知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
なので、とりあえず採用したい女性を駒の数の半数より多めを採用するだけしてみたのが現在の予定です。
Side in
偉そうにお話をし終わった。とぉおおおおおおっても胃が痛いのだ。何で俺がこんな社長みたいなことをせにゃならんのだ。
そんな苦しみを持ちながら、俺はセラフォルーさんの流れに乗って偉そうに説教を垂れた。ブーイングとか飛んでこなかったので好評っぽい。
それからお話が終わると、今度は貴族の皆とお話タイム。キャッキャウフフとやるのかと思いきや、殆どが『眷属にしてくれ』か『娘と縁談を組ませてくれ』って冗談ばかり。前者は若い女の子からで後者は男性からだった。無下にも出来ず、ちょっとした自己紹介とかしたけどさ、それにしたってそんな話ばかりだったよ。ちょっと圧が強い方は幽さんやステラネスさんが追い払ってくれた。マジで有能すぎて泣きそう。
まぁ、その縁談全てにドキンダムとアポロヌスがNOを突き付けたのもあったし、俺も嫌だったのでやんわりとお断りしたり曖昧な返答をしておいた。そもそもが貴族の冗談なのだし、俺の『家族』になるにはまだ甘いのだ。
――『乳が足りないだけでは?』
うるさい、ユノハ様。俺だって考えてやっているんだ。
それと、サタンさんとステラネスさんのことについてもよく聞かれた。聞けばこの二人は以前から眷属の勧誘が多かったらしく、近寄った者は皆返り討ちにしていたくらいに身持ちが堅かったそうだ。それが俺の眷属になったのは驚きだそう。それだけでニュースを組めるくらいには大事なんだとか。
俺、何やったんだ?ディハウザーさんの推薦だからって油断しすぎたか?いやまぁ、二人が眷属になってくれたことは嬉しいことには変わりないけどさ……。
やめよう、これ以上の思考は脳が死ぬ。
とりあえず、今後の縁談関係の話は幽さんとステラネスさんを通してもらおう。俺だけじゃ対処できんかもしれないからな。シークヴァイラさんは……うん……。
それとだが……話している貴族の中に俺の禁断の力が反応することが何回かあった。反応したのは……悪意。俺に害そうとする考えのある奴らが何人かいたってことだ。そいつらについてはこっそりとステラネスさんに耳打ちして警戒しておくように伝えておいた。
悪意を警戒しながらもうまく話をしていると、あいさつ回りもいくらか終わった。これで俺はご飯にありつけると言うわけだ。やったー!肉だ肉だ!その前にちゃんと野菜も食わないとな!
「あ、あのブラックゾーン様!」
俺がうっきうきで料理の方へと足を進めようとすると、俺に声をかけてくる人が一人。声のした方を向くと、そこにいたのは金髪ドリルの印象が強い女の子。
「君は……」
「お、お久しぶりでございますわ」
確か、フェニックスの時にいた子だ。
「んにゃ?レイヴェル・フェニックスじゃない」
皿に料理をドカ盛りにした黒歌がスパゲッティを食べながらそう言う。こら、黒歌。お行儀が悪いぞ。
それにしてもレイヴェル・『フェニックス』か。もしかして、あの時フェニックスのおっちゃんが言ってた娘ってのはこの子のことか?ってことは俺がぶっ飛ばしたのはこの子の兄っぽい?
「君のことは覚えている。俺の服を燃やしたのだろ?」
「あ、その節は、その……」
「そう恐れるな。俺だって、言ってしまえば『間男』だったんだ。あれくらい覚悟の内にも入らん」
「そう言っていただけるとありがたいですわ。それと、私のことはレイヴェルで結構ですわ」
「なら、俺も岸波大地でいい」
軽いジョークでも飛ばしたところで、あいつの所在でも聞いておこう。実はあのフェニックス、確かライザーだったか?奴の顔をこのパーティー会場で見なかったのだ。あいつ、そう言うイベント事は貴重面そうなのは兵藤のことで知っているので、ここにいないのがちょっと変に思ったのだ。
「ところで、君の『王』のあいつはどうしたんだ?俺の勝手な偏見だが、奴はこういうイベント事にはちゃんと出席するタイプだろ」
俺がそう言うと眉間にしわを寄せて嘆息したレイヴェルさん。
「兄はあなたに負けたショックで引きこもってしまったのです」
「……何かごめん」
俺のせいでとんでもねぇことになってんじゃないか!どうしよ、これ!あとでフェニックス家に『おいゴラァ!』されない?!
俺が内心焦っていると、レイヴェルさんは俺の言ったことを否定してきた。
「そんなことはありませんわ。元々、兄は才能にかまけていましたから、ちょうどいい薬です」
「そういや、君のお父様もそんなこと言っていたな……」
どんな修羅の家やねん、フェニックス家。あれか?『簡単に死ねないから『死なないと分からない』が分からない』ってか?
「それに、今の私は兄の『僧侶』ではないですわ」
「ん?どういうこと?」
「トレードしたのです」
俺が疑問に思っていると、謎のワードが出た。え、どういうこと?分からないので、俺はそっと幽さんの方を見る。教えて、幽先生!
「駒が同じ値であれば、それを交換する形で眷属を交換できるのですよ。例えば、Aの『戦車』とBの『戦車』をトレードする、と言った形でです。そうして戦力を高めていく上級悪魔も少なくないのです」
「へぇ、そんなことが出来るんだ。まぁ、俺はあなた達を渡す気なんて微塵もないけどね」
「おっと、突然の告白ですか?それがし、これでもそう言うのはちゃんとした場でいただきたいですな」
「……うす」
俺ってほんと、女性に弱いのな。
「そのトレードって奴をしたのか、レイヴェルさんは」
「はい、母の『僧侶』の駒とトレードしましたの。母はゲームに出ませんので、実質的にフリーの眷属ですわ」
悪魔業界ってのは実に複雑なものだ。こんなのに俺は足を突っ込んだのか。
「そ、それででして、岸波様……」
「ん?何だ?」
何やらモジモジし出すレイヴェルさん。どうした?かゆい所でもあるのか?あいにく、俺が触れると揉め事が起きそうだから、俺に何とかさせるのは勘弁してくれよ。
「行きますわ、レイヴェル・フェニックス!やるのです!」
レイヴェルさんは小声で何かを呟いて、深呼吸を一つする。すると、意を決した表情となった。
「わ、私を……岸波様の眷属にしていただけませんか?!」
あー、なるほどな。この子もこの手合いか。だったら、さっきまでのように誤魔化す……
――『一つ、説教でもしておけ』
あ?何だ、ドキンダム?
――『こいつは兵藤一誠と強い縁がある。このままいても、いつか大きな挫折をしかねん。少し、軽めの説教をしておけ』
んなこと言われたって……
――『もっとはっきり言おう。こいつ、兵藤に惚れている。なのに、それに気が付いていないにも関わらず、お前に近付こうとしている。もしここでお前が眷属にしたら……トレードで済む問題じゃなくなると思うぞ?』
そんな昼ドラが待っているのかよ……。ったく、あの後輩め、余計な面倒ごとを寄こしやがって……。
仕方ない、嫌われ役をやりますか。
俺はレイヴェルさんの瞳を強く見つめる。その視線に、レイヴェルさんは少しビビる。
「なるほどな」
俺はそう言う。さて、始めるか。
「レイヴェル・フェニックス」
「は、はい!」
「本当に『俺』を見ているか?」
そう言うと、表情が固まるレイヴェルさん。
「俺に憧れるのはもちろんいい。だが、俺の隣を見ているとは思えない。にも関わらず、俺の隣に立つことを望んでいる。矛盾した感情が、今の君にあるように感じる」
「そ、それは……」
「別にここで君を眷属にしたっていい。ただ、それは君のためにならない。君が隣に立つべき者は、俺じゃない。俺ではない誰かの隣に立ってこそ、君は頂を見ることが出来る。己の望みの為に戦うことが出来るだろう」
正直、フェニックスなんてとんでも一族を味方につけたいのは山々だ。でも、ドキンダムが言う通りなら、俺はこの子の隣にいれないし、この子は俺の隣にいてはいけない。
そもそもだ、どうも俺にはレイヴェルさんには俺の深淵である禁断の中を歩けない気がするんだ。アーシアのような『弱く見える強靭さ』ってのがないように見える。言い方が悪いけど、この子は所詮『ファンガール』だ。
「自分が何を見ているのか、そしてどのような道を行くべきかをしっかり見定めろ」
「何を、見ているのか……」
「ある程度見定めたその時に出した答えがまだ俺の隣を見ていると言うのなら、その時は君を眷属にしよう」
何やら感銘を受けている様子。よかった、俺の言いたいことは伝わっているようだ。解釈に齟齬があると悲しくなるからな。
俺が軽い説教をし終えると、レイヴェルさんは少し思案して、そして
「分かりましたわ。その課題、フェニックス家の名に懸けてこなしてみせます」
どうやら、諦めてくれたみたいだ。君の見ている男が俺じゃなくて兵藤だってことに気付いたその時は、俺は全力で応援するよ。
「ありがとうございました、岸波様。私はこれにて失礼しますわ」
そう言って、俺の前から立ち去っていくレイヴェルさん。うーん、優雅。これが貴族か。
さて、用事もひと段落したことだし俺もご飯の時間だ。
「ご主人様、案外厳しい目で人を見ているのね。てっきり、乳のデカさで眷属を選んでるって思ってた」
黒歌がそう言ってくる。普段なら揶揄う感じで言ってくるであろうその言葉だが、今はかなり真剣な目で俺を見ている。
「そりゃ、な。言ったろ?俺にとって、眷属は『家族』だ。己の未来全てを捧げるに等しいんだ。相手だけじゃなくて、俺自身も生半可な覚悟で決めていたら、俺の駒だってそれを認めない。互いが不幸になる未来なんて、俺は望まない」
そう言って、俺はご飯のある方へと足を進めた。
『悪魔の駒』は元は悪魔の人口増加の為に作られたもの。もっと気軽なのがいいんだろう。だが、黒歌。お前みたいな不幸を見ていると、どうしても足がすくむんだよ。
……はぁ。いかんな、腹が減るとネガティブでナイーブになってしまうな。とりあえず食べよう。
「はーい皆―、楽しんでるー?」
セラフォルーさんのマイク越しの声が会場に響く。イベントが始まるっぽい。俺には関係ないだろうし、ささっと料理の方へ行くとしましょう。
「女の子の皆にプレゼントがあるっていったよねー?今からそれをプレゼントするよー☆」
そう言えば、女性限定のプレゼントって何だろ。男が関係ないってことは、香水とかか?でも、昨今は男でも香水を使ったりするらしいし。じゃあ、何だ?
「それはー……これ!」
セラフォルーさんの方を見る。その手には何かの本があった。……いや、待て。あの表紙の男、見覚えがあるぞ。
「岸波君の写真集だよ!」
俺だ。
――『お前か』
――『暇を持て余した』
――『禁断達の』『不死鳥達の』『神々の』
――『『『遊び……あぁ?(威圧)』』』
あんたら、そこは揃えろよ……。
「一般販売はまた後日なんだけど、この会場の女の子限定で先行配布するよー☆先行配布版には特別な写真も入っているから、皆並んでねー☆」
その声を聞いた途端、会場の空気が、否、会場の女性の雰囲気が変わった。
続々と動き出す女性たち。その中には俺の眷属達も含まれていた。
……そんなに需要あるの?
俺は需要供給の関係が分からないまま、料理に向かうこととなった。兵藤達、どこ行ったんだろうな。あいつらと話をしてみたいもんだ。
Side out
最近、健康のためにサラダをよく食べるようになりました。いわゆるパスタサラダやポテトサラダみたいな奴じゃなくてガチ野菜サラダです。あれ、クルトンとかのカリカリするものをかけるだけで美味しさが変わるの、すごくないですか?