知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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外で作業をしていたら蚊に刺されました。もう出てきやがったよ、あいつら。思わずフリーザ様になりかけましたね。


第102話 こっちでも修行じゃ!

零ちゃんside in

 

どうもこんにちは。四条零児です。俺は今死にそうになっています。

 

「どこだぁあああ!!!四条ぉおおおお!!!」

 

俺の近くで爆音が鳴りながら地形が変化しています。

 

全ての始まりは俺を鍛えてくれると言う岸波先輩。あの人が『どうすれば禁手(バランス・ブレイカー)状態を長く出来るか』と言うのを最近うちの学校に来たアザゼル先生から学んだ結果、俺をオワタ式で殺しに来ることになりました。意味わかんない。

 

俺の中にいる馬鹿猪ことカリュドーンも『死の恐怖こそ限界を超えるきっかけとなる』と言って賛同した。牡丹鍋にするぞ。

 

そして始まった俺と岸波先輩による命がけのかくれんぼ。今の岩の影に隠れて必死で息を殺している状況で分かるだろうが、俺を探す先輩が大暴れしながら色んな所を壊しています。音だけで分かる、『見つかったら死ぬ』感。この手の震えはきっと武者震いじゃない。

 

俺の槍もこのベリアル家に来てから発覚した伸び縮みすることが可能なことを活かして、何とか見つからないような長さにまで短くした。これで槍が原因で見つかったのなら、膝蹴りで杖を折る感覚でポキッとやってやる。

 

『(零ちゃん、あの野郎マジで殺しに来てるぞ!)』

 

「(んなこと分かってるわボケ!)」

 

普段の頼りになる優しい先輩からは想像できない。けれどあの人の『やるなら腹を括ってやる』の精神を知っているなら納得してしまうその殺意に、俺は慄くだけだ。

 

実際、こうして今も禁手ってのになっているが死の恐怖のせいか、いつもより長く発動出来ているような気がする。嬉しいと思う反面『俺は何でここにいるんだろう』と思う。

 

今の俺に出来るのは、この居場所が見つからないことを祈るだけ。多分先輩も本気でやれば俺のことなんか一発で見つけられる。だけど見つけないのは手加減しているから。ドキンダムとアポロヌスによって、感覚を鈍らされているから。この恐怖も俺を炙り出すためにわざとやっているんだろう。にしてはなぶり殺しを楽しんでいるようで悪趣味すぎると思うけどな!

 

クソッ!岸波先輩とカードゲームをやっていたあの日々が恋しくて仕方ない!

 

ドガァアアアンッッッ!!

 

ひょぉおお!!?俺の背後で爆音が鳴ったぞ?!もう近くに先輩が来てる!まずいまずいまずい!どうする四条零児!冴えてるイケメンでファンサービスもお手のものな俺ならどうにかなるはずだ!

 

『あー、零ちゃん?』

 

何だよカリュドーン!今俺は考え事をしていて……

 

『後ろブー……』

 

「あ?」

 

俺はカリュドーンに言われた通り、後ろに振り向く。そこには槍を持った先輩がいた。今の爆音は俺を隠していた岩を砕いた音だったらしい。

 

「ミ ツ ケ タ」

 

「ほぉっ!あぁあああ!ほぉぉおおおお!(オホ声3連打)」

 

俺はその場から全力で走った。理由は単純、死にたくないから。

 

当然のように先輩も追いかけて来た。槍をガンガンと地面に叩きつけて俺を威嚇するように走ってくる。

 

怖い、怖いよ!

 

どうする俺!?いや待て、落ち着け。一旦クールになるんだ!スゥー……ハァー……よし落ち着いた。

 

俺の神器である『神猪の槍』(カリュドーン・ボア)の能力は再生力強化とパワーの増大化。最近解放された五感の強化もある。禁手の『神牙猪の葬槍』(カリュドーン・ボア・ロック)ならその性能は上がる。

 

どうする……この状況で今の能力で打開するには……

 

せや!

 

「カリュドーン!お前の能力でどうにかしてくれなのだわ!」

 

『それが出来れば苦労はしねェ!!!』

 

俺の必死の嘆願も拒否しやがった、あの濃厚豚骨豚無双!お前のことが嫌いになりそうだ!

 

「グォオオオオオオッッ!!!」

 

「ひーん!!!」

 

先輩がおぞましい咆哮を上げながら俺を追ってくる!くそぉ!こうなったら……!

 

「あ!斎藤先輩!」

 

咄嗟に思いついた、ここにいない斎藤先輩を頼る作戦。あの人とエクシア先輩は今別の場所で頑張っている。ここにはいない。そんな予定外のことがあったとしたら、きっと岸波先輩は……!

 

「え、結菜?」

 

引っかかったぁあああ!!先輩が足を止めた!よぉおし!

 

「今だぁああああ!!」

 

俺は全速力で目の前の森に逃げこむ。カリュドーンは獣だ。だったら、森でのアンブッシュは得意なはずだ。そうだろ!そうだと言ってくれ!

 

『ああ、安心しろ!その辺は何とかなる!零ちゃん!木に登れ!んでもって、木々を飛び移る感じで遠くに行け!地面に足跡を付けるな!』

 

よし、オッケー!

 

俺はジャンプして、木の太い枝に乗る。ちょっとバランスを崩しかけたが、今はそんなことに気を取られている暇はない。急いで姿勢を正し、木々に紛れながら飛び移っていく。

 

『零ちゃん、そろそろストップ!この辺で隠れよう!』

 

カリュドーンに言われて、俺は木の上で静かに息を殺す。しばらくすると、岸波先輩が俺のいる木の下に来た。

 

「あいつ、どこ行った?」

 

頼む、早くどっかに行ってくれ!

 

「ここじゃねぇか……」

 

岸波先輩が頭の排管から音を立てながらどこかへ去っていった。はぁ…………危ねぇ……!

 

とりあえず、一難は去った。だが、まだ油断は出来ない。このままこの森にいた所で岸波先輩相手だとじり貧以外何でもない。急いで場所を移さないといけない。あの人のことだ、すぐに俺を見つけるだろうよ。

 

カリュドーン、俺は一回さっきの荒野に戻ろうと思っている。

 

『理由は?』

 

岸波先輩は多分、一度見た所をもう一度探しに来ないと思う。自分の成績がかかったテストじゃないからな。それでも、多分としか言えないのが悲しいけど。

 

『俺も悲しいけどそう思う。だけど、そこ以外俺達が安全に行ける所がないのも確かだ。零ちゃん、この辺の地図を最初に見たよな?』

 

ああ、最初に先輩に言われて見せられたあれだろ?

 

『リスクを背負うならもっといい所がある。だが、リスクを少なくしてとなるとさっきの場所しかなくなる。ブラックゾーンの奴がどう動くか分からない状況で命がかかっているなら、リスクは取れない』

 

だよな。よし、だったら行動に移すぞ。この辺に岸波先輩の気配はない。なら、今こそチャンスだ。

 

そんな時だった。俺のいる木の下に人が一人来た。それは斎藤先輩でもエクシア先輩でもなかった。

 

「何で私がこんな所に……」

 

エイカ・フェニックス(焼き鳥女)だ。

 

あの女、どうしてここに?!今、俺と岸波先輩で命の取り合いをしてるってディハウザーさんから聞いてなかったの?!

 

俺は木から降りて焼き鳥女の前に出る。

 

「きゃっ?!」

 

「おい、何可愛い子ぶってんだ」

 

可愛い声を聞いて『こいつも女の子なんだなー』と思ってしまった自分が悔しい。

 

「って、ケダモノじゃないの!一体どこから……まさか、私を襲うつもりで……!」

 

「ばっ?!静かにしろ!」

 

思わずキレかけると、次の瞬間、後ろから何かが飛んでくる気配がした。これは、まずい!

 

俺は焼き鳥女を抱きかかえて、草むらに飛び込んだ。

 

「なっっ?!!」

 

顔を真っ赤にして嫌がる焼き鳥女。悪いな、お前だって死にたくないだろ!

 

次の瞬間、俺らの頭上を光の槍が通りすぎ、木に刺さった。俺と焼き鳥女を一緒に串刺しにするルートだった。あの人、マジで殺しに来てんじゃん!

 

こちらに向かってくる気配もある。間違いなく、岸波先輩に察知されたな、これ。

 

「しっ!」

 

俺は口に指をあてて、焼き鳥女を静かにさせる。俺らの頭上にあった槍が消える。俺達のいる草むらの隣を歩く何かがいる。いや、先輩が歩いている。

 

「おっかしーなぁ……?確かにこっちに四条がいる気配があったんだが……」

 

岸波先輩はそう言ってどこかへ去っていった。何とかなったらしい。

 

俺は体を起こして周囲を見る。どこにも先輩は見当たらない。大丈夫そうだな。

 

俺は立ちあがると、焼き鳥女に手を差し伸べる。

 

「悪いな。立てるか?」

 

「……っ!立てるわよ。馬鹿にしないでもらえます?」

 

そう言って立ち上がる焼き鳥女。どうやら怪我はないらしい。

 

「それにしても、どうしてここに?」

 

「岸波先輩と修行。命がけのかくれんぼだ。そう言うお前は何だ、焼き鳥女?」

 

「や、焼き鳥ぃ?」

 

どうやらこの呼び方が相当気に入らないらしい。どうすればいいんだよ、全く。

 

「じゃあ、エイカとでも呼べばいいか?」

 

「……はぁ、もうそれでいいです」

 

ケッ、可愛くないの。

 

「で、エイカは何でここにいんだよ?」

 

俺がそう訊くと、エイカは答える。

 

「ディハウザー氏に言われてあなたを呼び戻しにきたのです。勉強の時間ですよ。言われた場所にいなかったから、大きな音がするこちらに来たのです」

 

「ああ、もうそんな時間か」

 

随分長い時間かくれんぼしたな。ざっと6時間か?

 

『3時間だよ、零ちゃん。3時間もあいつから逃げたんだよ』

 

「グエー、それだけかよ」

 

『それでも上等だろ』

 

カリュドーンの慈悲なき現実の突きつけに悲しくなってきた。

 

勉強のお時間ね。それじゃあ、先輩に言って片付けして修行をやめに……

 

「グォオオオオオ!!」

 

咆哮が響いた。俺達は同じ方向を見る。そちらにはこちらに向かって猛烈な速度でやってくる先輩が木々の隙間から見えた。

 

あ、やべぇ。スイッチ入ったままだ、あの人。

 

「どうしよ、カリュドーン」

 

『死ぬしかないじゃない』

 

「こんちきしょうめ!おい、エイカ!文句はあとで受け付ける!」

 

「何ですの?!って、きゃっ!」

 

俺はエイカを抱き上げて、さっきまでいた荒野へと走る。このままこの女を放置するほど俺だって悪魔になった覚えはない。さっさと俺達が分かりやすい広い場所に出て、白旗上げるぞ!

 

俺は無限の彼方に向かって全速力で走った。

 

零ちゃんside out




零ちゃん視点のお話でした。
しょうもない情報ですが、今の時点で零児は禁手ヴァーリと殴り合える数少ない人間となっております。つまり、人間では上澄みです。これが禁断ブートキャンプの成果です。『ここから更に強くしないと生き残れない以上やるしかないんだよなぁ』と思いながらインフレさせるので、こうご期待。
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