知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
Side in
戦いが終わった。とりあえず点呼を取って皆がいることを確認した。
「ステラネスさん。こういう時の迎えとかって来るもんなんですかね?」
俺はそう訊く。今回は何か色々あったため、転送装置が起動していないっぽい。ってことになると、こちらから簡単には帰ることは出来ない。そうなると、外からの救援待ちになるってことだ。
「おそらくは。ただ、外も外で襲撃を受けていたことを考えると、それなりの遅れは出るかと思われます」
「だよなぁ。じゃあ、どうする?皆でカリュドーンをガチで濃厚豚骨豚無双にでもする?」
『何で暇だからって俺をラーメンにするんだよ』
気の抜けた空気感が広がる。先ほどまで命の取り合いをしていたとは思えない。俺としてはこっちの方がいいんだがな。
「どうやら暇そうだな」
第三者の声がした。その声にはとても聞き覚えがある。そちらを見ると、そこにいたのは、ヴァーリだった。両隣には孫悟空と背広のイケメン。イケメンが手にしている剣は、妙に光っていた。
「ヴァーリぃ……!」
俺はもう一度変身し、臨戦態勢に入る。こいつは、許しておけねぇ。
「やるつもりはない。岸波大地の家族に手を出せばどうなるかは、身をもって知っているからな」
「……けっ」
どうやら、少しは反省したらしい。俺は変身を解いた。
「俺達の目的は赤龍帝の
そうやら、観客席側でも色々あったようだ。
「カリュドーン、ジャガーマンって何だ?」
『
「ひょえー、何それ怖い」
四条が後ろでカリュドーンとお話をしている。そうそう、『覇龍』ね。あいつ、あんだけ怖がっていたものになりかけたのか。
俺がここにいない後輩を心配していると、空からバチバチと言う音がした。雷のようなものでもないその異音に、俺は、いや俺達は空を見上げた。
「何だ、ありゃ?」
空間に大きな穴が開き、そこから赤い何かが現れた。
「よく見ておけ、岸波大地。あれが俺の見たかったものだ」
ヴァーリが口元を緩ませて、そう言う。そこにいるのは、100mを越えるであろう、真紅のドラゴンだった。
「『赤い龍』と呼ばれる存在は二ついる。一つはお前の知る赤龍帝。すなわちウェルシュ・ドラゴン。ドライグだ。起源を白龍皇と同じものとする。もう一つは、『黙示録』に記されし、赤いドラゴンだ」
黙示録。随分規模が大きくなったな。あれか、真竜のあいつらの元ネタか。
「
そうか、オーフィスもか……。
「待て、その言い方だとまるでオーフィスがここにいるみてぇじゃねぇか」
「そうだな。そのオーフィスと俺が倒したい相手が、あのグレートレッドだ」
「ちょっと待て」
俺の困惑の声など無視して、ヴァーリは自分の話を続ける。こいつ、人の話を聞け!
「
「知らねぇよ……」
もういいや。こいつはそう言うものだって思うことにしよう。こいつの夢など知ったことではない。腐ってもテロリスト共の仲間なんだ。しばく以外やることなどないだろうよ。
でも、あんまりやりすぎるとラヴィニアが怖いよなぁ。どうすればいいんだよ……。
「グレートレッド、久しい」
知らない女の子の声だ。そちらを向くと、そこには黒いワンピースを着た黒髪の女の子がいた。
「だ、誰だ?」
ここにはオーディンさんですら入るのが難しいものだぞ?それなのに、こんな子供が入れるわけがないだろう。なのに、その子供はここにいる。マジで何者だ?
俺が困惑していると、ヴァーリが苦笑しながら言う。
「あれこそがオーフィスだ。
俺は即座に槍を抜いた。後ろの皆も戦闘態勢になっている。
嘘だろ、おい。テロリスト共、こんな幼女を祭り上げているのかよ。馬鹿にも程があるじゃねぇか。いや、馬鹿じゃない。気持ち悪い。シンプルに気持ち悪い。
幼女ことオーフィスは指鉄砲を作ると、それをグレートレッドに向けてバンッと打ち出す仕草をした。
「我はいつか静寂を手にする」
「はい?」
「そのためにも、ブラックゾーンに味方になってほしい。だが、アザゼルはブラックゾーンが人間の味方しかしないと言う」
まぁ、そうですね。俺は外道の味方なんてごめんですし。
「我、人間じゃない。どうすればブラックゾーンは我の味方をする?」
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「色々かっ飛ばしすぎだ、ウロボロス」
俺の思考回路がショートしている中、そう言うのはいつの間にかここに来ていたアザゼル先生だった。タンニーンさんも一緒にいる。
「どういうことですか、先生?」
俺がそう訊くと、先生は言った。
「さっき、色々話をしたんだ。その中で、お前がグレートレッドさえぶっ殺せるだけの力を持っているって言うことと、お前が『人間』の味方であることを話したんだ。その『人間』についても種族の意味じゃないって言ったんだが、どうもこいつは頭が固いらしい」
そ、そうですか。俺にはさっぱりなんですが……。
と、とりあえず、オーフィスちゃん的には俺に味方になってほしいけど、俺の味方判定に入れないことに悩んでいるってことか。
んー、どうしよう。相手はテロリスト共の親玉だぞ?でもヴァーリが言うにはそのテロリスト共はどうでもいいって感じなのがオーフィスちゃんなんだろ?何か、難しい状況になって来たな。
「別に種族なんて関係ないと思うけど」
俺はそう切り出す。
「誰かを想い、誰かと共にある。静寂だけもいいけど、それ以外も知る。愛を抱いて、愛に生きる。それが俺の思う『人間』って奴だな」
俺はオーフィスちゃんを見る。
「君は、それを知っているか?それを知らないなら、学べばいいだけだが。世の中には知っていながら馬鹿をやる奴らもいるしな」
ヴァーリの方をちらっと見る。何の反応も見せないので、少しイラっとした。
「我が愛を学ぶにはどうすればいい?」
オーフィスちゃんがそう訊く。えー、その様子だと周りはあてにならないっぽい?
「俺の所に来ればいいんじゃね?」
「随分大きく出たな、岸波」
何となくそう言っているだけです、アザゼル先生。まさか本当に来るわけじゃないだろうし。
俺がそう言うと、何やら悩んだ様子を見せ、そして結論を出したような顔をする、と言っても無表情なオーフィスちゃん。
「分かった。いずれまた会う」
そう言って、オーフィスちゃんは一瞬でどこかへと消えた。余りのゴーイングマイウェイぶりにアザゼル先生とタンニーンさんも呆れた様子だ。
「それでは、俺達も退散するとしよう」
ヴァーリがそう言う。奴の後ろには既に次元の切れ目みたいなものが出来ていた。
「待てやコラ。逃げるにしても一発くらい殴らせろ」
「岸波大地との戦いはまだ先だ。俺はそれまで取っておこうと思う」
「ラヴィニアに言いつけるぞ」
「それは事だぞ」
ヴァーリはそう言い残し、そそくさと退散した。次会う時は、せめて人の話を聞いてくれ。
「じゃあな、スケベバイクマン!」
「何だ、その不名誉な名前。ぶっ殺すぞ」
孫悟空、確か美猴だったか?そいつがそう言って消えていく。
「ブラックゾーンさん」
背広の男が随分丁寧に言う。
「私は聖王剣の所持者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーとお呼びください。あなたは剣も扱えると伺いました。いずれ、その腕前を見せていただきたいです」
「ウス」
こうして、ヴァーリの連中はどこかへと消えていった。どこまでも自由、嫌な意味でフリーダムなヴァーリ。以前のような心底むかつくようなことはない。実際俺の家族に手を出したらどうなるか自覚はしているらしいしな。だからこそ、次は殺さないでいてやる。
色々波乱はあったが、皆無事でよかった。それだけで十分だ。さぁ、日常に帰ろう。
Side out
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