知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
オカ研での活動が終わった後、俺はドルマゲドン・エリアへと来た。いつも通りの特訓だ。
と言いたいが、今回はパス。特訓はドキンダムとアポロヌスに全部丸投げして、俺は正座して三人の前に座っている。そうでなくても色々やることがあるしな。
「ど、どうしたんすか先輩?怖いんすけど……」
四条が恐る恐るそう言う。別に俺は悪いことをした覚えはない。ちょっと最近『女たらし』と言う悪口を事実として受け入れようか迷っているだけだ。
「大地、あなたがそんなとことん低姿勢なんて珍しいわね」
「俺はいつだって低姿勢だが?」
「少なくとも、私の知っている大地さんは中途半端に傲岸不遜です」
結菜の言葉に反論したら、アイシャに刺された。うるさい!いいだろ別に!
「今はそんなことはどうでも良くてですね、今回折り入って頼みがあります」
俺がそう言うと、身構える三人。確かにかなり重たい話だけど、そこまで身構えないで。俺が緊張しちゃう。
「あのー、ですね。此度アーシア・アルジェントの居場所をめぐってアスタロトのゲロ以下野郎と戦うことになりました」
「ゲロ以下って、あなたにそこまで言わせるってどれだけ人間として終わっているのよ……」
――(『いやぁ、確かにあいつって終わってるけどさぁ……』)
――(『我らもそろそろ話した方がよいか?それとも黙って、こやつへの試練にするか?』)
――(『あー、試練に一票ダム』)
結菜がすごい嫌そうな顔をする。何か、俺のことを信頼してくれているようで、ちょっと嬉しい。だが、そんなことより、今は目の前の課題だ
「それででして、そのアーシアの居場所を……誰と一緒に生きていくかってことを決めるためにレーティングゲームをすることになったんです」
そう言うと、表情が変わる三人。ああ、そうか。こいつらもディハウザーさんの所で学んだんだ。じゃあ、その辺は省いていこう。
「で、私には今眷属が4人います。が、似たような人数で人海戦術をされた結果負けたリアス・グレモリーってのがいるんです。それが私には不安でして……」
「それって、あなた一人で殴りこんで解決とかは出来ないのかしら?」
結菜の言葉に俺は首を横に振った。
「何か、俺が縛りを設けたみたいなことになってまして……しかも知らないところで」
「なるほど、バルガ様が言っていたことはこのことですか……」
「アイシャ?」
何やら事情を知っている様子のアイシャ。すると、彼女は話してくれた。
「こちらに黒歌殿からの依頼がありまして。何でも『岸波大地がピンチだから助けてくれ』、と。よく分からないことでしたが、今あなたから話を聞いて、何となく分かってきました」
「黒歌、サンクス」
ここにいない俺の頼れる愛猫に感謝をしつつ、俺は話を進める。
「そう言う訳で、俺には人海戦術をする方も耐える方もどちらの人員も足りないし、そもそもゲームのやり方を知りません。あいにく、私はゲームのことに詳しくないですので、これから徹夜で一週間後のゲームに備えて知識を蓄えます。人員は眷属周りを仮契約と言う形で誤魔化せると魔王様達が言ってくれたので、本当に眷属にならずとも何とかなるんですが、今はその候補がいないです。なのに負けられない戦いが始まるんです」
俺は地面に手を着いて、頭を下げた。渾身の土下座である。
「俺の力に……仮眷属になってください。お願いできないでしょうか?」
恥?そんなものなどない。そもそも三人にならこんな無様ならいくらでも晒せられる。その上での俺の覚悟、示しだ。
これは、はっきり言って最悪の行動だ。俺は色んなことがあり、多くの平穏を捨てて来た。だからこそ、三人の平穏を守るためにこうして今まで特訓してきた。それを、三人を表舞台に出すことで彼女らの平穏を壊すこととなる。きっと今回のゲームで彼女らは目立つこととなり、多くの目に留まることとなる。そうなったら、今までの生活に戻れなくなる。
ああ、分かっている。『なら、三人に頼むなよ』だろ?でも、今の俺には三人の他に実力を知っていて、信頼を置いている者がいない。今後黒歌やサーゼクスさん達からくる応募の数々を見ても、きっと信頼を置くことは出来ないだろう。
だからこそ、少しでも多くの信じられる人が欲しかった。『眷属が誰もいない最悪の状況で、背中を任せられる人が欲しい』と思ってしまった。だからこうして土下座をした。
「分かってる。ここで俺の願いを受け入れれば、お前らの平穏はありえなくなる。そんなことにならないために、俺は今までお前らと特訓してきた。だけど……助けてください」
泣き落としなんて絶対にしない。断られたら、それ以上は追及しない。俺が決めたことだ。
俺が土下座していると、ため息が一つ。
「大地、顔を上げて」
結菜に言われて、顔を上げる。すると、そこには笑顔の三人がいた。
「今まであなたに守られて来たのは知っているわ。あなたがいなかったら、私はいなかった。この生をあなたに捧げる覚悟なんて、当の昔にしているわ」
「結菜……!」
そんなことを言わないでくれ。寧ろ、俺の方が守られて来たんだ。お前がいたから、俺は人間であれたんだ。
「俺も先輩にいっぱいもらったものがあります。それは俺が人間であれたことばかり。だから、俺は先輩のために戦いますよ。そもそも俺って両親との折り合い悪いですし、縁切りがてら本当に眷属ってのになってもいいんすよ?」
「四条……!」
四条が今までにない程に頼りがいのある言葉を言ってくれる。こいつ、本当に強くなったな……!
「私もまだ付き合いは短いですが、あなたが人格で多くの人を魅了したことは知っています。だからこそ、その影であるあなたの弱さをみせていただいて、あなたが私の主であってもいいと思えました。四条殿ではないですが、本当に眷属にしていただいても構いません」
「アイシャ……!」
彼女との縁は高校からだが、それでも付き合いはある方だ。だからこそ、その言葉に不思議と頼ってしまう。
「ありがとう、皆……ッ!」
俺は改めて頭を下げた。こんなにも嬉しいことがあるか……!俺のために身を削ってくれる人がいることが、どれだけ嬉しいことか……!
俺が感謝を示していると、俺の体から何かが抜けていく感覚が走る。見ると、そこには『兵士』の駒が三つとカードが一枚。カードもよく見るとAが出ていったのが分かった。
駒はそれぞれの前に、Aのカードはアイシャの前に浮かんでいる。
「それを持っていろ。それだけでお前らは一時的に『岸波大地の眷属』って扱いになる」
いつの間にかいたドキンダムがそう説明する。
「あの、一つ質問よろしいでしょうか?」
「何だ、アイシャ?」
アイシャは質問があるらしい。
「このカードは一体?確か、御使いと言う転生天使になるものと聞いているのですが……」
「ああ、それか。こいつの駒とカード、自分で眷属と御使いにしたい奴を選ぶんだ。それは素質がある奴だけ。だから、お前は今回『兵士』として仮眷属に選ばれたと同時に、Aのガチ候補としても選ばれたってことだ」
なんてこった、アイシャにそんな素質があったなんて……。
「今の駒共の動きを見るに、今回の件がなくとも結菜と四条は『兵士』にしたかったんだろうな。ま、事を急ぐ必要はない。ゆっくり考えてから眷属と御使いになればいい。んでもってだが……お前ら、こいつを助けるダム?」
そう言うドキンダム。三人は、無言で力強く頷いた。
「ありがとう!ありがとう!」
俺が今できるのは、感謝を伝えることだけだ。
俺は勝手がすぎる。何て愚かなんだって思う。だからこそ、俺はこいつらを守ろう。こいつらに降りかかる火の粉を全て振り払おう。それが、俺が出来ることだ。
Side out
はい(はいじゃないがな)
眷属候補&御使い候補が出ました。男眷属については、増やしたいのもそんなにいなかったんで四条君だけにしようと思います。四条、お前グランスカーレットになれ。