【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩 作:まだら模様
デクが強くなるんだから当たり前だよなぁ?
キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性がございます。
ご注意下さい。
感想、評価付与は野獣先輩がその強さの先をフラゲして教えてくれます
二ヶ月が経っていた。
デクが去ってから、毎朝索敵を起動した。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
デクの気配——ある。今日も。まだ動いている。遠い。でも消えていない。
「ありますあります」
野獣先輩は毎朝それだけ確認してから、修行を始めた。
二ヶ月、毎朝同じことをしていた。
この二ヶ月で、野獣先輩がやり続けていたことがある。
ワードレス発動——語録を発声せずに効果だけを発動する試験だった。
索敵は発声なしで使える。それは最初からそうだった。「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」は索敵起動の「確認音」であって、発声しなくても索敵自体は動く。
でも転移はそうではなかった。「こ↑↑こ」を言わないと転移は起動しない。
「ぬわあン」を言わないと広域疲労付与は起動しない。
二ヶ月間、それを変えようとしていた。
「語録無視」
野獣先輩が言った。
発声せずに転移を起動しようとした。
「ありますあります」
できなかった。
また試みた。
「語録無視」
また言った。
また失敗した。
「ありますあります」
できない。
語録は——「言う」ことで効果が生まれる。声帯を動かして、空気を振動させて、言葉の形になって初めて機能する。それを外すことが——二ヶ月できなかった。
ある朝。
上鳴が屋上に来た。
いつもより早い時間だった。
「先輩」
「ありますあります」
「……修行してますよね、毎朝」
「ありますあります」
「……俺、手伝えますか」
野獣先輩は少し間を置いた。
「ありますあります」
「……「できる」ということですか」
「ありますあります」
「……何をすればいいですか」
「動くと当たらないだろ!動くと当たらないだろ!」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……「動け」ということですか」と言った。
「ありますあります」
「……先輩が何かしようとするから、俺が動いて——当てにくくする?」
「ありますあります」
「……「逆」——俺の電撃を先輩に当てる訓練ですか」
「ありますあります」
「……え、俺が先輩を撃てばいいんですか」
「ありますあります」
「……それ、大丈夫なんですか」
「大丈夫だって安心しろよ~。ヘーキヘーキ、ヘーキだから」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……「ヘーキヘーキ」——先輩がそれを言ったら俺は逆に不安ですけど!!」と言った。
「ありますあります」
上鳴が電撃を放った。
野獣先輩が転移で避けようとした——語録なしで。
避けられなかった。
電撃が直撃した。
「痛いんだよおおおおおお!(マジギレ)」
野獣先輩が叫んだ。
上鳴が「すみませんすみませんすみません!!」と言いながら走ってきた。「大丈夫ですか!!」
「ありますあります」
「……「大丈夫」ですか!?」
「ありますあります」
「……なんで「大丈夫」なんですか今!! バチバチに電撃当たりましたよね!!」
「ありますあります」
「……「もう一回」ということですか」
「あくしろよ」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……分かりました、やります!!」と言って泣きそうな顔で構えた。
上鳴の電撃は速い。
野獣先輩の転移は——語録を言った瞬間に発動する。
だから「こ↑↑こ」を言う時間が必要だ。上鳴の電撃はその時間より速い。
つまり——語録を「言う前」に転移を起動しなければ意味がない。
「動くと当たらないだろ!動くと当たらないだろ!」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……「電撃が来る前に動け」ということですか。先輩自身への掛け声ですか!!」
「ありますあります」
「……自分に向かって語録を言って訓練しているんですか!!」
「ありますあります」
「……語録まとめに書いていいですか!!」
「ありますあります」
「……「「動くと当たらないだろ!」→自分への訓練用掛け声・事前回避の命令として使用」——記録します!!」
上鳴がスマートフォンを取り出した。
「あくしろよ」
野獣先輩が言った。
「記録と訓練両方します!!」と上鳴が叫んだ。
十本目の電撃が当たった後。
野獣先輩が少し距離を取った。
上鳴が「……先輩、今何考えてますか」と言った。
「ありますあります」
「……「訓練のこと」ですか」
「ありますあります」
野獣先輩は上鳴を索敵で確認した。
上鳴の体格——細い。でも電撃個性を運用するための体幹は特殊な鍛え方をされている。腹部から腰にかけての電撃放出制御の筋群が、他の個性持ちとは明らかに異なる。肩の内側——
「おまんこぉ^~」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……え!!」と言った。「え!! 先輩!! 今!!」
「ありますあります」
「……「気さくな挨拶」ですか!? 俺に向かって気さくな挨拶したんですか!?」
「ありますあります」
「……意味が「ある」のか「ない」のかどっちですか!!」
「ありますあります」
「……どっちも「ありますあります」!! 語録まとめに「「おまんこぉ^~」→上鳴への気さくな挨拶として使用・文脈は諸説あり」として記録します!!」
「ありますあります」
上鳴が「……先輩、俺の体のどこか見てましたよね」と言った。
「嘘つけ絶対見てたゾ」
野獣先輩が言った。
「……それ俺の台詞じゃないですか!! 「絶対見てた」のは先輩ですよね!!」
「ありますあります」
午後。
訓練の内容が変わった。
今度は「複数語録を連続発動する速度を上げる」試験だった。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
索敵を起動した。
「こ↑↑こ」
転移——上鳴の左。
「ぬわあン」
疲労付与——上鳴に向けて。
「三回だよ三回」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……「三回連続でやれ」ということですか」と言った。
「ありますあります」
「……今のが三連続でしたか?」
「ありますあります」
「……索敵→転移→疲労付与を一息で——速かったですけど、「三回だよ三回」って言ったのが四つ目の語録になってますよね!?」
「ありますあります」
「……「分かってる」ということですか」
「ありますあります」
「……「言わずにやりたい」ということですか」
「ありますあります」
「……「三回だよ三回」を言わずに三連発できたら、それが目標ですか」
「ありますあります」
上鳴が「……ちょっと待ってください、記録しきれません!!」と言いながらスマートフォンを取り出した。
夕方。
二十本目の電撃が当たった。
三連発の途中で「三回だよ三回」を言う前に電撃が当たった。
痛かった。
また当たった。
「ありますあります」
野獣先輩は立ち上がった。
索敵が——乱れていた。電撃のダメージで集中が切れている。
上鳴が「……先輩、今日はここまでにしませんか。だいぶ当たってますよ」と言った。
野獣先輩は少し間を置いた。
「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……!!」と言った。「先輩が!! その語録!!」
「ありますあります」
「……「諦めない」ということですか!!」
「ありますあります」
「……語録まとめに「「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」——先輩が劣勢時に初めて使った逆境反転語録・初使用・屋上訓練二十本電撃被弾後」として記録します!! これは大事な記録です!!」
「ありますあります」
「……やります!! もう一回やります!!」
「あくしろよ」
その後、十五本。
計三十五本目の電撃が来た。
野獣先輩が——転移した。
語録を言わなかった。
「こ↑↑こ」を言わずに——転移が起動した。
一瞬だった。
上鳴の電撃が空振りした。
「……!」
上鳴が止まった。
「……先輩、今——語録言いませんでしたよね」
「嬉しいダルルォ?」
野獣先輩が言った。
上鳴が「……「嬉しいか?」ということですか!!」と言った。「俺もです!! 先輩が無言で転移した!! 見えました!! 確かに見えました——見えてないですけど、感覚的に!!」
「ありますあります」
「……一回だけですか」
「ありますあります」
「……「一回だけだったが出来た」ということですか」
「ありますあります」
「……もう一回できますか」
「ありますあります」
「……「できるかもしれない」か」
「ありますあります」
「……「できないかもしれない」か」
「ありますあります」
「……どっちですか!!」
「嬉しいダルルォ?」
上鳴が「……「どっちでも嬉しい」ということですか!!」と言った。
「ありますあります」
日が暮れた。
上鳴がへたり込んでいた。
「……先輩、俺、何本撃ちましたか」
「三回だよ三回」
野獣先輩が言った。
「三回じゃないですよね!! 三十五本以上ですよね!!」
「ありますあります」
「……先輩は何本当たりましたか」
「小並感」
野獣先輩が言った。
「……「小学生並みの感想」ということですか。「まあそんなもん」ということですか」
「ありますあります」
「……二十本以上当たって「小並感」なんですか先輩!!」
「ありますあります」
「……でも最後、一回だけ無言で転移できましたよね」
「ありますあります」
「……それって——すごいことですよね」
「小並感」
「……「すごいとは思ってない」ということですか!?」
「ありますあります」
「……「もっとできるはず」ということですか」
「ありますあります」
上鳴が「……先輩って、本当に修行やってますね」と言った。「「しかし、修行やってます」って語録、ありましたよね。シリーズずっと前の方で使いましたよね」
「ありますあります」
「……今も、ずっとやってるんですね」
「ありますあります」
夜。
相澤が来た。
「……今日も訓練か」
「ありますあります」
「……上鳴が付き合っていると聞いた」
「ありますあります」
「……何の訓練だ」
「語録無視」
野獣先輩が言った。
相澤が「……「語録を無視する」——ワードレス発動か」と言った。
「ありますあります」
「……できたか」
「ありますあります」
「……「できた」のか」
「ありますあります」
「……何回だ」
「三回だよ三回」
「……「三回」か」
「ありますあります」
「……「違う」のか」
「ありますあります」
「……一回か」
「ありますあります」
「……一回か」と相澤がもう一度言った。
「ありますあります」
「……そうか」と相澤が言った。「……それは、大きい」
「小並感」
「……「大したことではない」か」
「ありますあります」
「……そうか」と相澤が少し間を置いた。「でも——お前にとっては大きい。百年以上できなかったことだろう」
「ありますあります」
「……ありがとう」
「ありますあります」
相澤の「ありがとう」は——今日で何回目だろうか。野獣先輩は数えていなかった。でも増えていた。
翌朝。
上鳴が走ってきた。
「先輩!!」
「ありますあります」
「昨日の記録をまとめました!!」
スマートフォンを差し出した。
```
語録まとめ戦場版③番外編:修行記録Day1
・「語録無視」→ワードレス発動試験の語録として使用。自分に向けた語録
・「動くと当たらないだろ!動くと当たらないだろ!」→自己命令型語録。事前回避の命令として使用
・「三回だよ三回」→三連発動の実験語録。自分に向けた発動確認
・「痛いんだよおおおおおお!(マジギレ)」→電撃直撃後に発動。激痛→即座に「あくしろよ」に繋がった
・「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」→逆境反転語録初使用。二十本被弾後
・「嬉しいダルルォ?」→無言転移成功後。「俺もだ」として使用
・「小並感」→自己評価語録として。「まあそんなもんだ」
・「おまんこぉ^~」→俺への気さくな挨拶として記録。文脈は諸説あり(★★★★★)
特記事項:
→先輩が「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」を使ったのは初めて。劣勢時に出る語録→先輩が「劣勢」を認識した初確認
→無言転移:一回成功。「嬉しいダルルォ?」で確認。語録が「自分の達成感表現」として機能した初例
→「語録が自分に向けて使われる」パターンが今日だけで3種確認
```
「ありますあります」
「……「合ってる」ということですか」
「ありますあります」
「……「おまんこぉ^~」の文脈については」
「ありますあります」
「……「諸説ある」ということですか」
「ありますあります」
「……★★★★★は正しいですか」
「ありますあります」
上鳴が「……語録まとめ戦場版③に番外編ページを作ります!! 先輩の修行が終わるまで毎日記録します!!」と言った。
「あくしろよ」
「記録してから来ます!!」
昼。
廊下で爆豪が立っていた。
「……昨日の訓練、屋上から音が聞こえた」
「ありますあります」
「……「痛いんだよおおおお!(マジギレ)」って聞こえた」
「ありますあります」
「……「何が痛いんだ」と思ってた」
「ありますあります」
「……電撃か」
「ありますあります」
「……上鳴に撃たせてたのか」
「ありますあります」
「……なんで俺に声をかけなかった」
野獣先輩は少し間を置いた。
「嘘つけ絶対見てたゾ」
爆豪が止まった。
「……「俺が見てたことを知ってるか」ということか」
「ありますあります」
「……屋上から見てたのか、俺が」
「ありますあります」
「……」
爆豪が「……次から俺も来る」と言った。
「ありますあります」
「……「来ていい」か」
「ありますあります」
「……語録まとめに書かれるか」
「ありますあります」
「……「書かれる」のか」
「ありますあります」
「……上鳴に言っておく、書くなと」
「嬉しいダルルォ?」
爆豪が「……関係ないだろ」と言った。
「ありますあります」
爆豪が廊下を去った。
爆豪の背中が遠ざかっていく。
索敵でその気配を追った。
今日の爆豪の背中は——昨日より「ほぐれて」いた。肩甲骨の位置が昨日より外側に戻っていた。少し緊張が取れている。
「次から俺も来る」と言った。
それだけで——肩甲骨の位置が変わるのか。
「これマジ?上半身に比べて下半身が貧弱すぎるだろ…」
野獣先輩が言った。
廊下に誰もいなかった。
「ありますあります」
自分で返した。
——爆豪の下半身が貧弱なわけではまったくなかった。むしろ非常によく鍛えられている。でも索敵の中で爆豪の上半身の密度が桁違いすぎて、相対的に感じられただけだった。
「ありますあります」
それが分かった上で、言いたかった。
夕方。
物間が屋上に来た。
「……田所先輩」
「ありますあります」
「……上鳴くんが「先輩が「おまんこぉ^~」と言った」と言い触らしてます」
「ありますあります」
「……「「言い触らしてます」というのは正確ではなく、「語録まとめに記録している」が正しい」ということですか」
「ありますあります」
「……「言い触らしてます」が正しいですか」
「ありますあります」
「……両方ですか」
「ありますあります」
物間が「……あの語録を「気さくな挨拶」として使ったのか、とB組でも少し話題になっています」と言った。
「ありますあります」
「……「話題になっていい」ということですか」
「ありますあります」
「……私にも「挨拶」してもらえますか」
野獣先輩は少し間を置いた。
「おまんこぉ^~」
言った。
物間が「……ありがとうございます」と言った。耳が赤かった。
「ありますあります」
夜。
相澤が野獣先輩に連絡してきた。
「……ワードレス発動の記録を公安に提出する。内容確認してほしい」
「ありますあります」
「……「確認した・問題ない」か」
「ありますあります」
「……エンデヴァーにも転送するか」
「嬉しいダルルォ?」
「……「どちらでも嬉しい」か」
「ありますあります」
「……転送する」
「ありますあります」
相澤から「……一つだけ聞く。上鳴は、お前の訓練の意味を理解しているか」と聞いてきた。
「ありますあります」
「……理解しているか」
「ありますあります」
「……「している」か」
「ありますあります」
「……そうか。上鳴は——よかった」
「ありますあります」
少し間があった。
「……エンデヴァーから返信が来た」
「ありますあります」
「……「三十五本の電撃を受けた後に一回成功した——それは修行だ」と書いてある」
「嬉しいダルルォ?」
「……「嬉しいか」ということか」
「ありますあります!!」
深夜。
屋上に出た。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
索敵を最大まで広げた。
デクの気配——ある。今夜は止まっている。どこかで休んでいる。気配が落ち着いていた。
「ありますあります」
次にA組を確認した。
上鳴が眠っている。爆豪が眠っている——ちゃんと眠っている。
「ありますあります」
野獣先輩は空を見た。
ワードレス発動——今日一回だけできた。
一回だけだった。
「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」
野獣先輩が言った。
誰もいなかった。
「ありますあります」
勝つ。
何に、とは言わなかった。でも言った。
「ありますあります」
明日も訓練する。