知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
俺の痴態が晒されるパーティーが終わって数日。いよいよリアスとソーナさんの決戦の日が来た。
え?『何でソーナ呼びなんだ?』って?あのパーティーでソーナさんとお話をしていたら名前呼びを要求されたんだよ。妙に強い意思を感じる目だったし、しゃーないと思って、俺が折れました。
俺は眷属の皆と、今回はご厚意で参加させてもらったアーシアと一緒にVIPルームまで案内されて、二人のゲームを観戦することとなった。
余談だが、アーシアにも俺の写真集が先行配布されたそうだ。俺の痴態がどんだけ広がっているのか分からない。
「ドキドキしますね、ダイチさん……!」
「そう緊張するな、アーシア。俺まで緊張してくる」
慣れない空気に飲まれる俺とアーシアに対し、慣れた様子の幽さんとサタンさん、ステラネスさん。そして、強くゲームの画面を見守る黒歌。
黒歌にとっては妹のデビューにも当たるんだ、そりゃ緊張もするよな。
俺は未だにリアスにもソーナさんにも勝ってほしいと思っている。心苦しいにも程があるのだが、この戦いを俺は見なければならない。二人の『夢と愛』の戦いを見届ける義務があるんだ。
○○○
結論から言おう。リアスが勝った。勝ったのだが……色々課題が残るものだった。
まず、褒める点から。よく頑張った。個々の能力は上がっているし、このまま努力していけばもっと高みを目指せるだろう。
兵藤も土壇場で何?パイリンガル?って言う謎の技を開発していたし、成長はとどまることを知らない皆だなって思った。
さて、問題点。あのさ、お前ら兵藤に依存しすぎじゃね?
いや、途中で匙君の頑張りで兵藤が落ちた時は『あー、油断したな』なんて思った。その程度だったんだ。
そこからの盤面の崩壊のし方がまぁえぐい。リアス達の優勢は変わらなかったが、それでも五分五分に持ち込めるくらいにはソーナさんが巻き返していた。
アザゼル先生が言うことには『下馬評及び実力ではリアス達の方が上』とのこと。俺も実際途中まで見ていてそう思った。だからこそ、兵藤の敗北で士気がだだ下がりになったその姿は、ちょっと頭を抱えた。隣で黒歌も『あちゃー』なんて言っていたし、この場にいる全員がその姿を察していただろう。
何ともまぁ、すっきりしない終わり方でしたとさ。そもそも、今回の一件は上層部のカス共のことがあったり、サーゼクスさんとセラフォルーさんの妹同士という代理戦争感があったりと釈然としないことが多すぎた。帰って寝たいもんだ。
さて、んじゃ俺は行くか。
「ダイチさん?」
席を立った俺を気にするアーシア。気にしないで。君達を置いて帰るわけじゃないから。
「ちょっと敗者を詰ってくる。幽さん、医務室まで案内お願い。残りはここで待機」
「承知しました」
そう言い残してワイは幽さんと一緒に医務室へと足を運んだ。理由?そんなの一つだけだろ。
俺達はポツポツと歩いて医務室まで来た。中に入ると消毒の匂いが鼻を貫いた。
「お邪魔します」
俺はそう言って、ベッドへと足を運んだ。そこにいたのは、倒れた匙君だった。
「き、岸波先輩?どうしてここに?」
「敗者を詰りに来た」
俺はそう言って、起き上がろうとする匙君を手で制止し、ベッドの隣の椅子に座った。さて、何から話そう。そしてどれくらい話そう。うーん……。
俺が悩んでいると不安そうにこちらの顔を覗いてくる匙君。何だぁ、てめぇ?
「何だ?俺に文句あんのか?」
「い、いえ!ただ、その……」
何やら煮え切らない様子。……ドキンダムさんや。
――『うっす』
これ、もしかしなくても俺が完全にリアス側の人間だと思われてる?
――『そうダムね』
はぁー!しゃーない、誤解を解くか。
「言っておくが、俺はソーナさんも応援していたんだからな」
「え?」
そう言うと虚を突かれた様子になる匙君。お前、マジでそう思っていたのかよ。俺だって、君の『王』と『女王』とはそこそこ長い付き合いなんだぞ。
頭をかきながら、俺は目の前の阿呆に呆れる。
「お前、俺がどんだけお前の主様達とご縁があったと思ってんだ?」
「す、すいません……」
「謝んな。ったく」
俺は話を持ち直すことにした。
「さて、今回だが……まぁ、お前はよくやったと思うよ」
「え?」
本当に詰られるのかと思っていたのか、それとも俺がこんなことを言うキャラじゃないと思っていたのかは定かではない。だが、匙君が驚いたのは確かだ。
「はっきり言おう。おめーじゃ兵藤には勝てんよ。だからこそ、チームの勝利のため、大義の為の犠牲になったんだろ?最後まで諦めなかったんだろ?んじゃ、上等だ」
さて、言いたいことは言った。さっさと退散しよう。匙君とて疲れているだろうし、無理した体だからな。長居は無用だ。
俺は席を立つ。
「俺の後輩を落としたんだ、せいぜい今は誇っておけよ。んじゃ幽さん、戻りましょうか」
「リアスお嬢様の方へは行かなくてよろしいのですか?」
あー、リアス達の方かぁ。多分アザゼル先生が説教してるよな……。わざわざ説教されている現場に行きたくないなぁ。
「ま、あいつらなら帰った後でもいいだろ」
「随分残酷なことをおっしゃりますね」
「えぇ……?じゃあ、行くか……。んじゃな、『匙』」
俺は手を振りながらそう言って医務室を後にした。なにやらすすり泣く声が聞こえたような気がしたが、聞かなかったことにする。
そうして、俺はリアス達のいる部屋へと来た。来たのだが……扉の前でアザゼル先生に止められた。
「何でしょうアザゼル先生。外からでも何かお通夜状態なのが伝わってくるんですけど……」
「俺が今説教したからな。それと、お前がソーナ・シトリーの『兵士』の方に先に行ったからだろ。サーゼクスとその『女王』がしっかり見ていたからな?」
「わぁ、サーゼクスさんとグレイフィアさんこわーい」
Side out
イッセーside in
俺達は会長とのゲームに勝った。勝ったが、課題が残るものだった。正直、負けと何ら変わらないと言っても過言じゃない。
今はこうしてアザゼル先生に説教を受けている。
「ゲームの下馬評では、お前らは圧倒的に勝つはずだった。だが、結果はどうだ?開始早々ギャスパーは取られ、赤龍帝であるイッセーも取られ、それに同様してゼノヴィアまで取られた。半分近くも失ったんだ」
そうだ、その通りだ。戦っていて分かったが、俺達の方が匙たちよりも実力は上だった。だからこそ、慢心したんだろう。俺達はそこを会長に突かれた。
「挙句の果てにはイッセーが落ちた後だ。お前らの動揺のし方、尋常じゃなかったぞ。ありゃ、どういうことだ?」
そのことも気になった。何で俺がいなくなった後に一気に波に乗れなくなったのかが分からない。岸波先輩でもないのに、どうして俺が?
「お前らの敗北によって、岸波の顔にも泥が塗られた」
その言葉に、俺は心臓を掴まれる感覚がした。
「お前らのせいで、岸波には『人を見る目がない』と言うレッテルが張られることとなった。岸波が一部から『無能』扱いをされることになったんだ。岸波が気にかけているお前らが敗北するってことがどう言うことか、よく分かったか?」
先輩はそんな人じゃない!先輩はすごい人なんだ!そう言いたかった。でも、そうさせたのは紛れもない俺達だ。
部長さんも朱乃さんも悔しそうだし、小猫ちゃんに至っては泣きそうになっている。
「お前らの評価は落ちた。代わりにお前ら相手に奮戦したソーナ・シトリーは評価を上げた。もう、同じ土俵にいない。だからこそ、今後は上げる以外道はなくなった」
そうだ、匙たちは俺達の上に行った。俺達が『追われる側』から『追う側』になったんだ。これ以上は、負けられない。
「ん?誰だ、こんな時に……サーゼクスか」
アザゼル先生はケータイを取り出して画面を見る。それを見る目は、とても険しかった。
「サーゼクスからの連絡だ。『岸波がソーナ・シトリーの『兵士』に会いに行った』そうだぞ。お前らより先にだ。しかも、その『兵士』の様子から察するに、そいつは褒められたらしい」
俺の中に、黒くて暗い炎が燃えた。岸波先輩、どうして俺達より先に匙の方に……?
「当然だな。あいつの趣味嗜好からするに、『命がけで未来をつないだ奴』ってのは大好きだからな。現に俺らがそうだったわけだし」
それをアザゼル先生に言われて理解した。これは『嫉妬』だ。先輩を取られたと思った俺の弱くて惨めな感情だ。
部長たちの手が強く握られる。木場なんて、今にも血が出そうなくらいに強く握っている。
「強くなりたい」
俺は自然とその言葉を発していた。皆の視線が俺に集まる。
「俺、今匙に嫉妬したんです。『何で先輩は勝った俺達を選ばないんだ』って。でも、先輩からしたらそれは当然なんです。だからこそ、先輩に俺達を見続けてもらうためにも、俺達は強くならないといけない」
ああ、そうだ。俺達は、こんな所で止まれない。こんな所で終われない!
そう言うと、アザゼル先生はフッと笑った。
「ったく、これじゃあ形無しだな。今のイッセーの言う通りだ!テロリスト対策だけじゃない!お前らの未来の為にも、お前らは強くなるしかない!それが、お前らの背負う義務だと知れ!いいな!」
『はい!』
俺達はそう強く返事した。
けど、ダメだ。涙がこらえきれない。
今だけは、今だけは泣かせてくれ。この悔しさも、敗北感も、全部ばねにする。だから、今だけは泣かせてほしい。
イッセーside out
そろそろ5章も終わりにしたい所ですね。未だに眷属関係で苦しんでいるうp主がいます。頭を抱えて溺死しそう。
【短期間アンケート】大地君の眷属、男キャラやドラゴンみたいな怪物系もありだと思う?
-
ありやで
-
断るンゴ