知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
「大地君!」
クレーリアさん達が駆け寄ってきた。
「怪我はない?」
「優しい人ですね」
「当たり前じゃない。子供が大人を放り出して危険に飛び込むんだもの。もし何かあったら、あなたのご両親にどう言えばいいのよ……」
うーん、善人!何が悪魔だ、ただの聖人じゃねぇか!
「とりあえず、この子をどうしたらいいのか……」
俺はこの子を知っているようである八重垣さんに聞いてみる。しばし無言が続く。まぁ、言っちゃえばこの子って敵なんでしょ?ここで放置したっていいもんな。てか、そうしないとまずいだろ。この子たちから逃げているんだし。
ただ、俺的にはそれはありえないと思っている。だってさ、この人達って……
「クレーリア」
「分かっているわ、正臣」
八重垣さんが俺に倒れ込んでいるロリをそっと抱き上げる。
「この子は僕達が連れていく。任務に失敗したなんてことになったら、教会に何をされるか分からないからね」
……そうだよなぁ。
分かっていた。分かってはいたが、一つだけ言いたいことがあるんで、言わせてくれ。
「甘いですね」
「よく言われるよ」
俺の一言に苦笑して答える八重垣さん。
「でも、その甘さこそ人間の強さなのかもしれませんね」
「人間、か。僕はかの英雄にとって誇れるような人間かは分からないけれどね」
俺の言葉に八重垣さんがそう言うと、表情が硬いものになる。英雄、ね。そんな人間狂いに思える英雄がいるもんなのかね?
――『『『(それはひょっとしてギャグで言っているのか?)』』』
「大地君、君はこの後どうするんだい?」
どうするか、か。まぁ、決まっている。
「家に帰って寝ます」
「だが、それでは君も……「『教会に追われる』ってことですか?」
俺がそう言葉を遮ると困ったような表情になってしまう八重垣さんとクレーリアさん。
もしかしてこの人達、自分達に関わってしまったせいで俺に余計な危害がかかると思っている?だから、自分達と共に逃げようってことか?
うわー、いい人。その言葉に釣られそうになる。でもまぁ、俺には使命があるから無理なんだが。
「俺にはやることがあります」
「やること?」
俺がそう言い切ると、少し心配そうな表情になるクレーリアさん。
俺がこの町で暮らすようになってから決めたことだ。ただ一つのもの。暴虐の化身を宿した俺に科した鎖。
「家族を守ることです」
俺を拾ってくれた大恩人にして優しくて強い人達。俺は彼らを守ると決めたのだ。だから、その言葉に乗ることはできない。
俺がそう言うと、クレーリアさんと八重垣さんは向かい合い、そしてフッとほほ笑んだ。
「そうだね。大地君ならきっと大丈夫だろう」
「寧ろ、私達が足手まといになりそうね」
そう言う二人の声はとても優しいものだった。
そんな中で飛び込む声が一つ。
「クレーリア様、転移用の魔方陣の準備が完了しました」
「ありがとう」
魔方陣?
――『この世界、魔法とか悪魔とか天使とかあるから、その一つの要素ね』
なるほどね。ありがとうございます、ユノハ様。
転移用の魔方陣ってことはどうやらここがゴールっぽいな。じゃあ、俺はここまでだ。帰るとしよう。
「それでは、ここで失礼します。どうか達者で」
俺はそれだけ言って走り抜けようとする。そこに遮るような声が一つ。
「大地君」
クレーリアさんが俺を呼び止める。
「この恩、絶対に忘れないわ。何かあった時は、ベリアルの名を以て必ず助けるから」
そんな言葉を受けて、俺は走り出した。他人からの感謝の言葉。悪くないな。たった一言だけど、妙に心に残る言葉を噛み締めながら、俺は帰路に就いた。
夜風が気持ちいい。風を切るように高速で移動しているから、余計にそう思える。
波乱の夜だった。きっかけは俺のクソみたいな感情だったかもしれん。皆の意見を聞く限りだと、俺のやったことは『原作改変』って奴に当たるんだろう。だとすれば、これが余り好ましくないのは明白だ。まさしく二次創作。『これに低評価押してる俺かっけー!』ってイキり散らかす香ばしい阿呆が湧いても仕方ない。
だけど、それで『はい、分かりました』なんて言える程俺は残虐にはなれていなかった。いくらこの世界が『ハイスクールD×D』と言う作品の世界だったとしても、クレーリアさん達は確かに生きている。ガブリエルさんやセラフォルーさん達と同じだ。だったら、この行動は決して間違いではなかったと思う。
あれだけ『人殺しだって厭わない』みたいなことを言っておきながら、結局のところ、俺は甘い奴だった。
人を助ける。難しいものだ。加減が分からなくなってくる。
所でさ、ドキンダム。
――『なんだよ。折角いい雰囲気で終わろうってのに』
いやさ、今晩のことで聞きたいんだけど。
――『あによ?』
もしかして、これって……いわゆる『Fate』で『stay night』的な奴?
――『いやぁ、実際そうと言えばそうなんだが……判断が難しいぞ?どう、stay night関係者さん?』
――『いや、我も判断に困るんだが』
○○○
クレーリアさんと別れて時間が経っただろうか。具体的には多分一日くらいだろう。クレーリアさんのことが町中に広がった。どうやら表向きには『急な引っ越しが必要になってしまった』だそう。母さんも少し寂しそうにしていたのは今も記憶にある。
「金髪、か」
俺はふと過去を思い出していた。
言ってしまっては何だが、俺はこの『ハイスクールD×D』って言う世界に来てから金髪に縁がある。しかもどの人も美人で可愛い人達。
一人目はガブリエルさん。言わずもがな、爆乳の美人さん。大人のお姉さんいいね。いや、パラガスじゃないがな。何を馬鹿なことを言っている。ドライグさんとアルビオンさんをシバいた時に一緒にいた、諦めかけていた人。天使とか何だからしい。じゃあ、寿命も違うのかな?いつかまた会えたらいいな。
二人目はラヴィニア。俺がうっかりして『創聖のアクエリオン』なんて日本のサブカルの極みみたいな曲を叩き込んでしまった女の子。俺のお手製アミュレットを上げた子。元気にしているといいなぁ。彼女ともまた会いたいものだ。いや、彼女と約束したんだ、『また会おう』って……なーんてな。流石にストーカー行為がすぎる。
三人目はクレーリアさん達を助けた時に出会った女の子。最終的にはクレーリアさんと八重垣さんに引き取られていった彼女。別にこれと言って接点もない。何なら今でも『どちら様で?』ってなる。それでも言えることがある。それは『彼女は優しい子だ』ってこと。でないと装置を外した時に『ありがとう』なんて言わないでしょ。
まぁ、そんな感じだ。俺、随分変な運命に絡まれている様子。いや、セラフォルーさんって言う黒髪巨乳のお方もいるけどさ……。失礼だけど、彼女に比べるとガブリエルさんの方がインパクトが大きい。こう、おっぱいが。
今でも脳裏に浮かぶ。あのデカパイが。
――『おい、急に性的興奮をするな。気持ち悪い』
――『宿主がこんなだとはな。先が思いやられる』
う、うるせぇ!いいだろ!俺だって性欲はあるんだよ!……とは言うものの、まだ小学生。まともに性欲が湧くわけもなく。これではただのクソガキだよ。
――『『実際クソガキ』』
お前らなぁ……!こう言う時ばかり仲が良くなりやがって……!
「どうしたの、大地?」
目の前の母さんが心配そうに声をかけてきた。ああ、そうだった。今は夕食中だったな。
今日の夕食はアジフライだ。シーチキンとピーマンを和えた、何というのだろう……無限ピーマン?そんなものもある。味噌汁の具はえのきと厚揚げだ。アジフライはここ駒王町の商店街にあるお惣菜屋さんのものだ。いつもお世話になっています。
「何でもないよ、母さん」
「そう?随分悩みこんでいたから……」
俺のことをすごく心配してくれる母さん。すごい優しい人だ。
「悩みがあったらすぐに言って……と言っても難しいよね。気が向いたら僕にでもいいから相談してね」
父さんがそう言うので、無言で頷いた。
いやぁ、二人ともいい人だ。何かあっては俺が悲しい。特に悪魔祓いとか言うクソッタレのせいでここ最近ピリピリしていた。この二人のことを心配しすぎてな。
ですのでー
二人のためにー
こんなものをご用意しましたー
『禁断式防犯装置』
端的に言うと、両親に危害を加える馬鹿が両親に触れた際に、その部分からブラックゾーンの槍が出てきて二人を守ってくれる自動装置だ。俺の槍に触れたら最後、俺に吸収されて地獄にすらいけない……ってドキンダムが言っていました。今の所作動した様子はないので安心だが、これを緩めるつもりはない。
ここ最近は家の周りに地雷式のブラックゾーンの槍飛び出し機でも埋め込もうかと思っている。まぁ、そこまでやらんでもいいと思っているし、それをやる気はない。もしやるとするなら、それこそ明確に敵がやってくるって分かっている時だけだと思う。
そんな風に俺の周りへの警戒は高めた。何が何でも家族は守る。それが俺の使命だと思っている。
Side out
次回、ちょっと時間が飛びます。