知るかバカ!そんなことより侵略だ!   作:ブラッキオ

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花粉なのか埃なのか気温の変化に耐えきれなかったのかは分からないですが、鼻水が詰まって眠れなかったので、投稿です。

タイトルはかの有名なあの方のフレテキです。


第16話 一方的に勝つに決まっている

Side in

 

殺風景な体育館っぽい場所。そこに俺と白色の鎧……と言うか、ランスロット・アルビオンみたいな鎧を纏った少年が一人。

 

彼の名はヴァーリ・ルシファー、と言うそうだ。ルシファーなんて随分仰々しい。ヴァーリ君でええやろ。何かヴァー君って言うとぶちぎれるし。

 

そもそも、アザゼルさんが『こいつの家のことは内密に』って言われているし。どうやら闇の深いお方らしい。勝手な想像だが、『ルシファー』なんて大悪魔の名を冠しているんだ、相当な厄ネタなんだろうよ。こう言うのは忘れるに限る。

 

そんな俺らを見ているのは髭ことアザゼルさんと筋肉ことバラキエルさん。あんたらは仮面ライダービルドか何かか。

 

「という訳だ。ここなら思う存分暴れてもいい。ただ、ここから飛び出すのは許さんぞ。そうでなくとも、ブラックゾーンは目立つのが嫌だそうだからな」

 

「分かっている、アザゼル」

 

「本当に分かってんのかねぇ……。おい、アルビオン」

 

アザゼルさんがここにいもしないドラゴンの名前を呼ぶ。すると、声が聞こえた。

 

『なんでや……なんでワイがこんな目に……』

 

何やら、悲痛な声を上げている者。それはアルビオンさん。そう、あのアルビオンさん。そんなに俺と戦うのが嫌か。すいませんでした。

 

「それはお前の宿主に言え。てか、お前もお前で今代のことを『最強の白龍皇』なんて威張っていたんだからその報いだ」

 

『にょぉん……』

 

先ほど聞いた話によれば、アルビオンさんは俺との戦いの後に神器って奴に封印されたそうだ。その神器とやらの名前は『白龍皇の光翼』(ディバイン・ディバイディング)。それがヴァーリ君の中にあり、何でも彼はその神器を持つ歴代所有者の中でも最強だそうだ。

 

余談だが、相方のドライグさんも同じように神器にぶち込まれているらしい。

 

――『この世界《ハイスクールD×D》って学園ファンタジーの祖みたいな所があるからね、悔しいけど』

 

ユノハ様の解説が挟まる。へぇ、そんなすごい世界なのか。勘弁してくれってのが一番だけど。そうでなくてもクレーリアさんのこともあって頭抱えとるんやぞ。あれ、何があっても絶対に黙っていた方がいい案件っぽいし。ふとした油断とも言えない不運のせいで裏社会と絡むとかどんなブラックラグーンやねん。

 

俺の気分が上々の逆を進んでいることなど知る由もないアザゼルさんが話を進める。

 

「ヴァーリも待てないだろう。だが、俺の合図で始めろ。いいな?」

 

「分かった」

 

「うっす……」

 

俺は軽く柔軟体操をする。すると、ヴァーリ君が聞いてくる。

 

「お前、何故あの姿にならない?」

 

あの姿……?ああ、ブラックゾーンのことか。

 

「まさか俺に対して手加減なんてしているんじゃないだろうな!」

 

「分かってるじゃないっすか、ヴァーリ君」

 

「ふざけっ!!!」

 

『待てヴァーリ!少しは頭を冷やせ!』

 

「……チッ!!」

 

ぶちぎれヴァーリ君。いや、ヴァーリと言うか。ヴァーリ君だと煽っているように思えるし。

 

「あのね、いきなりフルパワーでやってあんたを殺しちゃったら、マジでラヴィニアに合わせる顔がないの。分かる、ヴァーリ?申し訳ないけど、そこは譲れない」

 

「そんなにラヴィニアが好きか!!」

 

「う、うるせぇ!!!」

 

突然の御大将にそう答えるしかなかった俺。見ればアザゼルさんがにやけている。う、うぜぇ!!

 

あの子は好きとかそう言うのじゃないんだよ!

 

――『『『こいつ面倒くせぇ……』』』

 

「お前ら、始めるぞ」

 

アザゼルさんがそう言う。さっさと始めてくれ、頼む……。

 

静寂が俺達を包む。ヴァーリの方を見る。さて、初手はどう来るか……。あの戦いではアルビオンさんの本気は分からなかったし、どんな手を隠しているか分かったもんじゃない。うーん……。

 

あの頭に血が上った様子だと、最初は直線で攻めてきそうだ。となればだ、カウンター気味に踏み込んで顔面に一発入れてみるか。一旦、それを様子見としておこう。

 

「始めろ!!」

 

アザゼルさんがそう叫ぶ。その瞬間、ヴァーリが一気にこちらへと飛び込んできた。うーん、予想通りの行動。余りに直球すぎる行動を良くないと思ってしまうのは老婆心か。

 

右ストレートを打ち込もうとするヴァーリ。俺はそれをひょいと避けて、顔面に裏拳を入れる。ゴンッと結構な音がした。

 

「ゴッ!!」

 

ヴァーリがふらふらと後ろに下がる。鼻血を出して、随分な様子だ。その目を見ると、驚いているようだが折れた様子ではない。どうやらこれくらいで良いらしい。

 

それじゃあ、加減も分かった所でこちらも頑張っていきましょう。

 

俺はヴァーリの方へと助走をつける。そして飛び上がり、そのまま両足で蹴りを入れる。

 

「がっ!!」

 

……ゴムボールのように跳ねるヴァーリ。さっきまでの威勢はどこへやら。成す術もなく俺にやられる。頼む、少しくらい抗ってくれ。じゃないと、まるで俺が虐めているようじゃねぇか。

 

『ヴァーリ、しっかりしろ!』

 

「くぅ……!!」

 

床を叩いて悔しがるヴァーリ。

 

「アルビオン!お前の半減の力を……!!」

 

そう叫ぶヴァーリ。だが、それをアルビオンさんは即答で否定した。

 

『無理だ!あれのデカすぎる力、今のお前が一回でも半減すれば力を吐き切れずに自滅することになるぞ!!』

 

あれって何や、あれって。泣くぞ。てか、半減ってなんやねん。教えて、ユノハ先生!

 

――『ドキンダム、パス』

 

――『しゃーないなぁ。そのまんまだ。相手の力を半減する。魔力とか諸々な。しかもそれを吸収して自分を強化するおまけつき。余剰エネルギーは背中のあの翼で吐いているって感じだ』

 

何やそのチートぉ!?俺がチートじゃなきゃ一発で死んでるぞ!避けて正解じゃねぇか!

 

――『実際、あれを耐えられるのはこの世界でも片手しか数えられん。マジでチートだ』

 

ひでぇ話だ。何でそんなことになってんだよ……。俺、平穏に暮らしていたかっただけなのに……。

 

「クソッ!!」

 

そう吐き捨てるように言い、がむしゃらに突っ込んでくるヴァーリ。いくらなんでも余裕が無さすぎる。

 

「くそっ!!くそぉっ!!」

 

涙と鼻水を止めることなく、俺に殴りかかるヴァーリ。余りに簡単に避けられる拳を避けていく。

 

彼を無様とは思わない。彼も彼なりに必死になって戦っている。故は知らないけれど、だからと言って彼を侮辱するようなことは言いたくはない。それでも言うことがあるのなら、余りに痛ましい。

 

何がお前をそうさせる?何がお前を動かすんだ?そんな牙を立てて襲い掛かっては分からんぞ?

 

自問で気を抜いてしまったせいか、足を止めてしまった。その瞬間をヴァーリは見逃さない。

 

ヴァーリは踏ん張り、渾身の一撃を俺に加えた。

 

ガツンと音を立てる。だが、その牙は俺には届かない。

 

「痛っっ!!」

 

痛みのせいか、俺を殴った拳が震えている。悪いな、異世界の女神によれば俺は最強らしい。簡単に俺の牙城が崩れると思うなよ。

 

俺は掌底をヴァーリの腹に入れる。もろに受けたが、こちらとて死なないように加減はしている。掌底の勢いで後退るヴァーリ。

 

おい、ドキンダム。

 

――『何だ?』

 

これ以上はヴァーリが可哀そうだ。そろそろ勝負を決してもいいか?てか、させろ。

 

――『全ては宿主様のままに、って奴だ。好きにしろ』

 

随分薄情だ。

 

――『おい、ドキンダム。あんこが乗った草団子と温かい緑茶を所望する』

 

……なぁ、ドキンダムさん。

 

――『大丈夫だ。あのKY太陽神は後で俺がぶっ飛ばしておく』

 

オッケー。じゃあ、俺はここまでにしておこう。

 

そうなれば、俺がやることはただ一つ。ヴァーリとの勝負を終わらせることだ。

 

「壊れてくれるなよ!」

 

俺はそう言ってヴァーリに近付き、右拳を彼のみぞおちにぶち込む。彼は避けることもなく、そのまま拳はめり込んでいき、クリーンヒットした。

 

何とか立とうと踏ん張るヴァーリ。だが、その脚は震えている。もう限界なのは、素人の俺から見ても分かり切ったことだ。それでも、立とうと言うのなら、俺とて容赦は出来ない。

 

『やめろブラックゾーン!ヴァーリはもう無理だ!負けでいい!俺達の負けだ!!だからこれ以上は!!』

 

アルビオンさんの声が響く。悪いが、男の勝負だ、水を差してくれるなよ。

 

とは言うが、俺も死にかけの人間をいたぶる趣味はない。だからさ、これで終わりにしよう。

 

俺は構えを取って、禁断のオーラを少しだけ纏う。ここまでよくやったヴァーリに敬意を表す。俺も彼も男だ、敗れる時くらいは美しくありたい。そんな思いがあるからこそ、彼を飾ろう。勝者が敗者に出来る数少ないことだ。

 

「ヴァーリ。お前に敬意を表して、少しだけ力を込めよう」

 

『やめろぉおおお!!!』

 

床が砕ける勢いで踏み切り、そしてヴァーリの目の前に立つ。

 

身体を捻ってのパンチをヴァーリにぶち込む。

 

「ガッ!!」

 

『おごっ!!』

 

ただのパンチだが、そこそこ効いているようだ。何ならアルビオンさんにもクリーンヒットしたような声が聞こえる。

 

ヴァーリが死なない程度に強めの拳底をぶちかます。手を戻し、手を合わせた形を取る。そのまま突き出した手をいきなり開きながら掌底をかます。俺の攻撃を受けてグラっとするヴァーリ。そのまま前へと倒れ込む。俺はその隙を見逃さない。その後頭部に踵落としを食らわせる。

 

床に沈んでいこうとするヴァーリ。心の中で喧嘩を売った方が悪い理論をかざしつつ、下から思い切りよく膝蹴りをその顎に打ち込み、その体を持ち上げる。

 

即座に構えなおして、両手で手刀を両脇に打ち込む。ヴァーリは最早ただ俺の技を打ち込まれるだけの状態になっている。俺が言うのもあれだが、正直言って見るも無残すぎて辛い。

 

が、彼はきっと強情だし、もう一発入れよう。こうでもしなきゃ折れるような感じじゃないし。

 

手刀を突きだし、腹に貫手。勿論その胴体を貫かないように加減して。これで決まり手になってほしいと願いつつ。出した貫手。その一撃が効いたようで、白目をむいて仰向けに、かつ大の字になって倒れ込むヴァーリ。

 

ヴァーリは光を発しながら、彼を纏っていた鎧が解除された。

 

『ヴァーリィイイイ!!』

 

「そこまでだ」

 

アルビオンさんの叫びが響く。彼の保護者であるアザゼルさんも止めに入った。これで終わりと言うことになる。

 

アザゼルさんがこちらへと近づいてきた。

 

「ありがとよ、ブラックゾーン。こいつの未練も、これで少しは断ち切れただろうよ」

 

未練、か。一見すると単純明快な彼にもそんなものが……。

 

その瞬間、俺は気づいてはならないような答えに達した。まさか、こいつ……

 

――『おい、大地』

 

何だ、ドキンダム?

 

――『お前を選んだのは、間違いなくラヴィニア自身だ。そして、ヴァーリもヴァーリでお前と会う前からその道を諦めていた。今回の喧嘩は、こいつ自身が吹っ切れるための言い訳が欲しかっただけだ。お前も、こいつも、誰も悪くない。思春期によくある、悲しい話だ』

 

……そうか。俺とて、ラヴィニアの人生に深く関わることはしたくない。だからこそ、近づきたくない一面もあった。だからこそ、彼女には彼女に相応しい人とその生を歩んでほしかった。だが、その考えはラヴィニア本人によって砕かれた。何とも言えない話だ。

 

考えれば考えるほど、鎖が俺を強く縛るような感覚が走る。

 

そんな俺に対し、ラヴィニアと共にあったヴァーリは、ヴァーリ自身で自分の想いにちゃんと決着を付けられたのか。すごいな、こいつは。

 

それに対して、俺は何と無様な姿だ……。

 

「おい、アルビオン。ヴァーリの様子はどうだ?」

 

『……そうだな、今までにないくらい透き通った感情に満たされている。無論、負けた悔しさもあるがな』

 

「なるほどな。こいつも大きくなったんだな……」

 

アザゼルさんがお父さんムーブをしている。俺はその光景に、何やら暗い感情が芽生えかけた。

 

――『モグモグ……そんなに悔しいか、ド阿呆』

 

アポロヌスがそう言う。そうだな、悔しいさ。自分の気持ちに何も着手出来ていない。いや、しようとしていない軟弱者が俺だ。そんな俺が、覚悟の決まったヴァーリに勝てるわけもないだろう。

 

――『だが、そのヴァーリにお前は認められてしまったのだ。最後まで走り切らねば、それこそこの白き龍の者への侮辱相違ない』

 

畜生、余計な真似をしてくれたな、ヴァーリ。こんなにもすっきりしない勝負、反吐が出るよ。

 

試合に勝って、勝負に負けた。どれだけ力を得た所で俺の弱さは変わらない。そんな現実を直視させられた戦いだった。俺の握り拳に力がこもる。勝った喜びなんざ、この戦いにあってはならない。これで喜べるのなら、俺は能天気にも程がある。

 

『あー、やべぇ。吐きそう』

 

「いや、吐くなよ。そんなにブラックゾーンとの戦いがストレスだったか?」

 

『当たり前だぁ!!!』

 

「そんな堂々と言うなよ……」

 

Side out

 




大地君がヴァーリ君に放った技の元ネタが何となく分かったら、うp主と握手です。


以下余談
実は自分が大地君の声をベリアロクでイメージして書いているのは理由があります。
前作からそうなのですが、『このイメージでいこう』とやった時、当初は色々な声でやっていたのですが、結果大地君のイメージが取っ散らかりすぎて、その末に狂いかけたんで、ダイス神に身を委ねて強引にベリアロクに決定した過去があります。
一応、大地君と『ベリアル』家と関わりを強くするつもりですし、縁があっていいと思ったので、『これもありか』と自分に言い聞かせています。
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