知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
第130話 ちょろい大地君
退屈も悪くない、か。分かり合えないな。この世界には退屈を嫌う者もいるんだ。
Side in
久々のドルマゲドン・エリアである。今日も今日とて四条を鍛えるのだ。
「よいしょ」
「ぐっ」
俺がいつも通りブラックゾーンになって、四条を蹴り飛ばす。以前だったらゴミのように飛ばされていた所が今じゃ踏ん張って耐えている。もう少し力を強くしていい頃合いかもしれないな。あとでドキンダムたちと相談だ。
「休憩ダムよー」
ドキンダムの気の抜けた声が聞こえた。俺は肩の力を抜いて、変身を解いた。四条も
「だはー!先輩から一本も取れねぇ!」
「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる」
こちとら異世界の女神様に改造されたチートやぞ。そもそもお前の先輩やってんだから、お前に簡単に負けると思うか。
「だが、以前よりはずっと強くなっている。そんじょそこらの連中じゃ相手にならんだろうな」
『マジでこのまま行けば、歴代最強なんて余裕だし、それ以上だって目じゃないぞ、零ちゃん』
「えーマジ?何か実感が湧かないんだけどぉ?」
俺とカリュドーンが褒めるも、その実感がない様子の四条。その低姿勢も美徳な時とそうじゃない時があるからちゃんと分けてほしいな。
俺と四条は荷物を置いてある場所まで歩く。そこには先客の結菜とアイシャがいた。
「よっす。どうよ、調子は?」
「そうね、すこぶるいいわ」
「私もです。技のキレもよくなっています」
二人とも問題なさそうで何よりだ。
俺は座って、水を飲む。うーん、美味しい。やはり普通が一番や。
「大地、今いいかしら?」
「ん?いいけど、どうした?」
結菜が俺に話しかけてきた。何だろう?
「眷属化のことについての話よ」
「……」
一瞬胃が痛んだ。いかん、ここで倒れたら流石に情けない。俺は正座をして結菜の方を向く。
「どうするか、決めたのか?」
「ええ、眷属になるわ」
いやぁ、彼女はどう言う答えを出すのか……
「ん?」
「難聴になったのかしら?だったらもう一度言ってあげる。あなたの眷属になるわ」
「ま、マジで?」
水の入ったペットボトルを持つ手が震える。つい最近までずっと仲のいい友達であった結菜に、俺に人生を捧げると言われた。否が応でも緊張が走る。
「母様とも相談したわ。そうしたら『すぐにでもなってこい』と言われたの」
「お母様……」
結菜のお母様が元々ノリのいいアクティブな性格なのはよく知っているが、だからと言ってそこまで軽くならんでもいいでしょうに……。
「私も、あの仮眷属採用面接で言ったことは嘘じゃないわ。魔王のあなたの隣にいられるのなら、魔王の正妻にだってなってあげる」
その強い覚悟に俺はクラッとした。結菜、いつも以上に強すぎる。
「ここまで言わせておいてまーだ渋るダムか~?」
「流石に男が廃るのではないか^~?」
馬鹿二人が煽ってくる。ほんと、俺から産まれたからと言って、俺のことを舐めすぎだろ。一回ガチのお灸をすえる必要があるだろ。
俺としても、結菜程信頼出来る人が俺の眷属になってくれるのは嬉しい他ない。何なら、お母様からの許可も出ているし、悪魔業界とかにも詳しいし、その辺の問題もクリアしている。
だが、俺の足がすくむ。たった一言が出ない。
く、くっそー!俺の!俺の勇気が足りない!明らかにその場で勇み足を踏んでいるだけの自分が嫌になる!ここで『じゃあ、オナシャス』と言えない自分が憎い!
神様、俺はどうすればいいんですか。
――『キス』
こ、こいつぅ!
――『まぁ、真面目に言うなら、ここで言えないあなたほどひどいものはないわね』
そ、それは……
――『女子が勇気を振り絞って自分に告白してくれているのに、それを黙って聞かないふりをするなんて、最悪すぎじゃないかしら?』
うっ……
――『『今晩お前を抱く』くらいのことを言う訳じゃないんだから、さっさと進みなさいよ』
ユノハ様がそう言うのなら……。
俺は背筋を伸ばし、結菜と向き合う。
「結菜」
「はい、大地」
「俺は情けない」
「知ってるわよ」
「俺は、弱い」
「それも知ってる」
「それでも、俺の眷属になってくれますか?」
声が震える。涙も出そうだ。前世の嫁に告った時くらいの緊張と思しきそれが俺を襲う。そんな中で俺はなけなしの勇気を振り絞った。
ああ、言っちゃったよ。黒歌や幽さん、サタンさん達とは違って、俺の方からの勧誘だ。
「ふふっ」
少しの静寂があってから、結菜の笑う声が聞こえた。
「いいわよ、大地」
あ、緊張がほぐれたら吐きそうになってきた……
「お……」
「おい馬鹿やめろ!こんな時に吐くな!」
「我とてこの場でやることではないと分かるぞ!」
ドキンダムとアポロヌスが俺の口に水を流し込む。ちょっと待って、溺れる。
「ぷはー!ああ、死ぬかと思った」
「いっそ死ねば良かったダム」
「最低でござる」
「てめぇら覚えてろよ」
軽くドキンダムのケツを蹴り飛ばす。これくらいの悪態は許されるべきだ。
「そ、それじゃあ、早速だけど……」
俺がそう言うと、結菜の胸元には既に光っている『兵士』の駒がいた。そいつは何の問題も無かったかのように結菜にスーッと入っていった。
……。
「はい」
「はいじゃないわよ。もう、この子もあなたに似て自由なのね」
「うっす……」
こうして俺は新たに眷属を迎え入れた。いやぁ、どんどん責任が大きくなっていく。胃痛も激しくなるばかりだ。
「それじゃあ……これからも末永くよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします……」
そう言って俺と結菜は頭を下げ合う。何だろう、すげーむずかゆい。
「お前ら、結婚しないんダム?」
「それとこれとは別でしょうが」
ドキンダムのクソみたいな茶々入れをぶった切る。すると、アイシャが口を開いた。
「大地さん。いえ、大地様」
アイシャも俺に向かって正座をしている。その表情は真剣そのもの。
「この流れに乗じるのも卑怯と思われても仕方ありません。ですが、私の想いも堅いものです」
「うっす」
ま、まさか……。
「私を御使いにしてくださりますか?」
あ、あはは……流石に俺も馬鹿じゃないからな。そんな感じのことを言うってのは雰囲気で分かった。そっか、アイシャも俺の眷属、じゃなくて御使いになりたいのか……。
「いいよ」
「私の時に比べて随分あっさりしているじゃない」
結菜がジト目で俺の傷口を抉ってくる。でもね、これには理由があるんだ。
「今の俺は気分がいい。とっても上機嫌だ。今なら何だってやってやる」
「そ、そうですか……」
アイシャが困惑しているようだが、今は関係ない。ほんと、今の俺は澄み切った心なんだ。マジで世界だって滅ぼしてくれようぞ。
「よーし、おじさん張り切っちゃうぞー」
俺はアイシャに渡したカードを呼び出す。確かAだったよな。
俺が呼び出して出てきたのはA。うんうん、俺の記憶力もまだ衰えてないな。
「この後どうなると思う、ドキンダム?」
「賢者タイムになったら悶えるに全ベットダム」
馬鹿二人が何か言っているが知ーらない!俺は俺の正義を貫く!
「わ、私はこのままでいいのでしょうか……?」
「今の大地、面白いくらいに上機嫌だからそのままでいなさい」
「先輩、すげーアホになってますね」
そーれ、一発!
俺はカードに向かって念じる。すると、カードが若干困惑の様子を見せながら、アイシャの中へと入っていった。中に入れるZOY!中々ZOY!
「これでアイシャも俺の家族だ」
「え、ああ、はい」
いやぁ、とっても心強い味方が増えた。これは皆に報告もんだな!さぞ驚くだろうなぁ!あんだけ眷属と御使いを増やすことを渋っていた俺がこんなにあっさりと二人も身内を増やしたなんて、黒歌とか『あんた本当にごす?』とか言いそう。
今後も眷属と御使いを増やす際はこれくらいの軽い気持ちで行くべきなんだろうな。幸いなことに、査定は駒とカード、ドキンダムとアポロヌスが詳しくやってくれるし、その辺は任せておくべきだろう。俺がやるのは、『本当に最後まで信頼出来そうか』ってことくらいだな!
「先輩!それじゃあ俺も!」
「お前は後!」
「そんなぁ!?」
Side out
そんなわけで正妻と最強が参戦。果たしてリアス達は勝てるのだろうか。そもそも、ここのリアスは原作に比べてただの我が儘娘を脱却できているのだろうか。疑問が疑問を呼ぶばかりなり。
設定関係の更新は章終わりでします。