知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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水を飲んだ上で空調が利いた部屋で熱中症になりかけました。うp主です。おそらく空気の動きがない部屋の隅にいたせいで、うp主自身の熱に殺されかけたのだと思われます。それと塩分不足。皆さん、マジで気を付けてください。


第115話 嵌められた英雄

Side in

 

「ルンルンル~ン」

 

俺は鼻歌を歌っている。今度の新作に向けて、前世の曲を思い出しているのだ。

 

――『あら、上機嫌ね?どうしたのかしら?』

 

ユノハ様、本当に上機嫌だと思いますか?

 

――『じゃあ何すか、『無理矢理気分を上げている』って言いたいんすか?』

 

その通りだよ!今朝も今朝であのゲロ以下野郎の荷物が来るしさぁ!アーシアもついに泣きそうになりながら『ごめんなさい』って言う始末だよ!彼女は何も悪くないってのによぉ!マジで冥界滅ぼすぞ?!

 

ほんと、やけ酒がしたい。そんなことしたって酒が不味くなるだけだと分かっているのになぁ。

 

さ、気分変えていこう。いつまでもゲロ以下野郎のことを考えていても仕方ない。

 

本日はと言いますと、リアスにオカ研まで強制的に来るように言われている。何かかなりマジな表情だったので、相当面倒なこと……もしかしたらゲロ以下野郎のことが進展したのかもしれないと思い、俺は行くことにした。

 

「よっす。君のハートにレヴォリューションファルコン!」

 

俺はオカ研部室に入った。そこにいたのはオカ研メンバーとサーゼクスさんにセラフォルーさん。あら、サーゼクスさん達も来ていたのね。

 

「あ、どうもっす、お二方」

 

とりあえず挨拶をしておくが、反応が芳しくない。って言うか、滅茶苦茶表情が暗い。お通夜にも似た雰囲気があるぞ?

 

「えっと、どうしたんすか?」

 

「岸波、これ見ろ」

 

何だか苛立った様子のアザゼル先生が俺に雑誌を開いて渡してきた。何々……?

 

『冥界の大英雄ブラックゾーンVS若き悪魔ディオドラ・アスタロト 譲れぬものを賭けた一戦、決定!』

 

俺は雑誌を閉じた。

 

「ふぅー……」

 

俺、疲れてるってのは自覚しているけど、自分の知らない予定を組まれることくらいは流石におかしいと思うくらいには正気だよ?

 

さて、気のせいじゃないか、確かめるためにもう一度開こう。

 

…………。

 

「サーゼクスさん。俺の予定って、幽さんやステラネスさん、それこそあなたの『女王』であるグレイフィアさんから通ってくるってことになっているんですけど……これ、どういうことっすか?彼女らが勝手に組んだマッチってことですか?」

 

俺がそう言うと、サーゼクスさんとセラフォルーさんが頭を下げた。

 

「すまない、岸波君!」

 

「大地君、ごめんなさい!」

 

待て、落ち着け。ここで二人にキレても仕方ない。この件については二人が関係ない所に下手人がいる。そうに違いない。

 

「お二方、これがどう言うことなのかご説明をしてくださりますか?」

 

静かに、されど怒りをにじませながら俺は二人にそう言う。それから二人の説明が始まった。

 

何でも、この馬鹿記事を書いたクソ出版社はゴシップ系を主に取り扱っており、ネタの為なら嘘すら厭わないような連中なんだそう。

 

そんな連中が突然こんなクソ記事を発表した。どうせいつも通りの嘘かと思いきや、どうやら『匿名だが、事実の情報だ』と本人たちは言い切ったそうだ。

 

結果、冥界は大旋風が巻き起こる。若い悪魔が本気の大英雄に挑むそのゲームはまさに心躍らせるものだと言うのが今の冥界の総意に近い。

 

しかも、『ブラックゾーンが縛りを提示し、アスタロトはこれを受け入れた』って大嘘付き。その内容はと言うと、『俺は開始50分は動かない』『俺はブラックゾーンにならない』『俺が倒せる駒は2つまで』だとか。は?(マジギレ)

 

サーゼクスさん達も流石に何の予約も無しに俺に過酷なゲームをやらせるわけにはいかなかったため、止めようとした。だが、レーティングゲームと言うのは今の悪魔社会においてとても重要で、民に溜まるフラストレーションを爆発させないための面が大きくなっている。故に、ここで俺が『NO』を突き付けると、それが大爆発し、大規模デモが起きかねない。

 

そして、そのゲームの期日は……ちょうど来週だ。

 

サーゼクスさん達、これには泣く泣く手を下げることしか出来ず、こうしてここに来て、俺に謝罪をした。ここまでの状況の裏話だ。

 

何だろう、すっげー頭が痛くなってきた。え、何?匿名って言う不確定な情報を鵜呑みにして?俺は退くに退けない状況に追い込まれたと?

 

「ざけんなや……」

 

いやいやいや、ワイってゲームのこと全然知らんのだぞ?このままだと冗談抜きで負けるぞ?

 

「俺、ゲームのこと殆ど知らんぞ……!このままだと、俺、リアスとフェニックスの二の舞じゃねぇかよ……!」

 

「分かっている……分かっているからこそ、僕達はこうしてここに来た……」

 

サーゼクスさんの余りに申し訳なさそうな顔を見て、怒りが引っ込んでしまった。なるほどな、これってサーゼクスさんも被害者くせぇな。

 

「サーゼクス、肝心なことを言い忘れているぞ」

 

苛立つアザゼル先生がそう言う。まだあんのかよ。

 

「ああ、そうだな。岸波君、覚悟して聞いてくれ」

 

「はい?」

 

随分釘を刺すな、サーゼクスさん。見れば、セラフォルーさんも申し訳なさを越えて、少し怯えた様子になっている。

 

すると、アザゼル先生は苦々しい顔でとんでもないことを言った。

 

「今回の戦いの勝者は、アーシア・アルジェントの身柄を手に入れると言うことになった」

 

…………は?

 

「言葉を噛み砕いて言おう。岸波、お前が負けたらアーシアはディオドラに取られる」

 

『落ち着け!落ち着けダム!』

 

『馬鹿者!ここで暴れたところで何の解決にもならんぞ!』

 

「ッッッ………!!!!…………ふぅー。すまん、ドキンダム、アポロヌス。なるほど、今回の下手人が見えてきましたね」

 

余りの怒りに全部を吹き飛ばしそうになりかけた。あのゲロ以下野郎、余計なことをしやがったな……!

 

「一応聞く。リアス、今回の諸悪の根源、誰だと思う?」

 

そう訊くと、目を瞑り、怒りに震えるリアス。

 

「ディオドラね。この状況でダイチを倒して、アーシアを手に入れて得する者なんて、あいつしかいないわ。こうもゲームを侮辱するなんて……!」

 

「だろうな」

 

左の掌がチクッとした。見ると、怒りの余りに強く握りすぎたのか、爪が食い込んで少しだけ血が出てしまった。

 

「ダイチさん……」

 

「すまん、アーシア」

 

俺の掌を見て、アーシアがすぐに神器で治してくれた。

 

俺が許せないのは、アーシアが取られることじゃない。アーシアを物扱いしたゲロ以下野郎だ。彼女は人間だ。道具じゃない。それを、あの野郎はまだ彼女の人生を踏み躙ろうってのかよ。

 

「これ、アジュカさんは関係してんすか?」

 

そう訊くと、サーゼクスさんとセラフォルーさんは首を横に振った。

 

「そんなことはありえない。何なら、彼が今アスタロト家に抗議している」

 

「アジュカちゃんは自分が作ったお気に入りにはプライドをしっかり持つタイプなの。だから、今回のようなそのプライドに泥を塗る真似をした相手は絶対に許さない。それをしたのが自分の家だって言うのが余計に……」

 

「ファルビウムに聞いたところ、アスタロト家は内紛に近い状態だそうだ」

 

サーゼクスさんとセラフォルーさんがそう言う。どうもアジュカさんは関わっていないようだな。ならこれは完全にアスタロト家の暴走って所か。

 

「こんな人身売買に近い行為、悪魔的にどうなんすか?」

 

「アウトだね。眷属のトレードなら、ちゃんと交渉をした上でのプロレスとしてやることはある。だが眷属ですらない人間を、本人の意志のないところで行うことは……昔ならあったことだろうが、今はご法度だ」

 

サーゼクスさんの言葉に悪魔の善意を感じて、俺は落ち着いていくことが出来た。

 

さて、問題はここからだ。俺の眷属はハッキリ言って一騎当千だ。負けることなんてない。でも、似たような状況で負けたリアスがいる。しかも、彼女と違って、俺には縛りがある。どうしたらいいか分からない状態なのだ。

 

だからこそ、俺はサーゼクスさんに助けを求めよう。

 

「サーゼクスさん、ここまで俺に縛りを科したんですから、何かしら『飴』くらいあってもいいですよね?」

 

「そうだな。ここで岸波に嫌われたら、それこそ天界にいるガブリエル達が蜂起しかねん。何なら、うちの連中(グリゴリ)もだ。分かってるよな、サーゼクス?」

 

俺とアザゼル先生がそう言うと、サーゼクスさんは答えた。

 

「勿論だ」

 

そして始まるサーゼクスさんの提示した条件。それは『眷属の仮契約』だ。要はガチ契約をせずとも、俺の駒を持っているだけで眷属扱いされるってこと。つまり、俺が招集すれば、たとえタンニーンさんでも俺の眷属扱いとなるってことだ。

 

おそらくだが、サーゼクスさんもリアスの一件を考えてこのことを提示してくれたんだろう。ありがたいことだ。

 

「すまない、余りにも急すぎたことだったが故に、この程度のことしか僕達には出来なかった。岸波君。不満なら、いくらでも言ってくれ。殴ってくれても構わない」

 

「結構です。とりあえず、人員は何とかなりそうだな。ゲームのルールとかは勉強するとして……リアスとフェニックスの二の舞は防げそうだが……最後に聞かねばならないことがあるな」

 

サーゼクスさんの詫びを受け取る余裕がない俺はそう言うと、アーシアの方を見る。

 

「アーシア、聞いてくれ」

 

「は、はい」

 

まるでプロポーズをするかのような覚悟を持って、俺は彼女に言う。

 

「俺は君が幸せなら何でもいい。俺の近くにいなくとも、君が幸せならそれでいい。奴の所へ行きたいのなら、俺は大人しく下がろう」

 

「ちょっと、ダイチ……!」

 

「リアス、ちょっと静かにしていてくれ」

 

俺の物言いに怒るリアス。悪いな、俺は今からちょっと酷いことをするんだ。黙っててくれ。

 

「君の意志は誰にも邪魔させない。そんな奴がいるなら、俺が殺し尽くそう。例えそれが魔王だろうとな。その上で言う。君は……どうしたい?」

 

今回の問題は、アーシア個人の問題と言っても過言ではないと思う。実際、彼女の過去の因縁がこうして今になってぶり返したのが、この状況だ。だからこそ、彼女にもちゃんとケジメを付けさせなければならない。どうするか、それをきっちりと決めてもらおう。

 

俺がそう言うと、彼女は少し間を置いて、強い瞳で俺を見た。

 

「私は……嫌です」

 

俺はその言葉を静かに聞く。

 

「昔の何もなかった空洞で虚無な私なら、ディオドラさんの誘いも受けていたかもしれません。でも、今の私にはたくさん大切なものがあります」

 

アーシアの目が少しずつ潤んでいく。彼女も彼女で参っていたんだ、この際色々吐き出してもらおう。

 

「私、今が幸せなんです。ダイチさんと一緒にいられて……イッセーさん達といられて……ハルキちゃんたちといられるこの場所が、この時間が大好きなんです……!もう手放したくないくらいに、欲深くなっちゃったんです!」

 

「アーシア……!」

 

俺達は、彼女の想いを静かに、そしてしっかりと受け止める。

 

「ダメ、ですよね?『聖女』が欲深く、なんて。でも、そんな私を……私は否定したくないんです!皆とのかけがえないこの想いを、失いたくないんです!」

 

アーシアはずっと孤独だった。何をやるにしても人間として見られず、しまいには悪の烙印を押されて追い出された。そして流れた先で見つけたのは、自分を人間として見てくれ、温かさをくれた人達。

 

ああ、そうだよな。分かり切っていた。アーシアが誰を選ぶかなんて。

 

「今からずるいことをします。覚悟してください、ダイチさん」

 

「何だ?」

 

アーシアはそう言うと、少しうつむいてから顔を上げる。その顔は多くの涙に濡れていた。

 

「ダイチさん……助けてください……!」

 

……なぁるほどなぁ。アーシアは本当にずるいな。そんな言い方をされちゃぁ……

 

「男として、下がるわけにゃいかねぇよな……ッッッ!!!」

 

俺はすぐにケータイを取り出し、電話をかける。

 

相手は俺のコールにすぐに出た。

 

『もしもしごすー?珍しいね、ごすからかけてくるなんて』

 

「おい、黒歌。俺とアスタロトの一件、知ってるよな?」

 

相手は黒歌だ。彼女なら俺の協力者を見つけてくれるかもしれないと思って、頼ることにした。

 

『あー、ついに知った?あれねー、ほんとゴミカスだと思うよ?幽もステラネスも知らないことだからてんてこ舞いになってる。サタンまで駆り出されているレベルにゃ』

 

だろうな。サーゼクスさんですら踊らされることとなったんだ。経験の浅いうちの眷属じゃ、そうもなるよ。

 

「それは後だ。サーゼクスさんからの示談で仮契約っつー、眷属判定にはなるけどガチの眷属にはならないって言う好条件をもらった。こいつを使って、仮眷属を集める。黒歌、今から『王来教団』の方で『一騎当千の強者』で『今すぐ動ける奴』で『俺に従ってくれる存在』を見繕え。ジャンルや得意分野は問わん。明後日までには書類にまとめて出せ」

 

『ぐえー!超ブラック!ま、アーシアの為でしょ?OKよん。バルガにも話を通しておくから、今日は帰れないってお義父さんたちに言っておいて』

 

よし、一つ伝手は出来た。これで何とかフェニックスん時のは避けられる。何とかなる。

 

「ああ、分かった。急ですまないが……アーシアに『助けて欲しい』と言われたんでな。俺はここでアスタロトを家ごと潰す気で行く。それを覚えておいてくれ」

 

『はいよー。んじゃ、早速作業に入るから切るね。ついでに、ステラネス達にも言っておくわ。ご主人様はとにかくゲームの勉強をしておいて』

 

「ああ、ありがとうな」

 

俺はそう言って電話を切った。

 

さて、先ほど『何とかなる』とは言ったが、俺はあのゲロ以下野郎を再起不能にするために、本気で潰しにいく。

 

なら、加減はいらねぇよなぁ?

 

「サーゼクスさん、セラフォルーさん。冥界全土にこう言ってくれ。『ブラックゾーンと共に戦う勇ある者は名乗りを上げろ。我に続け』、と」

 

「……ああ。そう募集させてもらおう!」

 

「分かったよ、大地君!」

 

了承完了。これでしょうもない人材を持ってきたらキレますからね?

 

「アザゼル先生」

 

「俺の番か」

 

そう言って、真剣な表情になるアザゼル先生。

 

「グリゴリの方からサーゼクスさんとセラフォルーさん同様に人員のピックアップをお願いします。『和平なんだから』とでも言えば動くでしょう?それと、ゲームについての情報も俺にください」

 

そう言うと、まさしく『悪魔の微笑』で笑うアザゼル先生。

 

「ああ、いいぜ。やるなら徹底的にな」

 

どうやら、アザゼル先生は俺の心の内を理解しているようだ。いや、俺が助けを求めた皆が俺の心の内を理解してくれたんだろう。

 

今はとにかく人海戦術を可能にするための『兵士』と中核を担う『女王』が必要だ。運がいいことに、上級職は文字通りの一騎当千がいるからな。そこはついでに見つけられればいいだろう。それほどにまで俺には余裕がないのだ。だから、それくらいの思いでいく。

 

Give me more POWER ! ! !(もっと力を!!!)

 

ああ、そうだ。この身がどうなろうと構うもんか。

 

アーシアを守れるなら……ッッッ!!

 

Side out

 




さぁ、開幕しました眷属集め。御使い候補も出ますんで、よろしくオナシャス。正直、人選に不安が残りますが、その辺も楽しんでいただけると嬉しいなぁ、なんて。

【短期間アンケート】大地君の眷属、男キャラやドラゴンみたいな怪物系もありだと思う?

  • ありやで
  • 断るンゴ
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