知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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増えるお気に入り登録を見ていると、『チラシの裏でも見てくれる人はいるんだな』と思います。気合入れていきます。


第10話 お菓子の恩義を忘れるな

Side in

 

禁断の力は冒涜の力。全てを蹂躙する滅びの力。

 

太陽の力は愛の力。愛を踏みにじることを許さぬ力。

 

そんなことをドキンダムとアポロヌスから聞いたことがあった。だからこそ、気を付けて扱わねばならないって、それを聞いた時は思った。

 

何でも、俺の禁断の力を使えば『魂を抜き取って、俺の中に封じ込めることが出来る』って話だ。しかもその中では俺が手加減しない限り、この世の生物が耐えきれないほどの『禁断の嵐』と『不死鳥の太陽』がその魂を消さんとするほどの恐怖と絶望を与えて襲ってくるそうだ。

 

それはまさしく『魂の蹂躙』。どんな価値観であっても、それを恐れないものなどいない。狂人ですら正気に戻すもの。

 

俺も詳しくは知らない。何せ、ソースがドキンダムとアポロヌスだからな。だけど、この状況ではそれが面白そうで仕方なかった。

 

だから、殺した。

 

命を奪うだけでない。人としての尊厳すらも踏みにじりつくし、擦り切れてなおまだ踏みにじることにした。

 

相手はなんちゃってエクソシストのコスプレ集団。ユノハ様に聞けば、あれがこの世界の悪魔祓いの正装だそうだ。

 

なるほど、じゃあ今の状況は聖職者が作ったってわけか。

 

じゃあ、あいつらは異端やな。殺すしかなくなっちゃったよ。

 

異端の連中は八つ裂きだ。まともに死体を残すのも烏滸がましい。

 

……はぁー。空気とか心持が暗くなったな。もっと明るくいこう。ノリと勢いは大事。戦いだってそれが大事だ。

 

てなわけで、蹂躙。悪魔祓いの皆様は残らず俺の中に吸収された。今はと言うと……。

 

―『た、助けてぇええええ!!』

 

―『俺が悪かった!!だから出してぇえええ!!』

 

―『俺はただ、幸せになりたかっただけなのにぃいいい!!』

 

無様な声を上げている。

 

――『純度100%の禁断と太陽だ。人が耐えられるもんじゃない。それに、お前自身の殺意も乗せられている。神ですら耐えられんぞ』

 

ドキンダムがそう言う。それに続き、アポロヌスが言う。

 

――『下賤な魂共はこれから徹底的に蹂躙される。壊れることも許されずにだ。そして自然消滅の時まで何年も待つことになる。大地、貴様が余程のうっかりでもしなければ、この魂たちは自我を持っている間に外には出られん』

 

なるほどね。正しく『生き地獄』って奴だな。

 

――『愛の裏であり同一のものが憎悪だ。それを理解しているな?』

 

勿論だ、アポロヌス。だからこそ、ここまでやれるし、こいつらのような奴らにしかやらないつもりでいる。こうして、身内……と言うより俺にとって大切と思える人達に手を出した奴らには死すら与えない。

 

――『おー、怖い怖い。禁断の化身である俺より余程残虐じゃねぇか』

 

それが人間だよ。

 

――『……だろうな』

 

よし、お仕事終わり。これで原作の面倒ごとってのもなくなるだろうし万々歳だ。

 

――『『『(そうとはならないのがこの世界のヤバさなんだよなぁ……)』』』

 

俺はクレーリアさんとその隣の男性、確か八重垣さんを見る。変なものを見る目でこっちを見てくる。やだ、惚れるなよ。

 

てか、クレーリアさんの彼ピッピって八重垣さんだったのか。彼もまた俺のことを可愛がってくれた人だし、お菓子もくれたいい人だ。

 

余談だが、クレーリアさんはクッキーをくれる傾向があり、八重垣さんは甘じょっぱいおせんべいをくれる傾向がある。何なら、八重垣さんなんて、おせんべいをフレンチトースト風にアレンジもしてくれたことがある。すごい二人だぞ。

 

「大地君?大地君なの?」

 

クレーリアさんがそう言うので俺は無言でうなずいた。するとクレーリアさん、ワイの所へ駆け足で寄ってきて、俺を抱きしめた。

 

「え?」

 

思わず困惑の声が漏れる俺。八重垣さんも俺の方に近づいてきて、抱きしめてくる。

 

「ごめんなさい……私が不甲斐ないばかりに……!」

 

「僕が弱かったから……!大地君……!」

 

ああ、なるほどな。これ、傍から見たら『ガキに手を汚させた大人』って構図になるのか。まぁ、別にこんな手なんていくらでも汚れて構わないし、そもそもあんな下衆を駆逐した所で汚れるようなものでもない。

 

っていうか、俺の力を見て化け物扱いしないあんたらはマジで聖人が過ぎるよ。

 

……いかんな、自分の正義のためなら悪行を全て容認してしまいそうになっている。己を諫めなくては。

 

――『その心意気はいいが、それはそれとしてあの下衆悪魔祓いに関しては前科がありすぎて問題ないと思うけどな。神の意志の代行をしたと言っても過言じゃない』

 

ありがとう、ドキンダム。その言葉だけでも心が軽くなる。

 

――『終わったか?今の我は空腹だ。菓子を所望する』

 

――『私が作ったものだけど、こいつら思った以上にフリーダムだな……』

 

電王の良太郎ってこんな感じだったんだなって思いながら、俺はクレーリアさんと八重垣さんから離れる。

 

「行くところ、あるのでしょう?」

 

そう言うと驚いた様子の二人。すぐにその表情を強い意思のものに変える。

 

「ええ、私達は生きねばならない。生きて、ディハウザーに伝えないといけないことがある」

 

「そうだね。僕達はここから脱出しないと」

 

ディ、ディハウザー?知らん名前が出てきたな。ドキンダム、知ってる?

 

――『こいつらが死ぬと面倒ごとになるって言ったよな?クレーリアの仇討ちでその面倒ごとを起こす張本人がディハウザー・ベリアルだ。言っておくが、この世界でもトップクラスの実力者だぞ。発言力もデカいし。お前が戦うとなったら、それこそ相手側を殲滅しないと確実にお前の両親に報復が来る』

 

ほほう、そんな人がいるのか。愛が深いことで。敵に回さないのが一番だな。

 

兎にも角にも二人を助けられはした。が、この後どうするかだ。

 

「どうしましょう。二人の仲間と思しき人物は皆助けましたけど」

 

「何だって?」

 

八重垣さんがそう訊く。クレーリアさんも開いた口がふさがらない様子。

 

そうなのだ。実は家を出た直後にドキンダムやユノハ様に相談して、クレーリアさんのお仲間を助けることにしたのだ。実際、男に囲まれて乱暴されそうになっていた女性もいたし、結果オーライだ。

 

しかし、悪魔祓いか。随分神の教えに背くもんだな。人を傷つけ、人を殺し、人を踏みにじることを愛する。その上で自分は天国に行けると思っている。歪んだ正義だ。

 

――『それが人間だって分かっているでしょう?』

 

ええ、まぁ。それでも、もし限界が来たらこの世界を滅亡寸前まで追い込んでやろうかと思います。

 

――『お前がドキンダムXロールしてどうすんねん』

 

俺だって人間さ。見限る時はとことん見限る。残虐になる時はとことん残虐になる。前世の甘さばかりだった俺とはおさらばした。俺は家族や優しい人達を守るためならどんなことだってしてやる。

 

――『うっす……』

 

――『こやつ、やけっぱちになっておるな』

 

――『こればかりはもう環境のせいよ』

 

さて、それじゃあやることやりましょう。

 

「少しだけ話を聞きましたが、どうやら逃げ先はあるようで。そこまで行くのなら、俺も一緒に行きます」

 

「そ、そんな「時間がないのでしょう?なら急ぎましょう」

 

クレーリアさんに発破をかける。この人達は良い人すぎる。だからこそ、こっちが背中を押さないといけない。多分、このままだと俺を気遣って埒が明かなくなる。

 

俺の思いが伝わったのか、二人は決意を固めた表情をする。

 

そして、俺達はこのさびれた工場から脱出した。

 

 

○○○

 

 

俺達は走った。子供ながら大人の速度に着いて行くどころか追い抜く勢いで走る俺を見て、八重垣さんが『君は一体何者なんだい?』なんて聞いてきたので、思わず『あくまで小学生です』なんてどこかの執事みたいな受け答えしてしまった。

 

『実は昔ドラゴンを2頭ほど狩りました。なので、実質ジークフリートとかヘラクレスと同じです』なんて言ったって、それこそガキの戯言だし信じてもらえるわけがない。

 

俺達は走った。走った先でたどり着いたのは人気のない廃屋のある場所。しかも随分デカい。そう言えば、学校でも『ここには近づかないように』なんて言われていたな。まぁ、こんな人さらいが出そうな所に子供を行かせるわけにゃいかんだろうしな。

 

「クレーリア様!」

 

その廃屋だが、そこには俺が助けた人達いた。どうやら無事だったらしい。

 

ただ、一つ問題がある。

 

「……」

 

デスティニーみたいな光の翼を生やした金髪ロリがこちら側に睨みを利かせている。視線の先に俺が助けた人達がいる様子から、クレーリアさんの味方で正解なようだ。

 

ねぇ、ドキンダム?

 

――『なんだ?』

 

もしかして強制エンカ型の戦闘っすか?

 

――『そうです』

 

オォン(ニャンちゅう)

 

Side out

 




前作の子、登場です。
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