知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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さ、さっさと話しを進めねば......。気が付いたら前作の11章相当まで話がかさんでいるって言う。


第126話 駆除、開始

Side in

 

神殿の最奥部に着いた。そこには何かよく分からん装置らしいものがあり、その中央にアーシアが磔にされていた。

 

「やっと着いたな」

 

アーシアの様子を見る限り、酷いことはされていないらしい。いや、磔の時点でもう十分酷いこととかは言わないお約束だ。

 

「ダイチさん!」

 

アーシアがこちらに気が付いたようだ。喜色のある表情でこちらを見る。無事であることが確認できた。

 

俺が安心していると、装置の横から姿を現す者が一人。

 

「やっと来たんだね」

 

ゲロ以下野郎だ。随分むかつく顔をしているが後回しだ。

 

ドキンダム、あの装置って単純にぶっ壊していい奴?

 

――『んー、ダメっぽい。下手するとアーシア巻き込み大爆発とかしそう。そもそもあのゲロ以下野郎だ、何を仕込んでいるか分かったもんじゃない』

 

そうだよなぁ。うーん、ねぇドキンダム。アーシアに渡した『僧侶』の駒に内側から壊させるってのは大丈夫なのか?

 

「アーシアには全部話したよ。ふふっ、君達にも見せたかったけど、本当に彼女は意固地だ。全部僕の掌の上だったことを知ってなお、まだ彼女は折れない。教会の女が堕ちる瞬間が一番楽しいと言うのに。でも、意固地だからこそ、堕とし甲斐のあると言うものだよ」

 

――『その心は?』

 

いや、この手の奴って内側からの攻撃には無力っぽそうって言うか。一番いいのは兵藤の衣服爆散の応用で装置ごとぶっ飛ばしてもらうってのがいいんだろうけど、あいにく兵藤はいないし。

 

――『んまー、それならいけるかもしれん。やってみる価値はありまっせ』

 

「ゲロ以下ですね、先輩」

 

「せやなー」

 

俺は四条に適当な返事をする。こっちもこっちで考え事をしているんだからな。今は後回しにさせてくれ。

 

ドキンダム、いざという時に皆を守れるか?

 

――『駒の力舐めんな。あれ一個だけでインドラぶっ殺せるくらいには強いんだぞ?そんなのにかかれば大爆発が何だって話ダム。』

 

オッケー。それならいいや。

 

じゃあ、まずは最初に邪魔者の『駆除』をしておきますか。

 

「ブラックゾーンのお古はいやだけど、寝取りも悪くないね」

 

俺は超高速でゲロ以下野郎の背後に回り、その体をぶち抜きつつ、心臓を掴んだ。

 

「……こはっ!?」

 

「むかつくんだよ。お前のその余裕ぶったイキリ姿も、その声も。下らん性癖に他人を巻き込むその愚物さも」

 

ハリウッド版オプティマスプライム式だ。なお、あちらと違って俺はとってもめんどくさそうにそう言う。だってしょうがないじゃん、実際に面倒なんだから。

 

「地獄に堕ちろ」

 

心臓を握りつぶし、俺は腕を引き抜いた。ゲロ以下野郎が力無く倒れた。

 

「う、そ……オーフィス……へ、『蛇』で……」

 

『蛇』と言ったな、こいつ。やっぱり黒だったか。

 

――『随分ドライで素早い対応ダムね』

 

そりゃそうだろ。こんなのに時間なんか割きたくないわ。

 

――『禿同』

 

仮眷属の皆の方をちらっと見るが、皆特に動揺とかしているわけじゃなかった。『やるじゃない』と言う反応が皆の反応だった。どんだけ修羅なんですか、あんたら。いや、こんなゲロ以下野郎が相手だからそうもなるか。

 

さて、まずは一つ仕事が終わった。次にやることは……。

 

「アーシア」

 

俺は装置に縛り付けられている彼女の前まで小走りで来た。その目には絶望はない。『そんな絶望、知るかボケ』の強い意思を感じる。

 

「ダイチさん、この装置は『反転』(リバース)と言う力があるそうです」

 

「何?」

 

アーシアのその言葉に、俺はいやーな感じがした。

 

「それの範囲はこのフィールドと観客席だそうで、強引に私を解放しようとしてそれが私の神器と一緒に発動してしまうと皆が傷ついてしまう、とディオドラさんがおっしゃっていました」

 

色んな意味で俺は頭を抱えた。アーシアの神器の性能は破格なのは夏休みの時にアザゼル先生が言っていた通りだ。そんなもんが反転してまき散らされたら目も当てられない。

 

しかし、事前にそれを知れたのはよかった。下手に強引にやって大惨事を生まなくて済んだのだからな。

 

「随分、口が軽いんだな、あれは……」

 

「す、すいません!」

 

おい、ゲロ以下野郎。お前のせいでうちのアーシアたんが謝る羽目になったじゃねぇか。殺す。

 

それにしてもあれか。厄介な力があるもんだ。

 

ドキンダム、さっきの内側からの作戦、行けるか?

 

――『外から封印の力をかけながらでやればいける。さくっとやるダムよ』

 

オッケー。それじゃあ……。

 

俺は槍を引き抜いて、装置に二本刺した。これが本当のツヴァイランサーってな。

 

「ダイチさん?!」

 

「安心しろ、アーシア。君の持っているお守りは、ちゃんとお守りだから」

 

俺は装置に禁断の力を流し入れる。すると急速に光を失い出す装置。どうやら、その力を失っていったようだ。

 

ドキンダム、もういいんじゃないか?

 

――『ああ、そうだな。おーい、中の人。思いっきりやったれダム』

 

ドキンダムがそう合図すると、アーシアの胸元のポケットが赤く光り出す。どうやらそこに駒を入れていたようだ。その光には、とてもやる気を感じる。

 

「よぉし、いくぞぉ」

 

俺がそう言うと、駒が一層光を強め、そして装置が『パリン』と言う軽快な音を立てて割れ、アーシアが解放された。

 

倒れ込むアーシアを俺は受け止める。

 

「ダイチさん!ダイチさん!私、絶望しませんでした……!どれだけ辛くても、私は諦めませんでした……!」

 

「ああ、そうだな。君は、立派だ」

 

俺の胸の内で、涙声でそう言うアーシア。俺は彼女の頭をそっと撫でた。

 

アーシア、君は本当に強い。優しさだけじゃない、強さも持っている。とある言葉を引用するなら、君こそ『真の勇者』だろう。

 

所でドキンダム。あのゲロ以下野郎って何か言っていたか?

 

――『え、マジで聞いてなかったの?』

 

そらそうやろ。何であんなのに耳を傾けてやらねばならんのだ?今更ながら、ちょっとヤバいことを言っていないか不安になったんだよ。

 

――『……何も、なかったダム』

 

その消化不良な言い方は気になるけど、いいか。死人に口なしだ。

 

「神滅具で作りしものもブラックゾーンの前には無力か。霧使いめ、手を抜いたな?これでは計画の練り直しが必要だ」

 

聞いたことのない声が響く。そちらを向くと、何か宙に浮いたおっさんがいた。

 

「お前、誰?」

 

率直にそう言う俺。そのふてぶてしい態度から察するに、味方じゃないのは分かる。

 

「お初にお目にかかる、忌々しき偽りの魔王の英雄。私の名前はシャルバ・ベルゼブブ。偉大なる真なる魔王ベルゼブブの血を引く、正統後継者だ」

 

この流れ、前にも見た気がするな。確か……会談の時だっけ?あん時は敵のレヴィアタンの奴が言っていたな。

 

「ディオドラ・アスタロト。少しは役立つと思ったが「敵だと思う人、挙手」

 

何か言っているが知ったことではない。俺は話をぶった切って皆に意見を求めた。案の定というか、皆手を挙げていた。

 

じゃあ、いっか。

 

俺は馬鹿に近づく。俺の速度に追い付けないのか、俺が目の前にいるのにペラペラと喋っているのが馬鹿である証拠だ。

 

俺は思い切り、されど死なない程度に拳を振りかぶって、腹に叩き込んだ。

 

「偽りコッ!!?」

 

「悪いな、俺はお前のことなんざ知ったこっちゃないんだ。さっさと気絶させてアジュカさんに突きだすわ」

 

残念ながらこいつを殺してくれとアジュカさんには頼まれていないので、(多分)アジュカさんの関係者であるなら殺さない方がいいだろうと俺は判断した。殺していいんだったら、もうこいつは八つ裂きになっているはずだからな。あれだ、『ただし真っ二つだぞ?』って奴だ。

 

――『なんて古いアニメを……』

 

え、あれってそんなに古いアニメなの、ユノハ様?

 

――『平成キッズでも知っているのを探す方が難しいわよ?』

 

そんなぁ!

 

「ば、馬鹿な!私は偉大なベルゼブブだぞ!ルシファーよりもずっと偉大な……!」

 

「でも、偉大なのはお前の先祖であって、お前じゃねぇだろ」

 

我ながらぐう正論をぶつけてしまった。説教などする価値もないだろうに。あれだろ?どうせこいつも『蛇』っての使ってんだろ?じゃあ、カスだろ。

 

「おのれブラックゾーン!」

 

「うるせぇ!」

 

顔面にパンチを入れる。哀れベルゼブブ、さっきまでの余裕ぶりはなくなり、地に落ちた。地面を這いずる形になったそれは、言葉に出来ないほどに哀れだ。

 

「可哀そうなベルゼブブ。ひとえにお前が弱ぇからだが」

 

「お、おのれぇ……!!」

 

こいつの実力ははっきり言って、兵藤にすら劣る。四条にだって天地を返しても勝てない。それほどに弱い。俺の出る幕じゃないって分かるくらいにな。

 

だからこそ、こんな連中に俺の平穏が脅かされているってのが余計に腹が立つって話なんだが。

 

俺も地面に降りる。やっぱ地に足のついた生活がいいね。物理的にも。

 

さて、このまま放置するのもあれだし、遊ぶか。

 

俺は手首を合わせて構えを取り、腰のあたりにまで下げる。掌にエネルギーを溜めると、そこに光が集まり出した。

 

「この星ごと消えてなくなれぇ!(ビクトリーム)」

 

――『殺すはずではなかったのでは?』

 

違うさアポロヌス。俺は『遊ぶ』って言っただろ?だから、あの馬鹿が死なない程度のビームをぶっ放すだけだよ。

 

俺のエネルギーの収束を見て、恐怖を覚えたのか、急いで魔方陣を開きだしたベルゼブブ。お、やるか?俺のビームが先か、お前が逃げるのが先かのチキンレースをよ?上等だボケ。

 

掌のエネルギーが溜まった感覚がした。それじゃあ、やるか。

 

「ぶるぁああああああ!!(音速丸)」

 

俺は掌ごとエネルギーを前に突きだし、ぶっ放した。光の奔流がベルゼブブに向かっていく。

 

発射した瞬間、俺は気づいた。『あれ?これ、あいつ死ぬな』。

 

今更威力を調整なんて出来ない。このままだと直撃して、ベルゼブブが死ぬ。

 

――『え、どうすんダム?』

 

ま、いっか

 

――『さ、サイコパス……!我も恐怖を覚えるぞ……!』

 

俺のエネルギーはそのまま直進し、ベルゼブブを飲み込んだ……と思う。いや、感覚的に殺ったように思えない。スカった気がする。うーん、その辺も報告しておこう。

 

ビームは真っすぐ放たれ、余波で神殿を吹っ飛ばした。

 

ゆっくりとエネルギーを止めていった。射線上は跡形もなく吹っ飛んでいた。こんな威力なら、無事じゃ済まないだろうな。アジュカさんと、関係者っぽいサーゼクスさん達にも謝っておくか。

 

俺は空を仰いでみた。うーん、違和感がある。これも人工的に作られたものだからだろうな。

 

ただ、多少なりとも清々しさはある。変身を解除して、息を吸うと妙な心地よさがあった。

 

俺は振り返る。そこにいるのは俺に協力してくれた仮眷属の皆だ。けがもなく、無事で何よりだ。

 

「ご主人様ー!」

 

空から黒歌の声が聞こえた。その方向を見ると、最初に空中戦に派遣した皆がいた。

 

「皆!無事そうで何よりだ!」

 

彼女達も無事そうでよかった。皆が地上に降りると、黒歌がこっちに走って来て、抱き着いてきた。

 

「うおっと!どうした黒歌?」

 

「いや、さっきド派手なものが見えたからさ。ちょっと心配になっちゃった」

 

ああ、さっきの奴か。それ、俺が出した奴なんだ。

 

「心配してくれたありがとう」

 

「いいよ。皆も、ご主人様も無事なんだから」

 

黒歌がそう言う。

 

戦いは終わった。ちょっと派手にやりすぎた感じもあるけど、それでもいいだろう。こういった類の責任はサーゼクスさん達に全部丸投げするのが一番だ。

 

「さて、帰るか」

 

深呼吸して、俺はそう言う。さぁ、我が家に帰ろう。

 

Side out

 




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