知るかバカ!そんなことより侵略だ! 作:ブラッキオ
はい、たまには真昼の予約投稿をしてみようと思い、やってみました。
Side in
クレーリアさんと会わなくなって数年経ちました。どうも、最近成績が良い不良とか言う矛盾塊になった金髪巨乳狂いのパシリです。
嘘です、巨乳の美人なら基本的にバッチ来いです(笑)
――『こやつ、滅してやろうか?』
そう怒んなさんな、アポロヌス。
唐突だが、我が近況を言おう。弟が生まれた。
そう、弟。妊娠を見込めない両親の実の子供だ。正直これだけでクソ長一人語りが出来そうなくらいなので少し割愛する。
いやぁ、ね。弟よ、弟。もう可愛くて仕方ないの。何やるにしても俺のことを追いかけてくる。俺のことを『にぃに』とか言ってちょこちょこ歩いてこっちに来るんだよ。最近入ったウルトラマンのサブスクを一緒に見る時も、俺の膝の上に座って観るのよ。もうね、死んでもいいわ。我が兄弟の為にまだ死ねるかって話だが。
母さんの妊娠が分かった時、それはもうお祭り騒ぎだった。祖父母の家も『大地という福の神が招いた幸運だ』って喜んでさ。俺も年甲斐もなく大号泣した。
あかん、このままだと割愛するって言ったのに弟語りが始まってしまう。話を変えよう。
弟が可愛いこと可愛いこと。
――『『いい加減にせぇやボケぇ!!』』
ドキンダムとアポロヌスの声が響く。分かりましたよ、全く。
さて、俺は今グリゴリって所にいる。グリゴリってのは堕天使の元締め組織だと。そう、俺が赤白ドラゴンコンビの時に助けたあの堕天使。このグリゴリって奴のボスが、俺が助けた髭ことアザゼルさん。
まずどうやってここに来たのかってことだが、それはアザゼルさんの遣いが迎えに来て、魔方陣ってので夜の公園から移動した。
そして、最も気になる点であろう何故ここに来たのかってこと。それは事情説明とか色んなお話をアザゼルさんとするため。
事の発端はあの夜。いつも通り寝ようとしていた所、俺の本能が危険信号を大音量で鳴らしていた。そのせいで眠りにつく気にもなれなかった。なので、夜空を見て黄昏ようと思って窓を開けた時だった。
――「皆を傷つけたくない……!助けて、ダイチ……!」
知っている声だった。俺が必ず会おうと決めた女の子の声だった。ラヴィニアの声だった。
その声で『助けて』と聞こえた。俺の名前が呼ばれた。
次の瞬間、俺はブラックゾーンに変身し、空へと駆けだした。ラヴィニアに渡したアミュレットが俺を導いてくれたのか、本能が彼女の居場所を告げ、そこまですぐに行けた。
そしてたどり着いた。
まさか、あんな再会になるとは思わなかった。あんなのよりもっとムードのある再会があっただろうに。
そこからはノリと勢いで何とかした。ラヴィニアの中にいるマダムな邪魔者をはじき出すために俺の中のデータから引用したのは……キスだった。
正直、冷静な今ならそんな手段を取らないが、あの時は急いでいたせいで彼女の唇を奪う形となってしまった。思い出したら死にたくなってきたのだ。
そこからはお仕置きとして、吸い出したマダムを俺の中に封じ込めた。ドキンダム、今あいつはどうなってる?
――『お前、昨日バカでかいくしゃみをしただろ?』
ええ、まあ。……いや、まさかとは思うけど、そんなことある?
――『ええ、そうです。あの勢いでお前から出ていったよ。禁断への恐怖を植え付けられてな。まぁ、あの状態なら長くは保たない。案ずるな』
そうか。何をしたのかはよく知らんが、あれはラヴィニアを悲しませ、傷つけたのだ。最早慈悲などないと思えよ。
それでだが、ラヴィニアのことを解決したのはいいが、どうやら俺が処したマダムが相当大物だったらしく、その関係者であるアザゼルさんとお話をすることになった。特に神滅具って奴で俺はとんでもないやらかしをしたらしく、ラヴィニアの中にあった異物が神滅具ってのだそうで、とんでもない貴重品だとか。それを俺は投げ捨てたんですって。それを拾いにいくのならまだしも、俺が投げ捨てた方向に人がいたらしく、それをネコババして逃走した奴がいたのが結構問題。そのネコババ盗人がラヴィニアの中にいたマダムの弟子だとか。今後、そいつがマダムの遺志を引き継いで面倒ごとを起こす可能性があるとのこと。つまり、結構な戦犯行為をしたってわけ。ごめんなさい。
というわけであれだ、『俺の謝罪の場を用意してくれた』ってのが今回の一件だ。何を要求されるか分からないが、最悪の場合はドライグさんとアルビオンさんの件の貸しとブラックゾーンパワーで脅し返すことも考えている。
そんなわけだ。ところで俺が今はどこを歩いているのかと言うと、グリゴリの研究棟だ。どうやらここにラヴィニアがいるらしく、堕天使さんに案内されてここまで来た。
その堕天使さんってのが……
「……」
背中から分かる偉丈夫。そうです、バラキエルさんです。ここまで魔方陣転移の時にいたのも彼だ。懐かしさがこみ上げてきたね。
ただ、バラキエルさん、どこか悲し気と言うか、苦しそうな感じではある。必死に隠しているようだし、余り探らない方が良さそうだ。
話を戻そう。これからラヴィニアと会う。彼女は意識が戻っているらしく、検査をしたが特に問題もないとのこと。ただ、大事を考えて入院しているそうだ。
こんなこと言うのもあれだが、何で会う必要があるのだろう。いや、確かに『またいつか会おう』なんて言ったのは俺だ。だけど、こう、何だ?場所ってのがあるだろ。あれか?『気が滅入りそうだから癒しとして働け』ってか?上等だ。彼女のためならいくらでも身を粉にしてやらぁ。
でも、ラヴィニアって友達がいっぱいなんだよな。何なら俺より多い。しかも皆いい奴だし美形だ。ちょっとむかつくくらいのイケメンもいる。何なら、俺と同い年くらいの銀髪の子もいた。
あの夜の後、色々聞かれて解散したけど、まぁ、若さがすごかったね。おじさん追い付けないよ。特に女子。妙にコイバナについて聞かれた。ちょくちょく鳶雄って言う黒髪の男の子が助け舟を入れてくれたから何とかなったけど、若い女子のパワーってすげーや。あれから十日ほど経っても忘れられないんだもの。
正直、彼らの方がいいんじゃないのかなーとは思ってしまう。ただ、今回は別件もあるし『仕方ないね』と言う思いで受け入れよう。
さて、俺が過去に思いを馳せているとバラキエルさんが扉の前で足を止めた。どうやらこの部屋にラヴィニアがいるようだ。
「ここにラヴィニア・レーニがいる」
「ありがとうございます」
一つ深呼吸。手だけじゃない、全身が重くなる。緊張の中、俺は扉の取っ手に手をかけ、そして開ける。
中からは消毒の臭いがした。中に入り、一歩一歩と歩いていく。奥に行くとベッドが一つ。そしてその上には……
「久しぶり、ラヴィニア」
「お久しぶりです、ダイチ」
ラヴィニアがいた。
○○○
ラヴィニアの寝ているベッドの隣に椅子を置き、それに座る。ラヴィニアのご友人たちは先日来たらしく、色々話したそうだ。良いことだ。彼女も一人じゃないってことだな。
とりあえず椅子に座って、それから色々話した。『元気だったか』とか近況のこととか、そんなことばかり。
俺がブラックゾーンであることは聞いてこなかった。ラヴィニアの友人たちにも聞かれたことだったので、思わずこちらから『俺がブラックゾーンだと言うことは聞かないのか?』って聞いてしまった。彼女の返答は『トビーたちに訊かれて大変だったでしょうし、それはまたの機会に』とのこと。何と言うか、いい女やな。惚れてまうよ。
――『『『(もう惚れてんだよなぁ……)』』』
それから始まる無言の部屋。静寂が包む。何と言うか、気恥ずかしい。当たり障りのない話の話題がなくなるとこうもなろう、と心の中で言い訳をする俺。
――『童貞か、お前』
ユノハ様がそうツッコんでくる。いいですかい?童貞ってのは肉体的に卒業しても心は永遠に童貞のままのこともある呪いなんです。
――『もうそう言うことにするわ……』
何だか呆れられたような感じの反応。それでも俺は童貞だ。
俺はトークの話題を必死に探す。探すんだが、自然と視線がラヴィニアの方に行ってしまう。何て言うか、美人すぎて目が離せないんだ。恋にも似た感情、と言うべきか。そんなのが俺の心をつかむ。『前世のことはもういいだろう』と言って前に強引に進めようとしてくる。俺にそんな勇気はないのに。
「ねぇ、ダイチ」
ラヴィニアが口を開く。
「何だい?」
俺がそう返すと眩しい笑顔で語り掛けてきた。
「あの時歌った歌を、また一緒に歌ってくれませんか?」
とんでもないこと言い出したぞ、このボイン姉ちゃん。え、何だって?あの時歌った歌?それってアクエリオンだよね?『あなたと合体したい』でお馴染みのあれだよ?
俺と彼女の間にあるアクエリオンなんて一つしかない。あのラブレターじみたアニソンだ。前世で死ぬほど聞いたし歌ったあれ。前世とはサブカルが違うこの世界にはない、ド直球告白ソング。
何だろ、急にお腹が痛くなってきたな……
――『こんな美人の願いも聞けねぇとは、見損なったぞカーネル!』
――『煉獄と言うのは逃げなかったぞ。そんなに役立たずの狛犬になりたいか』
こいつら覚えてろよ……!
【逃げるな】許されなかったワイ、立ち向かうことを決める【卑怯者】
「ああ、いいよ」
「やった!」
ウォ、笑顔マブシッ!!
「それじゃあ、1,2,3で行くのです」
「分かったよ」
部屋の外にバラキエルさんがいることを完全に忘れていたが、もうここまで来たらそんなことは些細な問題……いや、問題ですらない。男、岸波大地、逝くぜ。
「1,2,3……」
彼女の合図と共に始まる『創聖のアクエリオン』。前世のサブカルが無さすぎて、前世と俺を繋ぐ数少ないものとなっている。最近、嫁がどんな見た目の人だったのかも忘れてしまい鬱になっていたが、頑張ってきました。その頑張りの為のエネルギーがこう言った歌だった。と言っても、ほとんどアニソンか特撮ソングだったんだがな。
あ、でも遊戯王とかは前世から続いてあったな。デュエルマスターズもあったけど、俺の知っているカードが一枚もないし、何なら立場は『ギャザの子分のマイナーTCG』って言うポジションに落ち着いている。
調べたら、この世界のデュエルマスターズって昔は人気だったが、大体ドラゴン・サーガくらいでこけたまま立ち直れなかったらしい。今はと言うと、そのままギャザやウィクロスの売り上げを吸って生き残っているとのこと。い、生き恥……!ヴァンガードでもやらなかったことだぞ……!
この世界のデュエマがマイナー寄りなのもあってかまともに戦えるデッキを1つ組むだけでウィクロスの方が安いまである程な額をする。何だよ、それ。余りに辛いじゃねぇか。凋落にも程がある。マジで革命編の復活って奇跡だったんだな。
民度については色々言いたいが、言わないでおく。言ったら殺されそうだからな。とにかく、俺の小遣いとメンタルで出来るわけねぇだろって感じ。
やる気が起きない。そんな世界でカードゲームをやろうと思えない。悲しいし、虚しい。何で好きだったコンテンツの地獄のIFを見届ける羽目になっているんだよ。
時代のうねりを嘆きつつ、俺はラヴィニアと歌を歌っていく。彼女も随分歌がうまくなった。美声に加えて、歌の技術も上がっている。はっきり言って、歌手として食っていけるレベルだ。気を抜いたら聞き惚れてしまいそうな歌声だ。
彼女に置いて行かれないように何とか歌いきった。視線が合う。お互いに笑みを浮かべる。何だかこそばゆいな。でも、心地よい。
「ずっと忘れなかったのです。この歌も、この歌を教えてくれた大好きな初恋の男の子のことも」
「ありがとう。俺だって、君のことを忘れなかった。だからこそ、こうしてまた出会えた」
「はい」
ラヴィニアの言葉に、強い感動を覚えてしまう。ああ、俺にはもったいないくらいの優しい人だ。彼女はやはり幸せになるべ……
「ん?」
「どうしたのです、ダイチ?」
一つ、一つだけ引っかかることがあった。
「いや、今俺のことを『初恋』って……?」
俺がそう言うと、ラヴィニアは頷いた。え……?
「はい。今のダイチはヴァー君くらいの年齢ですけど、私は気にしないのです。私は、あなたのことを愛しています」
……。
「それは「友情とかではないのです」
……。
――『あ、こいつキャパ超えたぞ』
――『愚かな。さっさと抱けばよかろう』
――『こいつ、根っこからして童貞ね。転生前に少しくらい弄くり回して改善させておけばよかったかしら?』
ハッ!いかんいかん、危ない……。気絶するところだった。
「間違っても、『自分なんかよりいい人がいる』なんて言わないでほしいのです、ダイチ」
「うっ……」
ラヴィニアが俺の言いたいことを先回りして潰しに来た。そ、そんなひどいことを言わないでよ……。
――『お前が言おうとしたことの方が余程酷い定期』
ドキンダムによる、コマンドのないデッキへの秩序の意志にも似た言葉が刺さる。え、じゃあ俺はこの好意を受け入れるしかないってこと?
――『だろうよ』
そんなぁ!!(親父狩り)
――『……なぁ、お前』
何です、ドキンダム?急にシリアスになって。
――『お前、本当はラヴィニアが好きなんだろ』
い、いやぁ、そんなことは……。そもそも彼女への感情はそう言ったものじゃなくて……
――『その逃げの姿勢、本当にむかつくぞ』
……。
――『いつまで逃げるつもりだ。お前のその姿勢は、誰も幸せに出来ない』
……。
――『いい加減、前に進め。悲劇のヒロインを気取るな』
……ってる。
――『逆にお前の愚かさが全てを傷つけ……』
分かってんだよ!!!そんなことくらい!!!
頭では分かってる。でも……俺の心が俺を許さないんだよ……。思い出せない記憶が、ずっと俺を苛んで……
――『……なら、せめてそれだけでも伝えてやれ。ラヴィニアだって少しは納得してくれるはずだ』
……分かった。
俺は意を決してラヴィニアに言う。
「ラヴィニア」
「はい」
膝の上で作る握りこぶしに力が入る。震えが止まらない。吐き気もしてくる。どれだけ力を持とうとも、俺はただの人間だ。いや、人間と言うのもおかしいかもしれない。弱くて、惨めな存在だ。
「俺は、過去に失ったものが多すぎる。大切なものが、俺の手から離れていった。あの恐怖が、まだ忘れられないんだ」
俺の言葉を真剣に聞くラヴィニア。ごめん、君を悲しませるつもりはない。そのつもりはないんだ。
「その恐怖が、今でも俺を締め付ける。何よりも、俺が弱いせいで守れなかったものが、俺を許してくれない。頭では分かっていても、心が理解を拒むんだ……」
俺の弱さに彼女を巻き込みたくない。あの時のような不幸な目に遭ってほしくない。そう思って、言葉を続けようとする。
その時だった。ラヴィニアが俺を寄せて抱きしめる。これは一体……?
「大丈夫です」
優しく、そして強い言葉を伝えるラヴィニア。
「ダイチにも色々あることは分かりました。きっと長い旅の中で、その苦しみがどれだけあなたの優しい心を苛んできたか。私には計り知れないのです」
ラヴィニアの匂いが鼻孔を貫く。俺の怯えた心が癒されていく。『それでも……』と続けるラヴィニア。
「私はあなたへの想いを諦めたくない。あなたがどれだけ自分を責めて、周囲を拒んでも、私はあなたと一緒にいたい。同じ夢を歩きたいのです」
……馬鹿だなぁ、俺。何て馬鹿なんだろう。彼女の心を踏みにじろうとしていたなんて、俺はなんてことをしようとしていたんだ。
――『やっと気が付いたか、愚か者が』
アポロヌスにブスリと刺される。ドキンダムとユノハ様のため息も聞こえる。
――『どうする?一気に前に進むか?』
いや、ドキンダム。人が急に変われるのなら、そんな世の中はうまくいかない。せめて、この恐怖に抗うことをやめないようにするよ。
――『……ま、今はそれでいいさ』
ありがとう。
たった一晩の出会いだってのに、俺はラヴィニアに世話になってばかりだな。
「俺は……君に救われてばかりだ……」
「お互い様、と言うものです。お返事は、ダイチが前に進めるようになった時にお願いするのです」
「ああ。必ず」
俺はラヴィニアを抱きしめ返す。感謝の言葉しか思いつかない。生まれた世界は違っても、こうして繋がれる。何だか、希望が持てる。
それから、俺はバラキエルさんに呼ばれるまでラヴィニアと話し合った。心なしか、さっきよりも心が軽い。心地よいものだ。
Side out
と言うことで、大地君の一歩前進回。
一応の弁明みたいなものですが、当然の権利のように大地君はラヴィニア以外も落としていきます。
デュエマ云々の下りはクソのIFを書き出したらこうなってしまいました。
『強いカードほど封入率激渋』のせいで凋落って、この部分だけ見たらヴァンガードのやらかしっぽいよなぁと思ってしまった所があります。自分もPスタンに憧れながらVスタンをやっていた人間なので余計にそう思うと言うか。