【完結】ヒロアカレ⚪︎プ!語録使いになった先輩 作:まだら模様
ハイレベルや…
キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性ございます。
ご注意下さい。
評価付与や感想などは野獣先輩がこの戦いを見て思わず
「なんだこれは…たまげたなぁ…」とつい呟きを漏らします。
朝。
索敵を起動した瞬間に——分かった。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
死柄木の核の気配が——変わっていた。
昨夜から方向を変え続けていた気配が、今朝は止まっていた。
止まっている。でも——溜まっている。
スターの来日を感知して、「迎える側」の気配に変わっていた。
「やべぇよ…やべぇよ…」
野獣先輩が言った。
部屋の中で言った。
索敵を最大まで広げた。
スターの気配——動いている。来日翌日、スターは早朝から動いていた。どこかに向かっている。
二つの気配が——近づいていた。
野獣先輩は相澤の部屋に走った。
「まずいですよ!」
野獣先輩が言った。
扉の前で言った。
相澤が三秒で出てきた。
「……死柄木か」
「ありますあります」
「……スターと接触するか」
「ありますあります」
「……今か」
「ありますあります」
「……距離は」
「まずいですよ!」
もう一度言った。
「……「今すぐ」か」
「ありますあります」
相澤が「——全員起こす」と言った。
A組が集まった。
野獣先輩は索敵を動かし続けた。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
スターの気配。死柄木の気配。その周囲の気配。
「見える見える…太いぜ」
野獣先輩が言った。
「……「死柄木の力が「太い」」か」と相澤が言った。
「ありますあります」
「……「今まで索敵した死柄木より大きい」か」
「ありますあります」
「……どのくらい大きい」
「見える見える…太いぜ」
「……「測れない」か」
「ありますあります」
上鳴が「先輩、スターさんは」と言った。
「ありますあります」
「……「戦っている」か」
「ありますあります」
「……スターさんの気配は」
「ありますあります」
「……「ある」か」
「ありますあります」
「——よかった!!」
「まずいですよ!」
上鳴が「……「まだまずい」か」と固まった。
「ありますあります」
戦況が激しくなっていた。
索敵の中でスターと死柄木が激しく動いている。スターの「新星の光」の気配が大きく出た。
「ありますあります」
野獣先輩は索敵を絞った。
スターの一撃が——死柄木に届いた。
索敵の中で死柄木の気配が一瞬、揺れた。
「やべぇ、撃っちゃった」
野獣先輩が言った。
冷静な声だった。
「……「スターの攻撃が死柄木に届いた」か」と相澤が確認した。
「ありますあります」
「……死柄木の気配は」
「ありますあります」
「……「消えていない」か」
「ありますあります」
「……まだ生きているか」
「ありますあります」
「……「効いたが倒せていない」か」
「ありますあります」
相澤が「……そうか」と言った。声が硬かった。
索敵の中で——変化が起きた。
死柄木の気配の「形」が変わり始めた。
それは——拡大していた。
「ありますあります」
野獣先輩は索敵を絞った。
死柄木が「新星の光」を奪おうとしている。「オール・フォー・ワン」の残滓が、スターの個性に向かっていく気配があった。
「聞くって言ったのに聞かねぇってお前おかしいだろそれよぉ!」
野獣先輩が言った。
誰にでもなく言った。
空に向かって言った。
「……「止まれ、と思っているのに止まらない」か」と切島が言った。
「ありますあります」
「……「死柄木に向けた語録」か」
「ありますあります」
「……止まらないか」
「ありますあります」
「……届かないか」
「ありますあります」
切島が「……先輩」と言った。
「ありますあります」
野獣先輩は索敵を絞った。
スターの気配だけを——見た。
スターが戦っている。全力で戦っている。索敵の中でスターの体格が「動き続けている」。あの脊柱起立筋が、背骨を中心軸にして、死柄木との戦闘に全力を注いでいる。
肩から腕の筋肉が——使い続けられている。
昨日、「この辺がセクシー…エロいッ!」と言った場所が、今は戦いの最前線で機能している。
「見える見える…太いぜ」
野獣先輩がもう一度言った。
今度は——スターに向けて言った。
「ありますあります」
スターの気配の「太さ」が——今、最大になっていた。
全力を出している。全部を出している。
「ありますあります」
変わった。
スターの気配が——薄くなり始めた。
「やめてくれよ…」
野獣先輩が言った。
絶望を含む声だった。
A組が静かになった。
「……先輩、今の語録は」と上鳴が言った。
「ありますあります」
「……「スターさんの気配が薄くなっている」か」
「ありますあります」
「……まずいか」
「やめてくれよ…」
もう一度言った。
上鳴が「先輩!!」と言った。
「ありますあります」
「……「まだある」か」
「ありますあります」
「……スターさんはまだいるか」
「ありますあります」
全員が索敵を通じた伝言を聞きながら、固まっていた。
スターの気配がさらに薄くなっていく中で——
一瞬、膨れ上がった。
スターが最後の力を全部出した。
索敵の中でその「出力」が伝わってきた。
「最後が気持ちよかった」
野獣先輩が言った。
静かに言った。
上鳴が「……それは」と言いかけて止まった。
「ありますあります」
「……「スターさんが最後に全力を出した」ということですか」
「ありますあります」
「……気持ちよかった、というのは」
「ありますあります」
「……「索敵でそれが伝わってきた」ということですか」
「ありますあります」
梅雨が「……先輩はスターさんの最後を見ていたのね」と言った。
「ありますあります」
「……見届けた、ということね」
「ありますあります」
止まった。
スターの気配が——消えた。
索敵の中から、あの「上限が見えない気配」が——消えた。
「ウーン…」
野獣先輩が言った。
それだけだった。
続きは出なかった。
A組が静かだった。
誰も何も言わなかった。
「……スターさんは」と切島が言った。
野獣先輩は少し間を置いた。
「ありますあります」
「……「消えた」か」
「ありますあります」
「……「亡くなった」か」
「ありますあります」
切島が「……そうか」と言った。声が震えた。
野獣先輩は全員の前に立った。
「これだけははっきりと真実を伝えたかった」
言った。
「ありますあります」
全員が聞いた。
「……「これから伝える」ということですか」と飯田が言った。
「ありますあります」
「……「スターアンドストライプさんが亡くなった」ということですか」
「ありますあります」
「……死柄木が「新星の光」を奪ったか」
「ありますあります」
「……「死柄木が「新星の光」を持っている」か」
「ありますあります」
相澤が「……分かった」と言った。「——田所、ありがとう。もう下がっていい」
「ありますあります」
野獣先輩は下がらなかった。
全員に伝えた後。
野獣先輩は廊下の壁に背をつけた。
「クゥーン…」
言った。
切島が「先輩」と言った。
「ありますあります」
「……疲れたか」
「ありますあります」
「……索敵をずっと続けていたか」
「ありますあります」
「……今も続けているか」
「ありますあります」
「……死柄木の気配は」
「ありますあります」
「……「ある」か」
「ありますあります」
「……「新星の光」を使い始めているか」
「やだよ」
切島が「……「そうだ」ということですか」と言った。
「ありますあります」
「……先輩、休んでください」
「やだよ」
相澤が来た。
「……今日はもう休め。索敵を止めろ」
「やだよ」
即答だった。
相澤が「……田所」と言った。
「ありますあります」
「……止めろ」
「やだよ」
「……理由を聞く」
「ありますあります」
「……「理由がある」か」
「ありますあります」
「……何だ」
「見える見える…太いぜ」
「……「死柄木の気配が変化し続けている」か」
「ありますあります」
「……「見ていないといけない」か」
「ありますあります」
相澤が「……」と少し間を置いた。
「……分かった。でも——消耗しすぎるな」
「ありますあります」
「……「しない」か」
「ありますあります」
「——嘘をつくな」
「ありますあります」
相澤が「……そうか。——ありがとう」と言った。今日二度目の「ありがとう」だった。
深夜。
屋上に出た。
「TARGET…CAPTURED…BODY SENSOR…」
索敵を広げた。
スターの気配——ない。
今まで索敵してきた中で、「ない」ことがこれほど大きく感じられたことはなかった。
死柄木の気配——ある。変化し続けている。「新星の光」を吸収してさらに大きくなっている。
「やべぇよ…やべぇよ…」
野獣先輩が言った。
「ありますあります」
A組の気配を確認した。全員いる。デクも保健室にいる。
「ありますあります」
野獣先輩は空を見た。
スターがいた空だった。
「しかし、修行やってます。いつの日か世界を救うと信じて」
野獣先輩が言った。
独り言で言った。
スターに向けて言った。
「ありますあります」
スターも——修行していた。その全部を出し切って、最後に「気持ちよかった」のを索敵は知っている。
「ありますあります」
索敵の中で死柄木の気配が——さらに変化していた。
「新星の光」を吸収した死柄木の気配は、もう「個性の集合体」ではなくなりつつあった。
何かに——なろうとしていた。
「親が見たら泣きますよ」
野獣先輩が言った。
一人で言った。
「ありますあります」
誰かに向けて言ったのか、自分に向けて言ったのか、死柄木に向けて言ったのか——分からなかった。
「ありますあります」
でも言いたかった。
これを見ている自分が——泣きたいのか、泣けないのか、それも分からなかった。
「ありますあります」
深夜。
上鳴と切島が廊下にいた。
「切島くん」と上鳴が言った。
「なんだ」
「……今日の記録、まとめていいか分からないんです」
「……どういうことだ」
「……先輩の語録を記録するのが仕事みたいになってたけど——今日の語録は」
「ありますあります」
野獣先輩が後ろを通った。索敵しながら廊下を歩いていた。
「先輩」と切島が言った。
「ありますあります」
「……今日の語録、上鳴が記録していいですか」
野獣先輩は少し間を置いた。
「ありますあります」
「……「いい」ということですか」
「ありますあります」
「……スターさんへの語録も、ですか」
「ありますあります」
「……「最後が気持ちよかった」も、ですか」
「ありますあります」
上鳴が「——記録します」と言った。「全部、記録します」
「ありますあります」
「……「ありがとう」ということですか先輩」
「ありますあります」
「——「ありがとう」だ!!」と上鳴が言った。「先輩が「ありがとう」を言った!! 語録で!!」
「ありますあります」
深夜。
爆豪の部屋の前を通った。
索敵を向けた。
爆豪は眠っていなかった。部屋の中で立っていた。
「ありますあります」
野獣先輩は扉の前で止まった。
「……スターが死んだな」
扉の向こうから爆豪が言った。
扉は開かなかった。
「ありますあります」
「……強かったんだろ」
「ありますあります」
「……「最後が気持ちよかった」——先輩がそう言ったのは本当か」
「ありますあります」
「……そうか」
少し間があった。
「……俺も——全力で戦って、「最後が気持ちよかった」と言える死に方がしたい、と思ってた」
野獣先輩は少し間を置いた。
「やだよ」
言った。
爆豪が「……「やだ」とは何だ」と言った。
「ありますあります」
「……「死ぬな」ということか」
「ありますあります」
「……お前が言うか、それを」
「ありますあります」
爆豪が「……分かった」と言った。
「ありますあります」
扉越しに索敵した。
爆豪が立っていた。
夜中に、部屋の中に立っていた。
索敵の中でその体格を確認した。
爆豪の背中が——今夜は少し重かった。肩甲骨の位置が昨日より内側に戻っていた。スターの死を聞いて、何かが張り詰め直した体だった。
でも——倒れていない。立っていた。
「最後が気持ちよかった(小学生並みの感想)」
野獣先輩が小さく言った。
扉越しに言った。
「……今の語録は」と爆豪が言った。
「ありますあります」
「……「お前の体が今でも全力で立っている」ということか」
「ありますあります」
「……それが「気持ちいい」か」
「ありますあります」
爆豪が「……うるさい」と言った。
「ありますあります」
深夜。
相澤からメッセージが来た。
「……エンデヴァーに報告した。スターが死んだことを」
「ありますあります」
「……エンデヴァーから返信が来た。——「「最後が気持ちよかった」——田所が言ったか」と」
「ありますあります」
「……「田所が言った」と伝える」
「ありますあります」
「……エンデヴァーから「——そうか。それは——」と来て止まっている。続きがまだ来ていない」
「ありますあります」
「……「待つ」か」
「ありますあります」
「——「待つ」でいい」
「ありますあります」
しばらく後。
「……エンデヴァーから続きが来た。「——それは、彼女が修行を続けてきたということだ」と」
「ありますあります」
「……「そうだ」ということか」
「ありますあります」
「——ありがとう。おやすみ」
「ありますあります」
翌朝。
物間が来た。
「田所先輩」
「ありますあります」
「……スターアンドストライプさんが亡くなったと聞きました」
「ありますあります」
「……先輩は索敵で——見届けたと聞きました」
「ありますあります」
「……「最後が気持ちよかった」という語録を言ったと聞きました」
「ありますあります」
「……その語録を——私も覚えておいていいですか」
野獣先輩は少し間を置いた。
「ありますあります」
「……ありがとうございます」
物間が「……「最後が気持ちよかった」——これはどんな状況でも使える語録だと思います。力を出し切った時に」と言った。
「ありますあります」
「……先輩も——いつかそう言える日が来ますか」
「ありますあります」
「……「来る」ということですか」
「ありますあります」
「——それなら、いいです」
二日目の深夜。
屋上に出た。
デクの気配——保健室にある。少しずつ回復している。
死柄木の気配——ある。変化し続けている。
A組——全員いる。全員眠っている。
「ありますあります」
スターの気配は——ない。
「ありますあります」
野獣先輩は索敵を動かし続けた。
「しかし、修行やってます。いつの日か世界を救うと信じて」
もう一度言った。
「ありますあります」
スターが修行を続けてきたように。
野獣先輩も——続ける。
索敵を続ける。語録を続ける。ワードレスの練習を続ける。
「ありますあります」
それだけでいい。今夜は——それだけでいい。