知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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うp主、Whirlpool作品が結構好きで、『涼風のメルト』とかかなーり好きなエロゲです。いいですよね、『永い時を渡る愛の物語』って......。
Whirlpool作品を語り出したら長くなるので、割愛ということで。


第107話 立食パーティーって何があるの?

イッセーside in

 

部長とのあいさつ回り。それはとんでもなく疲れるものだった。いやぁ、マジで部長のお母様によるマナー講座がなかったら死んでたね。それくらい大変だったし、部長に恥をかかせないようにするので必死だった。そのせいで、誰に挨拶したのかもう覚えてない。

 

「あー、疲れたのだ」

 

あいさつ回りから解放された俺はパーティー会場の隅っこに用意された椅子にギャスパーと一緒に座っていた。こいつ、前までだったらこんな大規模なパーティーからすぐに逃げていただろうに、逃げることなく頑張っていた。ギャスパーもギャスパーなりに成長してんだなぁ。俺、先輩として鼻が高いぜ。

 

……岸波先輩も、俺のことをこういう感じで見ていてくれていたのかな?だとしたら、俺はちょっと気恥ずかしさがあるな。

 

朱乃さんは女性悪魔の方々と話しているし、木場の野郎も女の子に囲まれている。何て言うか、疲れていて嫉妬する気も起きない。

 

話は変わるが、タンニーンのおっさんが言っていたことをふと思い出す。それはドライグのことについて。

 

ドライグ、あのおっさんに『昔は誰よりもドラゴンらしく暴れていた』と言わしめたんだ。あの隕石の落下くらいの火力が出るおっさんにだ。そう思うとさ、俺の中にいるドライグってのがちょっと怖くなったんだ。

 

だってよ、あのおっさんより強いのが俺ん中にいるんだろ?そんなのヴァーリくらい狂ってないと怖い以外の感情なんてないだろ。

 

もしもさ、このドライグの力が暴走してしまったら、それこそ俺は皆を傷つけるなんてことじゃ済まなくなる。だからこそ、こいつの力を乗りこなすためにも力が必要だってのも、何となく理解出来る。

 

だけど、俺の心はそうじゃない。『何で俺が』って思いがある。

 

つい最近までエロ本読んで、人生を楽しんでいただけのただの男子高校生がこんな世界の運命を握るようなことになってるんだって。俺はこんな力が欲しいわけじゃないのに。

 

でも、それから目を背けることを岸波先輩は許してくれないだろうな。だって、岸波先輩はそんなドライグよりもずっと強い力を持っているわけなんだもん。それも、ドキンダムとアポロヌスって言うとんでもない連中を体の中に宿している。それから先輩は逃げなかったんだもんな。

 

憧れのあの人が逃げなかったのに、俺が逃げていたら恥ずかしいよな。

 

「イッセー、ギャスパー。料理をゲットしたぞ、食え」

 

さっき料理へ向かっていったゼノヴィアが帰って来た。大量の料理を器用に更に乗せて持ってきている。

 

「すまねぇ、ゼノヴィア」

 

「いいさ。これくらいなら安いもんだ。アーシアも来れればよかったと思ってしまうくらいには、私もこのパーティー会場に飲まれているよ」

 

そうだよなぁ。アーシアは人間だ。だから、悪魔のパーティーであるここには来れない。今はグレモリー邸でお留守番だ。岸波先輩は特例だとしても、あの子もどうにかしてあげたいなぁなんて思ってしまう。

 

「まぁ、あの子のことだ。きっと岸波先輩とのご縁でこう言った場にも出るようになるだろ」

 

「それが、嫌な縁でなければいいな」

 

「……ゼノヴィア、その言い方やめろ。嫌な予感がする」

 

ほんと、今の俺達は『禍の団』(カオス・ブリゲード)とか言うテロ組織の対応に追われているせいで忙しいんだ。これ以上忙しくしないでくれ。エロ本も満足に読めなくなるだろ……。

 

そんな風に嫌な未来、というよりフラグを脳裏から離しつつ食事にありついていると、俺をにらみながらこっちにやってくるドレス姿の女の子が一人いた。

 

「お前は……」

 

「ご、ごきげんよう。赤龍帝」

 

「焼き鳥野郎の妹か」

 

「レイヴェル・フェニックスです!」

 

焼き鳥野郎の妹ことレイヴェル・フェニックスだ。デビュー前のあの戦いから顔を見ていないので、最早懐かしさまで感じる。

 

「全く、これだから学の無い下級悪魔は嫌になりますわ」

 

「馬鹿で悪かったな。で、兄貴は元気か?てか、あいつの顔、見なかったんだがパーティー欠席か?」

 

俺がそう訊くとレイヴェルは呆れるように嘆息した。

 

「ええそうですわ。あなたの先輩のおかげでふさぎこんでしまいましたの。余程リアス様を取られたことと、あなたに負けかけたこと、そして憧れのブラックゾーン様を怒らせたことがショックだったようですわ。ま、才能にかまけて調子に乗っていた所もありましたから、いい勉強になったはずですわ」

 

あららー、手厳しい。てか、やっぱり不死なフェニックスだとあそこまで追い込まれないと分からない感じなのね。それこそ『死ななきゃ分からない』が簡単には通じないわけだし。

 

それからレイヴェルの眷属云々について話を聞いた。どうやら、トレードっつー奴をして今はあの兄貴の眷属じゃないんだって。確か部長によると、その方法で力をつけていった悪魔もいるんだっけ?番外戦術も一つなのが、レーティングゲームの難しい所だよなぁ。

 

あと、『赤龍帝』呼びも味気ないので、互いに名前で呼び合うことにした。それに加えて何かケーキが焼ける自慢をされた。こいつ、器用な奴だ。意外と木場と話が合うんじゃね?あいつも手先が器用だし、夏休み前にも俺はあいつから手作りチョコクッキーを貰ったし。

 

……何で俺、男からそんなのもらってんの?

 

「話は変わるのですが、イッセー様……」

 

「おう、なんだ?」

 

俺がそう訊くと何やらモジモジするレイヴェル。何だ、トイレか?

 

「ぶ、ブラックゾーン様は今日こちらに来ておられるのでしょうか?」

 

ブラックゾーン…………ああ、岸波先輩のことか。だったら、来てるさ。

 

「まぁ、来てるぜ。一緒に来たけど、途中でどっか行っちゃったな」

 

「あら、そうですねの。大方、お父様たちの方でしょうね」

 

明らかに嫉妬心をむき出しにしているレイヴェル。こいつ、あれか。岸波先輩のファンガールか。先輩も変な奴に好かれたもんですな。がんばって下さいねー。なんて他人事を言ってみたり。

 

俺は肩をグルっと回す。ちょっと肩が凝って来た。流石に慣れない場だからだろうな。

 

あー!早く帰ってエロASMR聞きながら寝落ちしてーなぁー!

 

俺が悲しい思いを胸の内で叫んでいると、会場が暗くなった。停電か?いや、それにしてはこのフロアの前の方がライトップされているのはおかしい。

 

俺はすぐに神器を出せるようにする。もしかしたら、何かしらの悪意を持った奴の襲撃かもしれなからな。

 

ゼノヴィアも俺と同様に警戒をし出した。すると、ライトアップされた所に人影が現れた。

 

「じゃーん!セラフォルー・レヴィアタンの登場だよ!」

 

何だ、魔王様か。もしかして、これもそう言う演出ってことか?

 

俺は安心して警戒を解いた。

 

それからセラフォルー様によるちょっとしたありがたいお言葉をいただいた。要は『頑張れよ』ってことだ。俺、馬鹿だから話している内容ほとんど分かんなかったけど。

 

セラフォルー様の話が終わると、何やらマイクの準備が始まった。すると、セラフォルー様は横に、まるで主役の座を降りるように移動した。

 

「皆堅苦しいお話で疲れちゃったと思うけど、ここからはご褒美タイムだよ☆」

 

ご褒美タイム?もしかして、女の子でも紹介してくれるのか?

 

「皆憧れの人っているよね!それは身内だったり、ライバルだったり!色々あると思うんだ☆」

 

分かります(迫真) 俺も絶対にその背中に追い付けないけれど、それでもその背中を追ってしまうような男がいます。

 

「でも、今日は特別!皆が一回は憧れたことがあるようなお方に来てもらいました!」

 

へー、そんな悪魔がいるのか。皆が一回は憧れたって、そりゃすげぇな。それこそレーティングゲーム最強とかかかな?

 

「長く話をしていてもやだよねー☆じゃあ早速来てもらおうか☆それでは、スペシャルゲストの登場!入って来て!」

 

セラフォルー様がそう言うと、このフロアの扉が開かれた。ライトアップされたそこから入って来たのは……

 

「ぶっ!」

 

岸波先輩だった。

 

マジか!あの人、このサプライズの為に別の場所に行ってたのか!だからホテルに入ったら別行動で動いていたのね!

 

岸波先輩が姿を現した瞬間、フロアの雰囲気が変わった。放心する人、挙動不審になる人、近くの人と小声で話す人。色々いる。その多くは女性ってのがミソだ。隣のレイヴェルまで魅了されてるのがそれを表している。

 

まぁ、それは仕方ない。だって、今の先輩、過去一かっこいいんだもん。騎士と王子のいい所を全部乗せたような、女の子の都合のいい夢を具現化したような姿だ。

 

ただ、男だって見惚れるのは例外じゃない。あの『力強さ』と『気品』を両立した姿は、誰もが憧れるようなものだ。

 

そんな先輩が会場を歩いて、セラフォルー様の方へと進む。

 

立てられたマイクスタンドの前に立つと、先輩はマイクを調整し、笑顔になる。

 

「セラフォルーさん、進めてよろしいでしょうか?」

 

「へ?あ、ああ!うん、いいよ☆」

 

セラフォルー様も今の岸波先輩に見惚れていた。すげぇ、魔王様まで魅了するんだな、あの人。モテモテですなー!背中が遠いぜ!

 

「どうも皆様、ブラックゾーンこと岸波大地です。この度はこのような素晴らしい場にお呼び下さり、感謝の気持ちでいっぱいです。このような若輩者にお話しをする時間をくださったこと、心より感謝いたします」

 

静かに、そして力強くそう言う岸波先輩。そういや、先輩って元でも王子なんだよな。やっぱこう言う場には耐性があるってことか。

 

「折角の楽しい場ですから、私の口説は短くしましょう。それでは二つ程。まず一つ目ですが、私のことは岸波大地とお呼びください。今の私は、ブラックゾーンでもありますが、それ以上に岸波大地と言う大切な名前をいただいた男です。出来れば、その大切な名前で呼んでいただけると嬉しいです」

 

岸波先輩って、よくそう言うこと言うよな。『ブラックゾーンって言うなー!』って。

 

そう言えば、何か視線が気になるなと思ったが、テレビカメラが何台か入っているな。先輩、気づいているかどうか知らないけど、あんたの雄姿が全世界に流れますぞ。

 

「では二つ目。私は、皆様のことを『悪魔』だと思いません」

 

先輩、とんでもない爆弾を投下した。何を言ってんだこの人。

 

「『悪魔は決して泣かない』」

 

先輩のその言葉に、思わず俺は心臓を掴まれた感覚がした。恐怖とかじゃない、もっと心が動くような、そんな感じの重さが俺にのしかかった。

 

「私にとっての『悪魔』は、『己の為にしか涙を流さぬ外道』のことを示します。避けられぬ残虐を正当化し、犠牲を良しとするような者こそ、その名が相応しい。だからこそ、あの時誰よりも勇敢に戦い、未来の為に立ち上がった皆様を『悪魔』とは呼べません。『人間』です。私が愛した強き者たちの名こそ、あなた方に相応しい。そもそも、私にとって翼の有無や種類の違いなど問題にすらなりませんから。それでも、種族の便宜上でどうしても『悪魔』と呼ばざるを得ない状況があるのが、心苦しいですね」

 

ああ、そう言うことか。そうだよな、先輩にとっては悪魔も、天使も、堕天使も平等に『人間』だもんな。だからこそ、先輩は戦って、そして……

 

『うぉぉん……』

 

ドライグがこうなった……。

 

「そもそも、私は皆様が思うほど高潔ではありません。気に入らないことがあればイラっとしますし、今みたいに自分勝手に苦しむことだってあります。そんな俗物です。だから、『英雄』と畏れることはしないでください」

 

思わず『そんなことを言われましてもねぇ』と言う言葉が脳裏に浮かんだ俺は決して悪くない。だって、それこそ事実なんだし。先輩はもっと自分の偉業を認識した方がいいと思うんだ。

 

「確かに、『英雄』と呼ばれるのは悪い気はしないです。ですが、私はあくまでも『ただの人間』、そして『戦士』のつもりです。あの時、二頭の竜の与える絶望に屈しそうになったその顔が気に入らず、背中を押しただけ。その者達が立ち上がるために戦っただけ。ただそれだけなのです」

 

でも、その『しただけ』ってのが今になるまで続いた。多分だけど、それが先輩が何よりも愛している『人間の光』って奴なんだろう。『未来を諦めない』。そんな想いこそ、先輩は守りたいって思うんだろうな。

 

「私はあくまでも『少し力のあるだけの獣』で、その獣が『何よりも輝く人間の魂』に惹かれた。そして『人間』にしてもらった。だから、あの時戦った。それだけですから」

 

ははっ、先輩には悪いけど、やっぱあんたは『英雄』だよ。だからこそ、その光に手を伸ばしちまう。

 

「そうですよね、セラフォルーさん?」

 

そういたずらっ子のような顔で岸波先輩はセラフォルー様の方を見る。セラフォルー様はちょっと恥ずかし気にしている。

 

「僕達も、先輩からすれば弱い、けれど眩しく光る美しい『人間』なんだね」

 

そう言うのは気が付いたら隣にいた木場。やめろよ、怖いだろ。

 

でも、まぁ、言いたいことは分かる。

 

「それもそうだ。じゃなきゃ、お前のことにだって首を突っ込んだりしないだろうしな」

 

「あはは……それを言われちゃうと、ちょっと苦しいかな?」

 

俺は意地汚くエクスカリバーの時(あの時)のことを言うと、困ったように笑う木場。よし、一本取った。

 

それにしても……やっぱり遠いな。岸波先輩の背中は遠い。

 

悪魔になる前から思っていたことだけどさ、あの人の男気とか誇りとか、そう言う輝きを見ていたら『俺もああなりたい』って気持ちと『絶対にああはなれない』って気持ちが両立しちゃうんだもん。悪魔になってからは余計にそう思う。だってよ、ドライグとアルビオンって言うドラゴン二頭に立ち向かう程なんだぜ?

 

しかもさ、心が折れかけていた三大勢力のトップ達を奮い立たせるおまけ付。それに俺みたいなのがなれるわけがない。

 

でも、『岸波先輩みたいになりたい』って思いが止まらない。例え岸波先輩の隣に立てなくても、その背中を追い続けたいって思ってしまう。

 

もう、この人こそ過去現在未来全てにおける『英雄』の頂点だよ。

 

「そんな感じです。最後にまた同じ内容となりますが、不肖の身であるこの私をこのような場に呼んでいただき、感謝したいです。ありがとうございます」

 

そう言って一礼をする岸波先輩。すると、先輩が指を一つ立てる。

 

「ああ、それと最後に一つだけ」

 

特命課の人みたいなことを言い出した先輩。これ以上何があると言うのでしょうか?まさか手品とか?

 

「私、以前あった駒王協定の時にサーゼクスさんから『悪魔の駒』をいただきました。それを手にしたと言うことはつまり、眷属関係の話が進むと言うことです。…………お前ら、来い」

 

先輩は指をパチンと鳴らした。すると、魔方陣が先輩の両端に現れ、そこから人が四人も現れた。

 

「紹介します。私の眷属です」

 

先輩の言葉に、会場が一気にざわついた。先輩、もしかしなくても自分の影響力をご理解してない感じかな?馬鹿じゃねぇの。そんなこと言ったら会場が荒れるに決まってんだろ。もっと、こう、言い方とかさ!

 

「『兵士』の黒歌」

 

「どうもでーす。つい最近までお尋ね者でした」

 

「『騎士』の細川幽」

 

「よろしくお願いいたします」

 

ここまでは俺達も知った顔だ。黒歌さんについては修行前に知ったし、細川さんも同様だ。

 

で、残りの二人はいつ引っかけたんだ、あの人?

 

「『僧侶』のステラネス・ベリアル」

 

「よろしくお願いします」

 

「『戦車』のサタン・アムドゥスキアス」

 

「よろしく頼む」

 

滅茶苦茶乳とタッパのデカい美人さん二人がそう挨拶をする。あの人達をどこで捕まえたのか気になるな。後で先輩をからかうがてら聞いてみよう。

 

「以上が現在の私の眷属、もとい『家族』となります。眷属は随時募集、とまでは行きませんが、もし縁があればなってもらうかもしれません。その時は、お世話になります。それではこれで、締めさせていただきます」

 

わぁ、突然の戦争の火種。先輩ってそんなに戦争がしたいのかよ。

 

先輩はそっとマイクから下がった。そしてセラフォルー様にバトンが渡される。

 

「それじゃあ、この後から岸波君にはパーティーに参加してもらうから、皆岸波君といっぱいお話しようね☆あと女の子限定で秘密のプレゼント会もあるから、楽しみにしててね☆」

 

こうして、岸波先輩のサプライズ登場は幕を閉じた。さて、俺は一つやっておくべきことでもしておこう。

 

「イッセー君、突然合掌なんてして、どうしたんだい?」

 

「なぁに、木場。これから大変になるであろう先輩に向けての祈りだよ」

 

イッセーside out




77、竜翼のメロディア......どれも懐かしい思い出です。
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