【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩   作:まだら模様

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やっぱりこの覚醒こわるる〜^_^

と書いてて感じました(小並感)

キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性ございます。
ご注意ください。

感想、評価付与は、野獣先輩がワードコンボであなたを攻め立て♂ます


第47話「ワードレス②(黒デクとの邂逅)」

 

 

 夜だった。

 

 いつも通り索敵を起動していた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 デクの気配を確認した。

 

 今日もある。遠い。動いている——

 

 変わった。

 

 野獣先輩は索敵を絞った。

 

 デクの気配が——近づいていた。

 

 ここ数日、徐々に近づいていた。日本中を動き回りながら、全体として「ここに向かって来ている」軌跡を描いていた。

 

「MURさん夜中腹減んないすか?」

 

 野獣先輩が言った。

 

 一人で言った。

 

 夜間索敵を最大まで広げた。

 

「ありますあります」

 

 デクが——確かに近づいてきている。

 

 今夜の速度は、今まで一番速かった。

 

 

 

 

 夜明け前。

 

 デクの気配が——一点で止まった。

 

 雄英から見て、東の方向。街の外れの方向。廃工場が並んでいる地帯に近い。

 

 野獣先輩は索敵をその一点に絞り込んだ。

 

 デクが止まっている。

 

 気配の「密度」が——低かった。

 

 疲れている。消耗している。普段のデクの気配は「圧縮されたエネルギーの塊」のようなものがある。でも今夜の気配は——薄い。輪郭がぼやけている。

 

「こいついつも疲れてんな」

 

 野獣先輩が言った。

 

「ありますあります」

 

 自分に向かって言った。

 

 ずっとそうだった。デクが雄英を去ってから、索敵の中のデクはほとんど休んでいなかった。気配が落ち着いた夜は数えるほどしかなかった。

 

「ありますあります」

 

 デクが止まっている。今夜は動かないかもしれない。

 

 それとも——動けないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 野獣先輩は部屋を出た。

 

 音を立てなかった。

 

「パッソ…」

 

 廊下を歩いた。

 

 相澤の部屋の前を通った。相澤は眠っていた。

 

 玄関を出た。街に入った。索敵でデクの気配を追いながら歩いた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 索敵を動かし続けた。

 

 東の方向。廃工場の地帯。工場と工場の間の空地。

 

 デクの気配は——そこにあった。

 

 三十分歩いた。

 

 野獣先輩の足が止まった。

 

 デクがいた。

 

 

 

 

 

 デクは座っていた。

 

 コンクリートの上に座って、膝に肘をついていた。

 

 服が破れていた。腕に包帯が巻いてあった。顔に泥がついていた。

 

 黒い色をした「何か」が、デクの体の周りに薄く漂っていた。ワン・フォー・オールを限界まで使い続けた後の残滓のような——そういう気配だった。

 

 デクが顔を上げた。

 

 野獣先輩を見た。

 

「……先輩」

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……なんで」と言った。「……なんでここが分かったんですか」

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……索敵、ですか」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……ずっと、追ってたんですか」

 

「ありますあります」

 

 デクが少し間を置いた。

 

「……日本中、動いてたのに」

 

「ありますあります」

 

「……全部、見えてたんですか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……そうか」と言った。声が低かった。疲れた声だった。

 

 

 

 

 

 野獣先輩はデクの隣に座った。

 

 索敵を絞った。デクの体の状態を確認した。

 

 消耗している。骨が——一本、おかしい。左腕のどこかに骨折の気配がある。傷が複数。でも致命的なものはない。

 

「生き返れ生き返れ…」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……え」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……「生きてるか確認してる」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……生きてますよ」

 

「ありますあります」

 

「……当たり前じゃないですか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……先輩、「生き返れ」って言ってたの——心配してくれてたんですか」と言った。

 

「ありますあります」

 

 デクが「……ありがとう、ございます」と言った。静かな声で言った。

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 

 デクの体格を索敵で確認した。

 

 前に会った時より——大きくなっていた。

 

 雄英にいた頃のデクより肩幅が広い。全体として筋肉の密度が上がっている。一人で戦い続けた二ヶ月が、デクの体を変えていた。

 

 でも今夜は——傷だらけだった。

 

 腕の傷。脇腹のあたりの傷。左の膝のあたりに擦り傷。

 

 それでも——骨格の太さが、夜の廃工場の薄明かりの中でシルエットになっていた。包帯が巻かれた腕の下に、太くなった前腕の筋肉がある。

 

「おじさんはねぇ、君みたいな可愛いねぇ、子の悶絶する顔が大好きなんだよ!」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……え」と言った。「……先輩、今なんて言いましたか」

 

「ありますあります」

 

「……「悶絶する顔」って——俺のことですか」

 

「ありますあります」

 

「……それは——」

 

 デクが「……それは、おかしい語録じゃないですか」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……「おかしい」ということは「ある」んですね」

 

「ありますあります」

 

 デクが笑った。

 

 少しだけ笑った。疲れた顔のまま、少しだけ笑った。

 

「ありますあります」

 

 それで良かった。

 

 

 

 

 

「……先輩」とデクが言った。「……俺、まだ終わってないんです」

 

「ありますあります」

 

「……AFOは、まだいる。死柄木は——もっと強くなってる。俺が一人でやらないといけないことが、まだある」

 

「いなりが入ってないやん」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……え」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……「何かが足りない」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……俺に何かが足りないって言ってますか」

 

「ありますあります」

 

「……何が、足りないんですか」

 

 野獣先輩は少し間を置いた。

 

「ありますあります」

 

「……「ある」のは分かるんですね、足りないものが」

 

「ありますあります」

 

「……教えてくれないんですか」

 

「ありますあります」

 

「……「教えない」のか、「教えられない」のか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……「語録じゃ言えない」ということですか」と言った。

 

「ありますあります」

 

 デクが少し考えた。

 

「……みんな、ですか」

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 

「……先輩に、関係ないことです」

 

 デクが言った。「これは俺の問題で——先輩には、迷惑をかけたくない」

 

「うるせぇ!」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが止まった。

 

「……先輩が「うるさい」って言った」

 

「ありますあります」

 

「……「関係ある」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……でも——」

 

「うるせぇ!」

 

 もう一度言った。

 

 デクが「……先輩」と言った。「……先輩は、俺が去ってから、ずっと索敵してたんですか」

 

「ありますあります」

 

「……雄英を出てから今日まで、ずっと」

 

「ありますあります」

 

「……毎日」

 

「ありますあります」

 

「……一回も、見失わなかったんですか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……」と黙った。

 

 少し経ってから「……俺のことが心配だったんですか」と言った。

 

「ありますあります」

 

 デクが「……ずっと一人だと思ってた」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……一人じゃなかったんですね」

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 

 沈黙が続いた。

 

 野獣先輩は索敵を動かし続けた。

 

 デクの気配が——少し変わっていた。

 

 何かが——溜まっていた。

 

 デクの体の中の「力」が、ここ数分で少しずつ上がっている。ワン・フォー・オールが、休んでいる間に少し回復している気配がした。

 

 同時に——デクが何かを堪えていた。

 

「あ^~もうおしっこ出ちゃいそう!」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……え、え?」と言った。「……今の語録は何ですか」

 

「ありますあります」

 

「……「極限状態」ということですか。誰の」

 

「ありますあります」

 

「……俺の、ですか」

 

「ありますあります」

 

「……「俺が何かを堪えている」ということが分かったんですか、索敵で」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……泣きそうなのは、分かりましたか」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……「分かっていた」のか」

 

「ありますあります」

 

「……先輩って」

 

 デクが「……ずるいですよ」と言った。

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 しばらく並んで座っていた。

 

 デクが「……帰れないんです、まだ」と言った。「AFOがいる限り——俺が一人で引きつけていた方が、みんなが安全だから」

 

「ありますあります」

 

「……「分かる」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……でも「帰れ」と言いたいんですか」

 

「ありますあります」

 

「……「帰れない」のは分かってますか」

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩は立ち上がった。

 

 デクの正面に立った。

 

「殺されてぇかお前」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……それは——」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……「このまま一人でやり続けたら死ぬぞ」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……分かってます」

 

「殺されてぇかお前」

 

「……分かってますよ、先輩」

 

「ありますあります」

 

「……「分かってない」のか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……帰らないです」と言った。「まだ、終わってない」

 

 

 

 

 野獣先輩は——止まった。

 

 長い間があった。

 

 索敵が動いていた。夜の廃工場が静かだった。どこかで風が鉄板を揺らしていた。

 

 野獣先輩が口を開いた。

 

「帰れ」

 

 語録ではなかった。

 

 野獣先輩の声で、野獣先輩の言葉で——言った。

 

 デクが「……」と止まった。

 

「……先輩、今——」

 

「ありますあります」

 

「……語録じゃ、なかった」

 

「ありますあります」

 

「……「帰れ」——先輩の言葉で、言ったんですか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……帰らないです」と言った。「まだ終わってない。終わらせてから、帰ります」

 

 

 

 

 

 また間があった。

 

 今度は短い間だった。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……え」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……「当たり前」——何が当たり前ですか」

 

「ありますあります」

 

「……「帰らない、という選択が当たり前だ」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……「帰る、という選択も当たり前だ」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……どっちですか」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 デクが「……「どっちも当たり前だ」ということですか」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……「終わらせてから帰るのも、当たり前だ」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……「今すぐ帰るのも、当たり前だ」ということですか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……先輩は——どっちを望んでますか」と言った。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「……「分かってるだろ」ということですか」

 

「ありますあります」

 

 デクが「……はい、分かります」と言った。「先輩が望んでることは——分かります」

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 野獣先輩は立ち上がった。

 

「早くしろよ」

 

 野獣先輩が言った。

 

 デクが「……「早く終わらせて帰ってこい」ということですか」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……索敵は、続けてくれますか」

 

「ありますあります」

 

「……「続ける」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……ありがとうございます」

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩が歩き始めた。

 

 廃工場を出る方向に歩き始めた。

 

 デクが「……先輩」と言った。

 

 振り返らなかった。

 

「ありますあります」

 

 振り返らずに言った。

 

「……「聞こえている」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……「気をつけて帰ってください」——俺が言うのも変ですけど」

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩が廃工場の入口を出た。

 

 

 

 

 来た道を戻った。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 索敵を広げながら歩いた。

 

 デクの気配——ある。後ろに。座っている。まだ廃工場にいる。

 

 雄英の方向にも索敵を広げた。A組が眠っている。相澤が眠っている。

 

「ありますあります」

 

 全員いる。全員生きている。

 

 歩きながら、もう一度デクの気配を確認した。

 

 デクが——動き始めていた。

 

 廃工場を出た気配があった。また動いている。また——どこかに向かっていた。

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩は歩き続けた。

 

 索敵はデクを追い続けた。

 

 

 

 

 雄英に戻ったのは夜明け直前だった。

 

 玄関を入った時、廊下に相澤が立っていた。

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩が言った。

 

 相澤が「……どこに行っていた」と言った。声が——普通だった。怒っていない。ただ聞いていた。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

「……緑谷か」

 

「ありますあります」

 

「……会ったか」

 

「ありますあります」

 

「……どうだった」

 

「こいついつも疲れてんな」

 

 相澤が「……そうか」と言った。「……生きているか」

 

「ありますあります」

 

「……「生きている」か」

 

「ありますあります」

 

「……分かった」

 

 相澤が「……「帰れ」と言ったか」と聞いた。

 

 野獣先輩は少し間を置いた。

 

「ありますあります」

 

「……「言った」か」

 

「ありますあります」

 

「……語録で、か」

 

「ありますあります」

 

「……「語録ではなく」か」

 

「ありますあります」

 

 相澤が「……そうか」と言った。

 

 もうそれ以上は聞かなかった。

 

「……おやすみ」

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 翌朝。

 

 上鳴が走ってきた。

 

「先輩!!」

 

「ありますあります」

 

「……昨日の夜、いなかったですよね!? 索敵記録——気配を追ってる先輩の気配が——」

 

「ありますあります」

 

「……「そうだ」ということですか!!」

 

「ありますあります」

 

「……デクくんに会いに行ったんですか!!」

 

「ありますあります」

 

「……デクくん、生きてましたか!!」

 

「ありますあります」

 

「……「生きてた」ということですか!!」

 

「ありますあります」

 

 上鳴が「……!!」と言った。しばらく何も言わなかった。

 

「……先輩が「帰れ」と言ったって、相澤先生から聞きました」

 

「ありますあります」

 

「……語録じゃなかったって」

 

「ありますあります」

 

「……先輩が語録じゃない言葉を言ったのは——「——行けるぞ」と「帰れ」の二回ですね」

 

「ありますあります」

 

「……語録まとめに「「帰れ」——語録でない言葉・第二回。先輩がデクくんに言った」として記録します」

 

「ありますあります」

 

「……デクくんは何て言いましたか」

 

「ありますあります」

 

「……「教えない」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……でも先輩が「ありますあります」って言ってるから——「帰らない」と言ったんですね、デクくんが」

 

「ありますあります」

 

 上鳴が「……そうか」と言った。静かな声で言った。珍しかった。

 

「……じゃあ俺たちは待ちます。先輩も待ちながら索敵してください」

 

「ありますあります」

 

 

 

 

 昼。

 

 切島が来た。

 

「先輩、会ってきたんですね、デクくんに」

 

「ありますあります」

 

「……相澤先生から少し聞きました。ボロボロだったって」

 

「ありますあります」

 

「……でも、生きてたって」

 

「ありますあります」

 

「……ありがとうございます、先輩。俺が止まってた分——先輩が行ってくれた」

 

「ありますあります」

 

 爆豪が廊下の向こうから歩いてきた。

 

「……田所先輩」

 

「ありますあります」

 

「……デクは」

 

「こいついつも疲れてんな」

 

 爆豪が止まった。

 

「……「疲れてた」か」

 

「ありますあります」

 

「……でも生きてるか」

 

「ありますあります」

 

「……そうか」

 

 爆豪が「……「帰れ」と言ったそうだな。語録じゃなく」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……デクが「帰らない」と言ったか」

 

「ありますあります」

 

「……当たり前だろ」

 

 爆豪が「当たり前だよなぁ?」を使わずに「当たり前だろ」と言った。

 

「ありますあります」

 

 爆豪が「……次に会う時は、俺も行く」と言った。

 

「ありますあります」

 

 

 夕方。

 

 物間が来た。

 

「……田所先輩、昨晩のことは聞きました」

 

「ありますあります」

 

「……「帰れ」と言ったというのは——語録でない言葉だったと」

 

「ありますあります」

 

「……先輩が「語録でない言葉」を使った時——それは、先輩の本音だということですよね」

 

「ありますあります」

 

「……「——行けるぞ」も「帰れ」も——語録では言えないことを言った、ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……語録は、全部本音なのではないですか」と物間が言った。「先輩の語録は全部——先輩の言葉だと思います」

 

「ありますあります」

 

「……「そうだ」ということですか」

 

「ありますあります」

 

「……でも語録でない言葉の方が——もっと直接なんですね」

 

「ありますあります」

 

 物間が「……そういうことか」と言った。一人で納得したように言った。

 

「ありますあります」

 

 

 

 夜。

 

 相澤が来た。

 

「……今夜のデクの気配は」

 

「ありますあります」

 

「……「ある」か」

 

「ありますあります」

 

「……動いているか」

 

「ありますあります」

 

「……遠いか」

 

「ありますあります」

 

「……雄英から離れる方向か」

 

「ありますあります」

 

「……分かった」

 

 相澤が少し間を置いた。

 

「……昨日お前が「帰れ」と言ったこと——それを報告書に書いていいか」

 

「ありますあります」

 

「……「書いていい」か」

 

「ありますあります」

 

「……「書くな」か」

 

「ありますあります」

 

「……どちらだ」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 相澤が「……「書くのは当たり前だ」か」と言った。

 

「ありますあります」

 

「……分かった。書く」

 

 相澤が少し間を置いた。

 

「……ありがとう」

 

「ありますあります」

 

「……エンデヴァーから連絡があった。「「帰れ」と言ったと聞いた。——それは修行だ」と」

 

「ありますあります」

 

「……「修行だと言われた」ということが、嬉しいか」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 相澤が「……そうか」と言った。「……おやすみ」

 

「ありますあります」

 

 

 

 深夜。

 

 屋上に出た。

 

「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」

 

 デクの気配——ある。今夜は速い。どこかに向かって走っている。

 

「ありますあります」

 

 A組を確認した。切島が眠っている。上鳴が眠っている。爆豪が眠っている。

 

「ありますあります」

 

 野獣先輩は空を見た。

 

「生き返れ生き返れ…」

 

 言った。

 

 デクに向けて言った。

 

「ありますあります」

 

 生きている。デクはまだ動いている。

 

 昨夜「帰れ」と言った。デクは「帰らない」と言った。

 

「ありますあります」

 

 それでいい。

 

 それで——当たり前だった。

 

「当たり前だよなぁ?」

 

 野獣先輩は自分に向かって言った。

 

「ありますあります」

 

 

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