知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
アーシアの想いに応えると決めてから二回の夜がすぎた。
リアスとソーナさん、それにパソコン越しだがディハウザーさんからゲームについて色々学ばせてもらっている。これがまぁ、中々難しい。レーティングゲームとはまさに水物。形を常に変える不思議な生き物だ。学び甲斐がある。
今はオカ研で各所から来た応募用紙こと履歴書を見ている。ここから選んで最後に面接をする感じだが、はっきり言ってここで仮眷属を完全に決めてしまうので、面接はお飾りに近い。気になる人の実力をいちいち確かめる時間もないからな。
「むぅ……」
さっきからサーゼクスさんから届いた履歴書を見ているのだが、まぁ、これが結構な猛者ぞろいって感じ。出来るならこいつら全員俺の部下にしたいくらい。
ただ、それが難しい面もある。
今回はゲームだ。どこまで行っても『娯楽』って域を脱することが出来ない。もしもだ、俺が『じゃあ『女王』はタンニーンさんかグレイフィアさんで』なんて言ったらそれこそ蹂躙なんてことじゃなくなり、バッシングが来るだろう。だからこそ、慎重になっている所がある。サーゼクスさんとセラフォルーさんにもそのことを相談したところ、『本当にすまない』って言うから、多分バッシングは避けられないのはマジだったんだろう。
だからこそ、在野にいる無名の猛者を選び抜くしかない。うーん、クソ。チートが使えるなら使いたいくらい追い込まれているのが現状だからな。アスタロト家にはあとでいっぱい苦しんでもらおう。
それとだが、アーシアを仮眷属にすることにした。何と言うか、俺の中でとても不安が渦巻いているので、彼女を近くに置いておくことにした。そうすれば、いつでも守れると思ったからだ。
あとは……本当に最悪の場合の時に彼女を『餌』にしてゲロ以下野郎を釣り出すため。これについてはアーシアも承諾してくれている。流石にリアスには苦言を呈されたが、彼女も彼女で馬鹿じゃない。分かってはいたそうだし、『自分もそうする』と言っていた。
「ねぇ、ご主人様。少し休んだら?」
そう言ってくれるのは、書類を届けに来てくれた黒歌。心配そうに俺の顔を覗いていた。
「ああ、すまん。ちょっと休むか」
俺はそう言って書類を一旦机に置いて、朱乃が淹れてくれた紅茶を飲む。もう冷めてしまったが、それでも薫り高い。
紅茶のカップを置いて、一息つく。
「黒歌」
「何、ご主人様?」
「俺は、一人じゃない」
「どうした急に?」
黒歌が信じられないものを見る目でこちらを見てくる。
「実は既に3人も『兵士』の仮眷属を見つけた。交渉も済ませて俺に協力してくれることになっている」
「ご主人様が直々に交渉するなんて、よっぽどの実力者なのね」
「ああ、その一人はアイシャ・エクシアだけどな」
そう言うと、『ああ、なるほど』って呟く黒歌。
「もしかして、残りはアイシャが言ってたご主人様の中学の時からの女と後輩?」
「そうだ。どっちも強い。後輩の方は神滅具持ちだ」
「うわー、ご主人様アスタロト家をマジで潰しに来てんじゃん」
ドン引きした言い方をするが、その笑顔から察するに、黒歌も俺のやったことには好意的なんだろう。
こうして眷属であり家族である黒歌と話していると、心が安らぐ。ほんと、いい奴を得たよ。
――『こいつ、自分の感情に気付いていないダム?』
――『なんて奴だ……女の想いだけでなく己の想いにすらも鈍感なのか……』
――『嘘でしょ……?』
俺が黒歌に癒されていると、ゼノヴィアさんがこちらに来た。見ると、塔城さんも一緒に来ている。
「岸波先輩、折り入って頼みがある」
「何だ?」
ちょっとここ一週間は忙しくなるから余り時間を取るようなことはやめてほしいんだがな。例えば一緒に組手をするとか。
「私を仮眷属にしてほしい」
「何?」
俺はその言葉に衝撃を受けた、とは言い難い。心のどこかで『まぁ、こうなるだろうな』とは思っていたからだ。
「私もです、岸波先輩」
塔城さんもそう言う。
「大切な友達が悲しんでいるんだ。私だってそれを見逃すほど心まで邪悪になった覚えはない」
「私の力は特別です。姉様程強くないですが、それでも力になるはずです」
なるほど、確かにここで二人も信頼できる相手をゲットできるのは余りに大きい。履歴書もこれ以上は『兵士』と『女王』にリソースを全力で割いていけばいいことになるからな。
「私からもお願いできないかしら?」
そう言うのはリアスだ。
「私も今回のアーシアのことについては思うものがあるわ。だからこそ、協力したい」
なるほど、自分のフェニックス家との一件を思い出してのことか。確かに真面目な彼女だからこそ、そう思うこともあろう。
「ダメだ」
なお、即お断りするんですが。
俺がそう言うと、驚きの表情をする三人。
「どうして?ゼノヴィアは聖剣使いよ?ディオドラ相手ならかなり有用なはず。小猫だって決して弱いと言うわけでは……」
二人にも考えがあって俺に協力してくれるって言ってんのは分かる。リアスもその思いをくみ取ってのことだってのも。ただ、それが出来ない理由がある。
俺は指を二本立てて彼女達に突きだす。
「二つ、理由がある」
そう、結構重要なことだ。これがまぁ、厄介なもんでね。こいつらのせいで俺は色々考えることが増やされたと言っても過言じゃない。
「まず一つ。『これは俺のやり方でアスタロトを潰す戦い』ってこと」
そう言うと、意味が分からんと言った様子。
「今回、文字通りあのゲロ以下野郎を潰す。二度とシャバを歩けないようにしてやる。『はず』でも『つもり』でもない。その通りにする。だからこそ、相当汚い手だって使うし、どんなことだってやる。そうなったら、確実に禍根が残る」
もし殺していいのなら、俺はとっくに『殺し』を選択肢に入れている。だが、これはゲームだ。流石にそれはまずいと判断した。何より、アジュカさんの手前があるしな。
「それに対して下手に君達『グレモリー』が関わると、それこそ『サーゼクス・ルシファーvsアジュカ・ベルゼブブ』の代理戦争と捉えられてもおかしくない。君達をそんな無駄な政争に巻き込むのは忍びないと思っている」
「だが……!」
それでも食ってかかるゼノヴィアさん。アーシア、君はいい友達を持った。こんなにも君のことを想ってくれる子が君の友達だ。君はもう、一人じゃない。だが、一人で飛べる。
「もう一つ」
俺は指を折り、残り一つとした。
「リアス、今回の俺のゲームにどれだけのVIPが来る予定だ?」
俺がそう訊くと少し思案して、リアスは答えた。
「『10人以上だから、たくさんです!』って言ったら、怒るかしら?」
ワドルドゥ隊長じゃねぇか!君も言うようになったわね?!
「いや、可愛げがあっていいと思う。俺は好きだぞ?」
「ありがと。そうね、大真面目な話をすると……少なくとも四大魔王様方は全員来るわ。あなたに興味があったり、あなたと懇意にしたい貴族たちも来るでしょうね。各他勢力からも来訪はあるでしょうし、本当に誰が何人来てもおかしくいないのが今回のゲームね」
「とのことだ」
リアス曰く、とんでもないことになるのが今回の俺のゲームだ。
「それが、何か関係があるのですか……?」
塔城さんが質問してきた。そうだな、それを今から言おう。
「なぁ、塔城さん。ここまでVIPが集まったらよ、彼らが憎い奴らがやることなんて、一つだよな?」
そう言うと、ゼノヴィアさんと塔城さんは驚く。何なら、木場と兵藤たちも驚いていた。リアスだけ、瞑目して深呼吸をして落ち着こうとしている。
「あなた、とことんディオドラを悪い意味で信じているのね」
「当たり前だ。ゲロ以下野郎が
まだ『もしも』の段階ではあるが、それが現実になってしまったら、マジで取り返しのつかないことになりかねない。それを未然に防ぐことは必須だ。だから、それにリアス達は集中してほしいと思っている。
「なるほどね。考えたくも無いことだけれど……ディオドラはあくまでも陽動。本命は『こっち』ってこと?」
「ご明察だ、リアス。おそらくだが、あのゲロ以下野郎がアーシアを手に入れたいのは本当だ。だからこそ、テロリストと協力し、お互いにWin-Winなことにしようとしている。ディオドラは俺をしばりつけ、ついでに『蛇』ってので強くなった自分を示すために俺を倒す。俺が邪魔な『禍の団』は俺が消えて最高。ここまで都合のいいことはない」
そう言うと、憎々し気な表情になるリアス。
「あなたの鋭い勘が本当に当たってしまったのなら、本当に大変なことになるわ……!」
「だろうな。サーゼクスさん達もそれを見越して動いてくれているらしい。リアス、悪いが……今回ばかりは俺は簡単に助けに入れない。何とかなりそうか?」
俺がそう言うと、不敵に笑みを浮かべるリアス。
「当然よ。私達を誰だと思っているの?今の私達が簡単にやられると思ったら大間違いよ?」
「その意気だ。ってことだ。ゼノヴィアさんと塔城さんには会場での騒ぎの対応をしてほしい」
「くっ……分かった」
「悔しいですが、分かりました……」
俺の言い分を理解してくれたようで良かった。
これから始まるのは大レースでも何でもない。『戦争』だ。ゲームと銘打っただけの殺戮ショーだ。
待っていろよ、ゲロ以下野郎。お前を血祭りに上げてやる。
Side out
今の十王篇のカードの高騰を見ているとむかつくんですよね。今まで散々馬鹿にして嘲笑してきたくせに今更必要とするのかって思うんです。決して弱いわけじゃないカードもまとめて雑魚だ何だと笑ってきたくせに、とどうしてもいやな感情が湧いてしまいます。