそうなんだけど!! これ欠陥じゃないの!? 私の思考が!!」

 

「ありますあります」

 

「開き直った!?」

 

 爆豪が後ろから吹出を一枚爆破で吹き飛ばした。「うるせぇから早く終わらせろ」

 

「そうね!」と拳藤が言った。「——じゃあ全力で行くわよ!! ラヴァーモードみたいなの無くてもこっちには誇りがある!!」

 

「二人は幸せなキスをして終了」

 

 野獣先輩が言った。

 

 拳藤が「なんの話をしてるんですか!!!」と全力で叫んだ。

 

 その隙に八百万の「製造」した拘束具が拳藤の両足を縛った。

 

「——っ!! 負けた……! 語録に動揺したせいで足元見てなかった……!」

 

「まぁ——やるならてっぺん狙ってもらいますけども」と拳藤が悔しそうに言いながら言った。「次は止まらないから覚えてなさいよ!」

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 

 第五試合が始まった。

 

 デク・麗日・芦戸・峰田 対 B組の物間・小大・庄田・柳——そして心操。

 

 野獣先輩は観戦席で索敵を続けていた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 デクの気配が入ってくる。物間が他の個性を使い始めた。庄田の個性——弾力性を帯びた巨大な体で威圧してくる。デクが対応しようとした。

 

 その瞬間——デクの気配が変わった。

 

 突然。

 

「ファッ!?」

 

 野獣先輩の口から出た。

 

 何かが「出てきた」。デクの体の中から、別の何かが——腕のあたりから、黒いものが飛び出した。制御できていない。暴走している。周囲に当たり始めた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 索敵の焦点をデクに絞った。デクの内部に「別の意志」がある。野獣先輩が今まで感じたことがない気配だった。強い。古い。何か別の人間の感情の残滓のような——

 

「これもうわかんねぇな」

 

 野獣先輩が本気で言った。

 

 試合が一時停止になった。

 

 相澤が立ち上がった。「——止めろ」

 

 心操が動いた。捕縛布を構えて声を出した。「落ち着け。今の自分を見ろ」

 

 洗脳が入った。デクの動きが止まった。黒鞭が引っ込んだ。

 

 麗日がデクに駆け寄った。「大丈夫! 大丈夫だから!」

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 野獣先輩は索敵をデクに当て続けた。デクの中の「別の何か」の気配が、まだある。落ち着いている。眠っている。でも——消えてはいない。

 

「ファッ!?」

 

 また言った。

 

「先輩、今は落ち着いてください」と切島が横で言った。

 

「ありますあります」

 

「落ち着いてます?」

 

「ありますあります」

 

「全然落ち着いてなさそうっすけど」と切島が言った。

 

 

 

 

 

 全五試合が終わった。

 

 訓練後の廊下で心操が野獣先輩の横に来た。

 

「——さっきの。デクの中に何かいると思ったか? 索敵で」

 

「ありますあります」

 

「……俺も洗脳を入れた時に、一瞬だけ「別のもの」を感じた。デクじゃない誰かの意識みたいな——」

 

「ありますあります」

 

「あんたの語録で洗脳が入ったのか——それとも暴走が自然に収まったのかは分からないけど」

 

「多少はね?」

 

 心操が少し止まった。「……語録も洗脳も、「声で相手に影響を与える」という点では同じだ。干渉できる可能性がある」

 

「ありますあります」

 

「だから——」と心操が言った。少し声が変わった。「俺がヒーロー科に入ったら、一度ちゃんと話してみたい。語録と洗脳が同時に発動した場合、何が起きるか」

 

 野獣先輩はしばらく心操を見た。

 

「ありますあります」

 

「……「いいよ」ってことか」

 

「ありますあります」

 

「分かった」と心操が言った。それから少し間を置いた。「あんたの語録——「これもうわかんねぇな」って何回か言ってたよな。本気で言ってたか?」

 

「ありますあります」

 

「デクの中のあれが、か」

 

「ありますあります」

 

 心操が「……そうか」と言った。相澤に似た言い方だった。「俺も分からなかった。一緒に分かろうとしてみるか」

 

「ありますあります」

 

 心操が廊下を歩き出した。

 

 

 

 

 

 訓練棟の出口で拳藤が待っていた。

 

「——一個だけ聞いていい? 「ビール!ビール!」で私がビール思い浮かべたのって、個性の効果? それとも普通に言われたから思い浮かべちゃっただけ?」

 

「ありますあります」

 

「どっちが!!」

 

「ありますあります」

 

「この人全部「ありますあります」で返すじゃん!!」

 

「ありますあります」

 

「もう!!」と拳藤が言った。でも怒ってはいなかった。「……まぁ、楽しい訓練だったよ。「お前さぁ…」って言われた時、本当に一瞬止まったし。なんかそれが——悔しいより面白かった。変かな」

 

「いいねぇー」

 

「褒めてくれてる?」

 

「ありますあります」

 

 拳藤が「ふーん」と言った。「また訓練で当たった時は全力でいくから。次は「お前さぁ」に止まらないようにしてくるし」

 

「ありますあります」

 

「楽しみにしてなさいよ」と拳藤が言って歩いて行った。

 

 

 

 

 

 夜、野獣先輩は寮の自室で索敵を展開していた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 デクの部屋の気配が入ってくる。落ち着いている。でも——少し張り詰めている。今日の暴走のことを考えている。

 

 野獣先輩は索敵の焦点をデクに当てたまま、天井を見た。

 

「ファッ!?」

 

 独り言が出た。

 

 デクの中にいる「何か」——黒い鞭のような個性。今まで感じたことがないタイプの気配だった。強い。でも悪くない。デクを傷つけようとしているわけじゃない。ただ——まだ「デクのもの」になっていない。

 

「これもうわかんねぇな」

 

 また言った。

 

 索敵をゆっくり解いた。

 

 デクの気配は穏やかだった。今夜は眠れそうだ、という気配。

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩は天井を見たまま言った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。