【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩 作:まだら模様
頑張れ!野獣先輩!君の力(無限の語録)でなんとかしてくださいなんでもしm…
キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性がございます。
ご注意ください。
評価付与、感想は野獣先輩が励ましの言葉をくれて元気をもらえます
(良いところを評価して)「やりますねぇ!」
「今日も頼む」と相澤が言った。
「かしこまり!」
野獣先輩が屋上で索敵を広げた。
昨日と同じ。全ヒーローの位置を把握する。ミルコの気配は——重傷だが安定。エンデヴァーが前線で動いている。ホークスが——
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
通常範囲から徐々に広げていく。
あの方向——
核の気配が——
いつもと違った。
昨日まで「在る」だけだった気配が——「動いている」に変わっていた。
「こわいなーとづまりすとこ」
野獣先輩が言った。
「……「怖い」か」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……動いているか」
「ありますあります」
「……どの方向だ」
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
野獣先輩は方向を絞ろうとした。
絞れない。
一点じゃない。拡散している。
「三人はどういう集まりなんだっけ?」
野獣先輩が言った。
「……索敵が混乱しているか」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……気配が拡散しているのか」
「ありますあります」
「……死柄木が動き始めたか」
「ありますあります」
相澤がスマートフォンを取り出した。「……報告する。続けろ」
「ありますあります」
雄英の教室。
昨日より空気が重かった。
デクが窓の外を見ていた。爆豪が机の上に腕を置いて目を閉じていた。切島が上鳴の隣で小声で話していた。
「……先輩、今日も屋上にいますよね」と切島が言った。
「昨日より緊張してる感じがする」と上鳴が言った。「先輩の気配というか……なんか」
「感じるのか、お前に」と砂藤が言った。
「分からないですけど——なんか、索敵が全開じゃないですか今日も」
「語録まとめ戦場版②、開始します」と上鳴が小声でスマートフォンを開いた。
「……お前すごいな」と砂藤が言った。感心だか呆れだか分からない声だった。
「だって記録しておかないと! 先輩が今日どんな語録を使ったか、後で全部聞くので!!」
「ありますあります」
どこからか聞こえた。
上鳴が「先輩!!?」と立ち上がった。「どこから!?」
「廊下だ、座れ」と相澤の声がした。
扉の隙間から相澤が「今日はA組全員自室待機。廊下に出ない。以上」と言った。
「ありますあります」
また聞こえた。今度は屋上の方向から。
遠かった。でも聞こえた。
上鳴が「先輩が「ありますあります」した!! 了解の意味ですよね!! 語録まとめ戦場版②に追記!!」と小声で叫んだ。
「……お前は本当に……」と砂藤が言った。
午前中。
索敵を維持していた。
エンデヴァーが前線で動いている。ホークスが——接触している。接触した気配が——
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
その時。
索敵の端に——何かが触れた。
「人の気配が消える」感触。
一つ。また一つ。
人の形をした気配が——欠けていく。
「こわいなーとづまりすとこ」
もう一度出た。
「……何があった」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……気配が消えているか」
「ありますあります」
「……人か」
「ありますあります」
「……何人だ」
「野球か何か?」
野獣先輩が言った。
「……「分からない」か」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……規模が把握できないか」
「ありますあります」
「……索敵が引きずられているか」
「ありますあります」
相澤が「縮小しろ。ミルコとエンデヴァーだけに絞れ」と言った。
「ありますあります」
野獣先輩は索敵を縮小しようとした。
縮小できない。
これが——初めてだった。
索敵が「引きずられる」のは経験していた。死柄木の核に引っ張られるのも分かっていた。でも今回は違う。「広がっていく」のではなく——「崩れていく」感触だった。
索敵の中で、人の気配が一つまた一つと——消えていく。
「こわいなーとづまりすとこ」
三回目が出た。
自分でも止められなかった。
「田所」と相澤が言った。「落ち着け」
「ありますあります」
「……「落ち着いている」か」
「ありますあります」
「……「落ち着こうとしている」か」
「ありますあります」
「……どちらでもない、か」
「ありますあります」
「……三択全部「ある」か」
「ありますあります」
相澤が「……今何が見えている」と言った。
「とか何とかわけわかんねーこと叫びながらコイツ目がイっちゃてる」
野獣先輩が言った。
相澤が止まった。「……死柄木の気配が正常の範囲を超えているか」
「ありますあります」
「……人の形をしていないか」
「ありますあります」
「……崩壊が広域に展開しているか」
「ありますあります」
「……どのくらいの範囲だ」
「こんなぶっといの入れちゃってさ、恥ずかしくないのかよ?」
野獣先輩が言った。
相澤が「……「そんな広範囲まで」ということか」と言った。
「ありますあります」
「……規模が「過剰」か」
「ありますあります」
相澤が「……全力で報告する。お前は——」と言った。「索敵を続けられるか」
「してはいけない(戒め)」
野獣先輩が言った。
相澤が「……「続けてはいけない」か」と言った。
「ありますあります」
「……なぜだ」
「ありますあります」
「……「引きずられすぎる」からか」
「ありますあります」
「……分かった。縮小しろ。ミルコだけを追え」
「ありますあります」
野獣先輩は索敵を絞ろうとした。
ミルコ——重傷で動いていない。気配が安定している。消えていない。
「ありますあります」
自分に向かって言った。
ミルコは生きている。消えていない。
しばらして——崩壊の気配が変化した。
広がっていた「消える感触」が——一段落した。
でも索敵が安定しない。「しばらく止まった」のか「また動いている」のか「終わったのか始まったのか」が——分からない。
「しばらくホッとしたろう!」
野獣先輩が言った。
「……一時的に崩壊が止まったか」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……また動くか」
「知らねーよ、そんなの」
出た。
相澤が「……」と止まった。
「……「分からない」か」
「ありますあります」
「……索敵でも把握できないか」
「ありますあります」
相澤が初めて「田所の索敵でも把握できないのか」という顔をした。野獣先輩には相澤の顔は見えなかった。でも索敵で相澤の気配が——珍しい緊張の形をしていた。
「ありますあります」
野獣先輩が先に言った。
「……俺が驚いているのが分かったか」
「ありますあります」
「……そうか」
相澤が短く息を吐いた。「——今日の「知らねーよ」は——本当に「知らない」か」
「ありますあります」
「……初めてか、お前が「分からない」状態になるのは」
「ありますあります」
相澤が「……そうか」と言った。何も続けなかった。
教室。
相澤から情報が入った。
「死柄木が動いた。崩壊が広域展開した。現在情報収集中。お前たちは動くな」
A組が静かになった。
「……やべぇよ」と上鳴が小声で言った。「やべぇよやべぇよ……」
「ありますあります」
どこからか聞こえた。屋上の方向から。
「先輩!!」と上鳴が言った。「先輩が「ありますあります」した!! あれは「やべぇ」に同意ですよね!!」
「黙れ」と爆豪が言った。でも否定しなかった。
「……でも「やべぇよやべぇよ」って先輩も言いそうじゃないですか……」と上鳴が言った。
「言わない。先輩は語録しか言わない」と切島が言った。
「でも気持ち的には「やべぇよやべぇよ」じゃないですか今!!」
「ありますあります」
また聞こえた。
全員が屋上の方向を見た。
「……「ある」のか、「やべぇよやべぇよ」感が」と切島が言った。
「ありますあります」
「……先輩が認めた」と切島が言った。少し笑っていた。怖い笑いだった。
デクが「……野獣先輩さんが「やべぇよやべぇよ」感があると言っている——今、索敵でそのくらいの事態が起きているということですよね」と言った。
誰も否定しなかった。
「田所」と相澤が言った。「今の索敵で、把握できていることを全部言え」
「ありますあります」
「……「ある」のか」
「ありますあります」
「……ミルコは」
「ありますあります」
「……生きているか」
「ありますあります」
「……エンデヴァーは」
「ありますあります」
「……動いているか」
「ありますあります」
「……ホークスは」
「ありますあります」
「……接触しているか」
「ありますあります」
「……死柄木の核は」
野獣先輩は少し間を置いた。
「こんなんじゃ商品になんねぇんだよ」
言った。
「……「もう人間の域を超えた」ということか」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……索敵で「人の気配」として把握できないか」
「ありますあります」
「……「崩壊」そのものが気配になっているか」
「ありますあります」
「……そうか」と相澤が言った。「それだけ分かれば十分だ。田所——今日の索敵で、お前が「分からない」と言ったのは初めてだ」
「ありますあります」
「……それが——今の死柄木の規模を示している、と俺は判断する。お前が「知らない」と言うくらいの規模だ、ということだ」
「ありますあります」
「……よく伝えてくれた。本当に、よく伝えてくれた」
「ありますあります」
索敵を縮小した状態で——エンデヴァーの気配を追った。
前線で動いている。
炎を使っている。巨大な出力。一撃一撃の重さが索敵越しでも感じる。体幹が太い。腰から肩にかけての重心が安定している。あの規模の炎を使いながら体が揺れない。背中の——
「野球か何か?」
思わず出た。
相澤が「……何だ」と言った。
「ありますあります」
「……語録か」
「ありますあります」
「……エンデヴァーを見ていたか」
「ありますあります」
「……索敵でエンデヴァーのことを考えていたか」
「ありますあります」
相澤が「……エンデヴァーに伝えるか」と言った。
「ありますあります」
「……「伝えなくていい」か」
「ありますあります」
「……「伝えてもいい」か」
「ありますあります」
「……どちらだ」
「ありますあります」
相澤が「……「どちらでもいい」ということか」と言った。
「ありますあります」
相澤がスマートフォンを取り出した。何かを打った。
「……エンデヴァーに「田所がお前の戦い方を索敵で見ていた」と送った」
「ありますあります」
「返信は——」
七秒後。
「「分かった」」
相澤が「……短い」と言った。
「ありますあります」
「……お前も「短い」と思うか」
「ありますあります」
「……エンデヴァーにしては毎回短い」
「ありますあります」
「……そうだな」
午後。
崩壊が——また動いた。
今度は索敵の端に「連鎖している」感触があった。一点から広がる。広がりの速度が早い。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
野獣先輩は索敵を最小まで絞った。
ミルコだけ。エンデヴァーだけ。ホークスだけ。
三点だけを追った。
「三人はどういう集まりなんだっけ?」
野獣先輩が言った。
「……その三人だけを把握しているか」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……それで十分だ。続けろ」
「ありますあります」
ミルコ——安定。動いていない。でも消えていない。
エンデヴァー——前線。激しく動いている。
ホークス——
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
ホークスの気配が——変化した。
速度が落ちた。何かと接触している。違う——接触じゃない。「何かをされている」感触。
「してはいけない(戒め)」
野獣先輩が言った。
「……ホークスか」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……危ないか」
「ありますあります」
「……誰が危ない——ホークスがか、ホークスが誰かを危なくしているのか」
「ありますあります」
「……どちらも「ある」か」
「ありますあります」
「……そうか」
相澤がスマートフォンに素早く打った。
夕方。
崩壊の気配が——遠ざかった。
「消える感触」が止まった。
死柄木の核が——移動している。遠ざかっている。
索敵が——少しずつ安定してきた。
「最後が気持ちよかった」
野獣先輩が言った。
「……索敵が安定してきたか」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……「最後が」——今日の最後に安定してきた、か」
「ありますあります」
「……よかった」
相澤が報告書に何かを書いた。
少し間があった。
「……田所。今日一日、本当によくやった」
「ありますあります」
「……今日は「ありがとう」を言う必要があるか」
「ありますあります」
「……「ない」か」
「ありますあります」
「……「ある」か」
「ありますあります」
「……どちらだ」
「ありますあります」
相澤が「……お前はいつもそうだ」と言って、静かに「ありがとう」と言った。
「ありますあります」
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その夜。
A組の教室に相澤が入ってきた。
「報告する。今日の作戦の概要——死柄木が覚醒した。崩壊が広域展開した。犠牲が出た。ヒーロー側に複数の重傷者が出た。ホークスは任務を続行している。エンデヴァーは継続戦闘中」
教室が静かだった。
「野獣先輩さんは」とデクが言った。「索敵で、どのくらいの——」
「今日の田所の索敵報告から言う。死柄木の崩壊は——田所の索敵でも把握できない規模だった」
誰も何も言わなかった。
「……田所が「分からない」と言ったのは、雄英に来てから今日が初めてだ」
「ありますあります」
廊下から聞こえた。
相澤が「……田所は今日の索敵でも最後まで離脱しなかった。ミルコ、エンデヴァー、ホークスの三点を維持し続けた。以上だ」と言った。
廊下の声が止まった。
「……「やべぇよやべぇよ」感、ありましたよ先輩」と上鳴が廊下に向かって言った。
「ありますあります」
上鳴が少し笑った。半泣きだった。
「先輩が「ありますあります」した!! 語録まとめ戦場版②に追記!!」
「座れ」と相澤が言った。
「ありますあります」
廊下から聞こえた。
深夜。
エンデヴァーがスマートフォンを見ていた。
今日の相澤からのメッセージを読んでいた。
「死柄木の崩壊は田所の索敵でも把握できない規模だった。田所が「知らない」と言ったのは今日が初めてだ」
読んで、止まった。
「田所がお前の戦い方を索敵で見ていた」
という別のメッセージも読んだ。
エンデヴァーは少し間を置いた。
返信した。
「「最後が気持ちよかった」という語録——それは今日最後に索敵が安定したという意味か」
相澤から返信が来た。
「そうだ」
エンデヴァーがスマートフォンを置いた。
「……そうか」と呟いた。
少し間があった。
もう一度スマートフォンを取った。相澤に打った。
「田所に伝えろ。「よくやった」と」
送信した。
また少し間があった。
もう一度打った。
「——「ありますあります」と返してくるだろうが、伝えろ」
送信した。
相澤から「分かった」が来た。
エンデヴァーがスマートフォンを置いた。
「……「最後が気持ちよかった」か」と呟いた。
一人だった。
「……ありますあります」
エンデヴァーが言った。
聞いている者は誰もいなかった。
翌朝の廊下。
物間が野獣先輩のところに来た。
「……昨日の索敵——「知らねーよ、そんなの」と言ったと聞きました」
「ありますあります」
「……索敵が把握できない規模だったと」
「ありますあります」
「……それでも三人の位置を維持し続けたと、相澤先生から」
「ありますあります」
「……なぜ維持できたんですか」
「ありますあります」
「「ある」のか——理由が」
「ありますあります」
「……どんな理由ですか」
「ありますあります」
「「ありますあります」は理由じゃないですよ」と物間が言った。
「ありますあります」
「……「それが理由だ」ということですか」
「ありますあります」
物間が少し間を置いた。「……「みんながいるから」ということですか」
「ありますあります」
「……そうですか」
物間が「——ありがとうございます」と言った。
「かしこまり!」
野獣先輩が言った。
物間が少し笑った。「……「どういたしまして」ですか」
「ありますあります」
物間が歩いて行った。廊下の角で一回振り返った。振り返って——「ありますあります」と小さく言った。
索敵に引っかかった。
今日で二度目だった。