知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
チートものを書いている人でこの辺をどうしているのか聞きたいです......。
第112話 新学期になって変わるもんなんてねーよ!
私は『聖女』ではありません。
手が届くところにある命を救う『真の勇者』でもありません。
誰よりも欲深くて、身勝手な『魔女』です。
それでも、ダイチさんの傍にいてもいいですか?
Side in
空が……いや、宙が赤く照らされている。大地は絶望に染まり、禁断の地と化している。
よし、ポエムはここまでだ。俺はドルマゲドン・エリアにいる。そうです、人間界に帰ってきました。楽しい楽しい夏休みは終わりだ。
それにしても、ここは落ち着く。何て言うか、『還るべき場所』感があって、眠りそうになる。眠ったらそのまま目覚めなくなりそうだけど。
「おーい、岸波先ぱーい?」
「ダメね、聞いてないわ」
「どうしたのでしょうか?」
『冥界から帰って来てからこのザマとは、グレモリーん家で何があったブー?』
「バナナ美味しいです」
このまま眠りにつけば、俺のこの怒りや苦しみは解決するのだろうか。もしするのなら、俺は眠ろう。だけど、それをすれば遥輝と別れることになりそうだ。それだけは嫌だ。俺はあの子と一緒にいたい。父さんと母さんとも一緒にいたい。
「大地、大地!」
「……ハッ!!?」
俺、今何してた?!何か意識が飛びかけていたんだけど!?
俺は周りをキョロキョロと見渡す。結菜と四条、アイシャがいる。ついでにグラニも。ああ、そうだった。今日はいつも通りのドルマゲドン・エリアでの修行の日で、今は休憩中だったんだ。
「一体どうしたのよ、大地?いつものあなたらしくないわよ?」
「ごめん、結菜。ちょっと最近背負うものやストレスが多くて意識が飛びかけてた」
「大地……」
結菜に心底心配される俺の姿はさぞお笑いだろうな。見れば四条とアイシャも心配しているようだ。マジでお笑いだぜ。
「すまん。ちょっと眷属とか色々あって、な」
「眷属って、テレビで見たあれっすか?」
「……ああ、そういやあのパーティーでのことはテレビで放送されるんだっけ?それを見てたのか」
意外な所で四条達にも漏れていた。おおよそ、ベリアル邸で見ていたんだろうな。
「そうだよ。気が付きゃ4人の『王』様だよ。俺なんかで務まるか、なんて言いたいけどそんなことは言えないってのも分かる。だからこそ、意地を張ってんだが……疲れるな、これ」
ほんと、ここ最近眠っても疲れが取れないんだよ。どんだけ疲労が溜まってんだって話だ。こればかりは誰にも言えない。言ったら、絶対皆が心配するから。でも、ここにいる3人に言えるのは、きっと何か特別な感情があるからだろう。
俺がそんな風に言っていると、案の定というか、心配する3人。今はバナナを貪るグラニがうらやましくて仕方ない。
「大地、話すだけでもいいから私達に話してみていいのよ?苦しいことでも、話せば案外心が楽になることだってあるわ。一人で抱え込むのは、一番の悪手よ?」
結菜……お前……!
ああ、危うく泣きそうになっちまった。ダメだな、年を取ると涙腺が緩くなってしまう。
宙を見上げて、涙がこぼれないようにする。
「俺、弱いんだよ。皆強いとかかっこいいとか言ってくれるけど、手が届く範囲のことで精一杯なの。なのに、気が付いたらその手の届く範囲すらもキャパオーバーしちゃうくらいいっぱいになって。幸せなことなのに……俺、強くいないといけないのに……」
リアス達は『強くてかっこいい俺』を求めている。ならば、彼女達のために俺はそうでなければならない。
いよいよ涙のダムが決壊して、涙が零れ落ちる。
「兵藤達が俺のことを頼ってくれる。だったらそれに応えないと、俺が俺じゃなくなってしまいそうで。でもそうすればするほど俺の心が削れていって……気が付けば寝ても寝ても疲れが取れなくて……」
涙が次々と涙を呼ぶ。嗚咽もし始めた。俺は宙を見上げるのをやめて、地面を見るようにうつむく。
「皆が幸せになるのなら、俺なんてどうでもよかった。なのに、いつの間にか俺自身の幸せまで追うようになって……そんなことしてちゃいけないのに……」
俺の体からポンと誰かが肩を叩く感覚がする。後ろを向くと、そこにはドキンダムとアポロヌスがいた。
「お前、何で『助けて』って言えないんだよ。要するにそれを言いたいんだろ?」
ドキンダムもアポロヌスも憐れむような目で俺を見ている。そうだな、『助けてくれ』って言えたなら、どれだけよかったか。
俺は首を横に振る。
「言えない。俺はもう、後戻りできないんだ」
「……」
何がどうであれ、俺の嘘の過去は多くの方面で話が進んでいる。これ以上、止めることは出来ない。なら、俺はそれに殉じるしかない。
俺の肩からドキンダムの手がそっと離れる。
「おい、お前ら。ちょっと見せたいものがある」
「な、何かしら?」
ドキンダムがそう言うと、結菜たちに3本の線が伸び、額に触れた。すると、線が一瞬光った。何か与えたのだろう。
線は役目を終えると光の粒子となって消えた。結菜たちの様子に変わりはない。ただ、しいて言うなら、信じられないものを見たような感じだ。
「今の、何……?」
「今のはこいつの過去だ。それをお前らに少しだけ見せた」
どうやら、ドキンダムが俺の過去を見せたようだ。それが、俺の吐いた嘘の方か、真の前世かは分からない。
俺の過去を知った3人は、言葉に悩んでいる様子だった。
「大地、お前は確かに戻れないかもしれない。だけど、立ち止まって休むことくらいは……」
ドキンダムが珍しく優しい言葉をかけてくる。俺は、それを受け入れられなかった。いや、受け入れたくなかった。
「俺は、罪人だ。愛する人すらも守れない、屑なんだ。だから、俺が出来ることなら何でもしなきゃ……」
前世のことが、妻を守れなかった事実が、茨の鉄線が巻き付くように俺の心を苛む。この感覚だけは、いつまで経っても慣れない。
『そうしなきゃ、俺の生きている意味がない』。そう言おうとした。だが、それを結菜は俺を抱きしめる形で止めた。
「結、菜?」
「今は、泣きなさい。泣かないなら、ここであなたの首をへし折るわ」
随分、怖い脅迫をされたものだ。
ああ、そうだな。俺だって死にたくない。幸い、ここには涙を見せられない相手であるリアスたちはいない。なら、その言葉に甘えるとしよう。
「ううっ……!ううっ……!」
俺は結菜の胸の中で静かに泣いた。
「岸波先輩……」
「今はそっとしておきましょう、四条殿。グラニ」
「自分もこの状況で食事が出来るほど馬鹿ではないですよ」
○○○
「色々すまんかった」
泣き止んだ俺は開口一番謝罪した。流石にあんなに情けない姿をさらしておいて何も言わないのは恥知らずすぎる。
俺が謝罪を言うと、3人はクスっと笑った。
「いいわよ、大地。あなたが久々に『人間らしい』姿を見せてくれたのだもの。私だってうれしいわ」
「俺、そんなに機械みたいになってたの?」
何か不安になるようなことを言い出す結菜。俺がそう言うと、何やら自慢げに鼻を高くする。
「ええ、そうよ?まるで『このままいけば、『鉄の心』になってしまうのではないか』ってくらいにはね」
……そんなどこぞの衛宮や火野みたいになりそうになっていたのかよ。よかった。何とか俺は止まれたんだな。
「私も、大地さんのことを知れてよかったと思います。あなたも、『ただの人間』だったと言うことが分かって、安心しました」
「アイシャ……!ありがとう!」
『ただの人間』。それがどれだけ今の俺にとって嬉しい言葉なのだろうか。
「お、俺もですね!」
四条もアイシャに続いた。
「俺、ずっと岸波先輩に世話になりっぱなしで、『自分に返せるものなんてないだろう』と思っていました。でも、先輩が苦しんでいることが分かって、俺、分かりました。俺、もっと強くなります。強くなって、先輩を守るくらいなんてことがないようになります」
「四条……」
やめてくれ、四条。お前がそれを言うと、妙に気恥ずかしいんだ。今まで弟分として、舎弟として扱ってきたから、すっげー変な気持ちになるんだよ。
でも、これは言っておくか。
「ありがとうな」
「いえいえ、とんでもないです!」
情けなく泣いて、心が少しだけ軽くなった。これは気のせいじゃない。解決に至らなくても、誰かに話すって、大事なんだな。
俺は眷属のことを『家族』と言った。だったら、俺はもっと眷属に情けない姿を見せるべきなんだ。そうでもしなきゃ、俺はいずれどこぞのアーサー王みたいに人の心が分からなくなる。
よし、決めた。俺は気持ちの持ちようをもっと変えていく。そうして、本当に信頼し合える人とつながる。やると言ったらやるんだ!がんばるぞい!
Side out
ヒント:人は簡単に変われない。
ということでちょっとしたカウンセリング回。皆!大地君の胃は本社じゃないんだから爆破しちゃダメだぞ!お兄さんとの約束だ!
【短期間アンケート】大地君の眷属、男キャラやドラゴンみたいな怪物系もありだと思う?
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ありやで
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断るンゴ