知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
クソな現実と向き合って5日目。眷属の皆を呼び出しての面接を行うこととなった。場所は駒王学園の会議室。
以前にも言ったが、今回はあくまでも顔合わせであり、ここで落とすか否かは決めない。てか、もう採用は決まったようなもんであるから。駒のことについても説明してある。
今回のメンバーについてのピックはドキンダムとアポロヌスも一緒に考えた。俺一人だと思想が偏りそうだからな。まぁ、そのドキンダムもアポロヌスも俺から産まれた以上は俺の思想が混じっているけど……それでも一人で抱えるよりはマシだろう。
それにしても面接かぁ。色々思い出して気が遠くなりそうだ。俺の精神的ショックというか、トラウマ復活の阻止のためにも幽さんに言って、待合室で今回来てもらった人達にはお茶とお菓子を楽しんでもらっている。その上、『皆採用するよ。今回はあくまでも顔合わせの意味だよ』と伝えてある。
「大地様、お時間です」
ステラネスさんに言われて時計を見ると、もう面接開始予定の時間となっていた。じゃあ、始めるか。
「えー、一人目の方。お入りください」
そう言って、俺は外にいる人を呼ぶ。中に入って来たのは、
「お座り下さい」
その人は席に座る。さて、始まったよ、俺の面接。
「…………」
俺は無言になる。だって、そうなっちまう。何せさ、思いっきり知人なんだもん。
「やめましょう。こんな堅苦しいのは俺達っぽくない。『寿水さん』」
「ふふっ、そうね。大地ちゃん」
そう、我らが姉御の最上寿水さんだ。今回、彼女はアーシアのことを聞いて『私も戦うわ!』と言って、立候補してくれたのだ。
「あなたのことは色々と書類で見てるんで、その辺は飛ばします。人となりも……知らないわけじゃないしなぁ……何話します?この後、遥輝と龍巳ちゃんと一緒にご飯でも食べに行きますか?」
「あら、いいわね!姉上に相談するわ!」
やっぱ、この人といると安心してしまう。完全に気が抜けるってわけじゃないけど、どこか心が落ち着くって感じだ。
さて、じゃあどこでご飯食べようかな……
「大地様、少しくらいは集中してください」
「すいません」
幽さんに諌められました。はい、大地、集中します。
「とりあえず、寿水さんの実力は知ってます。協定の時のテロリストに放った一撃の威力も手加減であれだったと言うのも分かります。武器も持っているんですよね?」
「ええ、そうよ。見る?」
「オナシャス」
俺がそう言うと、虚空から細身の棍棒を取り出した。それは棍棒と言うにはあまりにも大きすぎず、程よい大きさで、ぶ厚くもなく、重そうで、そして大雑把すぎてもいない。装飾もあり、全体的に赤色と黒色で出来ている。まるでブラックゾーンやスカーレッド・ノヴァ・ドラゴンみたいな棍棒だ。
「
おお、随分仰々しいお名前なことで……。
「と、とにかくですね、俺としては信頼できる寿水さんが俺の仲間になってくれると本当にありがたいんですが、いいですか?」
「もちろんよ!私、大地ちゃんとアーシアちゃんのためなら、例え神様だって倒しちゃうんだから!」
力強い返事だ。惚れた。
――『じゃあ、あとはプロポーズだけだな』
うるせぇ、ドキンダム。そんなことが出来たら苦労はしない。それに、もし俺が寿水さんと結婚したら、いよいよ本当に専業主夫になっちまいそうで、むずかゆいんだよ。
――『も う や だ こ の 宿 主』
それじゃあ、俺としてはもうさっさと寿水さんに駒を渡したい気分なんだが、そんな感じじゃないのが黒歌以外の眷属の皆様だ。
「皆、何かあった?」
俺がそう言うと、手を挙げる幽さん。
「大地様、最上様に一つ質問よろしいでしょうか?」
「うん、いいけど」
俺としては出来る限り密な関係にしていきたいから、ここでわだかまりがなくなるに越したことはない。
はてさて、幽さんはどんな質問をするんでしょうかね。
「最上様はそれがしらの主である岸波大地のことを、女として好いておりますか?」
「何言ってんねん、こやつ」
「大好きよ!すぐに結婚したいくらい!大地ちゃんと子供3人くらいなら全然養えるわ!」
「寿水さん?!」
俺には話のノリが分からない。隣では黒歌が手を叩きながら爆笑している。
「ならば安心ですな。それはそれとして『年上幼馴染お姉さん』の属性はかなり厄介ですな。それがしらも負けておられませんぞ」
幽さんの言葉に頷いたステラネスさんとサタンさん。俺にはあなた達の真意が分からないよ。
「ご主人様ぁーw、そろそろ駒渡してあげたら?w」
笑いながら俺にそう言ってくる黒歌。おう、そうだな。このままだと俺が絞られそうだから話を進めていこう。
「さて、事前に言ってありますが、俺の駒は自分で眷属にするかどうか考えます。誰になるのか……」
緊張が走る。さて、誰が…………え、マジで?お前?
いやぁ……いきなりお前なのは不安だけど……ま、いっか。仮契約なわけだし。
それじゃあ……いけぇ!『女王』!
俺が手を着きだすと、そこから光の玉が出て、寿水さんの所へと飛んでいった。光の玉は形を変えて、『女王』の駒となる。
「大地ちゃん、これって……」
「『女王』です。仮契約とは言え、重要なポジションなんで、ね?」
そう言うと、何やら感極まった様子になる寿水さん。え、どうした?
「大地ちゃん!絶対に期待に応えるからね!お姉さん、張り切っちゃうから!」
「あはは、ありがとうございます」
元気で何よりだ。
「ごすもホント罪作りね」
「何がだよ……」
こうして、俺の『女王』は決まった。このまま問題なく面接が進めばいいな。
○○○
「次の方、どうぞ」
寿水さんが退出した後、俺は次の方を呼び出した。次の方だが、何と言うか結構な訳アリって人だ。
「お座りください」
その方は、アザゼル先生からの推薦を受けた子だ。何でも、サタナエルって言うアザゼル先生の同僚にして裏切りもんの娘、そしてそのサタナエルの非道な実験の被験者でもあったとか。
「それではお名前を」
「はい。朝倉和泉です」
そう朝倉さんだ。いつぞやにお世話になったお方。その彼女がここにいる。履歴書には何故か『事務作業が得意』とまで書かれていた。何でなんだろうな?
「えーっと、お久しぶりです、朝倉さん」
「お久しぶりです、えっと……」
何か言い淀んでいる。どうしたの?
――『お前のことをブラックゾーンって呼ぶか岸波大地って呼ぶかで迷ってんじゃね?』
ああ、そう言うこと。ありがとう、ドキンダム。
――『この女心の分からん屑め』
――『ドキンダム、麦飯のおかわりを要求する』
――『はいはい、分かりましたよ』
俺も腹が減って来たな。あとで何か食うか。
「岸波大地でいいっす。ステラネスさん、待合室の皆にも俺のことは『岸波大地でいい』って言っておいて」
「承知しました」
さて、とりあえず決めることは決めた。それじゃあ、話と行こうか。
「っつっても、俺から何か聞くってことはないんだよなぁ!」
俺は肩の力を抜いて、天を仰いだ。少しリラックスしてから、俺は朝倉さんと向き合う。
「朝倉さんは唐揚げの肉は鶏むねと鶏もものどっちが好きですか?」
「え?あ、えっとそれは……」
俺がそう訊くと、困惑する朝倉さん。そうだよな、そうもなるよな。
「ごめん、こんなことを訊くべきじゃないよね。じゃあ、俺の眷属が訊きたそうなことを訊くわ」
ちょっと訊くのは忍びないことをしよう。憎まれるのは俺だけでいい。
「サタナエルって奴との関与だな」
俺がそう言うと、空気がしまる。どうやら、ここから正念場らしい。
「アザゼル先生に訊いたところ、
俺の質問に朝倉さんは表情を暗く……しなかった。寧ろ凛とした強さが増した気がする。
「そうですね、そう思われるのも無理はありません」
「ほう……」
朝倉さんの言葉と態度にサタンさんも興味を示し出す。
「信じてもらえないでしょうが、私はサタナエルには親らしいことは何一つされていません。ある日突然現れて、誘拐された。そして実験の被検体にされた。そんな程度の関係です」
思わずため息が出る。こうも身内にドライになるって、どんだけサタナエルってのは恨まれるようなことをしたんだよ。これは、アザゼル先生にも聞くことが増えそうだ。
「オッケーっす。とりあえず、あなたが自分の父親には愛ではなく怨嗟にも似た興味の無さしかないってことが分かっただけで十分っす」
「ありがとうございます、大地様」
こんだけ恨んでいれば、そのサタナエルってのとの協力とかはないだろうよ。
さて、俺の訊くことは終わった。あとはだが……。
俺は両隣を見る。特に何か様子はおかしくないが聞くだけ聞こう。
「皆は何か質問はあるか?」
「ないわね」
「ないです」
「それがしも」
「我もだ」
どうやら、俺の質問が皆の質問を潰してしまったらしい。まぁ、そうするために俺はあの質問をしたんだけどな。
「あ、そうにゃ。どうせなら私も質問しておこ」
黒歌、突然質問が降って湧いたようだ。
「それじゃあ、黒歌からどうぞ」
「和泉、ご主人様のこと、女として好き?」
「もしかして、これまだ続く奴?」
俺の困惑など皆は知らぬ存ぜぬで通すこの空間。黒歌の質問に、朝倉さんは答えた。答えなくていいのに。
「おそれ多いですが……」
「はぁん?ごすめ、そこら中で女たらしを発動してるのね?」
「心外だ……」
何だかドッと疲れを感じながら、俺は駒を呼び出す。おーい、誰が行くんだー?
俺が呼び出すと、ポンと光の玉が出て、スーッと朝倉さんの所まで行った。
――『『『ギコギコはしません』』』
「これが、『悪魔の駒』ですか?」
朝倉さんがそう言うので、俺は頷いた。
「まぁ、それを本当に『悪魔の駒』と言っていいかは怪しいですけど、そうですね」
光が形になっていく。さて、誰が行ったかと言うと……。
「おめでとう、朝倉さん。あなたは俺の『兵士』になってもらいます」
『兵士』だ。一番軽く、一番数が多い。されど盤面を形成するために必要なファクターだ。
「ありがたく頂戴します、大地様」
「そんな堅くせんでもええよ」
「それとなのですが、私のことは『和泉』だけで十分ですよ?」
何だろう、リアスの時と同じ匂いがしてきた。
「分かったよ、和泉さん」
「はい、大地様」
こうして仮とは言え眷属を着々と増やしていくこととなった。
はてさて、俺はこのまま胃が爆散せずに済むのだろうか。実のことを言うと、俺の駒たちに意思があるってのがとても気がかりでさ。最終的にストライキを敢行して、そのまま本眷属になるんじゃねぇかって不安があるんだ。
俺、真っ当に生きている他人の人生を壊したくないのになぁ。何でこんなことになっているんだろう。泣きそう。
Side out
前作から続投していただいたキャラのお二人の参戦です。
しょうもない余談ですが、知り合いが自分のこの二次小説から戦国恋姫を知ったらしく、最上寿水義光がドンピシャにはまったそうです。ちょっと笑っちゃった。